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紀文食品 Research Memo(4):原材料価格上昇などの影響が現れた中間期決算
配信日時:2025/12/23 13:04
配信元:FISCO
*13:04JST 紀文食品 Research Memo(4):原材料価格上昇などの影響が現れた中間期決算
■業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
紀文食品<2933>の2026年3月期中間期の業績は、売上高が48,864百万円(前年同期比2.3%増)、営業損失が413百万円(前年同期は546百万円の営業利益)、経常損失が833百万円(前年同期は440百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,053百万円(前年同期は55百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)と、中間期の利益構成比は小さいとはいえやや厳しい決算だった。要因は、原材料費の上昇や想定外の米国の関税政策による影響などにある。なお、主力商品であるスリミ製品・惣菜がおでんや鍋物などに向けて冬季に需要が高まり、おせち料理関連商品は12月に需要が集中するという季節性により、売上高と利益が第3四半期に偏重する傾向がある。
日本経済は、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復が見られた一方、米国の関税政策や物価上昇に伴う消費者マインドの下振れの影響などが懸念され、先行きに対する不透明感が続いた。このような環境下、同社は「中期経営計画2026」の2年目として、既存事業領域の着実な成長と事業領域の拡大により成長を図る「成長戦略の推進と新たな価値創造」、成長を促進させる収益構造に向けた「資本効率の改善」、今後の成長を支える「経営基盤の整備」という3つの基本戦略に引き続き取り組んだ。
この結果、売上面では、海外食品事業において米国の関税政策や買い控えの影響はあったものの、特に国内食品事業の商事部門と食品関連事業の物流部門がけん引して増収となった。利益面では、各工場での生産効率、歩留まり、ロスの改善など原価改善や合理化を進めたが、主要原料であるすり身や副原料・資材など原材料価格の上昇、海外食品事業の売上減少によるタイ工場の稼働率悪化、国内食品事業商事部門が増加し海外食品事業が減少したことによる事業ミックス変化により、売上総利益率が低下した。また、売上増に伴う運送費や昇給などに伴う人件費、積極的な打ち出しに伴う広告宣伝費・販売促進費の増加により、販管費は売上高の伸びを上回って伸長した。なお、経常利益の減益幅が大きくなったのは、円安により為替差損益が前年同期比でネガティブに振れたためである。
食品事業は国内外ともに苦戦、物流事業は好調
2. セグメント別の業績動向
セグメント別の業績は、国内食品事業が売上高32,974百万円(前年同期比2.5%増)、セグメント損失1,214百万円(前年同期は289百万円の損失)、海外食品事業が売上高5,421百万円(前年同期比6.1%減)、セグメント利益164百万円(同66.3%減)、食品関連事業が売上高10,469百万円(同6.6%増)、セグメント利益562百万円(同81.7%増)となった。食品関連事業は好調だったが、主力の国内食品事業と海外食品事業の苦戦をカバーできなかった。
国内食品事業は小売部門で、主力のカニカマや「竹笛(R)」「はんぺん」「魚河岸あげ(R)」などスリミ製品が、良質なたんぱく質を手軽に摂取できるヘルシーフードとして好調に推移した。惣菜も、中華まんじゅうやパリパリポテトなど中華シリーズがけん引して伸長した。特にスリミ製品の魅力を店頭やSNSなどでプロモーションした春先は、他社の価格改定もあって同社の販売が好調に推移、その後9月に他社に追随して同社も価格を改定したが影響はほとんどなく、中間期への反映は1ヶ月だけだったが収益に貢献したようだ。商事部門では、食品メーカーや外食産業向けに米糠油や大豆、玄蕎麦などの農水産品が堅調に伸長、特にインバウンドが回復した外食向けが好調だった。このため増収となったが、冷凍すり身や鶏卵など原材料価格が上昇を続けていること、運送費、人件費、広告宣伝費などが増加したことにより減益となった。
海外食品事業では、たこ焼きなどの惣菜系や大福などの甘味系の日本食材の導入は進んだが、中国経済の不振継続、各国のインフレによる消費者の節約志向、米国関税政策の動きなどにより、第1四半期で回復傾向が見られた米国と中国の販売も第2四半期に勢いを失った。利益面では、売上高の減少に伴うタイ工場の稼働率低下と好採算の自社製スリミ製品の販売構成比低下により減益となった。
食品関連事業は、主力の物流事業が好調で、全国チルド物流網の強みを生かした新規顧客の獲得、料金改定の進展、インバウンド需要で好調な外食産業向け物量の増加、飲料・食品メーカーなど既存顧客の販促効果に伴う物量の増加などにより増収となった。利益面では、燃料費や人件費など輸送全般に関わるコストは増加したが、物量増や料金改定に加えて、共同配送の積載率向上、配送コースの見直し、構内作業の自働化、ドライバーの働き方改革浸透による納品待ち時間の縮小などにより効率化が進んで増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
紀文食品<2933>の2026年3月期中間期の業績は、売上高が48,864百万円(前年同期比2.3%増)、営業損失が413百万円(前年同期は546百万円の営業利益)、経常損失が833百万円(前年同期は440百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,053百万円(前年同期は55百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)と、中間期の利益構成比は小さいとはいえやや厳しい決算だった。要因は、原材料費の上昇や想定外の米国の関税政策による影響などにある。なお、主力商品であるスリミ製品・惣菜がおでんや鍋物などに向けて冬季に需要が高まり、おせち料理関連商品は12月に需要が集中するという季節性により、売上高と利益が第3四半期に偏重する傾向がある。
日本経済は、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復が見られた一方、米国の関税政策や物価上昇に伴う消費者マインドの下振れの影響などが懸念され、先行きに対する不透明感が続いた。このような環境下、同社は「中期経営計画2026」の2年目として、既存事業領域の着実な成長と事業領域の拡大により成長を図る「成長戦略の推進と新たな価値創造」、成長を促進させる収益構造に向けた「資本効率の改善」、今後の成長を支える「経営基盤の整備」という3つの基本戦略に引き続き取り組んだ。
この結果、売上面では、海外食品事業において米国の関税政策や買い控えの影響はあったものの、特に国内食品事業の商事部門と食品関連事業の物流部門がけん引して増収となった。利益面では、各工場での生産効率、歩留まり、ロスの改善など原価改善や合理化を進めたが、主要原料であるすり身や副原料・資材など原材料価格の上昇、海外食品事業の売上減少によるタイ工場の稼働率悪化、国内食品事業商事部門が増加し海外食品事業が減少したことによる事業ミックス変化により、売上総利益率が低下した。また、売上増に伴う運送費や昇給などに伴う人件費、積極的な打ち出しに伴う広告宣伝費・販売促進費の増加により、販管費は売上高の伸びを上回って伸長した。なお、経常利益の減益幅が大きくなったのは、円安により為替差損益が前年同期比でネガティブに振れたためである。
食品事業は国内外ともに苦戦、物流事業は好調
2. セグメント別の業績動向
セグメント別の業績は、国内食品事業が売上高32,974百万円(前年同期比2.5%増)、セグメント損失1,214百万円(前年同期は289百万円の損失)、海外食品事業が売上高5,421百万円(前年同期比6.1%減)、セグメント利益164百万円(同66.3%減)、食品関連事業が売上高10,469百万円(同6.6%増)、セグメント利益562百万円(同81.7%増)となった。食品関連事業は好調だったが、主力の国内食品事業と海外食品事業の苦戦をカバーできなかった。
国内食品事業は小売部門で、主力のカニカマや「竹笛(R)」「はんぺん」「魚河岸あげ(R)」などスリミ製品が、良質なたんぱく質を手軽に摂取できるヘルシーフードとして好調に推移した。惣菜も、中華まんじゅうやパリパリポテトなど中華シリーズがけん引して伸長した。特にスリミ製品の魅力を店頭やSNSなどでプロモーションした春先は、他社の価格改定もあって同社の販売が好調に推移、その後9月に他社に追随して同社も価格を改定したが影響はほとんどなく、中間期への反映は1ヶ月だけだったが収益に貢献したようだ。商事部門では、食品メーカーや外食産業向けに米糠油や大豆、玄蕎麦などの農水産品が堅調に伸長、特にインバウンドが回復した外食向けが好調だった。このため増収となったが、冷凍すり身や鶏卵など原材料価格が上昇を続けていること、運送費、人件費、広告宣伝費などが増加したことにより減益となった。
海外食品事業では、たこ焼きなどの惣菜系や大福などの甘味系の日本食材の導入は進んだが、中国経済の不振継続、各国のインフレによる消費者の節約志向、米国関税政策の動きなどにより、第1四半期で回復傾向が見られた米国と中国の販売も第2四半期に勢いを失った。利益面では、売上高の減少に伴うタイ工場の稼働率低下と好採算の自社製スリミ製品の販売構成比低下により減益となった。
食品関連事業は、主力の物流事業が好調で、全国チルド物流網の強みを生かした新規顧客の獲得、料金改定の進展、インバウンド需要で好調な外食産業向け物量の増加、飲料・食品メーカーなど既存顧客の販促効果に伴う物量の増加などにより増収となった。利益面では、燃料費や人件費など輸送全般に関わるコストは増加したが、物量増や料金改定に加えて、共同配送の積載率向上、配送コースの見直し、構内作業の自働化、ドライバーの働き方改革浸透による納品待ち時間の縮小などにより効率化が進んで増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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