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アンジェス Research Memo(5):慢性椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験の結果は2027年発表見込み
配信日時:2025/12/23 12:05
配信元:FISCO
*12:05JST アンジェス Research Memo(5):慢性椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験の結果は2027年発表見込み
■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向
2. NF-κBデコイオリゴDNA
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬品」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を惹起する転写因子と呼ばれるタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤である。NF-κBが遺伝子の特定のDNA配列領域に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因であるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすタンパク質を生成する遺伝子領域とNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因であるタンパク質の生成を抑制する。
NF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験は、2023年3月に塩野義製薬との協力に関する契約(臨床試験費用の一部を負担)を締結し、同年10月から慢性椎間板性腰痛症※を対象に開始した。予定症例数を92例とし、最初の2例で最大投与量20mgの安全性試験を実施し、安全性及び忍容性が確認された。その後、10mg、20mg、プラセボの3群(各30例、単回投与)に分類した比較試験を実施している。観察期間は12ヶ月で、有効性については「痛み」の指標であるNRSスコアの変化で評価する。現在、20mg投与群の被験者登録が進んでおり、登録完了時期は2026年前半ころとなる見通しだ。このため、臨床試験結果の発表も最短で2027年後半ころと想定される。良好な結果が得られた場合、ライセンスアウトする意向だが、塩野義製薬との協議次第となる。
※ 慢性椎間板性腰痛症とは、3ヶ月以上痛みが持続し、椎間板が原因で起こる腰痛症を指す。慢性腰痛症の約40%を占めるとされている。臨床試験対象者は、18~75歳で腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きい。腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者で、かつスクリーニング時点、及び投与実施日と前日のNRSスコアが4~9の患者(中等度から強い痛み)としている。また、複数個所に痛みを持つ患者は除外している。
国内の臨床試験に先駆けて米国で2018年より実施した後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験、25症例、観察期間50週)の結果についての論文が、2025年5月に脊椎疾患専門の学術誌「The Spine Journal」※に掲載された。安全性及び忍容性に問題がなかったほか、有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減し、1年後には投与前と比較して痛みのスコアが平均77%軽減(プラセボ群では平均40%)したほか、同投与群に関しては治験期間を通して鎮痛薬を追加投与された症例がなく、鎮痛効果が持続していることが示唆された。詳細に見ると、同投与群のうち、半数の患者の痛みがほぼ完全に消失した。また、椎間板の高さもプラセボ群が減少したのに対し、10mg投与群では増加が認められ、椎間板の形態的な改善効果も示唆される結果が得られたとしている。日本の臨床試験では米国の最大投与量を上回る20mg群の試験も行っていることから、好結果を得られる可能性が高いと弊社では見ている。
※ 「The Spine Journal」は、北米脊椎学会が発行する脊椎外科に関する研究論文やレビュー、症例報告などを掲載する脊椎疾患分野を代表する国際的な学術誌で、各国から寄せられた質の高い論文を隔週で提供している。
国内では慢性椎間板性腰痛症の患者に対して、内服・外用薬治療や理学療法など対症療法が一般的に行われているが、NF-κBデコイオリゴDNAは単回投与で1年間の効果持続が見込まれるため、患者のQOL向上に貢献する。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、2027年に発表される臨床試験の結果が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. NF-κBデコイオリゴDNA
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬品」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を惹起する転写因子と呼ばれるタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤である。NF-κBが遺伝子の特定のDNA配列領域に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因であるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすタンパク質を生成する遺伝子領域とNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因であるタンパク質の生成を抑制する。
NF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験は、2023年3月に塩野義製薬との協力に関する契約(臨床試験費用の一部を負担)を締結し、同年10月から慢性椎間板性腰痛症※を対象に開始した。予定症例数を92例とし、最初の2例で最大投与量20mgの安全性試験を実施し、安全性及び忍容性が確認された。その後、10mg、20mg、プラセボの3群(各30例、単回投与)に分類した比較試験を実施している。観察期間は12ヶ月で、有効性については「痛み」の指標であるNRSスコアの変化で評価する。現在、20mg投与群の被験者登録が進んでおり、登録完了時期は2026年前半ころとなる見通しだ。このため、臨床試験結果の発表も最短で2027年後半ころと想定される。良好な結果が得られた場合、ライセンスアウトする意向だが、塩野義製薬との協議次第となる。
※ 慢性椎間板性腰痛症とは、3ヶ月以上痛みが持続し、椎間板が原因で起こる腰痛症を指す。慢性腰痛症の約40%を占めるとされている。臨床試験対象者は、18~75歳で腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きい。腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者で、かつスクリーニング時点、及び投与実施日と前日のNRSスコアが4~9の患者(中等度から強い痛み)としている。また、複数個所に痛みを持つ患者は除外している。
国内の臨床試験に先駆けて米国で2018年より実施した後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験、25症例、観察期間50週)の結果についての論文が、2025年5月に脊椎疾患専門の学術誌「The Spine Journal」※に掲載された。安全性及び忍容性に問題がなかったほか、有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減し、1年後には投与前と比較して痛みのスコアが平均77%軽減(プラセボ群では平均40%)したほか、同投与群に関しては治験期間を通して鎮痛薬を追加投与された症例がなく、鎮痛効果が持続していることが示唆された。詳細に見ると、同投与群のうち、半数の患者の痛みがほぼ完全に消失した。また、椎間板の高さもプラセボ群が減少したのに対し、10mg投与群では増加が認められ、椎間板の形態的な改善効果も示唆される結果が得られたとしている。日本の臨床試験では米国の最大投与量を上回る20mg群の試験も行っていることから、好結果を得られる可能性が高いと弊社では見ている。
※ 「The Spine Journal」は、北米脊椎学会が発行する脊椎外科に関する研究論文やレビュー、症例報告などを掲載する脊椎疾患分野を代表する国際的な学術誌で、各国から寄せられた質の高い論文を隔週で提供している。
国内では慢性椎間板性腰痛症の患者に対して、内服・外用薬治療や理学療法など対症療法が一般的に行われているが、NF-κBデコイオリゴDNAは単回投与で1年間の効果持続が見込まれるため、患者のQOL向上に貢献する。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、2027年に発表される臨床試験の結果が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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