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サンワテクノス Research Memo(7):商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進し収益力を強化(3)
配信日時:2025/12/23 11:57
配信元:FISCO
*11:57JST サンワテクノス Research Memo(7):商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進し収益力を強化(3)
■サンワテクノス<8137>の長期ビジョンと中期経営計画
(3) 成長を支える投資と個別戦略の実施
a) 投資戦略
投資戦略に関しては、内部成長と外部成長を相互に補完しあう「事業協調型」による戦略的投資を推進する。投資資金としては手元キャッシュや自己株式等を活用するほか、必要に応じて最適な資金調達手段の選択を柔軟に検討する方針で、3年間で約100億円を投下する。内部成長のための投資としてはインフラ投資、DX投資、技術投資、人的投資を、外部成長投資としては既存事業とのシナジーが期待できるメーカー機能を持つ企業やサービスエリアを拡張できる企業等を対象にM&Aやアライアンスを推進する。M&Aについては2025年9月末にエムテック、同年10月末にHTK Europeをそれぞれ子会社化した。
エムテックは、メーカー機能(技術と商品開発力)を持つ開発型企業で、同社とは2023年に業務提携を締結し、ロボットソリューションの共同開発を行ってきたが、株式交換により50.5%の株式を取得した※。子会社化の目的は、メーカー機能の獲得により、顧客ニーズに応えるソリューション開発を加速し、ロボット・FA分野における自社製品ラインナップを強化することにある。エムテックは、センサ情報を駆使した独自のモーションコントロール技術を有し、ロボットの複雑な動作に対応可能な柔軟な自動化システムを設計・開発できること、また3D解析技術により最適な生産プロセスと設備仕様を迅速に設計するなど、メーカーが産業用ロボットを組み込んだ製造ラインを構築する際に導入コストの低減と短納期化を実現するソリューション力がある。同社はエムテックを子会社化することで、ロボットソリューションの提案力で差別化を図り、受注拡大につなげる考えだ。エムテックの直近の業績は、2025年3月期で売上高217百万円、営業損失127百万円と先行投資段階の企業であり、今後同社と共同開発したロボットソリューションパッケージ「3D Connectシリーズ」の拡販を進めることで早期の収益化を目指す。
※ のれんは647百万円で5年均等償却となる。
現在は、2023年秋よりシリーズ第1弾として販売を開始した「AR^2 System」の拡販に注力している。同システムは、ロボットに搭載したカメラで対象物の位置基準となるARマーカー※を読み取り、相対位置の補正と動作条件を判断選択してロボットに動作を指示する仕組みとなっている。ロボットは通常、所定の動作を行うためのティーチングデータを作成して運用する必要があるため、ノウハウを持たない企業にとっては導入のハードルが高かった。しかし、「AR^2 System」を付加することで高精度かつ効率的にこの工程を実現できるため、導入後の運用も容易になる。人手不足が深刻化している製造現場での省人化対策ソリューションとして需要拡大が期待され、海外の展示会にも出展するなど営業推進している。販売開始以降、受注実績は積み上がっているものの、今後の販売体制をより強化していくため、同社は社内のプロジェクトチームを2025年秋以降増員して営業強化を図っており、今後の動向が注目される。
※ ARマーカーとは、現実空間にデジタルコンテンツを重ねて表示できる「AR(拡張現実)」を表示させる目印となるものを指し、画像や顔、建物など様々なものをARマーカーとして活用できる。「AR^2 System」ではARマーカーにロボットの動作条件(レシピ)が埋め込まれており、それを読み取ることでロボットを制御する仕組みとなっている。
一方、HTK Europeは中堅コネクタメーカーである本多通信工業の英国の製造販売子会社である。同社はHTK Europeの全株式を取得し、社名もSUN-WA TECHNOS (UK) Connect Solutionsに変更した。英国工場でワイヤーハーネスや制御盤等の組立加工を行っているが、売上規模としては未だ小さい。欧州市場ではメーカーが仕入先を選定する際に現地設計・現地対応ができる能力を重視する傾向にあるため、同社のように商社機能を有するだけでは現地企業の開拓が困難である。こうした課題を解決するために現地で製造機能を持つ企業を子会社化した。同子会社は欧州の厳しい安全規格に即した製造・品質体制を有しており、ハーネスや制御盤を顧客設備仕様に応じてカスタム生産できることが強みである。今後は同子会社の製造機能をフルに活用して現地優良顧客の開拓を進め、今まで伸び悩んでいた欧州市場での事業拡大を目指す。
b) DX戦略
DX戦略では「守りのDX」から「攻めのDX」へシフトし、データとテクノロジーで成長加速を目指す。具体的には「業務効率化×標準化×スリム化」を実現する次世代基幹システムの導入準備に着手している。国内外の経営・業務データの収集と活用によりグローバル経営の意思決定を加速するほか、営業・マーケティング情報のAI・データ分析により営業戦略の強化を図る。特に、営業スキルの伝承は経営の重要課題と認識しており、人財育成にAIを活用しながら営業スキルの向上に取り組み、早期戦力化並びに営業の生産性向上につなげる。そのほか、スマート物流による「見える化システム」で物流拠点の最適化と高精度運営を実現し、顧客満足度の向上に取り組むほか、先端テクノロジーに対応できるDX人材の育成と活用を推進し、組織力の強化を図る。
c) 人財戦略
人財戦略として、社員一人ひとりが活躍できる制度と組織の構築に取り組み、中期経営計画の達成と企業価値の向上につなげる。重点施策として、個々のスキルと成果を反映する評価制度と報酬体系を検討するほか、営業人財の強化・スペシャリストの育成・内勤営業体制の最適化を図る。また、ダイバーシティの推進や次世代リーダーの育成、社員のリスキリング、社員エンゲージメントの構築、ウェルビーイングなどにも取り組む予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(3) 成長を支える投資と個別戦略の実施
a) 投資戦略
投資戦略に関しては、内部成長と外部成長を相互に補完しあう「事業協調型」による戦略的投資を推進する。投資資金としては手元キャッシュや自己株式等を活用するほか、必要に応じて最適な資金調達手段の選択を柔軟に検討する方針で、3年間で約100億円を投下する。内部成長のための投資としてはインフラ投資、DX投資、技術投資、人的投資を、外部成長投資としては既存事業とのシナジーが期待できるメーカー機能を持つ企業やサービスエリアを拡張できる企業等を対象にM&Aやアライアンスを推進する。M&Aについては2025年9月末にエムテック、同年10月末にHTK Europeをそれぞれ子会社化した。
エムテックは、メーカー機能(技術と商品開発力)を持つ開発型企業で、同社とは2023年に業務提携を締結し、ロボットソリューションの共同開発を行ってきたが、株式交換により50.5%の株式を取得した※。子会社化の目的は、メーカー機能の獲得により、顧客ニーズに応えるソリューション開発を加速し、ロボット・FA分野における自社製品ラインナップを強化することにある。エムテックは、センサ情報を駆使した独自のモーションコントロール技術を有し、ロボットの複雑な動作に対応可能な柔軟な自動化システムを設計・開発できること、また3D解析技術により最適な生産プロセスと設備仕様を迅速に設計するなど、メーカーが産業用ロボットを組み込んだ製造ラインを構築する際に導入コストの低減と短納期化を実現するソリューション力がある。同社はエムテックを子会社化することで、ロボットソリューションの提案力で差別化を図り、受注拡大につなげる考えだ。エムテックの直近の業績は、2025年3月期で売上高217百万円、営業損失127百万円と先行投資段階の企業であり、今後同社と共同開発したロボットソリューションパッケージ「3D Connectシリーズ」の拡販を進めることで早期の収益化を目指す。
※ のれんは647百万円で5年均等償却となる。
現在は、2023年秋よりシリーズ第1弾として販売を開始した「AR^2 System」の拡販に注力している。同システムは、ロボットに搭載したカメラで対象物の位置基準となるARマーカー※を読み取り、相対位置の補正と動作条件を判断選択してロボットに動作を指示する仕組みとなっている。ロボットは通常、所定の動作を行うためのティーチングデータを作成して運用する必要があるため、ノウハウを持たない企業にとっては導入のハードルが高かった。しかし、「AR^2 System」を付加することで高精度かつ効率的にこの工程を実現できるため、導入後の運用も容易になる。人手不足が深刻化している製造現場での省人化対策ソリューションとして需要拡大が期待され、海外の展示会にも出展するなど営業推進している。販売開始以降、受注実績は積み上がっているものの、今後の販売体制をより強化していくため、同社は社内のプロジェクトチームを2025年秋以降増員して営業強化を図っており、今後の動向が注目される。
※ ARマーカーとは、現実空間にデジタルコンテンツを重ねて表示できる「AR(拡張現実)」を表示させる目印となるものを指し、画像や顔、建物など様々なものをARマーカーとして活用できる。「AR^2 System」ではARマーカーにロボットの動作条件(レシピ)が埋め込まれており、それを読み取ることでロボットを制御する仕組みとなっている。
一方、HTK Europeは中堅コネクタメーカーである本多通信工業の英国の製造販売子会社である。同社はHTK Europeの全株式を取得し、社名もSUN-WA TECHNOS (UK) Connect Solutionsに変更した。英国工場でワイヤーハーネスや制御盤等の組立加工を行っているが、売上規模としては未だ小さい。欧州市場ではメーカーが仕入先を選定する際に現地設計・現地対応ができる能力を重視する傾向にあるため、同社のように商社機能を有するだけでは現地企業の開拓が困難である。こうした課題を解決するために現地で製造機能を持つ企業を子会社化した。同子会社は欧州の厳しい安全規格に即した製造・品質体制を有しており、ハーネスや制御盤を顧客設備仕様に応じてカスタム生産できることが強みである。今後は同子会社の製造機能をフルに活用して現地優良顧客の開拓を進め、今まで伸び悩んでいた欧州市場での事業拡大を目指す。
b) DX戦略
DX戦略では「守りのDX」から「攻めのDX」へシフトし、データとテクノロジーで成長加速を目指す。具体的には「業務効率化×標準化×スリム化」を実現する次世代基幹システムの導入準備に着手している。国内外の経営・業務データの収集と活用によりグローバル経営の意思決定を加速するほか、営業・マーケティング情報のAI・データ分析により営業戦略の強化を図る。特に、営業スキルの伝承は経営の重要課題と認識しており、人財育成にAIを活用しながら営業スキルの向上に取り組み、早期戦力化並びに営業の生産性向上につなげる。そのほか、スマート物流による「見える化システム」で物流拠点の最適化と高精度運営を実現し、顧客満足度の向上に取り組むほか、先端テクノロジーに対応できるDX人材の育成と活用を推進し、組織力の強化を図る。
c) 人財戦略
人財戦略として、社員一人ひとりが活躍できる制度と組織の構築に取り組み、中期経営計画の達成と企業価値の向上につなげる。重点施策として、個々のスキルと成果を反映する評価制度と報酬体系を検討するほか、営業人財の強化・スペシャリストの育成・内勤営業体制の最適化を図る。また、ダイバーシティの推進や次世代リーダーの育成、社員のリスキリング、社員エンゲージメントの構築、ウェルビーイングなどにも取り組む予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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