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サンワテクノス Research Memo(5):商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進し収益力を強化(1)
配信日時:2025/12/23 11:55
配信元:FISCO
*11:55JST サンワテクノス Research Memo(5):商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進し収益力を強化(1)
■サンワテクノス<8137>の長期ビジョンと中期経営計画
3. 基本方針と戦略
(1) 市場環境の変化に適合する事業構造改革
事業構造改革として、市場環境の変化に適合すべく事業区分を4つの事業(電子コンポーネント、制御デバイス、産業用PC、FAソリューション)に再編するとともに、営業本部についても4部門に再編した。今後はこれら4事業ごとに戦略策定と具体的施策を実行する方針だ。各事業の主な取扱製品についてみると、電子コンポーネント事業では電源や機構部品(コネクタ、リレー、スイッチ等)のほか、コンデンサ、センサ、LEDなど、制御デバイス事業ではサーボモータ、インバータ、プログラマブルコントローラ、パワーコンディショナなど、産業用PC事業では産業用PCのほか、ネットワーク機器やIoTゲートウェイなど周辺装置やソフトウェアを、FAソリューション事業では産業用ロボットやマウンター、搬送機器などの設備装置を主に取り扱っている。新規事業区分の構成比(2025年3月期、単体)は、電子コンポーネント事業が売上高の62%、売上総利益の58%を占め、次いで制御デバイス事業が売上高の22%、売上総利益の23%を占めるなど、両事業で全体の8割以上を占めている。
また、研究開発分野の位置付けであるソリューション開発については、イノベーション本部に組み込まれている。事業化につながる注力技術分野を特定し、最適な機器やパートナー企業の技術シーズを組み合わせたソリューションの開発を行い、それらをパッケージ化して後述する3つの成長戦略で展開し、顧客の高度なニーズに対応する。スタートアップ企業などが開発を進める先進技術を組み合わせるケースが多くなると予想され、自社の販売・マーケティング力とこれら企業の技術力を組み合わせ、Win-Winの関係を構築しながら高付加価値ビジネスを育成する考えだ。
(2) 3つの成長戦略による収益力の強化
成長戦略として、商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進することで収益力の強化を図る。
a) 商品戦略
商品戦略では4つの事業区分ごとに戦略方針を策定している。電子コンポーネント事業においては、多様な顧客ニーズに応える多彩な商品を効率的に提供することを掲げており、そのために主要仕入先※との戦略的パートナーシップを構築し現場対応力を強化するほか、顧客ニーズや最新の技術トレンドを収集しながら商品ラインナップの拡充を図る。
※ 主要仕入先としてはオムロン、ミネベアミツミ<6479>、TDKラムダ(株)、ニチコン<6996>、ケル<6919>、スタンレー電気<6923>などが挙げられる。
制御デバイス事業では、顧客の装置の競争力強化に貢献する商品を提供する。このため、仕入先の戦略商品と専門知識を有した社員による営業活動を推進するほか、顧客セグメントチームとの連携で顧客ニーズを反映した商品の開発を行う。
産業用PC事業では、幅広い産業機器と連携した高度な自動化を実現する商品を提供する。このため同社の優位性が高い分野を特定し、その未開拓分野に進出するほか、付加価値の高い機能とサービスの提供による差別化、並びに製造現場の効率化につながるソリューションを提供する。
FAソリューション事業では、顧客の課題解決に向けSIerと協業し最適なソリューションを提供する。このため顧客の課題やニーズを分析し、専門性の高いSIerと最適な提案を行うほか、業界分析を踏まえて主要メーカーと販売戦略を立案し現場力を強化する。また、自社開発製品を主要SIerと連携して拡販することで付加価値向上を目指す。
b) 顧客セグメント戦略
顧客セグメント戦略は、前中期経営計画から取り組んでいる。業界に精通した人材をセグメントごとに配置することで顧客との関係強化を図り、新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕を図る。前中期経営計画では、注力する分野として半導体製造装置、ロボット、工作機械、車載、FAコンポーネント、専用機械の6セグメントを抽出したが、今回新たに医療機器と社会インフラを加えて合計8セグメントとした。医療機器と社会インフラを追加したのは、いずれも景気変動の影響を受け難い業界であり、これらを伸ばすことで収益基盤の安定性を強化することがねらいだ。
同社は8セグメントを市場の魅力度や同社の強みに応じて競争力強化セグメント、積極的投資セグメント、高効率化セグメントと3つの戦略に振り分けた。また、前中期経営計画では国内市場での取り組みであったが、今回は海外でも同様の戦略を推進し、事業規模を拡大する考えだ。競争力強化セグメントとは、市場競争が激しいなかで主に競争力を強化するために投資・施策を実施する分野である。積極的投資セグメントとは、現状の収益規模は小さいものの市場の成長期待が高く、優先的に投資を行うことで今後の成長の柱とする分野を指す。また、高効率化セグメントとは、現状収益の柱となっており、今後も事業を効率化することで持続的な資金を確保する分野である。
競争力強化セグメントには半導体製造装置、ロボット、工作機械が分類され、今後の利益目標として年率12~15%成長を目指している。利益に占める構成比では半導体製造装置が13.5%(2028年3月期目標、以下同じ)と最も高い。大手顧客に対して同社提案製品の採用が実現したほか、ウェーハ搬送装置や制御盤ユニット等の試作品の提案を進めている。
積極的投資セグメントには医療機器、社会インフラ、車載が分類され、今後の利益目標として年率12~15%成長を目指している。利益に占める構成比は車載が7.0%と最も高く、先進運転支援(ADAS)×ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)/インフラ連携に関わる分野への参入に注力しているほか、電動化テーマに対応した商品提案を進めている。医療機器分野では透析器や手術支援ロボットなど、将来性の高い分野の優良顧客に対して製品の深耕提案を継続している。
高効率化セグメントにはFAコンポーネントと専用機械が分類され、今後の利益目標として年率12%成長を目指している。利益に占める構成比ではFAコンポーネントが25.3%と最も高く、効率的な電子部品ソリューションの提供や、アプリケーションを軸とした戦略商品の創出、エネルギー・自動化・AI関連アプリケーションに特化した拡販などを進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 基本方針と戦略
(1) 市場環境の変化に適合する事業構造改革
事業構造改革として、市場環境の変化に適合すべく事業区分を4つの事業(電子コンポーネント、制御デバイス、産業用PC、FAソリューション)に再編するとともに、営業本部についても4部門に再編した。今後はこれら4事業ごとに戦略策定と具体的施策を実行する方針だ。各事業の主な取扱製品についてみると、電子コンポーネント事業では電源や機構部品(コネクタ、リレー、スイッチ等)のほか、コンデンサ、センサ、LEDなど、制御デバイス事業ではサーボモータ、インバータ、プログラマブルコントローラ、パワーコンディショナなど、産業用PC事業では産業用PCのほか、ネットワーク機器やIoTゲートウェイなど周辺装置やソフトウェアを、FAソリューション事業では産業用ロボットやマウンター、搬送機器などの設備装置を主に取り扱っている。新規事業区分の構成比(2025年3月期、単体)は、電子コンポーネント事業が売上高の62%、売上総利益の58%を占め、次いで制御デバイス事業が売上高の22%、売上総利益の23%を占めるなど、両事業で全体の8割以上を占めている。
また、研究開発分野の位置付けであるソリューション開発については、イノベーション本部に組み込まれている。事業化につながる注力技術分野を特定し、最適な機器やパートナー企業の技術シーズを組み合わせたソリューションの開発を行い、それらをパッケージ化して後述する3つの成長戦略で展開し、顧客の高度なニーズに対応する。スタートアップ企業などが開発を進める先進技術を組み合わせるケースが多くなると予想され、自社の販売・マーケティング力とこれら企業の技術力を組み合わせ、Win-Winの関係を構築しながら高付加価値ビジネスを育成する考えだ。
(2) 3つの成長戦略による収益力の強化
成長戦略として、商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略を推進することで収益力の強化を図る。
a) 商品戦略
商品戦略では4つの事業区分ごとに戦略方針を策定している。電子コンポーネント事業においては、多様な顧客ニーズに応える多彩な商品を効率的に提供することを掲げており、そのために主要仕入先※との戦略的パートナーシップを構築し現場対応力を強化するほか、顧客ニーズや最新の技術トレンドを収集しながら商品ラインナップの拡充を図る。
※ 主要仕入先としてはオムロン、ミネベアミツミ<6479>、TDKラムダ(株)、ニチコン<6996>、ケル<6919>、スタンレー電気<6923>などが挙げられる。
制御デバイス事業では、顧客の装置の競争力強化に貢献する商品を提供する。このため、仕入先の戦略商品と専門知識を有した社員による営業活動を推進するほか、顧客セグメントチームとの連携で顧客ニーズを反映した商品の開発を行う。
産業用PC事業では、幅広い産業機器と連携した高度な自動化を実現する商品を提供する。このため同社の優位性が高い分野を特定し、その未開拓分野に進出するほか、付加価値の高い機能とサービスの提供による差別化、並びに製造現場の効率化につながるソリューションを提供する。
FAソリューション事業では、顧客の課題解決に向けSIerと協業し最適なソリューションを提供する。このため顧客の課題やニーズを分析し、専門性の高いSIerと最適な提案を行うほか、業界分析を踏まえて主要メーカーと販売戦略を立案し現場力を強化する。また、自社開発製品を主要SIerと連携して拡販することで付加価値向上を目指す。
b) 顧客セグメント戦略
顧客セグメント戦略は、前中期経営計画から取り組んでいる。業界に精通した人材をセグメントごとに配置することで顧客との関係強化を図り、新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕を図る。前中期経営計画では、注力する分野として半導体製造装置、ロボット、工作機械、車載、FAコンポーネント、専用機械の6セグメントを抽出したが、今回新たに医療機器と社会インフラを加えて合計8セグメントとした。医療機器と社会インフラを追加したのは、いずれも景気変動の影響を受け難い業界であり、これらを伸ばすことで収益基盤の安定性を強化することがねらいだ。
同社は8セグメントを市場の魅力度や同社の強みに応じて競争力強化セグメント、積極的投資セグメント、高効率化セグメントと3つの戦略に振り分けた。また、前中期経営計画では国内市場での取り組みであったが、今回は海外でも同様の戦略を推進し、事業規模を拡大する考えだ。競争力強化セグメントとは、市場競争が激しいなかで主に競争力を強化するために投資・施策を実施する分野である。積極的投資セグメントとは、現状の収益規模は小さいものの市場の成長期待が高く、優先的に投資を行うことで今後の成長の柱とする分野を指す。また、高効率化セグメントとは、現状収益の柱となっており、今後も事業を効率化することで持続的な資金を確保する分野である。
競争力強化セグメントには半導体製造装置、ロボット、工作機械が分類され、今後の利益目標として年率12~15%成長を目指している。利益に占める構成比では半導体製造装置が13.5%(2028年3月期目標、以下同じ)と最も高い。大手顧客に対して同社提案製品の採用が実現したほか、ウェーハ搬送装置や制御盤ユニット等の試作品の提案を進めている。
積極的投資セグメントには医療機器、社会インフラ、車載が分類され、今後の利益目標として年率12~15%成長を目指している。利益に占める構成比は車載が7.0%と最も高く、先進運転支援(ADAS)×ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)/インフラ連携に関わる分野への参入に注力しているほか、電動化テーマに対応した商品提案を進めている。医療機器分野では透析器や手術支援ロボットなど、将来性の高い分野の優良顧客に対して製品の深耕提案を継続している。
高効率化セグメントにはFAコンポーネントと専用機械が分類され、今後の利益目標として年率12%成長を目指している。利益に占める構成比ではFAコンポーネントが25.3%と最も高く、効率的な電子部品ソリューションの提供や、アプリケーションを軸とした戦略商品の創出、エネルギー・自動化・AI関連アプリケーションに特化した拡販などを進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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