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矢作建 Research Memo(1):2026年3月期は売上高・各利益とも最高業績を見込む。中期経営計画も達成へ
配信日時:2025/12/23 11:31
配信元:FISCO
*11:31JST 矢作建 Research Memo(1):2026年3月期は売上高・各利益とも最高業績を見込む。中期経営計画も達成へ
■要約
矢作建設工業<1870>は、1949年に設立された総合建設会社である。主に建築・土木・不動産事業の3つを柱とし、設計から施工まで一貫して手掛ける提案力により、高付加価値の事業を展開する。また、名古屋鉄道<9048>との資本関係を生かした鉄道関連工事にも強みを持っている。建築事業は、物流施設やマンション、オフィス、商業施設、工場など幅広い分野において、設計施工を一貫して担う。土木事業では、道路やトンネル、鉄道関連のインフラ工事に対応し、官民比率がほぼ半々である点が特徴だ。不動産事業では、産業用地開発・販売や分譲マンション事業を行う。産業用地開発については、造成(土木事業)・販売(不動産事業)から同地における物流施設や工場の建設(建築事業)へと展開するなど、事業間のシナジーを効果的に発揮できる点も強みである。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高89,665百万円(前年同期比52.6%増)、営業利益7,989百万円(同520.9%増)、経常利益7,982百万円(同502.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益5,737百万円(同492.9%増)と、大幅な増収増益となり、売上高・各利益ともに中間期として過去最高を更新した。複数の大型建築工事が最盛期を迎え売上高が拡大した。利益面では、建設事業における採算改善や不動産販売による利益の積み増しがあった。物価上昇に伴うコスト増は継続しているものの、価格転嫁の進展や不採算工事の減少により収益性が改善した。
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高168,000百万円(前期比19.4%増)、営業利益10,000百万円(同15.5%増)、経常利益9,900百万円(同14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,600百万円(同16.9%増)を予想する。建設事業において、旺盛な需要を背景とした複数の大型建築工事の施工進捗により、売上高は4期連続で過去最高を更新する見込みだ。利益面では、販管費の増加を織り込みつつも、建設事業における増収効果や採算改善が寄与し、各利益段階で過去最高を更新する見通しである。中間期までの進捗状況を踏まえると、業績が上振れする可能性もある。なお、建築事業では、急激なインフレが発生した時期に受注した低採算案件はほぼ完工済みであり、利益率が圧迫される局面を脱した。売上高総利益率は7.7%(前期比2.3ポイント上昇)を見込んでおり、利益率は底打ち反転したと判断される。
3. 中期経営計画の状況
2026年3月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画において売上高目標は130,000百万円であったが、着地見込みは168,000百万円(目標比29.2%増)と大幅に上回る見通しである。また営業利益は目標値である10,000百万円を確保する見込みである。2030年度に目指す「課題解決&価値創造型企業」に向け、2027年3月期から始まる次期中期経営計画における加速度的な成長フェーズへの移行に弾みをつけた。
4. 株主還元
同社は、株主還元に関する基本方針として、経営基盤の強化と企業価値の向上に向けて長期的な視点に立って株主資本の充実に努めるとともに、継続的かつ安定的な株主還元の実施を掲げる。配当方針については、利益変動に左右されにくい安定配当を実現するため、2026年3月期以降は「自己資本配当率(DOE)5%以上、かつ累進配当」を基本とする方針へ変更した。これに伴い、2026年3月期の年間配当は90.0円(2025年3月期は普通配当60.0円及び記念配当20.0円の合計80.0円)を予定しており、DOEは5.6%の見通しである。株主との丁寧な対話を重視し、積極的な株主還元に取り組む姿勢を示している。
■Key Points
・2026年3月期中間期は増収増益、売上・各利益とも中間期として過去最高を更新
・2026年3月期は売上高・各利益とも最高業績を見込む。中期経営計画も達成へ
・配当方針を「自己資本配当率(DOE)5%以上、かつ累進配当を採用」へ変更、2026年3月期は年間90.0円に増配予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
<HN>
矢作建設工業<1870>は、1949年に設立された総合建設会社である。主に建築・土木・不動産事業の3つを柱とし、設計から施工まで一貫して手掛ける提案力により、高付加価値の事業を展開する。また、名古屋鉄道<9048>との資本関係を生かした鉄道関連工事にも強みを持っている。建築事業は、物流施設やマンション、オフィス、商業施設、工場など幅広い分野において、設計施工を一貫して担う。土木事業では、道路やトンネル、鉄道関連のインフラ工事に対応し、官民比率がほぼ半々である点が特徴だ。不動産事業では、産業用地開発・販売や分譲マンション事業を行う。産業用地開発については、造成(土木事業)・販売(不動産事業)から同地における物流施設や工場の建設(建築事業)へと展開するなど、事業間のシナジーを効果的に発揮できる点も強みである。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高89,665百万円(前年同期比52.6%増)、営業利益7,989百万円(同520.9%増)、経常利益7,982百万円(同502.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益5,737百万円(同492.9%増)と、大幅な増収増益となり、売上高・各利益ともに中間期として過去最高を更新した。複数の大型建築工事が最盛期を迎え売上高が拡大した。利益面では、建設事業における採算改善や不動産販売による利益の積み増しがあった。物価上昇に伴うコスト増は継続しているものの、価格転嫁の進展や不採算工事の減少により収益性が改善した。
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高168,000百万円(前期比19.4%増)、営業利益10,000百万円(同15.5%増)、経常利益9,900百万円(同14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,600百万円(同16.9%増)を予想する。建設事業において、旺盛な需要を背景とした複数の大型建築工事の施工進捗により、売上高は4期連続で過去最高を更新する見込みだ。利益面では、販管費の増加を織り込みつつも、建設事業における増収効果や採算改善が寄与し、各利益段階で過去最高を更新する見通しである。中間期までの進捗状況を踏まえると、業績が上振れする可能性もある。なお、建築事業では、急激なインフレが発生した時期に受注した低採算案件はほぼ完工済みであり、利益率が圧迫される局面を脱した。売上高総利益率は7.7%(前期比2.3ポイント上昇)を見込んでおり、利益率は底打ち反転したと判断される。
3. 中期経営計画の状況
2026年3月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画において売上高目標は130,000百万円であったが、着地見込みは168,000百万円(目標比29.2%増)と大幅に上回る見通しである。また営業利益は目標値である10,000百万円を確保する見込みである。2030年度に目指す「課題解決&価値創造型企業」に向け、2027年3月期から始まる次期中期経営計画における加速度的な成長フェーズへの移行に弾みをつけた。
4. 株主還元
同社は、株主還元に関する基本方針として、経営基盤の強化と企業価値の向上に向けて長期的な視点に立って株主資本の充実に努めるとともに、継続的かつ安定的な株主還元の実施を掲げる。配当方針については、利益変動に左右されにくい安定配当を実現するため、2026年3月期以降は「自己資本配当率(DOE)5%以上、かつ累進配当」を基本とする方針へ変更した。これに伴い、2026年3月期の年間配当は90.0円(2025年3月期は普通配当60.0円及び記念配当20.0円の合計80.0円)を予定しており、DOEは5.6%の見通しである。株主との丁寧な対話を重視し、積極的な株主還元に取り組む姿勢を示している。
■Key Points
・2026年3月期中間期は増収増益、売上・各利益とも中間期として過去最高を更新
・2026年3月期は売上高・各利益とも最高業績を見込む。中期経営計画も達成へ
・配当方針を「自己資本配当率(DOE)5%以上、かつ累進配当を採用」へ変更、2026年3月期は年間90.0円に増配予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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