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オムロン:構造改革で収益性改善、ポートフォリオ再構築と注力事業への集中投資で再成長実現へ
配信日時:2025/12/22 11:27
配信元:FISCO
*11:27JST オムロン:構造改革で収益性改善、ポートフォリオ再構築と注力事業への集中投資で再成長実現へ
オムロン<6645>は、1933年に立石電機製作所として創業し、独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーション機器の製造販売を行う企業である。長期ビジョン「SF2030」では「人が活きるオートメーションで ソーシャルニーズを創造し続ける」を掲げ、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つの社会課題解決を目指している。事業は制御機器、ヘルスケア、社会システム、電子部品、データソリューションを展開しており、売上構成比は制御機器が5割弱、ヘルスケアと社会システムがそれぞれ2割弱、データソリューションが約1割である。同社は1960年頃に無接点技術を開発して以降、センシング分野で高度な技術を積み重ねてきた。収益性が高く、利益の源泉となっている。
制御機器事業では、幅広い製品ラインナップを持ち、工場の自動化ニーズに対してワンパッケージで対応できる点が強みである。社会システム事業では自動改札機を製造している。60年以上に渡り国内シェアトップを維持し、約半分のシェアを確保している。家庭用蓄電池やパワーコンディショナーは国内シェア約7割を確保しており、普及率が10%程度に留まることから拡大余地が大きいとみている。ヘルスケア事業は家庭用血圧計や体温計を製造している。電子部品事業では、主にリレー、スイッチ、コネクターなどを展開しており、エネルギー・半導体・AI関連の需要はあるものの、コモディティ化の進行を背景に競争力強化を目的とした分社化を来年度に予定している。データソリューション事業では、制御機器やヘルスケア機器から収集されたデータを活用し、付加価値の高いサービスを提供している。特に、2023年に買収したJMDCを中心に展開しており、成長が期待されている。
事業環境の変化を受け、2024年4月から2025年9月末までを構造改革期間と位置付け、「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」に取り組んできた。固定費削減に加え、顧客ニーズを捉えた顧客基盤の拡大と顧客満足度の向上を図った。
2025年3月期は、売上高801,753百万円(前期比2.1%減)、営業利益54,038百万円(同57.4%増)、当社株主に帰属する当期純利益16,271百万円(同100.7%増)であった。売上は制御機器や電子部品の需要低調、ヘルスケアにおける中国市場の減速などにより減収となった。一方、棚卸資産評価益による売上総利益率の改善と構造改革の効果による固定費削減が寄与し、増益となった。構造改革費用やのれん減損損失を計上したものの、当期純利益も大幅増益となった。
2026年3月期中間決算は、売上高393,448百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益17,719百万円(同7.8%減)、当社株主に帰属する中間純利益9,047百万円(前年同期は3,318百万円の損失)であった。売上はヘルスケアを除く全事業で増収となり、特に制御機器では需要回復に加え、半導体や二次電池業界の投資ニーズの取り込みが寄与した。一方、棚卸資産評価損や関税コストの影響による売上総利益の低下、研究開発投資の増加により、営業利益は減益となった。
2026年3月期は、売上高845,000百万円(前期比5.4%増)、営業利益60,000百万円(同11.0%増)、当社株主に帰属する当期純利益29,000百万円(同78.2%増)を予想している。各事業が堅調に推移すると見込まれ、制御機器は構造改革の成果が売上拡大を後押しする。利益面では、販管費や研究開発費が増加するものの、制御機器と電子部品を中心とした増収効果が上回る見通しである。米国関税の影響は価格転嫁などにより吸収し、通期では負担額の縮小を見込んでいる。
2031年3月期までの中期経営計画「SF 2nd Stage」では、「攻め」と「守り」の両輪による再成長を方針とする。ポートフォリオ再構築に取り組んで未来への投資余力を創出する一方、制御機器を中心とする13の注力事業への集中投資を行う。2031年3月期には売上CAGR7%成長、営業利益率12%(営業利益1,400億円水準)、ROE10~12%を目標とし、M&Aを含む成長投資により達成を目指す。累計8,000億円の事業再投資枠のうち70%を成長事業に配分し、特にデバイス事業の競争力強化を最優先して市場成長を上回る成長を計画している。これにより、2030年度以降に目指す「GEMBA DX(現場データとデバイス情報に基づく課題解決型データサービス)」実現の土台構築を目指す。
株主還元については、株主資本配当率(DOE)3%程度を基準に継続的に配当を実施する方針である。2025年3月期は年間配当金104.0円(配当性向126.2%)を実施し、2026年3月期も同額の年間104.0円を予定している。余剰資金がある場合には自己株式取得も機動的に実行する方針であるが、当面は成長投資を優先する考えである。
<NH>
制御機器事業では、幅広い製品ラインナップを持ち、工場の自動化ニーズに対してワンパッケージで対応できる点が強みである。社会システム事業では自動改札機を製造している。60年以上に渡り国内シェアトップを維持し、約半分のシェアを確保している。家庭用蓄電池やパワーコンディショナーは国内シェア約7割を確保しており、普及率が10%程度に留まることから拡大余地が大きいとみている。ヘルスケア事業は家庭用血圧計や体温計を製造している。電子部品事業では、主にリレー、スイッチ、コネクターなどを展開しており、エネルギー・半導体・AI関連の需要はあるものの、コモディティ化の進行を背景に競争力強化を目的とした分社化を来年度に予定している。データソリューション事業では、制御機器やヘルスケア機器から収集されたデータを活用し、付加価値の高いサービスを提供している。特に、2023年に買収したJMDCを中心に展開しており、成長が期待されている。
事業環境の変化を受け、2024年4月から2025年9月末までを構造改革期間と位置付け、「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」に取り組んできた。固定費削減に加え、顧客ニーズを捉えた顧客基盤の拡大と顧客満足度の向上を図った。
2025年3月期は、売上高801,753百万円(前期比2.1%減)、営業利益54,038百万円(同57.4%増)、当社株主に帰属する当期純利益16,271百万円(同100.7%増)であった。売上は制御機器や電子部品の需要低調、ヘルスケアにおける中国市場の減速などにより減収となった。一方、棚卸資産評価益による売上総利益率の改善と構造改革の効果による固定費削減が寄与し、増益となった。構造改革費用やのれん減損損失を計上したものの、当期純利益も大幅増益となった。
2026年3月期中間決算は、売上高393,448百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益17,719百万円(同7.8%減)、当社株主に帰属する中間純利益9,047百万円(前年同期は3,318百万円の損失)であった。売上はヘルスケアを除く全事業で増収となり、特に制御機器では需要回復に加え、半導体や二次電池業界の投資ニーズの取り込みが寄与した。一方、棚卸資産評価損や関税コストの影響による売上総利益の低下、研究開発投資の増加により、営業利益は減益となった。
2026年3月期は、売上高845,000百万円(前期比5.4%増)、営業利益60,000百万円(同11.0%増)、当社株主に帰属する当期純利益29,000百万円(同78.2%増)を予想している。各事業が堅調に推移すると見込まれ、制御機器は構造改革の成果が売上拡大を後押しする。利益面では、販管費や研究開発費が増加するものの、制御機器と電子部品を中心とした増収効果が上回る見通しである。米国関税の影響は価格転嫁などにより吸収し、通期では負担額の縮小を見込んでいる。
2031年3月期までの中期経営計画「SF 2nd Stage」では、「攻め」と「守り」の両輪による再成長を方針とする。ポートフォリオ再構築に取り組んで未来への投資余力を創出する一方、制御機器を中心とする13の注力事業への集中投資を行う。2031年3月期には売上CAGR7%成長、営業利益率12%(営業利益1,400億円水準)、ROE10~12%を目標とし、M&Aを含む成長投資により達成を目指す。累計8,000億円の事業再投資枠のうち70%を成長事業に配分し、特にデバイス事業の競争力強化を最優先して市場成長を上回る成長を計画している。これにより、2030年度以降に目指す「GEMBA DX(現場データとデバイス情報に基づく課題解決型データサービス)」実現の土台構築を目指す。
株主還元については、株主資本配当率(DOE)3%程度を基準に継続的に配当を実施する方針である。2025年3月期は年間配当金104.0円(配当性向126.2%)を実施し、2026年3月期も同額の年間104.0円を予定している。余剰資金がある場合には自己株式取得も機動的に実行する方針であるが、当面は成長投資を優先する考えである。
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