注目トピックス 日本株
kubell Research Memo(5):サービス強化に向けた各種施策が進捗。EBITDAは力強く成長
配信日時:2025/12/18 13:25
配信元:FISCO
*13:25JST kubell Research Memo(5):サービス強化に向けた各種施策が進捗。EBITDAは力強く成長
■kubell<4448>の業績動向
1. 2025年12月期第3四半期の業績概要
2025年12月期第3四半期の連結業績は、売上高6,948百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益274百万円(同48.6%増)、経常利益251百万円(同48.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益45百万円(同66.6%減)となった。EBITDAは931百万円(同52.3%増)と大幅な増益を達成しており、事業全体の売上総利益の改善と運営効率向上が利益成長をけん引した。EBITDAマージンは13.4%と、中期経営計画に掲げる2026年目標レンジ10%~15%を前倒しで達成しており、想定を上回る速度で収益構造が改善している。
Chatworkを中心としたユーザー基盤拡大及びサービス強化のための複数施策が順調に進行している。クロスセル基盤整備、外部サービス連携、登録完了率向上策などの具体的な成果は中長期的な成長シナリオにつながる材料だ。さらに、2025年8月よりBPaaSドメインにおける新サービス「タクシタ採用」の提供を開始した。中小企業の採用課題に対応するRPO(採用代行)サービスとしてラインアップを広げていることも事業ポートフォリオ拡張という観点でポジティブである。
売上高については、前回業績予想(2025年8月8日公表値)の9,571百万円~9,826百万円というレンジに対して70.7%~72.6%の進捗率であり、労務管理BPaaSの受注遅延が影響して計画を下回るペースとなっている。売上総利益は売上高の成長に伴い前年同期比11.6%増の4,757百万円となり着実な増加を示した。戦略的なプロダクト開発が進む中でソフトウェア資産計上額が増加したことにより、売上総利益率も68.5%と中間期から1.7ポイント改善した。
広告宣伝費や業務委託費については効率化が進み、売上に対する割合は低水準を維持している。同社では2024年12月期以降、利益体質強化に取り組んできたが、成長投資は大きく削減していない。特にマーケティング費用については、ユニットエコノミクスが合わない投資を削りつつ、効果的なチャネル開拓を見極めて進めてきた。また、グループ全体の従業員数は2025年12月期第2四半期から35名増加し、特に成長ドライバーとなるBPaaS事業に関連したオペレーター増員が中心となった。これにより人件費は増加傾向にあるが、オペレーターの増員は事業基盤の拡大に不可欠な投資であり、今後も同様のペースで推移する見通しである。また、これまで同社は業務効率化を優先し、BPaaSオペレーター以外の採用は抑制してきたが、最適化が進んだことから、今後はエンジニアを中心に拡大する方針である。
2. ドメイン別の売上高推移
SaaSドメイン全体の売上高は6,174百万円(前年同期比7.5%増)と、セキュリティ事業廃止の影響はあるが安定した成長を維持している。SaaSドメイン全体のうち、ストック売上高についても5,830百万円(同9.1%増)と堅調に推移している。
また、BPaaSドメイン全体の売上高は773百万円(前年同期比74.8%増)と高い成長率を示し、全社売上成長の主力ドライバーとなっている。売上高の96%を占めるストック売上は744百万円(同75.9%増)と高い成長を維持しており、収益の安定性が高まっている点は長期的に見てポジティブである。
SaaS及びBPaaSの各ドメインにおける売上高推移を見ても、ストック収益は安定して成長しており、収益の基盤としての役割を果たしていることが窺える。特にBPaaSドメインについては前年同期比で75.9%の伸びを見せており、高成長領域としてのポテンシャルが明確に現れていると弊社では見ている。
3. 主要KPIハイライト
全社ベースのARR(年間経常収益)は91.2億円(前年同期比11.5%増)に達しており、収益基盤が安定して拡大を続けている。特に後述するBPaaSドメインのARRが前年同期比60.1%増と顕著な伸びを示し、全社ARR成長を強力に牽引している。また、導入社数は95.4万社(同11.2%増)に上っており、順調にプラットフォームとしての規模を拡大している。なお、導入社数は、ビジネスチャットサービス「Chatwork」の契約企業とBPaaSやその他のサービスを利用している企業の合計である。
SaaSドメインに関しては、ARRが79.3億円(前年同期比6.6%増)で、登録ID数は792.7万ID(同9.8%増)となっている。DAU(Daily Active User:1日当たりのサービス利用者数)も123.5万(同6.2%増)と、機能改善やコミュニケーション強化によるアクティブ率向上施策が奏功している。第3四半期では、「パスワードレス機能」や「初期登録情報の最小化」といった、ユーザー間のネットワーク効果を最大化する施策を推進しており、引き続きユーザー基盤及びエンゲージメントの向上を図る。
さらに、課金ID数は83.4万ID(同8.6%増)に拡大しており、過去2期の第3四半期までの期間と比較して成長率が加速している。1課金ID当たりの平均単価であるARPUは725.3円(同1.4%減)と微減したが、2025年3月期中間期比では0.5%増と底打ち感が見られ、単価の回復兆しが出ている。これは主に値引き契約のマネジメント強化が奏功したためである。一方、エンタープライズプランの強化は今後の課題で、プラン内容の見直しも含めて継続的に改善を進める方針である。課金ID解約率は0.86%(同0.18ポイント減)と過去最低水準まで低下しており、引き続き下降トレンドが続く見通しである。
プロダクト価値の向上施策として、足元ではエンタープライズプランのサービス強化を検討している。SaaS市場ではサービス拡充とそれに伴う値上げが常道であるが、同社サービスは競合と比較しても安価であり値上げ余地は十分にある。加えて、「タクシタ」などのサービスの利用が進むことでプロダクトへの依存度も高まり、値上げもより一層受け入れられやすくなるのではないかと弊社では見ている。
一方で、BPaaSドメインにおいては、ARRが11.9億円(前年同期比60.1%増)と急成長を記録しており、新たな事業領域としての可能性が強く示唆されている。売上高も309百万円(同60.7%増)と顕著な伸びを示しており、今後の成長に向けた基盤構築が着実に進んでいることがわかる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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1. 2025年12月期第3四半期の業績概要
2025年12月期第3四半期の連結業績は、売上高6,948百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益274百万円(同48.6%増)、経常利益251百万円(同48.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益45百万円(同66.6%減)となった。EBITDAは931百万円(同52.3%増)と大幅な増益を達成しており、事業全体の売上総利益の改善と運営効率向上が利益成長をけん引した。EBITDAマージンは13.4%と、中期経営計画に掲げる2026年目標レンジ10%~15%を前倒しで達成しており、想定を上回る速度で収益構造が改善している。
Chatworkを中心としたユーザー基盤拡大及びサービス強化のための複数施策が順調に進行している。クロスセル基盤整備、外部サービス連携、登録完了率向上策などの具体的な成果は中長期的な成長シナリオにつながる材料だ。さらに、2025年8月よりBPaaSドメインにおける新サービス「タクシタ採用」の提供を開始した。中小企業の採用課題に対応するRPO(採用代行)サービスとしてラインアップを広げていることも事業ポートフォリオ拡張という観点でポジティブである。
売上高については、前回業績予想(2025年8月8日公表値)の9,571百万円~9,826百万円というレンジに対して70.7%~72.6%の進捗率であり、労務管理BPaaSの受注遅延が影響して計画を下回るペースとなっている。売上総利益は売上高の成長に伴い前年同期比11.6%増の4,757百万円となり着実な増加を示した。戦略的なプロダクト開発が進む中でソフトウェア資産計上額が増加したことにより、売上総利益率も68.5%と中間期から1.7ポイント改善した。
広告宣伝費や業務委託費については効率化が進み、売上に対する割合は低水準を維持している。同社では2024年12月期以降、利益体質強化に取り組んできたが、成長投資は大きく削減していない。特にマーケティング費用については、ユニットエコノミクスが合わない投資を削りつつ、効果的なチャネル開拓を見極めて進めてきた。また、グループ全体の従業員数は2025年12月期第2四半期から35名増加し、特に成長ドライバーとなるBPaaS事業に関連したオペレーター増員が中心となった。これにより人件費は増加傾向にあるが、オペレーターの増員は事業基盤の拡大に不可欠な投資であり、今後も同様のペースで推移する見通しである。また、これまで同社は業務効率化を優先し、BPaaSオペレーター以外の採用は抑制してきたが、最適化が進んだことから、今後はエンジニアを中心に拡大する方針である。
2. ドメイン別の売上高推移
SaaSドメイン全体の売上高は6,174百万円(前年同期比7.5%増)と、セキュリティ事業廃止の影響はあるが安定した成長を維持している。SaaSドメイン全体のうち、ストック売上高についても5,830百万円(同9.1%増)と堅調に推移している。
また、BPaaSドメイン全体の売上高は773百万円(前年同期比74.8%増)と高い成長率を示し、全社売上成長の主力ドライバーとなっている。売上高の96%を占めるストック売上は744百万円(同75.9%増)と高い成長を維持しており、収益の安定性が高まっている点は長期的に見てポジティブである。
SaaS及びBPaaSの各ドメインにおける売上高推移を見ても、ストック収益は安定して成長しており、収益の基盤としての役割を果たしていることが窺える。特にBPaaSドメインについては前年同期比で75.9%の伸びを見せており、高成長領域としてのポテンシャルが明確に現れていると弊社では見ている。
3. 主要KPIハイライト
全社ベースのARR(年間経常収益)は91.2億円(前年同期比11.5%増)に達しており、収益基盤が安定して拡大を続けている。特に後述するBPaaSドメインのARRが前年同期比60.1%増と顕著な伸びを示し、全社ARR成長を強力に牽引している。また、導入社数は95.4万社(同11.2%増)に上っており、順調にプラットフォームとしての規模を拡大している。なお、導入社数は、ビジネスチャットサービス「Chatwork」の契約企業とBPaaSやその他のサービスを利用している企業の合計である。
SaaSドメインに関しては、ARRが79.3億円(前年同期比6.6%増)で、登録ID数は792.7万ID(同9.8%増)となっている。DAU(Daily Active User:1日当たりのサービス利用者数)も123.5万(同6.2%増)と、機能改善やコミュニケーション強化によるアクティブ率向上施策が奏功している。第3四半期では、「パスワードレス機能」や「初期登録情報の最小化」といった、ユーザー間のネットワーク効果を最大化する施策を推進しており、引き続きユーザー基盤及びエンゲージメントの向上を図る。
さらに、課金ID数は83.4万ID(同8.6%増)に拡大しており、過去2期の第3四半期までの期間と比較して成長率が加速している。1課金ID当たりの平均単価であるARPUは725.3円(同1.4%減)と微減したが、2025年3月期中間期比では0.5%増と底打ち感が見られ、単価の回復兆しが出ている。これは主に値引き契約のマネジメント強化が奏功したためである。一方、エンタープライズプランの強化は今後の課題で、プラン内容の見直しも含めて継続的に改善を進める方針である。課金ID解約率は0.86%(同0.18ポイント減)と過去最低水準まで低下しており、引き続き下降トレンドが続く見通しである。
プロダクト価値の向上施策として、足元ではエンタープライズプランのサービス強化を検討している。SaaS市場ではサービス拡充とそれに伴う値上げが常道であるが、同社サービスは競合と比較しても安価であり値上げ余地は十分にある。加えて、「タクシタ」などのサービスの利用が進むことでプロダクトへの依存度も高まり、値上げもより一層受け入れられやすくなるのではないかと弊社では見ている。
一方で、BPaaSドメインにおいては、ARRが11.9億円(前年同期比60.1%増)と急成長を記録しており、新たな事業領域としての可能性が強く示唆されている。売上高も309百万円(同60.7%増)と顕著な伸びを示しており、今後の成長に向けた基盤構築が着実に進んでいることがわかる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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