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kubell Research Memo(4):ビジネスチャット「Chatwork」を基盤に「働く」を変える(2)
配信日時:2025/12/18 13:24
配信元:FISCO
*13:24JST kubell Research Memo(4):ビジネスチャット「Chatwork」を基盤に「働く」を変える(2)
■事業概要
4. 同社の強み
kubell<4448>は、国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中核とし、日本の中小企業を主要ターゲットとする独自のビジネスモデルを構築している。その強みは、少子高齢化に伴う労働力不足や中小企業の生産性の低さといった日本特有の構造的課題に対し、導入・活用が容易なソリューションを提供できている点にある。特にITリテラシーが高くない企業層でも使いやすいプロダクトを展開していることは、社会的機能を果たす企業として高く評価できる。
「Chatwork」は、中小企業を中心とする幅広い顧客基盤に支えられ、高い市場シェアを確立している。フリーミアムモデルにより導入ハードルを下げ、シンプルなUIや社外との連携の容易さが口コミによる自然な導入拡大につながり、強いネットワーク効果を形成している。中小企業に軸足を置く戦略が競合との差別化となっている。
日本の中小企業は1社当たりの規模が小さく、従業員数が5~30人未満の企業が大半を占める。個別営業の効率が上がりにくい市場構造のため、多くのSaaSベンダーはエンタープライズ向けに注力せざるを得ず、中小企業向けには高価格・高機能で不適合なプロダクトが多い。またITリテラシーの低さからSaaSやAIの導入が進まず、市場は大きいにもかかわらず参入が難しい領域、いわゆる「ブラックオーシャン」とされている。
この市場において同社は、Chatworkのネットワーク効果、BPaaSによる業務プロセスの代行、そして中小企業に特化したビジネスモデルで競合優位性を築いている。特にネットワーク効果は導入の連鎖を生み、マーケティングコストを抑えながら成長する基盤となっている。
BPaaSは、業務プロセスそのものをクラウド上で代行し、効率化する仕組みを提供する点が特徴である。IT活用の初期段階でつまずきやすい企業に対し、業務そのものを含めてDXを支援するというアプローチは、従来のSaaSプレイヤーが持ち得なかった価値提供の形である。加えてChatworkユーザー基盤に自然にBPaaSをクロスセルできるため、ブランド基盤を生かしてLTV(ライフタイムバリュー)向上につなげられる構造が定着してきた。
同社のビジネスモデルは採算性と成長性の両立を可能とするものであり、特にブラックオーシャン市場で確立している独自ポジションは大きな強みである。またChatworkは社外との連携が容易であるという特性を有しており、大企業が内部ではTeams、外部とのコミュニケーションはChatworkと使い分けるケースも見られる。中小企業向け中心でありながら、大企業ニーズにも一定程度応えられる汎用性を持つことを示している。
さらにAI技術の進展により提供価値は拡張しつつある。大規模言語モデル(LLM)を活用した文章生成や要約、タスク自動化などが検討されており、これらが実装されれば中小企業の業務効率は大幅に向上する。BPaaS領域でもAIによる業務代替が進む可能性が高く、同社のターゲット市場における存在感は一段と強まると見込まれる。
42.4兆円規模とされるBPaaS市場を踏まえると、中小企業に特化した同社のアプローチは今後の市場成長に大きく寄与する余地がある。Chatworkが持つ顧客接点の広さはPLG(Product-Led Growth)モデルとの親和性も高く、ユーザー利用データを生かした営業・マーケティング高度化により、持続的な売上成長が期待される。
競合としてはMicrosoft TeamsやSlackといったグローバルプレイヤーが存在するが、いずれも主戦場はエンタープライズ領域であり、中小企業特化型の戦略を実行しているプレイヤーは限られる。BPaaS領域でも大企業向けBPOは多いものの、中小企業向けに業務代行と適切なSaaS提供を組み合わせたモデルを展開する同社は希少であり、この領域での優位性は大きい。今後も中小企業市場での地位を固めつつ、技術進展を取り込み成長機会を確実に捉えることが、さらなる飛躍のカギになると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<MY>
4. 同社の強み
kubell<4448>は、国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中核とし、日本の中小企業を主要ターゲットとする独自のビジネスモデルを構築している。その強みは、少子高齢化に伴う労働力不足や中小企業の生産性の低さといった日本特有の構造的課題に対し、導入・活用が容易なソリューションを提供できている点にある。特にITリテラシーが高くない企業層でも使いやすいプロダクトを展開していることは、社会的機能を果たす企業として高く評価できる。
「Chatwork」は、中小企業を中心とする幅広い顧客基盤に支えられ、高い市場シェアを確立している。フリーミアムモデルにより導入ハードルを下げ、シンプルなUIや社外との連携の容易さが口コミによる自然な導入拡大につながり、強いネットワーク効果を形成している。中小企業に軸足を置く戦略が競合との差別化となっている。
日本の中小企業は1社当たりの規模が小さく、従業員数が5~30人未満の企業が大半を占める。個別営業の効率が上がりにくい市場構造のため、多くのSaaSベンダーはエンタープライズ向けに注力せざるを得ず、中小企業向けには高価格・高機能で不適合なプロダクトが多い。またITリテラシーの低さからSaaSやAIの導入が進まず、市場は大きいにもかかわらず参入が難しい領域、いわゆる「ブラックオーシャン」とされている。
この市場において同社は、Chatworkのネットワーク効果、BPaaSによる業務プロセスの代行、そして中小企業に特化したビジネスモデルで競合優位性を築いている。特にネットワーク効果は導入の連鎖を生み、マーケティングコストを抑えながら成長する基盤となっている。
BPaaSは、業務プロセスそのものをクラウド上で代行し、効率化する仕組みを提供する点が特徴である。IT活用の初期段階でつまずきやすい企業に対し、業務そのものを含めてDXを支援するというアプローチは、従来のSaaSプレイヤーが持ち得なかった価値提供の形である。加えてChatworkユーザー基盤に自然にBPaaSをクロスセルできるため、ブランド基盤を生かしてLTV(ライフタイムバリュー)向上につなげられる構造が定着してきた。
同社のビジネスモデルは採算性と成長性の両立を可能とするものであり、特にブラックオーシャン市場で確立している独自ポジションは大きな強みである。またChatworkは社外との連携が容易であるという特性を有しており、大企業が内部ではTeams、外部とのコミュニケーションはChatworkと使い分けるケースも見られる。中小企業向け中心でありながら、大企業ニーズにも一定程度応えられる汎用性を持つことを示している。
さらにAI技術の進展により提供価値は拡張しつつある。大規模言語モデル(LLM)を活用した文章生成や要約、タスク自動化などが検討されており、これらが実装されれば中小企業の業務効率は大幅に向上する。BPaaS領域でもAIによる業務代替が進む可能性が高く、同社のターゲット市場における存在感は一段と強まると見込まれる。
42.4兆円規模とされるBPaaS市場を踏まえると、中小企業に特化した同社のアプローチは今後の市場成長に大きく寄与する余地がある。Chatworkが持つ顧客接点の広さはPLG(Product-Led Growth)モデルとの親和性も高く、ユーザー利用データを生かした営業・マーケティング高度化により、持続的な売上成長が期待される。
競合としてはMicrosoft TeamsやSlackといったグローバルプレイヤーが存在するが、いずれも主戦場はエンタープライズ領域であり、中小企業特化型の戦略を実行しているプレイヤーは限られる。BPaaS領域でも大企業向けBPOは多いものの、中小企業向けに業務代行と適切なSaaS提供を組み合わせたモデルを展開する同社は希少であり、この領域での優位性は大きい。今後も中小企業市場での地位を固めつつ、技術進展を取り込み成長機会を確実に捉えることが、さらなる飛躍のカギになると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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