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SIGG Research Memo(5):ITトータルソリューションカンパニーを目指す
配信日時:2025/12/18 13:05
配信元:FISCO
*13:05JST SIGG Research Memo(5):ITトータルソリューションカンパニーを目指す
■成長戦略
1. DXを支援するITトータルソリューションカンパニーを目指す
SIGグループ<4386>は長期ビジョンの「ありたい姿」として、企業のDXを支援し、「企業の外部CIOとして成長に貢献」するITトータルソリューションカンパニーを掲げている。売上拡大に向けてM&Aを積極活用し、実績のある既存事業の得意領域(公共分野、製造分野、社会インフラ分野など)と、新規事業の注力分野(スマートデバイス、クラウド・セキュリティなど)を融合させ、DXソリューションを提案できる体制の構築を推進する。注力分野のクラウド・セキュリティ領域では、特に需要拡大が予想される中小企業向けに説得力のあるサービス設計を構築し、特徴のあるセキュリティソリューションの提供を目指す。
成長戦略第2フェーズは利益重視でグループシナジー向上を推進
2. 長期ビジョン第2フェーズ
同社は長期ビジョン達成に向けたロードマップとして、2024年3月期までを「独自のグループ体制」を構築する第1フェーズ、2027年3月期までを「グループシナジーの創出による企業価値の向上」を図る第2フェーズ、2030年3月期までを「企業の外部CIOとしての機能進化」を目指す第3フェーズと位置付けている。
第1フェーズはDX需要が拡大したことに加え、既存事業の成長とM&Aの効果で売上高が目標を達成したが、利益面は目標未達となった。この点について同社では、コロナ禍への対応やM&Aに伴って販管費が想定以上に増加したことに加え、生産性の向上、受注単価の改善、サービスの高付加価値化、グループシナジー創出などへの取り組みが遅れ、課題として残ったと分析している。このため第2フェーズと第3フェーズについては売上高の目標値を下方修正して営業利益重視の方針に変更した。
2030年3月期までの長期ビジョンの基本方針に変更はなく、新事業領域・新技術の取り込みを実現するM&Aも引き続き積極推進する。ただし従来計画に比べて売上規模拡大ペースを落とし、グループシナジー創出(事業領域が近いことを活用した営業情報の共有、新しい技術やツールのノウハウ共有、グループで連携した採用強化など)や、サステナビリティ経営実践により企業価値最大化を目指す。
そして、第2フェーズの新たな目標値には最終年度2027年3月期の売上高12,000百万円(既存子会社で9,000百万円、新規M&Aで3,000百万円)、営業利益720百万円、営業利益率6.0%、DOE6.0%を、第3フェーズの新たな目標値には最終年度2030年3月期の売上高20,000百万円(既存子会社で12,000百万円、新規M&Aで8,000百万円)、営業利益1,400百万円を掲げている。第2フェーズでは「規模から質のグループ企業体制の構築」を目指し、グループ各社の最適化とともに組織の課題を成長軸に移す。また、企業のDX課題解決を多角的に支援する独自ソリューションの提供やグループシナジーの強化によって収益性を確保するとともに、企業価値向上を目指す。第3フェーズでは「企業の外部CIOとしての機能進化」を目指し、外部CIOとしての多様な業態への対応や拠点展開に取り組む。
なお同社は2025年3月に、セキュリティ企業に投資を行う国内初のファンド「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」(2024年4月1日設立)(以下、NCSF)へ出資した。Limited Partnerとして参画し、投資先への経営・技術支援を行うとともに、ファンドへ出資する企業や投資先との交流を経て同社の強み・得意分野を生かせる事業提携やM&Aも模索する。そして同年9月にNCSFの第一号投資先がLRM(株)、同年10月にNCSFの第二号投資先が(株)コンステラセキュリティジャパンに決定した。LRMは従業員のセキュリティリテラシーを高める国産クラウドサービス「セキュリオ」を提供し、これまで累計2,200社の導入実績がある。コンステラセキュリティジャパンは、防衛庁や警察庁など官公庁のサイバーセキュリティ対策において、SNS上の不正行動解析やディスインフォーメーション対策(例えば国政選挙におけるデジタル空間での議論の進展や国際事案発生時のSNS上におけるナラティブなど)として「認知戦」に関する技術に強みを持っている。
また同年4月にはSIGが、IT技術を基盤とした新規事業領域の創出と既存領域の強化を目的とした全社横断型の体制を築くため、従来のCSソリューションセンターを発展させてITACを立ち上げた。ITACでは知識やノウハウの共有と蓄積を目的とした環境を構築し、社内技術フォーラムの開催などを行う。また仮想オフィスを構築するとともに、個人が所属する拠点や組織にとらわれずに新技術分野に挑戦できるプロジェクト体制(NEXUSチーム)を構築し、個人間・拠点間の連携を強化する。2026年3月期は複数のテーマを設定し、各NEXUS※チームで知見を高め、さらに所属する部門へ持ち帰ることで組織全体の価値を高めることを推進する。技術力向上に向けた取り組み事例としては、セキュリティ技術の向上を目指す社内クイズコンテストとして、セキュリティの攻撃・防御両方の立場から暗号、ネットワーク、プログラミングなど様々な技術を使って知識を競うCTF(Capture The Flag)を開催している。
※ NEXUSの意味は「結びつき」「きずな」「交差点」など。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けては、収益性の向上(KPIを売上高から営業利益へ変更し、収益性を重視した経営へ)、株主還元の強化(安定した株主還元の継続に加え、配当方針をDOE6%目安に変更)、サステナビリティ経営の推進(ガバナンス強化、働き方改革、人材育成に注力)、成長投資(M&Aによる人材確保、資格手当や研修制度の拡充など人材育成のための投資に注力)に取り組む方針である。なお2025年6月には、SIGグループ従業員持株会を通じてグループ従業員に譲渡制限付株式を付与するインセンティブ制度の導入を決議した。
株主還元はDOE6%目安、株主優待制度を新設
3. 株主還元策
株主への利益還元については2024年5月13日付で配当方針の変更を発表し、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保資金を確保したうえで、DOE6%を目安(2025年3月期より適用・実施)に、安定した配当を継続して実施することを基本方針としている。この基本方針に基づいて2026年3月期の配当予想は前期比4.0円増配の29.0円(中間14.0円、期末15.0円)としている。3期連続増配で予想配当性向は35.7%となる。
また2025年11月13日に株主優待制度の新設を発表した。毎年3月末日において1年以上継続保有している株主を対象に、保有株式数に応じてQUOカード(保有株式数3単元以上~5単元未満は3,000円分、5単元以上~10単元未満は5,000分、10単元以上は10,000円分)を贈呈する。なお初回基準日(2026年3月末日)については、継続保有期間に関わらず300株(3単元)以上保有株主を対象に贈呈する。次回基準日(2027年3月末日)以降は1年以上の継続保有が条件となる。業績の拡大に伴ってさらなる株主還元の強化が期待できるだろうと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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1. DXを支援するITトータルソリューションカンパニーを目指す
SIGグループ<4386>は長期ビジョンの「ありたい姿」として、企業のDXを支援し、「企業の外部CIOとして成長に貢献」するITトータルソリューションカンパニーを掲げている。売上拡大に向けてM&Aを積極活用し、実績のある既存事業の得意領域(公共分野、製造分野、社会インフラ分野など)と、新規事業の注力分野(スマートデバイス、クラウド・セキュリティなど)を融合させ、DXソリューションを提案できる体制の構築を推進する。注力分野のクラウド・セキュリティ領域では、特に需要拡大が予想される中小企業向けに説得力のあるサービス設計を構築し、特徴のあるセキュリティソリューションの提供を目指す。
成長戦略第2フェーズは利益重視でグループシナジー向上を推進
2. 長期ビジョン第2フェーズ
同社は長期ビジョン達成に向けたロードマップとして、2024年3月期までを「独自のグループ体制」を構築する第1フェーズ、2027年3月期までを「グループシナジーの創出による企業価値の向上」を図る第2フェーズ、2030年3月期までを「企業の外部CIOとしての機能進化」を目指す第3フェーズと位置付けている。
第1フェーズはDX需要が拡大したことに加え、既存事業の成長とM&Aの効果で売上高が目標を達成したが、利益面は目標未達となった。この点について同社では、コロナ禍への対応やM&Aに伴って販管費が想定以上に増加したことに加え、生産性の向上、受注単価の改善、サービスの高付加価値化、グループシナジー創出などへの取り組みが遅れ、課題として残ったと分析している。このため第2フェーズと第3フェーズについては売上高の目標値を下方修正して営業利益重視の方針に変更した。
2030年3月期までの長期ビジョンの基本方針に変更はなく、新事業領域・新技術の取り込みを実現するM&Aも引き続き積極推進する。ただし従来計画に比べて売上規模拡大ペースを落とし、グループシナジー創出(事業領域が近いことを活用した営業情報の共有、新しい技術やツールのノウハウ共有、グループで連携した採用強化など)や、サステナビリティ経営実践により企業価値最大化を目指す。
そして、第2フェーズの新たな目標値には最終年度2027年3月期の売上高12,000百万円(既存子会社で9,000百万円、新規M&Aで3,000百万円)、営業利益720百万円、営業利益率6.0%、DOE6.0%を、第3フェーズの新たな目標値には最終年度2030年3月期の売上高20,000百万円(既存子会社で12,000百万円、新規M&Aで8,000百万円)、営業利益1,400百万円を掲げている。第2フェーズでは「規模から質のグループ企業体制の構築」を目指し、グループ各社の最適化とともに組織の課題を成長軸に移す。また、企業のDX課題解決を多角的に支援する独自ソリューションの提供やグループシナジーの強化によって収益性を確保するとともに、企業価値向上を目指す。第3フェーズでは「企業の外部CIOとしての機能進化」を目指し、外部CIOとしての多様な業態への対応や拠点展開に取り組む。
なお同社は2025年3月に、セキュリティ企業に投資を行う国内初のファンド「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」(2024年4月1日設立)(以下、NCSF)へ出資した。Limited Partnerとして参画し、投資先への経営・技術支援を行うとともに、ファンドへ出資する企業や投資先との交流を経て同社の強み・得意分野を生かせる事業提携やM&Aも模索する。そして同年9月にNCSFの第一号投資先がLRM(株)、同年10月にNCSFの第二号投資先が(株)コンステラセキュリティジャパンに決定した。LRMは従業員のセキュリティリテラシーを高める国産クラウドサービス「セキュリオ」を提供し、これまで累計2,200社の導入実績がある。コンステラセキュリティジャパンは、防衛庁や警察庁など官公庁のサイバーセキュリティ対策において、SNS上の不正行動解析やディスインフォーメーション対策(例えば国政選挙におけるデジタル空間での議論の進展や国際事案発生時のSNS上におけるナラティブなど)として「認知戦」に関する技術に強みを持っている。
また同年4月にはSIGが、IT技術を基盤とした新規事業領域の創出と既存領域の強化を目的とした全社横断型の体制を築くため、従来のCSソリューションセンターを発展させてITACを立ち上げた。ITACでは知識やノウハウの共有と蓄積を目的とした環境を構築し、社内技術フォーラムの開催などを行う。また仮想オフィスを構築するとともに、個人が所属する拠点や組織にとらわれずに新技術分野に挑戦できるプロジェクト体制(NEXUSチーム)を構築し、個人間・拠点間の連携を強化する。2026年3月期は複数のテーマを設定し、各NEXUS※チームで知見を高め、さらに所属する部門へ持ち帰ることで組織全体の価値を高めることを推進する。技術力向上に向けた取り組み事例としては、セキュリティ技術の向上を目指す社内クイズコンテストとして、セキュリティの攻撃・防御両方の立場から暗号、ネットワーク、プログラミングなど様々な技術を使って知識を競うCTF(Capture The Flag)を開催している。
※ NEXUSの意味は「結びつき」「きずな」「交差点」など。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けては、収益性の向上(KPIを売上高から営業利益へ変更し、収益性を重視した経営へ)、株主還元の強化(安定した株主還元の継続に加え、配当方針をDOE6%目安に変更)、サステナビリティ経営の推進(ガバナンス強化、働き方改革、人材育成に注力)、成長投資(M&Aによる人材確保、資格手当や研修制度の拡充など人材育成のための投資に注力)に取り組む方針である。なお2025年6月には、SIGグループ従業員持株会を通じてグループ従業員に譲渡制限付株式を付与するインセンティブ制度の導入を決議した。
株主還元はDOE6%目安、株主優待制度を新設
3. 株主還元策
株主への利益還元については2024年5月13日付で配当方針の変更を発表し、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保資金を確保したうえで、DOE6%を目安(2025年3月期より適用・実施)に、安定した配当を継続して実施することを基本方針としている。この基本方針に基づいて2026年3月期の配当予想は前期比4.0円増配の29.0円(中間14.0円、期末15.0円)としている。3期連続増配で予想配当性向は35.7%となる。
また2025年11月13日に株主優待制度の新設を発表した。毎年3月末日において1年以上継続保有している株主を対象に、保有株式数に応じてQUOカード(保有株式数3単元以上~5単元未満は3,000円分、5単元以上~10単元未満は5,000分、10単元以上は10,000円分)を贈呈する。なお初回基準日(2026年3月末日)については、継続保有期間に関わらず300株(3単元)以上保有株主を対象に贈呈する。次回基準日(2027年3月末日)以降は1年以上の継続保有が条件となる。業績の拡大に伴ってさらなる株主還元の強化が期待できるだろうと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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