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三栄コーポ Research Memo(2):「くらしに、良いものを。」をコンセプトに世界で製造・販売
配信日時:2025/12/11 11:02
配信元:FISCO
*11:02JST 三栄コーポ Research Memo(2):「くらしに、良いものを。」をコンセプトに世界で製造・販売
■会社概要
1. 会社概要と沿革
三栄コーポレーション<8119>は、戦後間もない1946年に装飾品の輸出業務を目的に大阪市で創業し、79年の歴史を持つ。現在では生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売りまでのサプライチェーンを幅広く手掛けている。海外は17ヶ所の拠点、国内直営店舗は11店舗(2026年3月期中間期末)を持つ、多機能商社に成長した。欧州の差別化されたブランドの日本への導入や、良品計画に代表されるこだわりある商品のOEM供給など、「健康と環境」をテーマとする付加価値の高い生活用品を取り扱う点で個性が明確である。「くらしに、良いものを。」をコンセプトに国内外でモノづくりに携わり、日本市場のみならず海外市場にも販売展開するグローバルな企業である。2022年1月より代表取締役社長に水越雅己(みずこしまさき)氏が昇格し、新しい経営体制に移行した。水越氏は住友商事<8053>出身であり、卸売・小売・eコマース・通販等の豊富な経験と知見を生かし、次の10年を見据えた事業展開を担う。2022年4月の東京証券取引所再編においては、スタンダード市場に移行した。
2. 事業構成
事業セグメントは、「家具家庭用品事業」「服飾雑貨事業」「家電事業」「その他」に分類される。家具家庭用品事業は国内外の大手企業に対してOEM製品を調達する事業がメインで、家具の自社eコマースショップ「MINT(ミント)」もこのセグメントに含まれる。服飾雑貨事業は、サンダル・シューズの「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」やバッグの「Kipling(キプリング)」など販売権を持つブランド商品の輸入販売、直営セレクトショップ「BENEXY(ベネクシー)」の展開、国内外向けOEM事業などを行っている。家電事業は、OEM製品調達とブランドビジネスの両方があり、ブランドとしては、調理家電の「Vitantonio(ビタントニオ)」や理美容家電の「mod’s hair(モッズヘア)」が主力である。その他事業はペットショップや動物病院などを展開している。2026年3月期中間期の売上構成は、家具家庭用品事業が50.8%、服飾雑貨事業が36.3%、家電事業が7.7%、その他事業が5.2%であった。
ビジネスモデルの面では、ブランド事業とOEM事業に分類される。ブランド事業は、海外ブランドや自社ブランド商品の卸売・小売りを主に国内で展開している。ブランドについては、主に歴史があり日本で紹介されていないものを取り扱うほか、近年は誕生間もない環境ブランドも積極的に導入しており、売上全体の22%(2026年3月期中間期)がブランド事業である。生活用品カテゴリーにおいて事業の幅を広げ、ブランド事業の売上を拡大させることを目標としている。一方のOEM事業売上高は78%(同)である。同事業は顧客企業のニーズに合う商品の製品仕様検討、工場選定、価格交渉、生産管理、輸出入・物流など調達業務を行う。長年の海外展開で構築されたアジアにおける製造ネットワークと自社スタッフによる生産管理が強みである。
■事業概要
良品計画に代表される大手顧客のOEMと輸入ブランドを中心とした店舗販売を展開
1. 家具家庭用品事業の動向
同社最大の事業セグメントが家具家庭用品事業である。同事業は、OEMの比率が高く、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。良品計画とその子会社への売上高構成比は56.7%(2025年3月期、全セグメント合計)である。新たな販売チャネルとしてさらなる成長が期待されるのが自社のeコマースインテリアショップ「MINT」である。楽天市場やYahoo!ショッピングで1,000を超えるアイテムを販売しており、リーズナブルな価格の良質なベッドやマットレス、アンティーク調家具、インテリア、ガーデンエクステリア、アウトドア用品、また2024年からは観葉植物の取扱いを開始する等、積極的に商品レンジを広げている。同社では、自社ブランドやOEM商品の製造及びODM提案が可能な開発拠点として、マレーシアに家具・インテリアの自社工場(約4,000平方メートル)を有している。
2. 服飾雑貨事業の動向
服飾雑貨事業では、特に外出・旅行関連商材のOEMが好調に推移している。家具家庭用品事業と比較するとブランド事業の売上の割合が大きい傾向にある。ドイツで誕生して2024年に250周年を迎えたコンフォートサンダル・シューズを扱う「BIRKENSTOCK」も取扱いブランドの1つであるが、この商材を含め子会社の(株)ベネクシーが小売事業を運営する。なお、従来は「BIRKENSTOCK」専門店を展開していたが、2024年9月に契約を終了し、直営セレクトショップ「BENEXY」「Quorinest(クオリネスト)」等に業態転換を進めている。今後の成長が期待されるのが、ハンズフリーと解剖学的インソールが特徴のフットウェア「OrthoFeet」である。ベルギー発のブランドバッグ「Kipling」、環境性能に優れたセレクトブランド商品群「OUR EARTH PROJECT」なども取り扱う。2025年9月には、英国発のライフスタイルブランドである「Cath Kidston(キャス キッドソン)」バッグ、ケース、トラベルグッズの製造及び販売に関するサブライセンス契約を(株)スタイリングライフ・ホールディングスと締結し、販売を開始した。
3. 家電事業の動向
OEM事業では、中国の子会社である三發電器製品(東莞)有限公司、香港の子会社である三發電器製造廠有限公司が小物家電を製造・輸出する。自社工場に関しては、工場稼働率の低下などにより苦戦しており、生産設備・生産体制の合理化を推進してきたが、2025年8月に三發電器製品(東莞)有限公司を解散及び清算することを決議した(結了は2026年12月予定)。ブランド事業においては、調理家電の自社ブランドである「Vitantonio」、理美容家電の「mod’s hair」、業務用調理機器の「Multi Chef(マルチシェフ)」などを製造販売している。「Vitantonio」では、ホットサンドベーカーやコードレスマイボトルブレンダーなどが売れ筋である。ホットサンドを家庭で作るという生活スタイルやオリジナルドリンクが楽しめる生活スタイルなどを提案するユニークな家電ブランドとして知名度が高い。現在は巣ごもり需要が一段落したこともあり、ブランドの再生に挑戦中である。理美容家電はでは、ヘアドライヤーやヘアアイロンのほか、「mod’s hair スタイリッシュ コンパクトイオンヒートブラシ」も人気がある。
4. その他事業の動向
千葉県・埼玉県を中心にペットショップ(動物病院3拠点含む)を計8店舗展開している。このほか、当該セグメントでは、輸送資材・生活雑貨等の企画・販売や事務代行業務の展開を担う子会社の売上を計上している。また、2025年6月には、防災関連商品の製造・販売を行う(有)防災防犯ダイレクトと(株)防災ダイレクトを子会社化し、合併・統合した(合併後の商号は「(株)防災ダイレクト」)。同社はこれを将来の成長ドライバーの1つと位置付け、グループ内でのシナジー創出を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. 会社概要と沿革
三栄コーポレーション<8119>は、戦後間もない1946年に装飾品の輸出業務を目的に大阪市で創業し、79年の歴史を持つ。現在では生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売りまでのサプライチェーンを幅広く手掛けている。海外は17ヶ所の拠点、国内直営店舗は11店舗(2026年3月期中間期末)を持つ、多機能商社に成長した。欧州の差別化されたブランドの日本への導入や、良品計画に代表されるこだわりある商品のOEM供給など、「健康と環境」をテーマとする付加価値の高い生活用品を取り扱う点で個性が明確である。「くらしに、良いものを。」をコンセプトに国内外でモノづくりに携わり、日本市場のみならず海外市場にも販売展開するグローバルな企業である。2022年1月より代表取締役社長に水越雅己(みずこしまさき)氏が昇格し、新しい経営体制に移行した。水越氏は住友商事<8053>出身であり、卸売・小売・eコマース・通販等の豊富な経験と知見を生かし、次の10年を見据えた事業展開を担う。2022年4月の東京証券取引所再編においては、スタンダード市場に移行した。
2. 事業構成
事業セグメントは、「家具家庭用品事業」「服飾雑貨事業」「家電事業」「その他」に分類される。家具家庭用品事業は国内外の大手企業に対してOEM製品を調達する事業がメインで、家具の自社eコマースショップ「MINT(ミント)」もこのセグメントに含まれる。服飾雑貨事業は、サンダル・シューズの「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」やバッグの「Kipling(キプリング)」など販売権を持つブランド商品の輸入販売、直営セレクトショップ「BENEXY(ベネクシー)」の展開、国内外向けOEM事業などを行っている。家電事業は、OEM製品調達とブランドビジネスの両方があり、ブランドとしては、調理家電の「Vitantonio(ビタントニオ)」や理美容家電の「mod’s hair(モッズヘア)」が主力である。その他事業はペットショップや動物病院などを展開している。2026年3月期中間期の売上構成は、家具家庭用品事業が50.8%、服飾雑貨事業が36.3%、家電事業が7.7%、その他事業が5.2%であった。
ビジネスモデルの面では、ブランド事業とOEM事業に分類される。ブランド事業は、海外ブランドや自社ブランド商品の卸売・小売りを主に国内で展開している。ブランドについては、主に歴史があり日本で紹介されていないものを取り扱うほか、近年は誕生間もない環境ブランドも積極的に導入しており、売上全体の22%(2026年3月期中間期)がブランド事業である。生活用品カテゴリーにおいて事業の幅を広げ、ブランド事業の売上を拡大させることを目標としている。一方のOEM事業売上高は78%(同)である。同事業は顧客企業のニーズに合う商品の製品仕様検討、工場選定、価格交渉、生産管理、輸出入・物流など調達業務を行う。長年の海外展開で構築されたアジアにおける製造ネットワークと自社スタッフによる生産管理が強みである。
■事業概要
良品計画に代表される大手顧客のOEMと輸入ブランドを中心とした店舗販売を展開
1. 家具家庭用品事業の動向
同社最大の事業セグメントが家具家庭用品事業である。同事業は、OEMの比率が高く、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。良品計画とその子会社への売上高構成比は56.7%(2025年3月期、全セグメント合計)である。新たな販売チャネルとしてさらなる成長が期待されるのが自社のeコマースインテリアショップ「MINT」である。楽天市場やYahoo!ショッピングで1,000を超えるアイテムを販売しており、リーズナブルな価格の良質なベッドやマットレス、アンティーク調家具、インテリア、ガーデンエクステリア、アウトドア用品、また2024年からは観葉植物の取扱いを開始する等、積極的に商品レンジを広げている。同社では、自社ブランドやOEM商品の製造及びODM提案が可能な開発拠点として、マレーシアに家具・インテリアの自社工場(約4,000平方メートル)を有している。
2. 服飾雑貨事業の動向
服飾雑貨事業では、特に外出・旅行関連商材のOEMが好調に推移している。家具家庭用品事業と比較するとブランド事業の売上の割合が大きい傾向にある。ドイツで誕生して2024年に250周年を迎えたコンフォートサンダル・シューズを扱う「BIRKENSTOCK」も取扱いブランドの1つであるが、この商材を含め子会社の(株)ベネクシーが小売事業を運営する。なお、従来は「BIRKENSTOCK」専門店を展開していたが、2024年9月に契約を終了し、直営セレクトショップ「BENEXY」「Quorinest(クオリネスト)」等に業態転換を進めている。今後の成長が期待されるのが、ハンズフリーと解剖学的インソールが特徴のフットウェア「OrthoFeet」である。ベルギー発のブランドバッグ「Kipling」、環境性能に優れたセレクトブランド商品群「OUR EARTH PROJECT」なども取り扱う。2025年9月には、英国発のライフスタイルブランドである「Cath Kidston(キャス キッドソン)」バッグ、ケース、トラベルグッズの製造及び販売に関するサブライセンス契約を(株)スタイリングライフ・ホールディングスと締結し、販売を開始した。
3. 家電事業の動向
OEM事業では、中国の子会社である三發電器製品(東莞)有限公司、香港の子会社である三發電器製造廠有限公司が小物家電を製造・輸出する。自社工場に関しては、工場稼働率の低下などにより苦戦しており、生産設備・生産体制の合理化を推進してきたが、2025年8月に三發電器製品(東莞)有限公司を解散及び清算することを決議した(結了は2026年12月予定)。ブランド事業においては、調理家電の自社ブランドである「Vitantonio」、理美容家電の「mod’s hair」、業務用調理機器の「Multi Chef(マルチシェフ)」などを製造販売している。「Vitantonio」では、ホットサンドベーカーやコードレスマイボトルブレンダーなどが売れ筋である。ホットサンドを家庭で作るという生活スタイルやオリジナルドリンクが楽しめる生活スタイルなどを提案するユニークな家電ブランドとして知名度が高い。現在は巣ごもり需要が一段落したこともあり、ブランドの再生に挑戦中である。理美容家電はでは、ヘアドライヤーやヘアアイロンのほか、「mod’s hair スタイリッシュ コンパクトイオンヒートブラシ」も人気がある。
4. その他事業の動向
千葉県・埼玉県を中心にペットショップ(動物病院3拠点含む)を計8店舗展開している。このほか、当該セグメントでは、輸送資材・生活雑貨等の企画・販売や事務代行業務の展開を担う子会社の売上を計上している。また、2025年6月には、防災関連商品の製造・販売を行う(有)防災防犯ダイレクトと(株)防災ダイレクトを子会社化し、合併・統合した(合併後の商号は「(株)防災ダイレクト」)。同社はこれを将来の成長ドライバーの1つと位置付け、グループ内でのシナジー創出を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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