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日本国土開発 Research Memo(1):経営基盤を再構築、新中期経営計画で営業利益90億円を目指す
配信日時:2025/12/11 11:31
配信元:FISCO
*11:31JST 日本国土開発 Research Memo(1):経営基盤を再構築、新中期経営計画で営業利益90億円を目指す
■要約
1. 土木工事を強みに建築事業なども展開する中堅ゼネコン
日本国土開発<1887>は、重機を活用した大規模造成工事を得意とする土木事業を強みに、建築事業なども展開する中堅ゼネコンである。祖業は戦後復興を目的とした重機による機械施工の普及であったが、1953年から土木事業、1962年に建築事業の請負業に進出し、総合建設企業として業容を拡大してきた。現在は、土木事業において河川、道路、上下水道、ダム、トンネルなどの社会基盤整備関連工事を展開し、建築事業ではオフィスビル・マンション、物流施設、公共施設など多岐にわたる実績を有している。関連事業は、土地区画整理事業を含む不動産開発・賃貸を行う不動産事業、及び自社で太陽光発電所を運営するエネルギー事業を行っている。
2. 「機械力」「災害からの復旧復興、防災減災」「バリューチェーン」などに強み
同社の強みは、「機械力」「災害からの復旧復興、防災減災」「バリューチェーン」などにある。「機械力」については、祖業である建設重機を活用した機械化施工のDNAが受け継がれ、大規模造成工事におけるスクレーパ※1の導入により、工期短縮・省力化を推進している。また、国土交通省が推進するi-Construction※2に積極的に取り組み、ICTを調査・測量から施工、維持管理まで効果的に活用した技術開発に注力している。
※1 1台で掘削から積込み、運搬、捨土、敷きならしまで一連の土工作業を行うことが出来る重機。
※2 建設工事の測量、調査、設計、施工、検査、維持管理や更新などのプロセスにICTを導入して、建設産業の生産性を向上させる取り組みのこと。
「災害からの復旧復興、防災減災」においては、同社設立の経緯が戦後復興にあることから、東日本大震災の復興支援などで重ねた知見やノウハウを強みとしている。現在も「令和6年能登半島地震」の復旧工事を複数件受注し、早期復旧に貢献している。これまでに数々の激甚災害の復旧復興に携わった実績を生かし、災害に強い街づくりへの貢献に取り組んでいる。
また、「バリューチェーン」の確立も大きな特長の1つである。関連事業の成長とともに、土木・建築の施工請負業にとどまらず、事業の川上(開発計画などの「企画提案」)から川下(アセットマネジメントなどの「運営管理」)まで一気通貫で行う。これにより、自社だけで土地区画整理事業を展開するなど、従来のゼネコン領域を超えた取り組みを展開している。
3. 「中期経営計画2027」を策定、2028年5月期営業利益90億円を目指す
同社は2025年7月に、前中期経営計画の財務目標が未達となった反省に基づき、「中期経営計画2027(2026年5月期〜2028年5月期)」を策定した。基本方針として、土木事業は利益を重視した持続可能な安定事業への回帰、建築事業はライフサイクルすべてをサポートする成長事業への脱皮、関連事業は投資・回収のバランスを意識した堅実な投資による利益拡大を掲げている。また、新規事業では、機能性吸着材事業や地域共創ビジネスなどを拡大する方針である。これらの基本方針を着実に実行することで経営基盤を再構築し、2028年5月期にROEで8.0%(2025年5月期は2.0%)、営業利益90億円(同23億円)などを目指す。
4. 2026年5月期は「中期経営計画2027」に沿って計画どおりのスタート
2026年5月期の業績予想は、売上高131,000百万円(前期比6.2%増)、営業利益3,500百万円(同51.0%増)と、大幅な改善を見込んでいる。これは、2025年5月期に土木事業の業績不振が底を打ち、建築事業が回復基調に転じたためである。2026年5月期第1四半期業績は、売上高が34,515百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益が1,947百万円(同15.2%減)となった。前年同期にあった大型の販売用不動産の売却がなくなったため減益となったものの、建築事業の堅調な推移や土木事業の黒字転換などにより、「中期経営計画2027」に沿っておおむね計画どおりのスタートとなった。なお、中期経営計画期間中では、販売用不動産を中心に資産売却も検討されている。
■Key Points
・土木事業、建築事業、関連事業(不動産事業、再生可能エネルギー事業)を展開する中堅ゼネコン
・「機械力」「災害からの復旧復興、防災減災」「バリューチェーン」などに強み
・2028年5月期に営業利益90億円を目指す「中期経営計画2027」は計画どおりスタート
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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1. 土木工事を強みに建築事業なども展開する中堅ゼネコン
日本国土開発<1887>は、重機を活用した大規模造成工事を得意とする土木事業を強みに、建築事業なども展開する中堅ゼネコンである。祖業は戦後復興を目的とした重機による機械施工の普及であったが、1953年から土木事業、1962年に建築事業の請負業に進出し、総合建設企業として業容を拡大してきた。現在は、土木事業において河川、道路、上下水道、ダム、トンネルなどの社会基盤整備関連工事を展開し、建築事業ではオフィスビル・マンション、物流施設、公共施設など多岐にわたる実績を有している。関連事業は、土地区画整理事業を含む不動産開発・賃貸を行う不動産事業、及び自社で太陽光発電所を運営するエネルギー事業を行っている。
2. 「機械力」「災害からの復旧復興、防災減災」「バリューチェーン」などに強み
同社の強みは、「機械力」「災害からの復旧復興、防災減災」「バリューチェーン」などにある。「機械力」については、祖業である建設重機を活用した機械化施工のDNAが受け継がれ、大規模造成工事におけるスクレーパ※1の導入により、工期短縮・省力化を推進している。また、国土交通省が推進するi-Construction※2に積極的に取り組み、ICTを調査・測量から施工、維持管理まで効果的に活用した技術開発に注力している。
※1 1台で掘削から積込み、運搬、捨土、敷きならしまで一連の土工作業を行うことが出来る重機。
※2 建設工事の測量、調査、設計、施工、検査、維持管理や更新などのプロセスにICTを導入して、建設産業の生産性を向上させる取り組みのこと。
「災害からの復旧復興、防災減災」においては、同社設立の経緯が戦後復興にあることから、東日本大震災の復興支援などで重ねた知見やノウハウを強みとしている。現在も「令和6年能登半島地震」の復旧工事を複数件受注し、早期復旧に貢献している。これまでに数々の激甚災害の復旧復興に携わった実績を生かし、災害に強い街づくりへの貢献に取り組んでいる。
また、「バリューチェーン」の確立も大きな特長の1つである。関連事業の成長とともに、土木・建築の施工請負業にとどまらず、事業の川上(開発計画などの「企画提案」)から川下(アセットマネジメントなどの「運営管理」)まで一気通貫で行う。これにより、自社だけで土地区画整理事業を展開するなど、従来のゼネコン領域を超えた取り組みを展開している。
3. 「中期経営計画2027」を策定、2028年5月期営業利益90億円を目指す
同社は2025年7月に、前中期経営計画の財務目標が未達となった反省に基づき、「中期経営計画2027(2026年5月期〜2028年5月期)」を策定した。基本方針として、土木事業は利益を重視した持続可能な安定事業への回帰、建築事業はライフサイクルすべてをサポートする成長事業への脱皮、関連事業は投資・回収のバランスを意識した堅実な投資による利益拡大を掲げている。また、新規事業では、機能性吸着材事業や地域共創ビジネスなどを拡大する方針である。これらの基本方針を着実に実行することで経営基盤を再構築し、2028年5月期にROEで8.0%(2025年5月期は2.0%)、営業利益90億円(同23億円)などを目指す。
4. 2026年5月期は「中期経営計画2027」に沿って計画どおりのスタート
2026年5月期の業績予想は、売上高131,000百万円(前期比6.2%増)、営業利益3,500百万円(同51.0%増)と、大幅な改善を見込んでいる。これは、2025年5月期に土木事業の業績不振が底を打ち、建築事業が回復基調に転じたためである。2026年5月期第1四半期業績は、売上高が34,515百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益が1,947百万円(同15.2%減)となった。前年同期にあった大型の販売用不動産の売却がなくなったため減益となったものの、建築事業の堅調な推移や土木事業の黒字転換などにより、「中期経営計画2027」に沿っておおむね計画どおりのスタートとなった。なお、中期経営計画期間中では、販売用不動産を中心に資産売却も検討されている。
■Key Points
・土木事業、建築事業、関連事業(不動産事業、再生可能エネルギー事業)を展開する中堅ゼネコン
・「機械力」「災害からの復旧復興、防災減災」「バリューチェーン」などに強み
・2028年5月期に営業利益90億円を目指す「中期経営計画2027」は計画どおりスタート
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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