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大気社:採算性が改善したことにより今期業績予想上方修正、株価も上場来高値更新
配信日時:2025/12/11 09:29
配信元:FISCO
*09:29JST 大気社:採算性が改善したことにより今期業績予想上方修正、株価も上場来高値更新
大気社<1979>の株価が右肩上がりで推移している。年初2515円から始まった株価は、11月10日に3290円(年初来30.8%上昇)に到達した。もちろん業績も極めて好調で、11月10日に発表した2026年3月期第2四半期決算は、売上高130,469百万円(前年同期比13.8%増)、営業利益10,470百万円(同66.9%増)で着地した。受注工事高は、国内海外ともに増加し、181,438百万円(前年同期比41.5%増)となり、うち海外の受注工事高は104,044百万円(同66.2%増)となった。同時に通期業績予想の上方修正を発表しており、売上高は従来計画279,000百万円から286,700百万円(前期比3.8%増)、営業利益は従来計画17,100百万円から19,000百万円(同5.7%増)に引き上げた。人件費や成長投資を中心とした販管費の増加があるものの、利益面は国内の工事の採算性が改善したことが寄与する見込みである。
「収益性の安定した国内市場」で確かな成果を挙げつつ、「成長性の高い海外市場」で飛躍的な成長を目指している同社は、将来性・競争力・ESG視点のいずれから見ても、注目度の高いものである。足元のPER14.7倍は市場平均程度のPERで、配当利回り2.97%、PBR1.3倍台とバリュエーション面での割高感は乏しい。
同社は「エネルギー・空気・水」の創造的なエンジニアリング技術で「サスティナブルな産業革新」を支えるグローバルエンジニアリング企業である。1913年創業の老舗であり、主力は産業空調・ビル空調の「環境システム事業」と自動車向けプラントを手掛け世界第2位を誇る「塗装システム事業」の2つを基幹事業とし、産業領域で独自の存在感を発揮している。「環境システム事業」では空調設備の設計・施工を中心とし産業領域で強い顧客基盤を持つ。一方で「塗装システム事業」では自動車の塗装工程に関わる設計・施工から、オートメーションなど塗装工場を一括して請け負えるトータルエンジニアリング技術を有する。高い塗装品質の実現と省エネルギーなどの環境対応技術を追求している。
他社と比較した際の大気社の強みは、空調・塗装というニッチでありながらグローバルに展開可能な分野における技術力と実績の豊富さにある。どちらも参入障壁が高く、模倣・追随が困難になっている。同社は他社に先駆けてグローバル展開を積極的に推し進め、現地に根付いた活動を積み重ねることで業界では最多の海外連結子会社を持ち、多くのナショナルスタッフが活躍している。また、海外売上比率は約50%と業界をリードする海外実績を誇っている。そのほか、塗装システム事業では、EV化・CASE対応が進む中、自動車メーカー各社の大型塗装プラントやカーボンニュートラルに対応する案件を数多く手掛けている。また、従来のスプレー塗装に代わり車体にフィルムを施すドライ加飾システムを開発。膨大なエネルギーを使用するスプレー塗装の工程が無くなることで、大幅なCO2削減を実現できることから、現在自動車メーカーから多くの関心が寄せられている。環境システム事業の競合は空調設備会社や一部の電気設備会社であり、塗装システム事業における競合は、ドイツの大手エンジニアリング企業や現地ローカル企業となる。
市場環境では、ビル空調分野では、データセンター案件の投資が継続、都心の再開発需要も底堅く推移している。産業空調分野でも、AI・IoT機器・バッテリーEV等の需要拡大により、半導体関連メーカーにおいて、引き続き設備投資が継続すると見込んでいるほか、塗装システム事業では、自動車メーカーにおいて北米・欧州・日本などで設備更新投資、インドなどで増産投資の見込みがある。
同社は2035年に向けた「10年プラン2035」と、それに対応する中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を発表し、持続可能な社会に貢献するグローバルエンジニアリング企業としての成長戦略を明示した。2035年に向けて、2028年3月期に売上高目標3,365億円、ROE10%、DOE(配当政策)4%を目指す。2031年3月期には売上高目標4,000億円、ROE11%、DOE4.5%を目指し、最終年度の2035年3月期には売上高目標5,000億円超、ROE12%以上、DOE5%以上を目指す。既存事業で達成できない非連続な成長を目指す中でも資本効率と安定配当を基本方針とした株主還元充実は維持する構えである。
中期経営計画期間で自己株式の取得を年間50億円、3年間で150億円実施する計画であり、配当と合わせ、より高い水準の株主還元を目指している。今期2026年3月期の予想年間配当は94円を想定している。
ビジョンの達成に向け、今期以降含めた3年間は「変革に向けた再構築期」と位置づけられている。戦略の核は、コア事業の着実な成長と、成長・新規事業による非連続な成長の両輪を推進することにある。重点領域は、(1)半導体・電子部品、(2)モビリティ(EV、SDVなどの四輪車・二輪車、鉄道・航空機)、(3)バッテリー、(4)バイオ・医薬品、(5)データセンターの5分野である。これらはいずれも世界的に需要の伸長が期待される産業であり、同社は地域別戦略に基づいて、日本・東アジア・ASEAN・インド・北米・欧州などで積極展開を図る。こうした成長を支える基盤として、同社は2026-2028年の3年間で総額380億円を成長投資に充てる計画であり、その内訳は、M&Aなどによる業容拡大のためのキャピタルアロケーション(220億円)や研究開発に充てる事業投資(65億円)をはじめ、BIM・AI等のデジタル投資(70億円)、人材投資(25億円)などの戦略的なDX・人的資本投資を通じた業務効率化、高付加価値化、人的資本の高度化も同時に進める構えである。
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「収益性の安定した国内市場」で確かな成果を挙げつつ、「成長性の高い海外市場」で飛躍的な成長を目指している同社は、将来性・競争力・ESG視点のいずれから見ても、注目度の高いものである。足元のPER14.7倍は市場平均程度のPERで、配当利回り2.97%、PBR1.3倍台とバリュエーション面での割高感は乏しい。
同社は「エネルギー・空気・水」の創造的なエンジニアリング技術で「サスティナブルな産業革新」を支えるグローバルエンジニアリング企業である。1913年創業の老舗であり、主力は産業空調・ビル空調の「環境システム事業」と自動車向けプラントを手掛け世界第2位を誇る「塗装システム事業」の2つを基幹事業とし、産業領域で独自の存在感を発揮している。「環境システム事業」では空調設備の設計・施工を中心とし産業領域で強い顧客基盤を持つ。一方で「塗装システム事業」では自動車の塗装工程に関わる設計・施工から、オートメーションなど塗装工場を一括して請け負えるトータルエンジニアリング技術を有する。高い塗装品質の実現と省エネルギーなどの環境対応技術を追求している。
他社と比較した際の大気社の強みは、空調・塗装というニッチでありながらグローバルに展開可能な分野における技術力と実績の豊富さにある。どちらも参入障壁が高く、模倣・追随が困難になっている。同社は他社に先駆けてグローバル展開を積極的に推し進め、現地に根付いた活動を積み重ねることで業界では最多の海外連結子会社を持ち、多くのナショナルスタッフが活躍している。また、海外売上比率は約50%と業界をリードする海外実績を誇っている。そのほか、塗装システム事業では、EV化・CASE対応が進む中、自動車メーカー各社の大型塗装プラントやカーボンニュートラルに対応する案件を数多く手掛けている。また、従来のスプレー塗装に代わり車体にフィルムを施すドライ加飾システムを開発。膨大なエネルギーを使用するスプレー塗装の工程が無くなることで、大幅なCO2削減を実現できることから、現在自動車メーカーから多くの関心が寄せられている。環境システム事業の競合は空調設備会社や一部の電気設備会社であり、塗装システム事業における競合は、ドイツの大手エンジニアリング企業や現地ローカル企業となる。
市場環境では、ビル空調分野では、データセンター案件の投資が継続、都心の再開発需要も底堅く推移している。産業空調分野でも、AI・IoT機器・バッテリーEV等の需要拡大により、半導体関連メーカーにおいて、引き続き設備投資が継続すると見込んでいるほか、塗装システム事業では、自動車メーカーにおいて北米・欧州・日本などで設備更新投資、インドなどで増産投資の見込みがある。
同社は2035年に向けた「10年プラン2035」と、それに対応する中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を発表し、持続可能な社会に貢献するグローバルエンジニアリング企業としての成長戦略を明示した。2035年に向けて、2028年3月期に売上高目標3,365億円、ROE10%、DOE(配当政策)4%を目指す。2031年3月期には売上高目標4,000億円、ROE11%、DOE4.5%を目指し、最終年度の2035年3月期には売上高目標5,000億円超、ROE12%以上、DOE5%以上を目指す。既存事業で達成できない非連続な成長を目指す中でも資本効率と安定配当を基本方針とした株主還元充実は維持する構えである。
中期経営計画期間で自己株式の取得を年間50億円、3年間で150億円実施する計画であり、配当と合わせ、より高い水準の株主還元を目指している。今期2026年3月期の予想年間配当は94円を想定している。
ビジョンの達成に向け、今期以降含めた3年間は「変革に向けた再構築期」と位置づけられている。戦略の核は、コア事業の着実な成長と、成長・新規事業による非連続な成長の両輪を推進することにある。重点領域は、(1)半導体・電子部品、(2)モビリティ(EV、SDVなどの四輪車・二輪車、鉄道・航空機)、(3)バッテリー、(4)バイオ・医薬品、(5)データセンターの5分野である。これらはいずれも世界的に需要の伸長が期待される産業であり、同社は地域別戦略に基づいて、日本・東アジア・ASEAN・インド・北米・欧州などで積極展開を図る。こうした成長を支える基盤として、同社は2026-2028年の3年間で総額380億円を成長投資に充てる計画であり、その内訳は、M&Aなどによる業容拡大のためのキャピタルアロケーション(220億円)や研究開発に充てる事業投資(65億円)をはじめ、BIM・AI等のデジタル投資(70億円)、人材投資(25億円)などの戦略的なDX・人的資本投資を通じた業務効率化、高付加価値化、人的資本の高度化も同時に進める構えである。
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