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PBシステムズ Research Memo(4):サイバー攻撃被害の急増はビジネスチャンス
配信日時:2025/12/09 13:14
配信元:FISCO
*13:14JST PBシステムズ Research Memo(4):サイバー攻撃被害の急増はビジネスチャンス
■会社概要
3. 事業環境
まず、ピー・ビーシステムズ<4447>の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業が対象としているクラウドサービス市場について概観しておく。総務省の令和7年版情報通信白書によれば、国内のパブリッククラウドサービス市場は成長を続けており、2024年には売上高で約4.1兆円(前年比26.1%増)となった。コストパフォーマンスや利便性に着目したオンプレミス環境からクラウドへの移行というIT業界のトレンドを背景として、今後も市場規模拡大が見込める事業分野であることがわかる。また、同じく令和7年版情報通信白書には2029年までの同市場の推計値について、世界各地の市場の成長が続くこともあり、日本国内では約8.8兆円まで拡大が見込まれているとの記載がある。なお、同推計はパブリッククラウドサービス市場に関するものであり、同社が得意とするプライベートクラウドの市場とそのまま重なるわけではないものの、世界のみならず日本国内においても、今後の情報通信技術の進歩や各種IT関連サービスの進化などによって、クラウド分野が成長を持続する確度は非常に高く、クラウドサービス市場は基本的に良好な成長市場であると弊社は見ている。
このように、ビジネスにおけるクラウドの重要性が増すなか、同時にサービスの安定的な稼働、つまりセキュリティに気を配った基盤構築の必要性が不可避的に増している。そこで、サイバー攻撃(サイバーセキュリティ)の状況についても確認する。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がまとめた「NICTER観測レポート2024」では、「1IPアドレス当たりの年間総観測パケット数」をインターネットにおけるサイバー攻撃関連活動の活発度を表す指標として考えている。この数値を見ると、2017年では約57万パケットが観測されていたが、2024年には約242万パケット、つまり約4.2倍の数値となっており、サイバー攻撃が数年でどれだけ活発化しているのかが一目瞭然だ。2024年と2023年の比較でも前年比7.4%増と拡大を続けている。実際、多数の上場企業や官公庁がサイバー攻撃のターゲットとなり、多くの被害が報告されている。ランサムウェアに関しては、2025年9月に警察庁が公表した「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」で、2025年上半期の被害件数116件のうち66%が中小企業で、業種別では製造業が45%、卸売・小売業が14%と上位を占める。同社主要顧客の中小製造業、小売業が狙われやすい状況にある。また、最近では中小企業を足掛かりにサプライチェーンを経由して中堅・大企業を狙うケースや、そもそも大企業が身代金を支払わないため中小企業を狙うケースなど、いずれも中小企業のセキュリティ対策の薄さを突く攻撃が増加している。これら被害企業は、同社のターゲット顧客層にあたることから、需要獲得機会は多いことが窺える。なお、同社はこうした状況を踏まえて2022年にEmotet対策・サイバーレジリエンス構築サービスを、2025年3月には「サイバー忍法帖TM」(商標出願中)の提供を開始した。
最後に今後中長期的に同社ビジネスの対象市場となるメタバース市場について簡単に触れておきたい。米国ではより顕著だが、国内においても既に巨額の投資資金がメタバース関連の領域に流入していることは明白だ。足元で社会的な関心が急激に高まっていることもあり、各調査会社が市場規模を推計しているが、いずれを見ても超巨大市場に成長することを示唆している。令和7年版情報通信白書では、世界のメタバース市場は、2022年に461億ドルだったものが2030年には5,078億ドルまで拡大すると予測しており、日本のメタバース市場についても、2021年度の793億円から2028年度には1兆87億円まで拡大すると予測している。メタバースの利用については、2025年5月に警察庁の情報技術解析部門が、入手したソースコードの解析のため仮想環境を構築し、ランサムウェアの暗号アルゴリズムや暗号化ファイルの構造などの解明に成功するなど、公共領域での活用も広がっており、長期目線ではあるものの、多方面での活用可能性が探られているようだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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3. 事業環境
まず、ピー・ビーシステムズ<4447>の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業が対象としているクラウドサービス市場について概観しておく。総務省の令和7年版情報通信白書によれば、国内のパブリッククラウドサービス市場は成長を続けており、2024年には売上高で約4.1兆円(前年比26.1%増)となった。コストパフォーマンスや利便性に着目したオンプレミス環境からクラウドへの移行というIT業界のトレンドを背景として、今後も市場規模拡大が見込める事業分野であることがわかる。また、同じく令和7年版情報通信白書には2029年までの同市場の推計値について、世界各地の市場の成長が続くこともあり、日本国内では約8.8兆円まで拡大が見込まれているとの記載がある。なお、同推計はパブリッククラウドサービス市場に関するものであり、同社が得意とするプライベートクラウドの市場とそのまま重なるわけではないものの、世界のみならず日本国内においても、今後の情報通信技術の進歩や各種IT関連サービスの進化などによって、クラウド分野が成長を持続する確度は非常に高く、クラウドサービス市場は基本的に良好な成長市場であると弊社は見ている。
このように、ビジネスにおけるクラウドの重要性が増すなか、同時にサービスの安定的な稼働、つまりセキュリティに気を配った基盤構築の必要性が不可避的に増している。そこで、サイバー攻撃(サイバーセキュリティ)の状況についても確認する。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がまとめた「NICTER観測レポート2024」では、「1IPアドレス当たりの年間総観測パケット数」をインターネットにおけるサイバー攻撃関連活動の活発度を表す指標として考えている。この数値を見ると、2017年では約57万パケットが観測されていたが、2024年には約242万パケット、つまり約4.2倍の数値となっており、サイバー攻撃が数年でどれだけ活発化しているのかが一目瞭然だ。2024年と2023年の比較でも前年比7.4%増と拡大を続けている。実際、多数の上場企業や官公庁がサイバー攻撃のターゲットとなり、多くの被害が報告されている。ランサムウェアに関しては、2025年9月に警察庁が公表した「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」で、2025年上半期の被害件数116件のうち66%が中小企業で、業種別では製造業が45%、卸売・小売業が14%と上位を占める。同社主要顧客の中小製造業、小売業が狙われやすい状況にある。また、最近では中小企業を足掛かりにサプライチェーンを経由して中堅・大企業を狙うケースや、そもそも大企業が身代金を支払わないため中小企業を狙うケースなど、いずれも中小企業のセキュリティ対策の薄さを突く攻撃が増加している。これら被害企業は、同社のターゲット顧客層にあたることから、需要獲得機会は多いことが窺える。なお、同社はこうした状況を踏まえて2022年にEmotet対策・サイバーレジリエンス構築サービスを、2025年3月には「サイバー忍法帖TM」(商標出願中)の提供を開始した。
最後に今後中長期的に同社ビジネスの対象市場となるメタバース市場について簡単に触れておきたい。米国ではより顕著だが、国内においても既に巨額の投資資金がメタバース関連の領域に流入していることは明白だ。足元で社会的な関心が急激に高まっていることもあり、各調査会社が市場規模を推計しているが、いずれを見ても超巨大市場に成長することを示唆している。令和7年版情報通信白書では、世界のメタバース市場は、2022年に461億ドルだったものが2030年には5,078億ドルまで拡大すると予測しており、日本のメタバース市場についても、2021年度の793億円から2028年度には1兆87億円まで拡大すると予測している。メタバースの利用については、2025年5月に警察庁の情報技術解析部門が、入手したソースコードの解析のため仮想環境を構築し、ランサムウェアの暗号アルゴリズムや暗号化ファイルの構造などの解明に成功するなど、公共領域での活用も広がっており、長期目線ではあるものの、多方面での活用可能性が探られているようだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
<MY>
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