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ワコム Research Memo(7):累進配当をベースに、総還元性向50%以上を目指す
配信日時:2025/12/08 13:07
配信元:FISCO
*13:07JST ワコム Research Memo(7):累進配当をベースに、総還元性向50%以上を目指す
■ワコム<6727>のこれまでの業績推移
「テクノロジーソリューション事業」がここ数年の業績の伸びをけん引
コロナ禍前の2020年3月期までの売上高推移を見ると、2017年3月期に一時的に大きく落ち込んだのは円高に加え、過度な社内ITインフラ投資、製品サイクルの移行等の影響が重なったことが理由である。その後「テクノロジーソリューション事業」の伸びとともに回復したものの、「ブランド製品事業」については縮小傾向をたどり、「ブランド製品事業」のマイナスを「テクノロジーソリューション事業」のプラスでカバーする構造が続いた。2021年3月期にはコロナ禍をきっかけに、オンライン教育向けを含む巣ごもり特需などを中心に「ブランド製品事業」(特に中低価格帯モデル)が急拡大すると、特需が一巡した2022年3月期も「ブランド製品事業」のプロ向けディスプレイ製品や「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより、2期連続で過去最高売上高を更新した。ただ、2023年3月期以降は、インフレなど世界的な経済環境の悪化による急激な消費者センチメントの低下や特需からの反動減等により、「ブランド製品事業」(特にエントリー領域)が大きく落ち込む一方、「テクノロジーソリューション事業」の伸びでカバーしてきた。
損益面では、営業損失となった2017年3月期以降は、積極的な研究開発や新製品開発をこなしながら営業利益率は4%台から6%台で徐々に改善してきた。2021年3月期及び2022年3月期は、増収に伴う収益の押し上げや製品ミックスの改善、販管費の最適化等により2期連続で高い利益率を確保したものの、2023年3月期以降は、「ブランド製品事業」が3期連続でセグメント損失を計上したことにより、全体の利益率も大きく低下した。
財務面では、IT資産の減損損失の計上により最終損失となった2017年3月期に自己資本比率は一時的に低下したが、その後は内部留保の積み増しにより改善傾向にあり、60%の水準に上昇した。ただ、2023年3月期以降は自己株式の取得等により低下傾向にあり、2025年3月期末時点の自己資本比率は43.6%となった。
また、資本効率を示すROEや事業活動の効率性を示すROICは高水準で推移してきた。2023年3月期は利益水準の落ち込みとともにいったん大きく低下したものの、2024年3月期は改善に向かい、2025年3月期のROEは同社が試算した株主資本コストの推計値(8%〜10%)に対して15.6%、2025年3月期のROICは同資本コストの推計値(7%〜9%)に対して16.3%と、大きく上回る水準となった。
■株主還元
累進配当をベースに自己株式の取得も組み合わせ、総還元性向50%以上を目指す
将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続と機動的な自己株式取得を実施することを基本方針としている。2025年3月期よりスタートした中期経営計画「Wacom Chapter 4」では、累進配当をベースとして自己株式の取得も組み合わせた総還元性向50%以上を目指す新たな株主還元策を公表した。
2026年3月期の配当については、前期と同額の1株当たり22.0円(中間11.0円※、期末11.0円)を予想している。
※ 2025年12月5日支払開始予定。
■会社概要
クリエイター向けペンタブレット市場を確立
同社は1983年に埼玉県上尾市で設立された。社名は「ワールド」と「コンピュータ」に由来している。また「WA」には「人とコンピュータの調和」、「COM」には「コミュニケーション」や最近は「コミュニティ」の意味も込められている。1984年には世界初のコードレス・ペンタブレット製品を発表した。1987年にはプロフェッショナル用グラフィックス・ペンタブレットの「SDシリーズ」が発売され、ウォルト・ディズニーに映画制作で使用された。その後も地道に製品の改良を重ね、クリエイター向けペンタブレット市場では、2000年代以降マーケットリーダーとしての地位を確立した。
1991年にはペン・センサーコンポーネント分野(現 「テクノロジーソリューション事業」)にも進出した。同社のデジタルペンやコントロールIC、タッチパネル等の部品やモジュールを完成品メーカーにOEM供給しており、タブレット・ノートPCやスマートフォン向けの市場拡大に乗って急成長を遂げた。
証券市場には2003年4月に日本証券業協会JASDAQ市場に上場した後、2005年12月に東京証券取引所第1部に上場して現在に至る(2022年4月より東証プライム市場へ移行)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>
「テクノロジーソリューション事業」がここ数年の業績の伸びをけん引
コロナ禍前の2020年3月期までの売上高推移を見ると、2017年3月期に一時的に大きく落ち込んだのは円高に加え、過度な社内ITインフラ投資、製品サイクルの移行等の影響が重なったことが理由である。その後「テクノロジーソリューション事業」の伸びとともに回復したものの、「ブランド製品事業」については縮小傾向をたどり、「ブランド製品事業」のマイナスを「テクノロジーソリューション事業」のプラスでカバーする構造が続いた。2021年3月期にはコロナ禍をきっかけに、オンライン教育向けを含む巣ごもり特需などを中心に「ブランド製品事業」(特に中低価格帯モデル)が急拡大すると、特需が一巡した2022年3月期も「ブランド製品事業」のプロ向けディスプレイ製品や「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより、2期連続で過去最高売上高を更新した。ただ、2023年3月期以降は、インフレなど世界的な経済環境の悪化による急激な消費者センチメントの低下や特需からの反動減等により、「ブランド製品事業」(特にエントリー領域)が大きく落ち込む一方、「テクノロジーソリューション事業」の伸びでカバーしてきた。
損益面では、営業損失となった2017年3月期以降は、積極的な研究開発や新製品開発をこなしながら営業利益率は4%台から6%台で徐々に改善してきた。2021年3月期及び2022年3月期は、増収に伴う収益の押し上げや製品ミックスの改善、販管費の最適化等により2期連続で高い利益率を確保したものの、2023年3月期以降は、「ブランド製品事業」が3期連続でセグメント損失を計上したことにより、全体の利益率も大きく低下した。
財務面では、IT資産の減損損失の計上により最終損失となった2017年3月期に自己資本比率は一時的に低下したが、その後は内部留保の積み増しにより改善傾向にあり、60%の水準に上昇した。ただ、2023年3月期以降は自己株式の取得等により低下傾向にあり、2025年3月期末時点の自己資本比率は43.6%となった。
また、資本効率を示すROEや事業活動の効率性を示すROICは高水準で推移してきた。2023年3月期は利益水準の落ち込みとともにいったん大きく低下したものの、2024年3月期は改善に向かい、2025年3月期のROEは同社が試算した株主資本コストの推計値(8%〜10%)に対して15.6%、2025年3月期のROICは同資本コストの推計値(7%〜9%)に対して16.3%と、大きく上回る水準となった。
■株主還元
累進配当をベースに自己株式の取得も組み合わせ、総還元性向50%以上を目指す
将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続と機動的な自己株式取得を実施することを基本方針としている。2025年3月期よりスタートした中期経営計画「Wacom Chapter 4」では、累進配当をベースとして自己株式の取得も組み合わせた総還元性向50%以上を目指す新たな株主還元策を公表した。
2026年3月期の配当については、前期と同額の1株当たり22.0円(中間11.0円※、期末11.0円)を予想している。
※ 2025年12月5日支払開始予定。
■会社概要
クリエイター向けペンタブレット市場を確立
同社は1983年に埼玉県上尾市で設立された。社名は「ワールド」と「コンピュータ」に由来している。また「WA」には「人とコンピュータの調和」、「COM」には「コミュニケーション」や最近は「コミュニティ」の意味も込められている。1984年には世界初のコードレス・ペンタブレット製品を発表した。1987年にはプロフェッショナル用グラフィックス・ペンタブレットの「SDシリーズ」が発売され、ウォルト・ディズニーに映画制作で使用された。その後も地道に製品の改良を重ね、クリエイター向けペンタブレット市場では、2000年代以降マーケットリーダーとしての地位を確立した。
1991年にはペン・センサーコンポーネント分野(現 「テクノロジーソリューション事業」)にも進出した。同社のデジタルペンやコントロールIC、タッチパネル等の部品やモジュールを完成品メーカーにOEM供給しており、タブレット・ノートPCやスマートフォン向けの市場拡大に乗って急成長を遂げた。
証券市場には2003年4月に日本証券業協会JASDAQ市場に上場した後、2005年12月に東京証券取引所第1部に上場して現在に至る(2022年4月より東証プライム市場へ移行)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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