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ワコム Research Memo(4):2026年3月期中間期はブランド製品事業の黒字転換により、増益を達成
配信日時:2025/12/08 13:04
配信元:FISCO
*13:04JST ワコム Research Memo(4):2026年3月期中間期はブランド製品事業の黒字転換により、増益を達成
■ワコム<6727>の決算概要
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比10.3%減の51,394百万円、営業利益が同6.9%増の5,854百万円、経常利益が同22.0%増の5,838百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同19.2%増の4,137百万円と、減収ながら増益を達成した。通期予想に対しても順調に進捗した。
減収となったのは、前年同期よりも円高に進んだことや米国関税の影響(合計で約25.7億円の減収要因)に加え、「テクノロジーソリューション事業」のOEM顧客からの需要動向の変化が主因である。一方、この数年苦戦してきた「ブランド製品事業」については新製品投入効果により第2四半期で増収に転じた。
損益面でも、円高及び米国関税の影響(合計約5.2億円の減益要因)が重荷となったものの、「ブランド製品事業」の事業構造改革に伴う固定費削減や新製品投入効果により研究開発費の増加等もカバーし、増益を実現した。営業利益率も11.4%(前年同期は9.6%)と10%を超える水準に戻ってきた。
財政状態については、技術・資本提携に伴う出資(合計4億円)を除くと特筆すべき変動はなく、総資産は前期末比0.6%増の71,222百万円とほぼ横ばいで推移した※。一方、自己資本については、利益準備金の積み増しにより同7.9%増の33,297百万円に増加し、自己資本比率は46.8%(前期末は43.6%)に改善した。
※ 2025年5月16日付けで自己株式11,000,000株の消却を実施した。
2. 事業別の業績概要
(1)テクノロジーソリューション事業
売上高は前年同期比13.1%減の36,914百万円、セグメント利益は同18.9%減の7,561百万円となった。販売数量の減少に加え、円高及び米国関税の影響により減収減益となった。ただ、セグメント利益率は20.5%(前年同期は21.9%)と依然として高水準であり、収益構造自体に変化はない。OEM顧客からの需要動向の変化は、主に主要顧客であるサムスン電子の一部モデルの仕様変更が主因のようだ。ただ、GalaxyシリーズにおけるSペンの位置付けに変わりはなく、今後も新ユースケースの共同開発等を通じて、ペン対応デバイスのポートフォリオの拡充や利用シーンの増加につなげていく考えだ。
(2)ブランド製品事業
売上高は前年同期比2.3%減の14,480百万円、セグメント利益は924百万円(前年同期は1,106百万円の損失)と微減収ながら大幅な損益改善により黒字転換となった。売上高は、新製品投入※により第2四半期で増収に転じたものの、中間期全体ではわずかに減収となった。損益面では、これまで進めてきた事業構造改革による固定費削減や新製品投入に伴う販売数量の増加により大幅な損益改善(黒字転換)を実現した。
※ ハイエンドのペンタブレット製品「Wacom Intuos Pro」、ミドルレンジのディスプレイ製品「Wacom Cintiq」、ポータブルクリエイティブ新製品「Wacom MovinkPad 11」がともに順調に推移した。
3. 2026年3月期中間期の総括
2026年3月期中間期を総括すると、為替や関税など外部要因によるマイナスの影響を大きく受けながらも、「ブランド製品事業」の事業構造改革が実を結び、増益を実現したことに尽きるだろう。特に、収益体質の改善(損益分岐点の引き下げ)及び新カテゴリー製品の順調な立ち上がりを確認できたところは、今後に向けて収益への寄与が見込まれる。また、活動面でも、技術・資本提携などにより、中期経営計画「Wacom Chapter 4」で掲げる新ユースケースの開拓に向けて、具体的な方向性の一端を示すことができた。
■トピックス
次世代の技術開発や新ユースケースの開拓に向け、技術・資本提携を推進。サステナビリティ開示やIR情報発信にも新たな取り組み
1. 技術・資本提携の推進
新中期経営計画「Wacom Chapter 4」の戦略軸に沿った取り組みとして、同社グループが持つデジタルペンの技術価値や各要素を「ペンとインクの統合体験」として市場実装するため、次世代の成長エンジンとなる技術開発に向け、積極的な投資や提携を推進している。2025年4月にはSYNCORE TECHNOLOGY CO.,LTD.に3億円を出資し、2025年5月には医療現場のメディカルワークフローにおける「かく」体験を共創するため、Holoeyes(株)に1億円を出資した。また、2025年8月には世界的オープンソース3D制作ソフトウェア「Blender」を開発した非営利団体Blender Foundationとの戦略的パートナーシップを強化するため、Blender開発基金プログラムの支援を最高ランクのPatronレベルに引き上げた。Blender Foundationとは共同開発(モバイル版Blenderやペンとタッチ体験向上等)や共同コミュニティ活動(イベント・教育支援等)での協業も進めている。そして、これらの取り組みの進捗を示すショーケースとして、2025年11月には多様な領域のパートナーと共創するコミュニティイベント「Connected Ink 2025」を開催し、コミュニティや領域ごとに強みを持つパートナーとの連携を通して、デジタルペンとデジタルインクのユースケースを拡大していくことを発信した。また、本イベント開催と併せて、IR情報の発信にも注力し、投資家・株主向けにCEOによるIRガイドツアーやIR radioを企画した。
2. サステナビリティ開示への取り組み
サステナビリティの取り組みについては、中期経営計画「Wacom Chapter 4」を補足するため、2025年6月に「Wacom Story Book Issue 2 『薄い本』」を発行している。この「Wacom Story Book」シリーズは、同社に関わる人々の多様なストーリーを収録し、「Issue 2」では、4つのテーマ「Chapter 4 サイドストーリー」「コミュニティと共に、生きる」「わたしたちのサステナビリティ」「わたしたちのガバナンス」の小冊子で構成されており、アンソロジー(選集)形式の読み物として構成されている。また、四半期決算などの開示資料だけでは伝えきれない情報については、ワコムIR専用のYouTubeチャンネル“#WacomIR Bookmark”を開設するなど新たなIR情報発信の強化に乗り出している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比10.3%減の51,394百万円、営業利益が同6.9%増の5,854百万円、経常利益が同22.0%増の5,838百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同19.2%増の4,137百万円と、減収ながら増益を達成した。通期予想に対しても順調に進捗した。
減収となったのは、前年同期よりも円高に進んだことや米国関税の影響(合計で約25.7億円の減収要因)に加え、「テクノロジーソリューション事業」のOEM顧客からの需要動向の変化が主因である。一方、この数年苦戦してきた「ブランド製品事業」については新製品投入効果により第2四半期で増収に転じた。
損益面でも、円高及び米国関税の影響(合計約5.2億円の減益要因)が重荷となったものの、「ブランド製品事業」の事業構造改革に伴う固定費削減や新製品投入効果により研究開発費の増加等もカバーし、増益を実現した。営業利益率も11.4%(前年同期は9.6%)と10%を超える水準に戻ってきた。
財政状態については、技術・資本提携に伴う出資(合計4億円)を除くと特筆すべき変動はなく、総資産は前期末比0.6%増の71,222百万円とほぼ横ばいで推移した※。一方、自己資本については、利益準備金の積み増しにより同7.9%増の33,297百万円に増加し、自己資本比率は46.8%(前期末は43.6%)に改善した。
※ 2025年5月16日付けで自己株式11,000,000株の消却を実施した。
2. 事業別の業績概要
(1)テクノロジーソリューション事業
売上高は前年同期比13.1%減の36,914百万円、セグメント利益は同18.9%減の7,561百万円となった。販売数量の減少に加え、円高及び米国関税の影響により減収減益となった。ただ、セグメント利益率は20.5%(前年同期は21.9%)と依然として高水準であり、収益構造自体に変化はない。OEM顧客からの需要動向の変化は、主に主要顧客であるサムスン電子の一部モデルの仕様変更が主因のようだ。ただ、GalaxyシリーズにおけるSペンの位置付けに変わりはなく、今後も新ユースケースの共同開発等を通じて、ペン対応デバイスのポートフォリオの拡充や利用シーンの増加につなげていく考えだ。
(2)ブランド製品事業
売上高は前年同期比2.3%減の14,480百万円、セグメント利益は924百万円(前年同期は1,106百万円の損失)と微減収ながら大幅な損益改善により黒字転換となった。売上高は、新製品投入※により第2四半期で増収に転じたものの、中間期全体ではわずかに減収となった。損益面では、これまで進めてきた事業構造改革による固定費削減や新製品投入に伴う販売数量の増加により大幅な損益改善(黒字転換)を実現した。
※ ハイエンドのペンタブレット製品「Wacom Intuos Pro」、ミドルレンジのディスプレイ製品「Wacom Cintiq」、ポータブルクリエイティブ新製品「Wacom MovinkPad 11」がともに順調に推移した。
3. 2026年3月期中間期の総括
2026年3月期中間期を総括すると、為替や関税など外部要因によるマイナスの影響を大きく受けながらも、「ブランド製品事業」の事業構造改革が実を結び、増益を実現したことに尽きるだろう。特に、収益体質の改善(損益分岐点の引き下げ)及び新カテゴリー製品の順調な立ち上がりを確認できたところは、今後に向けて収益への寄与が見込まれる。また、活動面でも、技術・資本提携などにより、中期経営計画「Wacom Chapter 4」で掲げる新ユースケースの開拓に向けて、具体的な方向性の一端を示すことができた。
■トピックス
次世代の技術開発や新ユースケースの開拓に向け、技術・資本提携を推進。サステナビリティ開示やIR情報発信にも新たな取り組み
1. 技術・資本提携の推進
新中期経営計画「Wacom Chapter 4」の戦略軸に沿った取り組みとして、同社グループが持つデジタルペンの技術価値や各要素を「ペンとインクの統合体験」として市場実装するため、次世代の成長エンジンとなる技術開発に向け、積極的な投資や提携を推進している。2025年4月にはSYNCORE TECHNOLOGY CO.,LTD.に3億円を出資し、2025年5月には医療現場のメディカルワークフローにおける「かく」体験を共創するため、Holoeyes(株)に1億円を出資した。また、2025年8月には世界的オープンソース3D制作ソフトウェア「Blender」を開発した非営利団体Blender Foundationとの戦略的パートナーシップを強化するため、Blender開発基金プログラムの支援を最高ランクのPatronレベルに引き上げた。Blender Foundationとは共同開発(モバイル版Blenderやペンとタッチ体験向上等)や共同コミュニティ活動(イベント・教育支援等)での協業も進めている。そして、これらの取り組みの進捗を示すショーケースとして、2025年11月には多様な領域のパートナーと共創するコミュニティイベント「Connected Ink 2025」を開催し、コミュニティや領域ごとに強みを持つパートナーとの連携を通して、デジタルペンとデジタルインクのユースケースを拡大していくことを発信した。また、本イベント開催と併せて、IR情報の発信にも注力し、投資家・株主向けにCEOによるIRガイドツアーやIR radioを企画した。
2. サステナビリティ開示への取り組み
サステナビリティの取り組みについては、中期経営計画「Wacom Chapter 4」を補足するため、2025年6月に「Wacom Story Book Issue 2 『薄い本』」を発行している。この「Wacom Story Book」シリーズは、同社に関わる人々の多様なストーリーを収録し、「Issue 2」では、4つのテーマ「Chapter 4 サイドストーリー」「コミュニティと共に、生きる」「わたしたちのサステナビリティ」「わたしたちのガバナンス」の小冊子で構成されており、アンソロジー(選集)形式の読み物として構成されている。また、四半期決算などの開示資料だけでは伝えきれない情報については、ワコムIR専用のYouTubeチャンネル“#WacomIR Bookmark”を開設するなど新たなIR情報発信の強化に乗り出している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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