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明日の株式相場に向けて=物色意欲旺盛、燃え上がる材料株相場

配信日時:2025/11/27 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比608円高の5万0167円と続急伸。早いものできょうは11月の権利落ち日に当たり、受け渡しベースで実質的な師走相場入りとなった。くしくもそれに合わせるように終値で5万円台を回復した。  振り返って11月相場はかなり逆風の強い環境を強いられたが、10月相場で急激な上げ足が披露された反動として考えれば、テクニカル的には予想された調整パターンであったともいえる。今年の日経平均は4月初旬に波乱に見舞われたのだが、その後は順調過ぎるくらいの強力な上昇トレンドを描いてきた。なまじ25日移動平均線がテクニカル的なサポートラインとして約半年にわたって機能してきたこともあって、今月の半ばにここを下回ってきたことは弱気筋仕様でセンセーショナルに喧伝されやすかった。しかし、これはあくまで潮流が変化するひとつの可能性を示唆しているに過ぎない。実際11月の下落は今のところ終値ベースの最大カイ離値でみても3700円程度だが、10月に7500円相当の上昇を示したことを考えると、その半値押しにとどまっている。きょうの戻りで25日線とのマイナスカイ離も解消される形となっており、ここぞとショートを乗せた筋はまたもや慌てて店じまいを強いられるような状況となった。  とはいえ過去のデータでは直近10年間(2015~24年)を振り返って、日経平均は11月に月間ベースで9勝1敗、月足陽線9回という圧倒的な勝率であったのだが、今年は今のところ陰線に終わる可能性が高そうである。では12月はどうかというと、過去10年間は5勝5敗のイーブンであった。「餅つき相場」や「掉尾の一振」という言葉もあるように、年末は盛り上がるイメージが強いが実際はそうでもない。昨年は11月、12月ともに陽線であったが、今年は何といっても10月の大陽線のインパクトが強烈であり、大立回りで12月にもう1本大陽線を引くパターンは“人間の感覚的”には期待しにくいところだ。ただ、かといって大陰線を引くとも思えないのである。  12月は米株市場では9~10日の日程で行われるFOMCが注目されるが、25ベーシスの利下げが濃厚とみられ、これが強気筋の拠りどころとなっている。また、次期FRB議長人事ではトランプ米大統領の腹心と言われるケビン・ハセット国家経済会議委員長が有力視されているが、ハセット氏が金融緩和に前向きであることはいうまでもなく、中期的にも米国株にはフレンドリーな環境が担保されそうだ。米株高ならば東京市場もその恩恵をそれなりに受けることが想定される。一方、18~19日に開催される日銀金融政策決定会合については市場関係者の見方は割れているものの、現状は利上げが見送られるという見方が優勢のようである。米国ではインフレの再加速、日本では長期金利上昇と円安の同時進行というキャピタルフライトのシナリオが立ち上がると厄介ではあるが、12月の時点で悲観に傾斜する要素はそれほど強くないように見える。  全体指数はさておき、足もとで材料株物色の火が燃え広がってきた。前日にも触れたが、国家戦略技術の一角に掲げられた「バイオ・ヘルスケア」が、これまであまりスポットが当たってこなかったこともあって需給的に軽く、ホットマネーが食指を動かす対象となっているようだ。免疫生物研究所<4570.T>は既に観賞用と化しているが、きょうはトランスジェニックグループ<2342.T>に物色人気が集中した。このほかでは、足もとのファンダメンタルズも考慮したうえで、業績改善傾向の強いJCRファーマ<4552.T>を中長期投資に耐える銘柄としてマークしたい。バイオ以外では、日中関係が先鋭化するなか、中国の得意とするカードであるレアアース輸出規制に絡み、これに先んじて同分野をフィールドとする銘柄に照準を合わせるのも一法。経済安全保障の観点から国策絡みで注目となる。今年春先から当欄で継続的に取り上げてきたアサカ理研<5724.T>が満を持して大相場に発展したが、同じく「都市鉱山」関連として本領発揮が期待されるのが、エンビプロ・ホールディングス<5698.T>だ。レアアース磁石のリサイクルで、英国に本拠を置く希土類磁性材料・水素技術のリーディングカンパニーと提携するなど本腰を入れている。指標面で割安感があるほか、レアアース関連のテーマに属する銘柄の中で500円台の株価は値ごろ感が際立っている。  更に、ここ半導体メモリー価格の急上昇が市場関係者の間でも話題となっている。NANDメモリーの大御所であるキオクシアホールディングス<285A.T>は特別な存在だが、メモリー関連企業の中小型株にも漸次恩恵が及びそうである。ミナトホールディングス<6862.T>やAKIBAホールディングス<6840.T>に目を向けておきたい。  あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に10月の失業率、10月の有効求人倍率が開示されるほか、11月の都区部消費者物価指数に対するマーケットの関心が高い。また、週間の対外・対内証券売買契約、10月の鉱工業生産(速報値)、10月の商業動態統計(速報値)なども開示。前場取引時間中には3カ月物国庫短期証券の入札、2年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には10月の自動車輸出実績が発表されるほか、10月の住宅着工統計も注目度が高い。海外では7~9月期インドの実質国内総生産(GDP)が発表される。なお、米国では感謝祭の翌日に伴い、株式市場と債券市場が短縮取引となる。また、この日は米国の大規模セールイベントとして注目されるブラックフライデーにあたる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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