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明日の株式相場に向けて=バリュー&バイオの両極ローテーション

配信日時:2025/11/26 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比899円高の4万9559円と大幅続伸。前日と同様に朝方は大きく買いが先行したが、寄り後の値動きは前日とは真逆であった。きょうは前場に一方通行で水準を切り上げ、後場寄り早々の12時37分にこの日の高値4万9749円まで上値を伸ばし、この時の上げ幅は1090円に達した。最近は1000円を超える上げ下げにも慣れてきたとはいえ、先物を絡めたAI投機筋の売買がもたらすハイボラティリティ相場に、個人投資家目線でついて行くのは容易ではない。  例えば最近のNYダウは4万7000ドル近辺の推移で、日経平均とは絶対値で2000ほどしか開きがないが、終値で1000ドルを超える上げ下げはそう頻繁には起こっていない。日本の場合、値動きだけ見れば表現は悪いが“オモチャ化”している。日経平均を振り回す道具と化しているソフトバンクグループ<9984.T>だが、同社株の昨日ときょうの値動きの違いを合理的に説明することは難しく、そういう意味では主力どころの短期トレードで人間トレーダーは太刀打ちできない。  個別株戦略もシナリオが必要だ。高市トレードという理想買いの観点ではやや食傷気味であることは否めず、上値にシコリを抱えた銘柄も少なくないのだが、国策フォローが現実化するプロセスで仕切り直しの動きを想定しておきたい。そうしたなか、政府が安全保障上の重要性が高い技術として新たに指定した「国家戦略技術」が注目される。「AI・先端ロボット」「量子」「半導体・通信」「バイオ・ヘルスケア」「核融合」「宇宙」の6分野が掲げられ、これまで高市関連の位置付けで幾度となく脚光を浴びてきた投資テーマでもあるが、銘柄的にはこれまでよりも選別対象の裾野が広がってきた感もあるだけに、改めてアンテナを高くして株高修正の動きを捉えたい。  6分野の中ではこれまで比較的光の当たり具合が弱めであった、バイオ・ヘルスケアに絡む銘柄に大相場に発展する銘柄が輩出されている。当欄でも折に触れて何度か取り上げてきた免疫生物研究所<4570.T>だが、突然変異的な急騰劇を演じた。500円未満で推移していた株価は今月5日にストップ高に買われたが、これが号砲となって13日以降は火柱高とでも形容すべき連日のS高ラッシュに突入。あっという間に2000円台まで駆け上がった。熊本大学、医薬基盤・健康・栄養研究所、CURED(熊本市)と出願していた「抗HIV抗体及びその製造方法」について、米国特許庁から特許査定の通知を受領したことを発表し、これが起爆剤となったのだが、それにしても予想だにしない大化けである。もちろん、どこかで行き過ぎて買われた反動が出ることは不可避だが、バイオ関連には、こうしたファンダメンタルズを切り離した大相場が繰り広げられる銘柄が少なくない。  バイオ分野でマークしたい低位株にトランスジェニックグループ<2342.T>がある。創薬研究用に使われるマウスを提供する会社だが、日本が打ち出すバイオ戦略技術の分野において、同社は今後重要なポジションを占める可能性がある。株価は低位で流動性が高いため、全員参加型材料株というと懐かしい響きだが、その素地を内包している。また、ここにわかに動兆著しいのが、ファインデックス<3649.T>だ。同社は医療用データの管理システム(ソフトウェア)を開発しており、その実力は国公立大学病院の8割近くが同社の医療システムを導入しているという事実に反映されている。株価はきょう9カ月半ぶりに年初来高値を更新したが、4ケタ大台を地相場とする展開に無理はなく、一段の上値余地が意識されそうだ。このほかコスモ・バイオ<3386.T>もマークしたい。抗体やタンパク質などを中心とした研究用試薬を扱う商社で受託解析サービスなども展開する。バイオ専門商社という業態は見えにくさもあるが、25年12月期は営業54%増益の4億9000万円予想と好調が見込まれ、株主還元に積極的な点にも意外性がある。配当利回りは3.6%前後と高い。  バイオに限らず個別株物色意欲は旺盛であり、低PBRをベースとしたバリュー株への投資資金誘導の流れも引き続き健在である。低PBR株は株価が中低位に位置する銘柄との相性がよい。ともすればPBR1倍を目指す動きと1000円大台乗せを目標とする動きがオーバーラップしやすい面があるためだ。ここで目を向けておきたいのがJ-MAX<3422.T>である。ホンダ系の自動車用プレス部品メーカーだが、トヨタの新型EVやSUV(スポーツ用多目的車)部品を受注するなど業容拡大効果が発現している。時価予想PER6倍台は税免除に伴うイレギュラーで額面通りの割安さではないが、有配を維持しているにもかかわらずPBR0.3倍台と解散価値の3分の1の水準に放置されている現状は大幅な見直し余地を内包している。  あすのスケジュールでは、前場取引時間中に日銀の野口審議委員が大分県金融経済懇談会挨拶を行う(野口氏は後場取引時間中に記者会見を予定)。このほか10月の建機出荷が開示され、プライマリー・ディーラー(国債市場特別参加者)会合が行われる。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にHUMAN MADE<456A.T>が新規上場する。海外では1~10月の中国工業企業利益が発表されるほか、韓国中銀の金融通貨委員会で政策金利が発表される。なお、米国は感謝祭の祝日に伴い株式市場、債券市場ともに休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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