みんかぶニュース 市況・概況

明日の株式相場に向けて=エヌビディア、史上最大決算プレーの行方

配信日時:2025/11/19 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比165円安の4万8537円と4日続落。取引開始直後から大引けまで気迷い続けたうえ、結局安く引けた感じである。日経平均は直近4営業日合計で2700円超水準を切り下げた。  現地時間19日に米半導体大手エヌビディア<NVDA>の25年8~10月期決算が開示される。売上高・最終利益ともに6割程度の驚異的な伸びが見込まれているが、果たしてどうなるか。日本時間ではあす午前7時のタイミングとなる。つまりエヌビディア決算の影響を最初に反映するのが、東京市場に上場するAI・半導体セクターということになるが、その際にはいうまでもなく、エヌビディアの時間外取引の株価動向に振り回されることになる。もし時間外で買われれば、アドバンテスト<6857.T>や東京エレクトロン<8035.T>、ディスコ<6146.T>といった大手製造装置メーカーをはじめとする半導体セクターへの買いを誘導し、日経平均も大きく切り返すことになる。だが、エヌビディアが売りの洗礼を浴びるようなら、東京市場の半導体主力株も一段と下値模索の憂き目に遭うことは避けられない。  いずれにしてもマーケットの視線はエヌビディアの決算内容に集中している。もっともAI関連相場の先行きを左右する天下分け目のビッグイベントのようにも位置付けられているが、この決算を通過した後に、相場が必ずしも強気もしくは弱気どちらか一辺倒に傾くということでもなさそうだ。個別オプション取引などの絡みもあって、エヌビディア及びその周辺銘柄の株価は、否が応でもボラタイルなものとなることは確実だ。したがって、今回の決算発表を無風で通過することはなさそうだが、仮に突風が吹いたとしてもそれは刹那的なものである。例えばここから1年先のAI関連銘柄全般の株価動向まで左右するようなものとは違う。天下分け目ではないことをまず認識しておきたい。  エヌビディアの8~10月期実績については、前述のように今回も文句のつけようのない内容が予想され、市場コンセンサス、いわゆる事前予想の中央値を上回った着地となる公算も小さくない。しかし、問題はガイダンスである。ジェンスン・ファンCEOの先行きに対する強気な発言は想定されるところだが、「それでも事前予想の上限ラインの強気を超えていくような内容は期待にしにくく、難癖のつけようはいくらでもある」(準大手証券アナリスト)ため、株価的にはやはり下げ圧力が働きやすいとみる向きが市場関係者には多い。  しかし、一方でこういう話しも聞かれる。「米国では個人投資家が足もとでエヌビディアの空売りに走っており、にわかに純カラ(ヘッジ目的ではないショート)が積み上がった状況」(ネット証券マーケットアナリスト)という。いかなる好決算であっても収益規模が大きくなるにつれ伸び率が鈍化するのは避けられず、そうしたイメージが醸成される中で、直近のエヌビディアの日足チャートはこれまでサポートラインとして機能し続けてきた75日移動平均線を下抜ける寸前まで来ている。誰が見てもいかにも下に行きたがっているチャートである。ここを下放れればトレンド転換が意識されやすく、同社株を保有する投資家心理としていったん利益を確定しておきたいという気持ちになるのは当然であり、逆にホルダーではない投資家にすれば、それに付け込んで今のタイミングで売りから入れば首尾よく利を収められるのではないか、という思惑が浮上しているのだ。  今はAIトレードによる影響力が個別株にも広く及んでいるが、エヌビディアの空売りに走る個人投資家が急増するなか、「それをターゲットに踏み上げを狙う方向で、AIアルゴのスイッチが入る可能性が結構高い」(前出のアナリスト)という。AIの得意技は虚をついた攻撃的な売買である。皆がエヌビディアの株価は下がると思っているからこそ、その逆目を出すことで狼狽売りならぬ“狼狽買い戻し”を誘発する。エヌビディアの決算内容やファンCEOのガイダンスはおおむね想定内であれば、要は株価に対するアプローチは実はマーケット側に委ねられている。「今回は予想に反して株価のベクトルは上向き」(前出のマーケットアナリスト)という見立ては少数派だが、相応に説得力はある。ただし、注意しなければいけないのは、あすの時間外取引からエヌビディアの株価が上昇したとしても、むしろ史上最大の決算プレーが終わった後、しばらくして下方向への巻き戻しが生じる可能性である。エヌビディア決算はAI・半導体関連相場の帰趨を決めることはないが、イレギュラーを誘う強力なノイズであることに変わりはない。  あすのスケジュールでは、対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引終了後には10月の首都圏マンション販売が発表される。また、前場取引時間中に日銀小枝審議委員が新潟県の金融経済懇談会で挨拶を行う(小枝審議委員は午後に記者会見予定)。後場取引時間中には10月の主要コンビニエンスストア売上高が発表される。取引時間終了後に日本取引所グループ<8697.T>の山道CEOの会見が予定されている。海外では11月の中国最優遇貸出金利が決定されるほか、南アフリカで金融政策委員会が行われる。米国では11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月の景気先行指数(流動的)、10月の中古住宅販売件数など。なお、この日はFRBのクックFRB理事が講演を行う予定。米企業の決算発表ではウォルマート<WMT>に注目度が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS

Copyright (C) MINKABU, Inc. All rights reserved.

ニュースカテゴリ