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明日の株式相場に向けて=売り仕掛け炸裂、本気の逆張りは時期尚早
配信日時:2025/11/18 17:30
配信元:MINKABU
きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1620円安の4万8702円と大幅安で3日続落。にわかに全体指数に対する売り圧力が顕著となっている。日経平均は前日こそ朝安後に持ち直す動きで小幅な下げにとどまったが、きょうはそういうわけにはいかなかった。サポートラインの25日移動平均線を大陰線で下抜け、早晩5日・25日移動平均線のデッドクロスも示現しそうである。
前日は台湾有事に絡む高市首相の発言にかみついた中国当局が、中国国民の渡航に注意喚起を行い、これを嫌気する形でインバウンド関連に売りがかさみ、投資マインドを悪化させた。しかし、その一方でソフトバンクグループ<9984.T>やアドバンテスト<6857.T>といったAI・半導体関連が頑強な値動きを維持し全体を支えた。前日の当欄では、仮にAI・半導体関連がリスクオフに晒されるような状況と重なっていたら、日経平均は強烈な下げ相場に遭遇することになっていたとしたが、皮肉なことにきょうはまさにそのパターンとなってしまった。現地時間19日に半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算発表を控えており、足もとで買いを積極的には入れにくい時間軸にあることは確かだが、とはいえ見切り発車で大きく売りに傾くとも思えないタイミングではあった。しかし、そうした事情などお構いなく主力どころに大口の売りが浴びせられたことは、押し目買いを躊躇させるだけのインパクトがある。ショート筋の暗躍によって相場の先行きに暗雲が漂っている。
直近の東京市場は、青天の霹靂と言えるほど予想だにしないタイミングで悪材料を四方八方から被弾しているような状況に陥っている。10年債利回りがリーマン・ショック前の水準である1.75%台まで上昇し、株式市場の相対的な割高感が意識されているが、それだけではない。長期金利が急ピッチに切り上がる環境、いわゆる債券売りの圧力が加速度的に強まるなかで円も急速に売られ、株も大きく売り叩かれるという難局に見舞われている。以前にトランプ関税問題で世界が揺れていたさなか、米国株市場の軟調が際立っていた時期がある。この時にメディアで喧伝された米国の「トリプル安」が、今の日本市場に飛び火したようなイメージである。加えて、米国ではAI関連の行方を占う最大級のビッグイベントと化しているエヌビディアの決算発表を目前に控えている。当のエヌビディアが決算前に冴えない値動きで不安を煽り、東京市場でも値ごろ感だけでAI関連や半導体セクターの主力どころに積極姿勢を示すには根拠が伴わない。
「売り方の立場で利を得るにはサナエノミクスの否定が最も手っ取り早い」(中堅証券ストラテジスト)という市場関係者の指摘もある。よく比喩表現で使われるのは、高市首相が英国史上初の女性宰相となったサッチャー氏の日本バージョンを目指すなかで、同じく英国で首相の座を射止めたものの、わずか1カ月半の天下となったトラス氏をなぞらえる方向に世間の評価を持っていけば株価は暴落するというものだ。その際に長期金利の急上昇は極めて象徴的な事象で、同時進行で円安も進めば、日本からのキャピタルフライト(資金逃避)を連想させる。それを狙っているフシがあるという。
中国の影響力は永田町にも浸透していて、日本の政局を動かす地盤がある。売り方にすれば台湾有事絡みでバランスを崩している今がチャンスという思惑も働く。そうしたなか、きょうは高市首相と植田日銀総裁が初会談に臨んだが、金融政策正常化に向けた動きがリリースされたとして、どう転んでもネガティブな解釈に持っていかれる可能性があるのは厄介である。そして後門の狼は米国でのAIバブル懸念だ。エヌビディア決算というビッグイベント絡みで、AI・半導体関連に対する警戒感がかなり高まっている。足もとでビットコインが急落していることもキナ臭さを漂わせ、トランプ効果の剥落とともにリスクマネーの反転逆流を示唆していることは気がかりだ。
そして、東京市場で株式需給面に目を向けると、ネット証券大手の店内では「先物も個別株も個人投資家の信用買い残がパンパンに膨れた状態にあり針一本で弾けそうな状態。一方で空売り筋は、これまでの踏み上げ相場に懲りて手を拱(こまね)いていたため売り残は相対的に軽い」(同証券マーケットアナリスト)という。ショート戦略をとる側にこれだけ有利な条件が揃うと日経平均4万8000円台といえども、値ごろ感だけでは安易に手を出しにくい。現状は打診買いにとどめるところで、全力で買い向かっては怪我をする可能性が高い。セクターの選別も難しいため、ここはNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570.T>の買い下がりが一つの策戦として有効といえる。
あすのスケジュールでは、9月の機械受注、10月の貿易統計がいずれも朝方取引開始前に発表されるほか、前場取引時間中に1年物国庫短期証券の入札と20年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には日銀が10月の実質輸出入の動向を開示する。日比野日証協会長の会見も予定されている。海外ではインドネシア中銀が政策金利を発表、9月のユーロ圏経済収支、10月の英消費者物価指数(CPI)などが開示される。米国では20年国債の入札が行われるほか、FOMC議事要旨(10月28日~29日開催分)への注目度が高い。なお、この日はウィリアムズNY連銀総裁の講演も予定されている。このほか、個別にエヌビディアの8~10月決算発表にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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