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TKP Research Memo(4):コロナ禍の影響で業績は一旦後退するも、足元業績はコロナ禍前を上回る水準へ
配信日時:2025/11/18 11:04
配信元:FISCO
*11:04JST TKP Research Memo(4):コロナ禍の影響で業績は一旦後退するも、足元業績はコロナ禍前を上回る水準へ
■ティーケーピー<3479>の決算概要
1. 過去の業績推移
コロナ禍前の2020年2月期までの業績を振り返ると、会議室数の拡大が同社の成長をけん引し、年間20%以上の増収を継続してきた。また、連結決算に移行した2015年2月期以降は、上位グレードの貸会議室の出店拡大とともに、料飲及び宿泊、各種オプションなどの周辺サービスによる単価向上が業績の底上げに貢献した。さらに、2020年2月期には、日本及び台湾リージャスの連結子会社化により事業規模が大きく拡大した。2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により業績は一旦後退し、新規出店等も抑えてきた。また、2023年2月には需要回復を見据えた経営資源の集中及び高収益モデルをさらに進化させるべくリージャス事業の売却にも踏み切った。ただ、2024年2月期からは新規出店の再開や大型増床など成長回帰に向けた動きが本格化すると、2025年2月期はM&A効果も重なったことでコロナ禍前の水準を上回り、過去最高売上高を更新した。
利益面では、事業拡大に伴う費用(減価償却費や人件費等)に加え、日本及び台湾リージャス買収に伴い発生した費用(のれん償却費等)の増加などがあったものの、2020年2月期までは増収に伴って増益基調をたどってきた。2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により利益面も低調に推移していたが、2024年2月期は売上高の回復とともに経常利益はほぼコロナ禍前の水準に回復すると、2025年2月期は過去最高経常利益を更新した。
財務面に目を向けると、自己資本比率はしばらく右肩下がりで推移していたが、2017年3月の株式上場に伴う公募増資(約16億円)により、2018年2月期末には24.9%に改善した。また、公募増資等(約234億円の資金調達)による財務基盤の強化を図ったことで、2020年2月期の自己資本比率は30.4%に改善した。さらに2021年2月期には新株予約権による資金調達(約83億円)を実現したこと、2023年2月期にはリージャス事業の売却により資産圧縮を図ったことにより、2024年2月期末の自己資本比率は50.4%の水準に一旦上昇したものの、2025年2月期末はM&Aに伴う有利子負債の増加等により自己資本比率は34.1%に低下した。
一方、資本効率を示すROEについては、「持たざる経営」を基本方針としていることに加え、利益率の高い事業モデルであることから高水準で推移してきた。ただ、2020年2月期以降、ROEが低下傾向をたどったのは、ホテル事業の進展や日本リージャスの買収などに伴う先行投資に加え、コロナ禍の影響も重なったことが理由である。特に2021年2月期及び2022年2月期については、コロナ禍の影響により最終損失を計上したこと、さらに2023年2月期はリージャス事業の売却に伴う事業整理損の計上などにより、ROEは3期連続でマイナスとなった。2024年2月期以降は収益力の回復により大幅に改善している。
2026年2月期中間期は好調な需要の取り込みと連結効果により過去最高業績を更新
2. 2026年2月期中間期の業績
2026年2月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比146.0%増の49,898百万円、営業利益が同18.5%増の3,239百万円、経常利益が同7.8%増の2,827百万円、親会社株主に帰属する中間純利益(以下、中間純利益)が同33.0%減の1,623百万円と大幅な増収及び増益(中間純利益を除く)となり、売上高は過去最高を更新した。なお、中間純利益のみ減益となったのは税効果のはく落によるものであり、想定内であった。
売上高は、オフィス回帰に伴う期間貸しや、研修・採用関連・会議などコロナ後の対面イベントの需要回復のほか、新規出店を含むホテル・宿泊研修事業の拡大により同社本体(空間再生流通事業)が順調に伸長した。また、リリカラ及びノバレーゼの連結効果も増収に大きく寄与した(2社合計で約250億円の上乗せ要因)※。サービス別売上高を見ても、「会議室料」及び「宿泊」を軸にバランスよく伸びている。フレキシブルスペース事業のKPIである「坪当たり売上高」についても、第1四半期、第2四半期ともに前年同期を上回って推移した。また、ホテル・宿泊研修事業のKPIである「RevPAR(客室当たりの収益)」についても、第1四半期、第2四半期ともに高水準を維持した。
※ リリカラ事業の売上高は15,345百万円、セグメント損失は127百万円、ノベレーゼ事業の売上高は9,705百万円、セグメント利益は124百万円となった。リリカラは季節性の影響もありやや苦戦したものの、下期でのリカバリーを見込んでいる。ノバレーゼは好調で、業績予想を上回って進捗した。
利益面では、収益性の高い期間貸しの受注拡大やコロナ禍で外注化したオペレーションの再内製化により原価率の改善が進捗した。一方、販管費は積極的な新規出店に伴う初期費用(先行費用)により一時的に大きく増加したものの、増収による収益の押し上げや原価率の改善によりカバーし、増益を確保した。
財政状態については、ホテルの取得やノバレーゼの新規出店等により総資産は前期末比7.1%増の129,960百万円に拡大した。一方、自己資本は社外流出(自己株式取得)が内部留保(利益準備金の積み上げ)を上回ったことで前期末比5.5%減の39,084百万円に縮小し、自己資本比率も30.1%(前期末は34.1%)に低下した。
3. 2026年2月期中間期の総括
2026年2月期中間期を総括すると、好調な需要を取り込み、過去最高売上高を更新したことに加え、損益面でも積極的な新規出店に伴う費用増を収益性の改善でカバーし増益を確保したところは、今後に向けても評価できるポイントである。特に収益性の高い期間貸しの伸びやオペレーションの内製化による構造的な変化については、上振れ要因として注視する必要があるだろう。2026年2月期は、リリカラ及びレパノーゼによる連結業績への影響、並びにfabbit取得に伴う出店戦略への効果に注目していたが、子会社2社による営業利益以下への影響は限定的であり、今後いかにグループシナジー創出を通じて業績に貢献していくのかが課題及び伸びしろと言えるだろう。また、fabbitについてはTKP(貸会議室)との複合出店などを通じて早くも存在感を示しており、空間再生流通事業における新たなドライバーとしての期待が高まる。活動面においても、第3四半期以降の出店予定分を含め、今後の業容拡大に向けて一定の成果をあげた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 過去の業績推移
コロナ禍前の2020年2月期までの業績を振り返ると、会議室数の拡大が同社の成長をけん引し、年間20%以上の増収を継続してきた。また、連結決算に移行した2015年2月期以降は、上位グレードの貸会議室の出店拡大とともに、料飲及び宿泊、各種オプションなどの周辺サービスによる単価向上が業績の底上げに貢献した。さらに、2020年2月期には、日本及び台湾リージャスの連結子会社化により事業規模が大きく拡大した。2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により業績は一旦後退し、新規出店等も抑えてきた。また、2023年2月には需要回復を見据えた経営資源の集中及び高収益モデルをさらに進化させるべくリージャス事業の売却にも踏み切った。ただ、2024年2月期からは新規出店の再開や大型増床など成長回帰に向けた動きが本格化すると、2025年2月期はM&A効果も重なったことでコロナ禍前の水準を上回り、過去最高売上高を更新した。
利益面では、事業拡大に伴う費用(減価償却費や人件費等)に加え、日本及び台湾リージャス買収に伴い発生した費用(のれん償却費等)の増加などがあったものの、2020年2月期までは増収に伴って増益基調をたどってきた。2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により利益面も低調に推移していたが、2024年2月期は売上高の回復とともに経常利益はほぼコロナ禍前の水準に回復すると、2025年2月期は過去最高経常利益を更新した。
財務面に目を向けると、自己資本比率はしばらく右肩下がりで推移していたが、2017年3月の株式上場に伴う公募増資(約16億円)により、2018年2月期末には24.9%に改善した。また、公募増資等(約234億円の資金調達)による財務基盤の強化を図ったことで、2020年2月期の自己資本比率は30.4%に改善した。さらに2021年2月期には新株予約権による資金調達(約83億円)を実現したこと、2023年2月期にはリージャス事業の売却により資産圧縮を図ったことにより、2024年2月期末の自己資本比率は50.4%の水準に一旦上昇したものの、2025年2月期末はM&Aに伴う有利子負債の増加等により自己資本比率は34.1%に低下した。
一方、資本効率を示すROEについては、「持たざる経営」を基本方針としていることに加え、利益率の高い事業モデルであることから高水準で推移してきた。ただ、2020年2月期以降、ROEが低下傾向をたどったのは、ホテル事業の進展や日本リージャスの買収などに伴う先行投資に加え、コロナ禍の影響も重なったことが理由である。特に2021年2月期及び2022年2月期については、コロナ禍の影響により最終損失を計上したこと、さらに2023年2月期はリージャス事業の売却に伴う事業整理損の計上などにより、ROEは3期連続でマイナスとなった。2024年2月期以降は収益力の回復により大幅に改善している。
2026年2月期中間期は好調な需要の取り込みと連結効果により過去最高業績を更新
2. 2026年2月期中間期の業績
2026年2月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比146.0%増の49,898百万円、営業利益が同18.5%増の3,239百万円、経常利益が同7.8%増の2,827百万円、親会社株主に帰属する中間純利益(以下、中間純利益)が同33.0%減の1,623百万円と大幅な増収及び増益(中間純利益を除く)となり、売上高は過去最高を更新した。なお、中間純利益のみ減益となったのは税効果のはく落によるものであり、想定内であった。
売上高は、オフィス回帰に伴う期間貸しや、研修・採用関連・会議などコロナ後の対面イベントの需要回復のほか、新規出店を含むホテル・宿泊研修事業の拡大により同社本体(空間再生流通事業)が順調に伸長した。また、リリカラ及びノバレーゼの連結効果も増収に大きく寄与した(2社合計で約250億円の上乗せ要因)※。サービス別売上高を見ても、「会議室料」及び「宿泊」を軸にバランスよく伸びている。フレキシブルスペース事業のKPIである「坪当たり売上高」についても、第1四半期、第2四半期ともに前年同期を上回って推移した。また、ホテル・宿泊研修事業のKPIである「RevPAR(客室当たりの収益)」についても、第1四半期、第2四半期ともに高水準を維持した。
※ リリカラ事業の売上高は15,345百万円、セグメント損失は127百万円、ノベレーゼ事業の売上高は9,705百万円、セグメント利益は124百万円となった。リリカラは季節性の影響もありやや苦戦したものの、下期でのリカバリーを見込んでいる。ノバレーゼは好調で、業績予想を上回って進捗した。
利益面では、収益性の高い期間貸しの受注拡大やコロナ禍で外注化したオペレーションの再内製化により原価率の改善が進捗した。一方、販管費は積極的な新規出店に伴う初期費用(先行費用)により一時的に大きく増加したものの、増収による収益の押し上げや原価率の改善によりカバーし、増益を確保した。
財政状態については、ホテルの取得やノバレーゼの新規出店等により総資産は前期末比7.1%増の129,960百万円に拡大した。一方、自己資本は社外流出(自己株式取得)が内部留保(利益準備金の積み上げ)を上回ったことで前期末比5.5%減の39,084百万円に縮小し、自己資本比率も30.1%(前期末は34.1%)に低下した。
3. 2026年2月期中間期の総括
2026年2月期中間期を総括すると、好調な需要を取り込み、過去最高売上高を更新したことに加え、損益面でも積極的な新規出店に伴う費用増を収益性の改善でカバーし増益を確保したところは、今後に向けても評価できるポイントである。特に収益性の高い期間貸しの伸びやオペレーションの内製化による構造的な変化については、上振れ要因として注視する必要があるだろう。2026年2月期は、リリカラ及びレパノーゼによる連結業績への影響、並びにfabbit取得に伴う出店戦略への効果に注目していたが、子会社2社による営業利益以下への影響は限定的であり、今後いかにグループシナジー創出を通じて業績に貢献していくのかが課題及び伸びしろと言えるだろう。また、fabbitについてはTKP(貸会議室)との複合出店などを通じて早くも存在感を示しており、空間再生流通事業における新たなドライバーとしての期待が高まる。活動面においても、第3四半期以降の出店予定分を含め、今後の業容拡大に向けて一定の成果をあげた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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