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和田興産 Research Memo(9):高齢者専用住宅の開発、戸建て住宅リフォーム、系統用蓄電所事業などを開始
配信日時:2025/11/17 11:09
配信元:FISCO
*11:09JST 和田興産 Research Memo(9):高齢者専用住宅の開発、戸建て住宅リフォーム、系統用蓄電所事業などを開始
■和田興産<8931>の成長戦略
2. 事業別の取り組み状況
(1) 分譲マンション販売
同社の強みを生かしつつ、足元の環境を踏まえて成長機会を創造する。強みは、地元密着型の事業展開により圧倒的な用地取得力とブランド力・企画力を持ち、常設マンションギャラリーの設置と外部委託による効率的な販売体制を構築していることにある。外部環境としては、需給の安定化、世帯数の増加(世帯当たりの人員の減少)、人手不足による建築コストの上昇などが想定される。成長機会・事業戦略として、地域エリアの拡充、共同事業(JV)による大規模プロジェクトへの取り組み、再開発などを挙げる。引渡戸数目標としては2,000戸を目途(3期間合計)としていたが、2期間の実績及び2026年2月期の計画を合計すると1,928戸となり、若干未達となる見通しだ。
新規エリア展開の取り組み状況として、2025年2月期に大阪府堺市で2棟目となる分譲マンションを発売したほか、2026年2月期には兵庫県加古川市で初めて発売するなど着実に広げており、今後も大阪府下で進出余地があると見ている。仕入活動については一定水準以上の収益性が見込めると判断した用地については積極的に仕入れていくが、市況にやや過熱感が出ていることもあり、従来以上に厳しく査定し仕入物件を選定する方針だ。
(2) 戸建て住宅販売
戸建て住宅販売の事業戦略としては、重点エリアの設定(神戸市以西の設定)、建築コスト上昇への対応、自由設計住宅の取り組みを挙げている。引渡戸数目標として、前3期間の実績の1.5倍増となる年間50戸体制の確立を第一段階として目指す計画であったが、3年間合計の引渡戸数は133戸と若干未達となる見通しだ。
新規事業として2024年2月期より、購入者の安心につながるアフターサポートの充実を目指し、リフォーム事業を開始した。2009年から開始した「ワコーレノイエ」が累計供給戸数700戸を突破しており、今後増加するリフォーム需要を取り込んでいく。受注活動についてはDMによりアプローチしている。また、分譲マンションを対象としたリフォーム事業についても検討中だ。住宅販売後のアフターサービスまで事業領域を広げることで、顧客LTVの最大化を目指す。
(3) その他不動産販売等
ここ数年間における成長分野であり、インカム及びキャピタルゲインで収益を獲得するビジネスモデルとなる。これまで培った用地仕入や賃貸付けのネットワークを最大限活用していく方針で、事業戦略としては建築コストの上昇を踏まえ最適用地を厳選し、保有年数の最適化(売却時期の検討)を推進する。引渡戸数目標は、販売戸数で600戸超(3期間合計)、保有戸数で800戸前後、年間賃貸収入6億円としている。このうち販売戸数については627戸となる見込みで、目標を達成できる見通しだ。
(4) 不動産賃貸収入
創業時から続く事業であり、レジデンス系を中心とした収益安定性の確保と中小型物件を中心としたリスク分散を図っており、95%超の高稼働率を恒常的に維持していることを強みとしている。成長機会・事業戦略として、既存築古物件の建替えやバリューアップによる賃料の見直し、他事業への転用、借地物件の取り組み、プロパティタイプの拡充などを掲げている。計画最終年度の保有戸数目標を約2,200戸としていたが、2025年8月末時点で2,063戸となっており、やや下回る見通しだ。バリューアップに関しては、豊富な実績を持つ首都圏の不動産会社に出向していた社員が復帰し、出向先で吸収したノウハウを今後生かしていく方針だ。
(5) 新規事業の取り組み
同社は、分譲マンション事業を柱に成長を続けてきたが、将来的には人口減少によって新築分譲マンションの需要も先細りになることが予想される。このため、既存事業以外にも新たな事業を育成すべく、様々な取り組みを進めている。
その1つが系統用蓄電所事業である。系統用蓄電所とは、電力会社の送配電ネットワークに接続された大型蓄電池システムのことで、電力需給の調整弁としての活用が期待されている。価格が安い電力余剰時に電力を市場で購入して蓄電し、価格が上昇する電力ひっ迫時に放電することで、売買差益を得るビジネスモデルである。中期経営計画で掲げた「社会的課題の解決に向けたソリューション機能の充実と育成」の一環として参入を決めた。丹波篠山市の蓄電所に蓄電容量7.4MWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を設置する計画で、2025年7月から一部運用を開始した。設備投資額は6億円で減価償却費や蓄電所の維持費用、電力の市場取引手数料を考慮しても一定の収益が見込める事業となる。また、同社は鹿児島県霧島市に2拠点目を開設すべく着工を開始しており(設備投資額7.8億円)、2026年5月の稼働開始を予定している。同市場への参入事業者も増加傾向にあり、同社も機会があれば拠点を増やす方針だ。
また、超高齢化社会の到来により今後の需要拡大が見込まれる高齢者向け住宅型有料老人ホームの開発も新たに開始した。第1弾として「フィオレ・ヴィータ枚方」(大阪府枚方市、全48室)を2025年3月に竣工し、4月末から入居を開始した。同物件は介護施設運営事業等を展開する(株)フルライフケアに賃貸する格好で、投資利回りは6%台を見込んでいる。また、2025年2月期に用地取得した2物件(大阪府守口市・摂津市)も含めて現在6つのプロジェクトが北大阪エリアを中心に進行しているが、いずれも竣工後は運営事業者に一括売却する予定である。
3. サステナビリティ経営の取り組み
持続的な企業価値向上に向けた対応として、サステナビリティ経営をより積極的に推進するため、サステナビリティ基本方針に基づき実現したい未来に向けて9つのマテリアリティ(重要課題)を特定した。マテリアリティのテーマは「企業価値の創出を支える基盤」「価値を生み出す資本」「創出を目指す価値」の3つの機能を担い、その解決を通じて企業理念である「共生(ともいき)」の実現を目指す方針だ。
さらにESGへの取り組みとして、「環境(E)」においてはカーボンニュートラルの達成に向けて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)マンションの導入に積極的に取り組んでおり、断熱性能の向上と省エネ設備等の導入により、住棟全体で年間の一次エネルギー消費量を20%以上削減することを目指している。また、系統用蓄電所の開設、スマートごみ容器「SmaGO(スマゴ)※1」の設置などを実施している。「社会(S)」では、住宅再建共済制度「フェニックス共済」への加入や「くるみんマーク※2」の取得、保有する賃貸マンションへの非常食セットの設置、「こどもの居場所応援自動販売機」の設置、青少年育成支援の実施、古民家再生プロジェクト、企業版ふるさと納税などを行っている。「ガバナンス・人的資本(G)」では、2025年2月期より役員退職慰労金制度の廃止及び株式報酬制度の導入を決定したほか、2024年10月開催の取締役会にて、取締役会の諮問機関として任意の指名委員会及び報酬委員会の設置を決議し、コーポレート・ガバナンスを充実させた。また、働きやすい環境づくりのための各種福利厚生制度の充実や女性の就業環境改善のための制度拡充、健康経営等に取り組んでいる。
※1 ソーラー発電で動くIoT機能付のスマートごみ容器で、投入されたごみを自動的に約1/5に圧縮する機能により、これまで2回/日行っていたごみ回収を1回/日に削減し、ごみ収集作業の効率化を実現できる。神戸市中央区内に3ヶ所設置している。
※2 少子化対策を図り、子育て支援など一定の基準を満たした企業が「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受ける制度。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業別の取り組み状況
(1) 分譲マンション販売
同社の強みを生かしつつ、足元の環境を踏まえて成長機会を創造する。強みは、地元密着型の事業展開により圧倒的な用地取得力とブランド力・企画力を持ち、常設マンションギャラリーの設置と外部委託による効率的な販売体制を構築していることにある。外部環境としては、需給の安定化、世帯数の増加(世帯当たりの人員の減少)、人手不足による建築コストの上昇などが想定される。成長機会・事業戦略として、地域エリアの拡充、共同事業(JV)による大規模プロジェクトへの取り組み、再開発などを挙げる。引渡戸数目標としては2,000戸を目途(3期間合計)としていたが、2期間の実績及び2026年2月期の計画を合計すると1,928戸となり、若干未達となる見通しだ。
新規エリア展開の取り組み状況として、2025年2月期に大阪府堺市で2棟目となる分譲マンションを発売したほか、2026年2月期には兵庫県加古川市で初めて発売するなど着実に広げており、今後も大阪府下で進出余地があると見ている。仕入活動については一定水準以上の収益性が見込めると判断した用地については積極的に仕入れていくが、市況にやや過熱感が出ていることもあり、従来以上に厳しく査定し仕入物件を選定する方針だ。
(2) 戸建て住宅販売
戸建て住宅販売の事業戦略としては、重点エリアの設定(神戸市以西の設定)、建築コスト上昇への対応、自由設計住宅の取り組みを挙げている。引渡戸数目標として、前3期間の実績の1.5倍増となる年間50戸体制の確立を第一段階として目指す計画であったが、3年間合計の引渡戸数は133戸と若干未達となる見通しだ。
新規事業として2024年2月期より、購入者の安心につながるアフターサポートの充実を目指し、リフォーム事業を開始した。2009年から開始した「ワコーレノイエ」が累計供給戸数700戸を突破しており、今後増加するリフォーム需要を取り込んでいく。受注活動についてはDMによりアプローチしている。また、分譲マンションを対象としたリフォーム事業についても検討中だ。住宅販売後のアフターサービスまで事業領域を広げることで、顧客LTVの最大化を目指す。
(3) その他不動産販売等
ここ数年間における成長分野であり、インカム及びキャピタルゲインで収益を獲得するビジネスモデルとなる。これまで培った用地仕入や賃貸付けのネットワークを最大限活用していく方針で、事業戦略としては建築コストの上昇を踏まえ最適用地を厳選し、保有年数の最適化(売却時期の検討)を推進する。引渡戸数目標は、販売戸数で600戸超(3期間合計)、保有戸数で800戸前後、年間賃貸収入6億円としている。このうち販売戸数については627戸となる見込みで、目標を達成できる見通しだ。
(4) 不動産賃貸収入
創業時から続く事業であり、レジデンス系を中心とした収益安定性の確保と中小型物件を中心としたリスク分散を図っており、95%超の高稼働率を恒常的に維持していることを強みとしている。成長機会・事業戦略として、既存築古物件の建替えやバリューアップによる賃料の見直し、他事業への転用、借地物件の取り組み、プロパティタイプの拡充などを掲げている。計画最終年度の保有戸数目標を約2,200戸としていたが、2025年8月末時点で2,063戸となっており、やや下回る見通しだ。バリューアップに関しては、豊富な実績を持つ首都圏の不動産会社に出向していた社員が復帰し、出向先で吸収したノウハウを今後生かしていく方針だ。
(5) 新規事業の取り組み
同社は、分譲マンション事業を柱に成長を続けてきたが、将来的には人口減少によって新築分譲マンションの需要も先細りになることが予想される。このため、既存事業以外にも新たな事業を育成すべく、様々な取り組みを進めている。
その1つが系統用蓄電所事業である。系統用蓄電所とは、電力会社の送配電ネットワークに接続された大型蓄電池システムのことで、電力需給の調整弁としての活用が期待されている。価格が安い電力余剰時に電力を市場で購入して蓄電し、価格が上昇する電力ひっ迫時に放電することで、売買差益を得るビジネスモデルである。中期経営計画で掲げた「社会的課題の解決に向けたソリューション機能の充実と育成」の一環として参入を決めた。丹波篠山市の蓄電所に蓄電容量7.4MWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を設置する計画で、2025年7月から一部運用を開始した。設備投資額は6億円で減価償却費や蓄電所の維持費用、電力の市場取引手数料を考慮しても一定の収益が見込める事業となる。また、同社は鹿児島県霧島市に2拠点目を開設すべく着工を開始しており(設備投資額7.8億円)、2026年5月の稼働開始を予定している。同市場への参入事業者も増加傾向にあり、同社も機会があれば拠点を増やす方針だ。
また、超高齢化社会の到来により今後の需要拡大が見込まれる高齢者向け住宅型有料老人ホームの開発も新たに開始した。第1弾として「フィオレ・ヴィータ枚方」(大阪府枚方市、全48室)を2025年3月に竣工し、4月末から入居を開始した。同物件は介護施設運営事業等を展開する(株)フルライフケアに賃貸する格好で、投資利回りは6%台を見込んでいる。また、2025年2月期に用地取得した2物件(大阪府守口市・摂津市)も含めて現在6つのプロジェクトが北大阪エリアを中心に進行しているが、いずれも竣工後は運営事業者に一括売却する予定である。
3. サステナビリティ経営の取り組み
持続的な企業価値向上に向けた対応として、サステナビリティ経営をより積極的に推進するため、サステナビリティ基本方針に基づき実現したい未来に向けて9つのマテリアリティ(重要課題)を特定した。マテリアリティのテーマは「企業価値の創出を支える基盤」「価値を生み出す資本」「創出を目指す価値」の3つの機能を担い、その解決を通じて企業理念である「共生(ともいき)」の実現を目指す方針だ。
さらにESGへの取り組みとして、「環境(E)」においてはカーボンニュートラルの達成に向けて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)マンションの導入に積極的に取り組んでおり、断熱性能の向上と省エネ設備等の導入により、住棟全体で年間の一次エネルギー消費量を20%以上削減することを目指している。また、系統用蓄電所の開設、スマートごみ容器「SmaGO(スマゴ)※1」の設置などを実施している。「社会(S)」では、住宅再建共済制度「フェニックス共済」への加入や「くるみんマーク※2」の取得、保有する賃貸マンションへの非常食セットの設置、「こどもの居場所応援自動販売機」の設置、青少年育成支援の実施、古民家再生プロジェクト、企業版ふるさと納税などを行っている。「ガバナンス・人的資本(G)」では、2025年2月期より役員退職慰労金制度の廃止及び株式報酬制度の導入を決定したほか、2024年10月開催の取締役会にて、取締役会の諮問機関として任意の指名委員会及び報酬委員会の設置を決議し、コーポレート・ガバナンスを充実させた。また、働きやすい環境づくりのための各種福利厚生制度の充実や女性の就業環境改善のための制度拡充、健康経営等に取り組んでいる。
※1 ソーラー発電で動くIoT機能付のスマートごみ容器で、投入されたごみを自動的に約1/5に圧縮する機能により、これまで2回/日行っていたごみ回収を1回/日に削減し、ごみ収集作業の効率化を実現できる。神戸市中央区内に3ヶ所設置している。
※2 少子化対策を図り、子育て支援など一定の基準を満たした企業が「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受ける制度。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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