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明日の株式相場に向けて=高市成長戦略、変身DNA宿すバイオ
配信日時:2025/11/05 17:31
配信元:MINKABU
きょう(5日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1284円安の5万212円と続急落。前日の米株安を受けて、朝方から重苦しいムードではあったが、それでも取引開始前は400~500円の下げで、5万2000円大台攻防のイメージがコンセンサスであったと思われる。まさか、ザラ場2400円を超える暴落で一気に5万円大台割れまで引きずり込まれるとは予想だにしない展開といってよく、今のAIアルゴリズム相場の怖さを如実に示した。朝方取引スタート直前になって225先物が速射砲のような売りに晒されあっという間に下げ幅を広げ、日経平均もこれに追随する格好となった。
最近の日米株価の動きについてはAIバブル的な要素があるのかどうかで意見が分かれるが、今すぐにその答えにはたどり着けないというのが支配的な意見で、つまり仮にAIバブルであったとしても今はモラトリアム期間にあるという考え方を示す市場関係者が多い。しかし、米国ではビッグテックの売上高が伸びても利益成長が伴わないことに警戒感がくすぶっている。99~2000年のITバブル時に、最終利益をベースとしたPERでは説明がつかず、売上高をベースとするPSRをモノサシに株価を評価する風潮が高まったが、何かその時の再現VTRを見ているような気分にもさせられる。そんな折、前日の米株市場では空売りファンドのサイオンが、エヌビディア<NVDA>とパランティア・テクノロジーズ<PLTR>のプットオプションを新規取得していたことが話題となり、マーケットに緊張が走った。これがAI・半導体関連への狼狽的な利食い急ぎの動きを誘発した。しかし、きょうの東京市場やアジア株市場、米株価指数先物などの値動きを見る限り、後半は売り方の弾切れを思わせる動きで下げ渋る展開となっている。「まだバブル崩壊を喧伝しながら売りを仕掛けるには時期尚早」(ネット証券アナリスト)という見方が強い。
そうしたなかも東京市場では、高市新政権の発足で素直に政策を追い風とする銘柄に目を向けておくところ。サナエノミクスというワードは既にさまざまなメディアで飛び交った。しかし、実際のところ投資家に希望を与えはしたものの始動していない段階であり、株式市場にはその未来への期待が一部投影されたに過ぎない。逆に言えば、仮に日経平均が5万円台を再び割り込んだ水準でもみ合うような調整局面に移行したとしても、国策の流れに乗ったテーマ物色に陰りが差すことはなさそうである。高市首相は「日本成長戦略本部」を司令塔として17の戦略分野それぞれに担当閣僚を置き、官民で集中的に投資を行い「ジャパン・イズ・バック(日本の復活)」を現実のものとすることに意欲満々だ。その内訳では、「AI・半導体」「防衛」「造船」「量子」「核融合」「サイバーセキュリティー」「国土強靱化」「重要鉱物」などが折に触れてスポットを浴び、関連銘柄に投資マネーが誘引されてきた。
ただ、この成長戦略分野の中でまだテーマ物色の対象としてあまり存在感を示していないものもある。これはあくまで時間の問題ともいえ、相場の若いうちに目を配っておけばそれだけ投資する側としてはアドバンテージを手にすることができる。17の戦略分野に含まれる「バイオ」や「創薬・先端医療」という分野は、グロース上場銘柄のウエートが高いこともあってか、これまでは物色の矛先が向きにくかった。だが、直近プライム市場の波乱含みの動きを経て流れが変わる可能性がある。その片鱗は、例えば足もとでストップ高を演じた免疫生物研究所<4570.T>などに感じ取ることができる。
免疫生物研の突発人気化を号砲にバイオ関連株に流れが生じた場合、真っ先に順張り対象としてマークしておきたい銘柄では住友ファーマ<4506.T>が挙げられる。26年3月期営業利益を従来予想の540億円から980億円(前期比3.4倍)に大幅増額しており、これが上昇エンジンとなって新値街道をまい進している。
また、逆張り対象としては、大底圏もみ合いから直近、株価刺激材料のリリースで急浮上の動きに転じた心筋再生医療ベンチャーHeartseed<219A.T>や、ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト」を主力に再生医療分野でも高実績を有し、希少疾病分野をターゲットとした独自バイオ技術で新薬開発にも取り組むJCRファーマ<4552.T>などが妙味を内包している。このほか、株価急動意後に一服している銘柄では、キメラマウスを使った薬効試験受託を行うフェニックスバイオ<6190.T>に動意気配がある。目先、25日移動平均線絡みの調整場面だが、日柄的にもそろそろ反転攻勢の機が熟している可能性があり、着目しておく価値がありそうだ。
あすのスケジュールでは、9月の毎月勤労統計(速報値)、11月の日銀当座預金増減要因見込みが朝方取引開始前に発表されるほか、前場取引時間中に6カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、10月のオフィス空室率(三鬼商事提供)へのマーケットの関心も高い。国内主要企業の決算では富士フイルムホールディングス<4901.T>、リクルートホールディングス<6098.T>、ローム<6963.T>、IHI<7013.T>、日産自動車<7201.T>、バンダイナムコホールディングス<7832.T>、日本郵船<9101.T>、KDDI<9433.T>など。海外では、英中銀の金融政策委員会の結果発表が注目されるほか、マレーシア中銀、ノルウェー中銀も政策金利を決定する。9月のユーロ圏小売売上高にも耳目が集まる。また、米国ではバーFRB理事やウォラーFRB理事に発言機会がある。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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