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明日の株式相場に向けて=高市トレード2.0で輩出される出世株

配信日時:2025/10/27 17:30 配信元:MINKABU
 週明け27日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1212円高の5万512円と大幅続伸で遂に5万円台に突入した。相変わらず派手な大立回りが続くが、きょうはプライム市場の9割近くの銘柄が上昇し、リスクオン一色に染まったといっても過言ではない。しかし、それでも日経平均の値動きに関して言えば、ソフトバンクグループ<9984.T>やアドバンテスト<6857.T>など寄与度上位の銘柄の値動きが圧倒的な支配力を持っていることに変わりはない。  ソフトバンクGについては前週22日に1兆円を上回る記録的な売買代金をこなし株価を急落させた経緯がある。その際に、市場関係者は「これだけ巨額な売買代金を伴って株価を急落させたことは、リバウンドに転じても上値の戻り売り圧力は半端ではないため、(ソフトバンクGの)完全な株価復元はもはや難しい」(中堅証券マーケットアナリスト)という声すら聞かれた。ところが、そうではなかった。同社株はどんなに踏まれても蘇る偉大なる雑草というべきか、きょうは1600円近い上昇で高値引けと気を吐いており、気が付けば21日につけた上場来高値2万5735円まであと260円あまりに肉薄している。今のAI・半導体関連相場は思った以上に懐が深く、ショート筋が売りを仕掛けても容易にまわしに手が届かないような状況にある。  現状は米国株市場が大崩れしない限り、東京市場も米国にキャッチアップしようとする動きが連綿と続くと考えておいた方がよさそうだ。特にトランプ米大統領は高市早苗首相を、かつて蜜月関係にあった安倍元首相の後継者とみなしていることは確かで、サナエノミクスはトランプノミクスと共鳴して日本株市場にとって強力な追い風を吹かせる可能性がある。今後は国内でのインフレ圧力が日銀の利上げを催促する構図が読めるが、世界的にみれば過剰流動性相場が躍動しているさなかであることに変わりなく、日銀が少々蛇口を締める金融政策を施しても、東京市場だけが局地的にバブル終了ということにはなりそうもない。高市政権の打ち出す政策は重要だが、それ以上に米株市場の動向を注意深く見ておくところだ。  個別株では高市トレードを中心としたテーマ物色の動きにもさすがにやや買い疲れ感が見られる。したがって、当面は投資テーマにこだわらず多角的な視野に立ち、ピンポイントで妙味株をピックアップしていく手法に切り替えるのも一法である。もうしばらくすれば東京市場は決算プレーの嵐となるが、あえて決算跨ぎで勝負するという手段はあるものの、決して得策とはいえない。好決算を発表する確率が高い銘柄については事前に株価が強調展開を見せているケースが多く、大幅増益発表で材料出尽くし売りに晒されるようなことも少なくない。企業の実態だけではなく、株式需給関係(信用買い残と空売りのバランス)や投資家心理の絡みまで総合的に計算したうえで、投資対象を絞り込むのは至難の業だ。決算跨ぎで株価のボラティリティの高い銘柄は事前に分かるが、上下どちらに振れるかが問題で、基本的には丁半博打の要素が強い。  きょうはトヨタ自動車<7203.T>が25年4~9月期の世界販売が過去最高を記録したという発表を好感され年初来高値を更新した。また、トランプ大統領の来日と高市首相の日米首脳会談では、自動車関税など今後に前向きな思惑が生じる可能性があり、これも株価にポジティブに作用している。そうしたなかトヨタ関連の一角として注目したいのがファインシンター<5994.T>だ。トヨタ系の自動車向け粉末冶金部品メーカーだが、好調に受注を獲得しており、今期業績は会社側見通しを上振れる可能性がある。会社解散価値の半値水準に放置されたPBRは見直しが濃厚。また、ビル用ゴンドラメーカーとして草分けであるサンセイ<6307.T>は、海上保安庁など官公庁からの船舶関係の受注実績が豊富で、今の相場の流れに乗るダークホースとして頭角を現してきた。  このほか防衛・防災関連では、相対的に出遅れていた重松製作所<7980.T>の動きが目を引く。業績は好調をキープしており、26年3月期営業利益は12%増予想の12億円と前期に続く2ケタ成長を見込んでいる。また、テクノフレックス<3449.T>も材料株素地に富む。継ぎ手の大手メーカーだが、防災関連設備で需要を開拓しているほか、水道インフラで使う継ぎ手や半導体装置向け真空機器でも実績が高い。ロボティクスとAIの融合にマーケットの関心が向くなか、テクノフレはロボット部品でも活躍が見込まれる。更に、医療DXでは電子カルテのCEホールディングス<4320.T>が上場来高値圏で踊り場を形成中。PERなどに割高感はなく、200億円未満の時価総額は再評価余地がありそうだ。  あすのスケジュールでは、高市首相とトランプ大統領による日米首脳会談が注目される。後場取引時間中には基調的なインフレ率を捕捉するための指標が日銀から開示される。また、この日は個別にアドバンテストの25年4~9月期決算発表に市場の耳目が集まるほか、さくらインターネット<3778.T>も同じく4~9月期決算を発表予定にあり投資家の関心が向かいそうだ。海外では7~9月期韓国国内総生産(GDP)が開示され、米国では8月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、10月の消費者信頼感指数、8月のFHFA全米住宅価格指数などが発表される。また、米7年国債の入札が行われる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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