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セグエ Research Memo(5):2025年12月期中間期の業績は好調に推移

配信日時:2025/10/20 11:05 配信元:FISCO
*11:05JST セグエ Research Memo(5):2025年12月期中間期の業績は好調に推移 ■セグエグループ<3968>の業績動向

1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期における国内経済は、インバウンド需要の拡大や、雇用・所得環境の改善が見られる一方、地政学的リスクの継続、円安傾向、物価上昇等が依然として続いている。さらに足元では米政権による追加関税政策の衝撃が幅広い産業に広がっている影響が懸念され、引き続き先行き不透明な状況が続いている。同社グループの属するIT業界においては、生産性の向上や競争力の強化等を目的としたDXやサイバー攻撃への脅威に対応するためのサイバーセキュリティへの投資も官民ともに拡大傾向にあり、とりわけデジタルガバメント政策の下、行政機関の利用するデジタル基盤の高度化を目指して、中央省庁や地方自治体によるIT投資も着実に増加している。

このような環境のなかで、同社グループの2025年12月期中間期の連結業績は、売上高10,000百万円(前年同期比18.9%増)、売上総利益2,558百万円(同20.3%増)、営業利益685百万円(同97.5%増)、経常利益677百万円(同8.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益402百万円(同7.2%減)となった。売上高はVADビジネス中心に好調に推移し、半期で初の100億円を超過した。売上総利益は、売上高の伸長及び売上総利益率の改善により増益となった。営業利益は、売上総利益の増加に加え、株主優待制度の見直しやM&A関連の一時費用がなくなったことにより大幅増益となった。その結果、売上高、売上総利益、営業利益が過去最高値を更新した。一方で、経常利益は、前年同期に一時的な営業外収益(約4億円のデリバティブ解約益)を計上した反動減から減益となったほか、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期の特別利益(投資有価証券売却益)の反動減も加わって減益となった。これらの特殊要因を除けば、業績は好調に推移している。

ビジネス別業績では、VADビジネスは、売上高5,294百万円(前年同期比11.6%増)、売上総利益1,402百万円(同36.2%増)と増収増益で、売上総利益率は26.5%となった。官公庁・学術公共、大手企業向けの大型案件の売上計上並びに保守の堅調な増加と収益改善により増収増益となった。利益率が低かった前年同期の反動もあり、大幅増益となった。また、下期以降の業績に寄与する、GSS※関連の超大型案件を受注している。

※ GSS(ガバメントソリューションサービス)は、デジタル庁が提供する政府機関向けの共通業務実施環境を整備するためのサービスである。

システムインテグレーションビジネスは、売上高3,473百万円(同20.5%増)、売上総利益605百万円(同9.3%減)で、売上総利益率は17.4%となった。民間エンドユーザー向け大型案件を始め、学術・公共案件やサービス業向けインフラシステム案件により増収となったが事業拡大に伴い一部で外部リソース(パートナー会社のエンジニア)を使ったことで利益率が低下し、減益となっている。

自社開発ビジネスは、売上高605百万円(同10.2%増)、売上総利益344百万円(同2.1%増)で、売上総利益率は56.9%となった。RevoWorksが、自治体関連案件を中心に好調であり、ストック性の高いRevoWorksクラウドやセグエセキュリティのセキュリティ関連サービスも着実に伸長している。売上高に比べて売上総利益の増加率が低かったのは、RevoWorks Zoneの開発費負担が影響した。

海外ビジネスは、売上高632百万円(同170.1%増)、売上総利益206百万円(同123.9%増)で、売上総利益率は32.6%となった。ISS Resolutionは新規事業の立ち上りが遅れたが、新たにFirst One Systemsが加わったことで、売上高・利益ともに大幅に増加した。


強固な財務基盤を維持し、十分な収益性を確保

2. 財務状況と経営指標
2025年12月期中間期末の資産合計は、前期末比3,280百万円増の16,913百万円となった。流動資産は、棚卸資産の増加、受取手形及び売掛金の増加などにより1,986百万円増加した。固定資産は、投資有価証券の増加などにより1,293百万円増加した。負債合計は、同2,170百万円増の12,610百万円となった。流動負債は買掛金、前受金の増加などにより同2,258百万円増加し、固定負債は繰延税金負債が増加した一方、長期借入金の減少などにより88百万円減少した。純資産合計は、その他有価証券評価差額金の増加などにより同1,109百万円増の4,302百万円となった。

同社では、流動負債の前受金の推移を、ソリューションサービスで継続的に収入が積み上がっていくストック性のある、将来の売上を測る指標として捉えている。これは、販売した機器の保守サービスのうち、自社で行っている保守サービス料を、保守契約期間の最初の段階で一旦前受金として受領し、その後月次で按分して売上を計上する会計処理を採っているためである。2025年12月期中間期末における前受金は、ストック型サービスの受注高増加により、前期末比800百万円増加しており、今後の売上拡大を示唆している。

借入金合計は、前期末比225百万円減の2,059百万円となった。また、M&Aなどにより資産合計が増加した一方、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加により純資産合計も増加した。その結果、2025年12月期中間期末の自己資本比率は24.1%と同2.2ポイント上昇したものの、2025年3月期の東証プライム市場の情報・通信業平均の31.4%を下回った。同社が、プライム上場維持基準である流通株式時価総額100億円以上を確実なものとするためには、好業績を継続したうえで、さらに自己株式の消却によって流通株式比率を向上させ、その結果として自己資本比率の改善を図ることも経営の選択肢の1つであると弊社では考える。一方、流動比率は120.9%と高く、十分な支払い能力を有しており、安全性に懸念はないと言える。なお、2024年12月期のROAは8.3%、ROEは14.7%と、2025年3月期の東証プライム市場の情報・通信業平均の5.1%、10.5%を上回っており、高い収益性も確保していると評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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