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アイチコーポレーション:高所作業車で国内トップシェア、伊藤忠商事が筆頭株主、配当利回り4.5%超え
配信日時:2025/10/15 18:27
配信元:FISCO
*18:27JST アイチコーポレーション:高所作業車で国内トップシェア、伊藤忠商事が筆頭株主、配当利回り4.5%超え
アイチコーポレーション<6345>は高所作業車で国内トップシェアを誇る特装車メーカーであり、電力・通信インフラの保守やレンタル市場を支える独自のポジションを築いている。トラックマウント式と自走式の両軸で製品展開を行い、創業以来、危険な作業の安全・効率化に貢献するため、顧客ニーズに即した機種開発と長期的な信頼関係を積み上げてきた。同社の主力製品はトラックマウント式高所作業車、自走式高所作業車、穴掘建柱車、橋梁点検車、軌陸車など多岐にわたる。顧客は電力・通信・鉄道・建設・レンタル業界で、国内市場シェアは高所作業車で約6割、特装車分野でもトップクラスの収益性を維持している。国内に新治、伊勢崎、高崎の3工場体制を整備し、2026年1月には自走式専用の高崎新工場を稼働予定。電着塗装設備の導入や物流内製化など、生産効率向上と環境対応を両立させる施策を進めている。
競争優位性の源泉は、電力・通信会社と共同で積み重ねてきた開発の歴史にある。電力会社ごとに電柱や架線仕様が異なるため、長年にわたり各社と共同で改良を重ねてきた結果、信頼関係を構築している。また、安全性とサービス体制の厚さも強みの一つとなっており、全国にサービス拠点を展開し、法定点検・整備・研修を一体で提供できる体制を整備。2024年に起きた建設現場での整備不良事故を契機に、安全性への意識が高まる中で、専門性を持つ同社のサービス需要は一段と高まっている。直近では、2025年5月に伊藤忠商事が筆頭株主となり、リース・中古流通・海外展開などで協業を開始。生産体制再構築や新工場建設といった中長期投資も進むなか、同社は国内インフラ更新需要の安定成長を下支えに、次の成長段階に移行しようとしている。
直近業績では、2026年3月期第1四半期は売上高9,210百万円(前年同期比27.7%減)、営業利益295百万円(同70.0%減)で着地した。トラックマウント式高所作業車のシャシ認証問題に伴う前期の繰越反動で電力向け販売が減少したことが主因である。一方、部品・修理は堅調で、社内整備体制強化が成果を上げた。受注残は255億円(前年同期比47%増)と過去最高水準に積み上がり、下期以降の回復余地を確保している。営業利益率は3.2%まで低下したが、会社側は通期業績を据え置き、売上高61,000百万円(同2.9%増)、営業利益7,600百万円(同2.1%増)を見込む。1Qは計画線で推移しており、年度後半にかけた巻き返しを見込んでいる。
市場環境について、同社の主力顧客である電力業界は12〜14年周期で設備更新需要が発生するため、景気変動の影響を受けにくい。通信業界では2017年前後の更新ピーク後、次の更新サイクルは2027年以降と見込まれる。いずれも「更新需要」が主体のため、需要水準は安定的に推移する見通しである。一方、レンタル業界は半導体工場建設など大型投資案件の増加で拡大余地があり、建設投資動向と連動して上向く局面にある。全体として同社の市場は大きな変動は少ないものの、設備老朽化対応と安全性強化の流れから、安定成長が続くと見られる。
中期経営計画では、2029年度に売上高830億円、営業利益140億円、ROE10%の達成を目標に掲げる。成長ドライバーは海外展開と中古車・リース事業の強化である。海外売上比率20%以上を目指し、伊藤忠との連携を軸に東南アジアや欧州での販売拡大を進める。具体的には中古車流通を拡充させて、新車販売に加えて中古車を介した市場浸透を進める。海外では既に欧州のSAHAリフト社とのディーラー契約を締結し、東南アジアでも現地電力向けに中古機の採用が始まっている。下期には伊藤忠との協業でリース契約をテスト的に開始予定であり、製品ライフサイクル全体での収益最大化を狙う。また、高崎工場の新設と拠点再編による大幅な生産性向上も期待でき、高崎工場は2026年1月に稼働開始予定、伊勢崎工場には電着塗装工場を新設して2026年9月の稼働開始を予定している。
株主還元面では、2025年5月のTOBにより1,000万株(約128億円)の自己株式を取得し、財務基盤の効率化を進めた。自己資本比率は80.5%と引き続き高水準を維持している。配当性向60%以上を基本方針とし、2026年3月期の年間配当は前期比5円増の60円(中間30円・期末30円)を予定。今後も設備投資や商品開発、人への投資、M&Aを検討しつつ、株主還元とのバランスを考慮して配当性向の向上も想定しているようだ。
総じて、アイチコーポレーションは国内高所作業車市場における圧倒的地位を基盤に、海外市場開拓と事業モデルの拡張に舵を切った。短期的には豊富な受注残と安定需要が下支えする構造に変わりはない。中期的には伊藤忠との協業により「モノ売り」から「ライフサイクル収益」への転換が進み、リース・中古・海外を含む全方位戦略が奏功すれば収益基盤は一段と強固となろう。安全性と信頼性で築いた国内シェアを礎に、配当利回り4.5%で推移するなか、今後の企業成長に注目しておきたい。
<FA>
競争優位性の源泉は、電力・通信会社と共同で積み重ねてきた開発の歴史にある。電力会社ごとに電柱や架線仕様が異なるため、長年にわたり各社と共同で改良を重ねてきた結果、信頼関係を構築している。また、安全性とサービス体制の厚さも強みの一つとなっており、全国にサービス拠点を展開し、法定点検・整備・研修を一体で提供できる体制を整備。2024年に起きた建設現場での整備不良事故を契機に、安全性への意識が高まる中で、専門性を持つ同社のサービス需要は一段と高まっている。直近では、2025年5月に伊藤忠商事が筆頭株主となり、リース・中古流通・海外展開などで協業を開始。生産体制再構築や新工場建設といった中長期投資も進むなか、同社は国内インフラ更新需要の安定成長を下支えに、次の成長段階に移行しようとしている。
直近業績では、2026年3月期第1四半期は売上高9,210百万円(前年同期比27.7%減)、営業利益295百万円(同70.0%減)で着地した。トラックマウント式高所作業車のシャシ認証問題に伴う前期の繰越反動で電力向け販売が減少したことが主因である。一方、部品・修理は堅調で、社内整備体制強化が成果を上げた。受注残は255億円(前年同期比47%増)と過去最高水準に積み上がり、下期以降の回復余地を確保している。営業利益率は3.2%まで低下したが、会社側は通期業績を据え置き、売上高61,000百万円(同2.9%増)、営業利益7,600百万円(同2.1%増)を見込む。1Qは計画線で推移しており、年度後半にかけた巻き返しを見込んでいる。
市場環境について、同社の主力顧客である電力業界は12〜14年周期で設備更新需要が発生するため、景気変動の影響を受けにくい。通信業界では2017年前後の更新ピーク後、次の更新サイクルは2027年以降と見込まれる。いずれも「更新需要」が主体のため、需要水準は安定的に推移する見通しである。一方、レンタル業界は半導体工場建設など大型投資案件の増加で拡大余地があり、建設投資動向と連動して上向く局面にある。全体として同社の市場は大きな変動は少ないものの、設備老朽化対応と安全性強化の流れから、安定成長が続くと見られる。
中期経営計画では、2029年度に売上高830億円、営業利益140億円、ROE10%の達成を目標に掲げる。成長ドライバーは海外展開と中古車・リース事業の強化である。海外売上比率20%以上を目指し、伊藤忠との連携を軸に東南アジアや欧州での販売拡大を進める。具体的には中古車流通を拡充させて、新車販売に加えて中古車を介した市場浸透を進める。海外では既に欧州のSAHAリフト社とのディーラー契約を締結し、東南アジアでも現地電力向けに中古機の採用が始まっている。下期には伊藤忠との協業でリース契約をテスト的に開始予定であり、製品ライフサイクル全体での収益最大化を狙う。また、高崎工場の新設と拠点再編による大幅な生産性向上も期待でき、高崎工場は2026年1月に稼働開始予定、伊勢崎工場には電着塗装工場を新設して2026年9月の稼働開始を予定している。
株主還元面では、2025年5月のTOBにより1,000万株(約128億円)の自己株式を取得し、財務基盤の効率化を進めた。自己資本比率は80.5%と引き続き高水準を維持している。配当性向60%以上を基本方針とし、2026年3月期の年間配当は前期比5円増の60円(中間30円・期末30円)を予定。今後も設備投資や商品開発、人への投資、M&Aを検討しつつ、株主還元とのバランスを考慮して配当性向の向上も想定しているようだ。
総じて、アイチコーポレーションは国内高所作業車市場における圧倒的地位を基盤に、海外市場開拓と事業モデルの拡張に舵を切った。短期的には豊富な受注残と安定需要が下支えする構造に変わりはない。中期的には伊藤忠との協業により「モノ売り」から「ライフサイクル収益」への転換が進み、リース・中古・海外を含む全方位戦略が奏功すれば収益基盤は一段と強固となろう。安全性と信頼性で築いた国内シェアを礎に、配当利回り4.5%で推移するなか、今後の企業成長に注目しておきたい。
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