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一正蒲 Research Memo(2):水産練製品業界で第2位のシェア、まいたけ生産量は国内第3位
配信日時:2025/10/15 12:02
配信元:FISCO
*12:02JST 一正蒲 Research Memo(2):水産練製品業界で第2位のシェア、まいたけ生産量は国内第3位
■会社概要
1. 会社概要
一正蒲鉾<2904>は、主力商品のカニかまを中心とした水産練製品を製造・販売する水産練製品・惣菜事業と、まいたけを生産・販売するきのこ事業を展開する食品メーカーである。同社グループは、運送・倉庫事業を担う100%子会社の(株)イチマサ冷蔵と、インドネシアで水産練製品を製造・販売する75%子会社の合弁会社PT. KML ICHIMASA FOODS(以下、KIF)の2社で構成されている。売上構成比は、2025年6月期で主力の水産練製品・惣菜事業が88.1%を占め、水産練製品業界で第2位のシェアを確保している。同社が第1位のメーカーシェア(日経POS情報(2023年4月〜2024年3月カニ風味かまぼこカテゴリー)による)となっているカニかま商品をはじめとする、スーパーマーケットやドラッグストアなどの量販店向けの水産練製品を中心に製造・販売している。このほか、ごま豆腐やスナック菓子「カリッこいわし」なども製造・販売している。1996年に参入したきのこ事業は売上高の10.9%を占め、まいたけ生産量では国内第3位となる。運送部門、倉庫部門からなる運送・倉庫事業は1.0%を占める。
創業以来「人生はやまびこである」という創業者の言葉を社是とし、「すべてはお客さまのために」を社訓とする。「自分の周りの方々すべてを“お客さま”」として、「誠実」「謙虚」「感謝」の心で顧客の期待や信頼に応える姿勢が取引先との信頼関係の構築につながっており、同社の競争力の源泉となっている。また、冷凍すり身の採用、大量生産型設備への移行に伴う新技術の導入、レトルト製法の導入、まいたけ市場への参入など、従来のかまぼこ製造にとどまらない新しい技術や事業にも積極的に挑戦している。販売網は本社のある新潟県から全国へ、生産拠点も新潟県から北海道や関西へ展開し、現在は全国に販売拠点11ヶ所、生産拠点8ヶ所となっている。これらの「攻めの一正」という姿勢と、取引先のスーパーなど量販店の全国統一チェーンオペレーションに対応できる営業・生産体制が同社の大きな強みとなっている。
2. 沿革
1965年に野崎正平(のざき しょうへい)氏が「蒲鉾業界でも近代的な経営の導入が必要である。そのためには、職人の勘による製造から、科学的な技術に基づいた蒲鉾生産を行わなければならない」と、家業であった野崎蒲鉾(株)より独立して創業した。1966年には、リテーナ製法(すり身をフィルムで包んでから型枠(リテーナ)に入れて加熱する手法。品質・保存性に優れ、廉価で提供可能)によるかまぼこの生産を開始した。1967年には、かまぼこの原料にいち早く冷凍すり身を使用したことで、品質の安定や生産性の向上、製造工程の合理化・効率化が進み、全国に販売活動が広がった。生産拠点も1976年には北海道小樽、1979年には滋賀県守山市に工場を新設し、水産練製品・惣菜製品を全国へ配荷できる体制を整備している。この間の1974年には、初代カニかま「かに太郎」を、1979年にはロングラン商品となっているカニかま「オホーツク」をそれぞれ発売し、「カニかまの一正」としてブランドを確立した。
1980年には洋風化による魚から肉への食生活の変化を捉えて、同社は牛肉エキス入り魚肉ハンバーグ「バーグレデイ」を発売し、1981年に売上高が100億円を超えた。1978年にはレトルト装置を導入、1985年には「調理済みおでん」を発売し、1989年に売上高が200億円を超え、日本証券業協会店頭売買銘柄として株式を店頭公開した。1996年には、きのこが健康食品として注目され市場全体が拡大傾向にあったことから、現新潟県阿賀野市にまいたけの栽培センターを新設し、きのこ事業に参入した。2005年にはバイオ研究室を開設し、まいたけの新株・新品種の開発や、まいたけのエキスを抽出した機能性サプリメントなど新領域展開の研究・開発を行っている。2002年にはスナック菓子「カリッこいわし」を、2008年には現在のメイン商品カニかま「サラダスティック」をそれぞれ発売し、現在は期間限定の味など姉妹品も発売している。
2012年に同社の売上高は300億円を超え、2014年には東京証券取引所(以下、東証)市場第二部に市場変更し、同年に同市場第一部に銘柄指定となった。2022年4月には東証の市場区分の見直しにより一時プライム市場に移行したが、2023年4月の東証の規則改正に伴い2023年10月にスタンダード市場へ移行した。2015年には創業50周年を迎え、インドネシアに合弁会社KIFを設立し海外事業に進出した。2016年にはうなぎの蒲焼風かまぼこ「うなる美味しさ うな次郎」を発売し、2020年に従来使用していたうなぎエキスを使用せずに味の厚みやコクを維持することに成功し、“うなぎフリー”の特徴ある商品となった。2021年には、同社が提案する魚のすり身を使用した代替水産製品の総称である“ネクストシーフード”の業務用商品「ネクストシーフード うに風味」を発売したほか、2024年には「ネクストシーフード 明太子風味」を発売した。2023年4月には「サラダスティック」の専用工場として本社第二工場を新設し、増産体制を整えた。2025年1月には創業60周年を迎え、海外展開を加速するため直前の2024年12月にKIFを連結子会社化した。
3. 全国の販売・生産拠点
同社は、東京・大阪・名古屋の主要都市に支社を、その他地域に支店・営業所の計11拠点を設置している。各地域の市場の実情に合わせ、専任営業担当が取引先とのコミュニケーションの密度を高めている。生産拠点は、新潟県に5工場、北海道小樽市に1工場、滋賀県守山市に1工場、新潟県にまいたけ栽培センター1ヶ所と計8工場を展開する。2023年4月に本格稼働した本社第二工場は、カニかまの主力商品「サラダスティック」の専用工場として複数工場での生産を集約し、「サラダスティック」の全社生産量の20%増強を実現した。第1位のシェアとなっている商品に集中投資し、優位性を確立する同社の戦略だ。
4. 経営環境
水産練製品は1975年には約100万トンを生産していたが、1977年の200海里ショック(水域制限)を契機に、以降生産量が漸減してきているのが大まかな潮流だ。2024年の生産量は408千トンと2022年比で13.4%減少しており、海洋環境の変化に伴う漁業生産量の低下、原料価格の上昇などによる経営規模の小さい練製品業界の経営体力の低下といった要因が複合的に影響している。1世帯当たり(2人以上の世帯)の年間消費支出金額も1992年をピークに、2002年に10,000円を割り漸減傾向にあったが、直近では2018年の8,233円を底に2024年には9,307円まで緩やかに増加してきている。この背景には、水産練製品の高い栄養価と手軽さの再認知も影響しているとみられ、ヘルシー食品としての位置付けから、再評価の機運が見られる。なお、風味かまぼことして登場したカニかまは、業界でもロングランを続けている。業界全体としても、料理時間の短縮、手軽さを求める消費者の行動、健康・安全・安心を求める消費者の嗜好、電化製品の進化など生活様式の変化などにマッチした新しい商品開発によるさらなる需要喚起に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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1. 会社概要
一正蒲鉾<2904>は、主力商品のカニかまを中心とした水産練製品を製造・販売する水産練製品・惣菜事業と、まいたけを生産・販売するきのこ事業を展開する食品メーカーである。同社グループは、運送・倉庫事業を担う100%子会社の(株)イチマサ冷蔵と、インドネシアで水産練製品を製造・販売する75%子会社の合弁会社PT. KML ICHIMASA FOODS(以下、KIF)の2社で構成されている。売上構成比は、2025年6月期で主力の水産練製品・惣菜事業が88.1%を占め、水産練製品業界で第2位のシェアを確保している。同社が第1位のメーカーシェア(日経POS情報(2023年4月〜2024年3月カニ風味かまぼこカテゴリー)による)となっているカニかま商品をはじめとする、スーパーマーケットやドラッグストアなどの量販店向けの水産練製品を中心に製造・販売している。このほか、ごま豆腐やスナック菓子「カリッこいわし」なども製造・販売している。1996年に参入したきのこ事業は売上高の10.9%を占め、まいたけ生産量では国内第3位となる。運送部門、倉庫部門からなる運送・倉庫事業は1.0%を占める。
創業以来「人生はやまびこである」という創業者の言葉を社是とし、「すべてはお客さまのために」を社訓とする。「自分の周りの方々すべてを“お客さま”」として、「誠実」「謙虚」「感謝」の心で顧客の期待や信頼に応える姿勢が取引先との信頼関係の構築につながっており、同社の競争力の源泉となっている。また、冷凍すり身の採用、大量生産型設備への移行に伴う新技術の導入、レトルト製法の導入、まいたけ市場への参入など、従来のかまぼこ製造にとどまらない新しい技術や事業にも積極的に挑戦している。販売網は本社のある新潟県から全国へ、生産拠点も新潟県から北海道や関西へ展開し、現在は全国に販売拠点11ヶ所、生産拠点8ヶ所となっている。これらの「攻めの一正」という姿勢と、取引先のスーパーなど量販店の全国統一チェーンオペレーションに対応できる営業・生産体制が同社の大きな強みとなっている。
2. 沿革
1965年に野崎正平(のざき しょうへい)氏が「蒲鉾業界でも近代的な経営の導入が必要である。そのためには、職人の勘による製造から、科学的な技術に基づいた蒲鉾生産を行わなければならない」と、家業であった野崎蒲鉾(株)より独立して創業した。1966年には、リテーナ製法(すり身をフィルムで包んでから型枠(リテーナ)に入れて加熱する手法。品質・保存性に優れ、廉価で提供可能)によるかまぼこの生産を開始した。1967年には、かまぼこの原料にいち早く冷凍すり身を使用したことで、品質の安定や生産性の向上、製造工程の合理化・効率化が進み、全国に販売活動が広がった。生産拠点も1976年には北海道小樽、1979年には滋賀県守山市に工場を新設し、水産練製品・惣菜製品を全国へ配荷できる体制を整備している。この間の1974年には、初代カニかま「かに太郎」を、1979年にはロングラン商品となっているカニかま「オホーツク」をそれぞれ発売し、「カニかまの一正」としてブランドを確立した。
1980年には洋風化による魚から肉への食生活の変化を捉えて、同社は牛肉エキス入り魚肉ハンバーグ「バーグレデイ」を発売し、1981年に売上高が100億円を超えた。1978年にはレトルト装置を導入、1985年には「調理済みおでん」を発売し、1989年に売上高が200億円を超え、日本証券業協会店頭売買銘柄として株式を店頭公開した。1996年には、きのこが健康食品として注目され市場全体が拡大傾向にあったことから、現新潟県阿賀野市にまいたけの栽培センターを新設し、きのこ事業に参入した。2005年にはバイオ研究室を開設し、まいたけの新株・新品種の開発や、まいたけのエキスを抽出した機能性サプリメントなど新領域展開の研究・開発を行っている。2002年にはスナック菓子「カリッこいわし」を、2008年には現在のメイン商品カニかま「サラダスティック」をそれぞれ発売し、現在は期間限定の味など姉妹品も発売している。
2012年に同社の売上高は300億円を超え、2014年には東京証券取引所(以下、東証)市場第二部に市場変更し、同年に同市場第一部に銘柄指定となった。2022年4月には東証の市場区分の見直しにより一時プライム市場に移行したが、2023年4月の東証の規則改正に伴い2023年10月にスタンダード市場へ移行した。2015年には創業50周年を迎え、インドネシアに合弁会社KIFを設立し海外事業に進出した。2016年にはうなぎの蒲焼風かまぼこ「うなる美味しさ うな次郎」を発売し、2020年に従来使用していたうなぎエキスを使用せずに味の厚みやコクを維持することに成功し、“うなぎフリー”の特徴ある商品となった。2021年には、同社が提案する魚のすり身を使用した代替水産製品の総称である“ネクストシーフード”の業務用商品「ネクストシーフード うに風味」を発売したほか、2024年には「ネクストシーフード 明太子風味」を発売した。2023年4月には「サラダスティック」の専用工場として本社第二工場を新設し、増産体制を整えた。2025年1月には創業60周年を迎え、海外展開を加速するため直前の2024年12月にKIFを連結子会社化した。
3. 全国の販売・生産拠点
同社は、東京・大阪・名古屋の主要都市に支社を、その他地域に支店・営業所の計11拠点を設置している。各地域の市場の実情に合わせ、専任営業担当が取引先とのコミュニケーションの密度を高めている。生産拠点は、新潟県に5工場、北海道小樽市に1工場、滋賀県守山市に1工場、新潟県にまいたけ栽培センター1ヶ所と計8工場を展開する。2023年4月に本格稼働した本社第二工場は、カニかまの主力商品「サラダスティック」の専用工場として複数工場での生産を集約し、「サラダスティック」の全社生産量の20%増強を実現した。第1位のシェアとなっている商品に集中投資し、優位性を確立する同社の戦略だ。
4. 経営環境
水産練製品は1975年には約100万トンを生産していたが、1977年の200海里ショック(水域制限)を契機に、以降生産量が漸減してきているのが大まかな潮流だ。2024年の生産量は408千トンと2022年比で13.4%減少しており、海洋環境の変化に伴う漁業生産量の低下、原料価格の上昇などによる経営規模の小さい練製品業界の経営体力の低下といった要因が複合的に影響している。1世帯当たり(2人以上の世帯)の年間消費支出金額も1992年をピークに、2002年に10,000円を割り漸減傾向にあったが、直近では2018年の8,233円を底に2024年には9,307円まで緩やかに増加してきている。この背景には、水産練製品の高い栄養価と手軽さの再認知も影響しているとみられ、ヘルシー食品としての位置付けから、再評価の機運が見られる。なお、風味かまぼことして登場したカニかまは、業界でもロングランを続けている。業界全体としても、料理時間の短縮、手軽さを求める消費者の行動、健康・安全・安心を求める消費者の嗜好、電化製品の進化など生活様式の変化などにマッチした新しい商品開発によるさらなる需要喚起に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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