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明日の株式相場に向けて=暗闘反目の永田町、次の一手を読む

配信日時:2025/09/04 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比641円高の4万2580円と急反発。9月相場は第2週末(12日)のメジャーSQ算出を控え、先物主導で振り回されることに要警戒モードではあったが、ジェットコースター相場は下方向だけでなく上方向にもボラティリティが高い。日経225オプションでは4万4000円のコールと3万9000円のプットが盛り上がっている状態で、上下5000円の開きがあるものの、今のハイボラティリティ相場ではどっちに吸い寄せられても不思議はない状況となっている。しかし、単純に距離的にみれば4万4000円の方が近いということになる。きょうの日経平均の大幅高は投資家のセンチメント改善に大いに貢献したはずだが、何か地に足がついていない、無重力地帯を彷徨しているような雰囲気がある。  9月は過去10年を振り返っても外国人投資家が売り越しスタンスに固執する月として知られるが、これに先駆けて8月の第3週(18~22日)、第4週(25~29日)と現物で既に売り越しに転じていた。風向きは明らかに向かい風を意識させていたが、相場はアマノジャクな生き物といわれるだけあって、事前の思惑と現実はなかなか波長が合わないことが多い。もっとも来週末に向けて、再び売り方が巻き返す可能性もあり予断を許さない。市場関係者によると「目先的にはGPIFのリバランスの売りが一巡し上値が軽くなったところで、いったんショートポジションを畳んでケツ入れ(売り方の利食い)の動きを誘発した」(中堅証券ストラテジスト)という。明確な好材料が出現したわけではなく、システマティックな需給要因が反映されたもので、値幅は大きくてもいわば“波の上下動”に過ぎず、足もとで潮流は発生していない。  きょうの相場のカタリストとしては、総裁選前倒しに向けた思惑が作用した可能性はある。石破茂首相は続投の意思を示しているが、自民党内部に不協和音も生じており株式市場も遅かれ早かれ「ポスト石破」のシナリオをどう織り込んでいくかという段階にある。マーケット的には高市早苗前経済安保担当大臣への待望論は根強いが、市場では「(前回の総裁選の流れから期待される)麻生氏との連携は切れているもよう。前回の総裁選で高市潰しに動いた岸田前首相の絡みもあって、永田町のパワーバランスでは総理の座につくのは難しそうだ」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘もある。また、野党との連携が必至となるため高市氏では調整で難航するという政策面の現実的なハードルもある。こうなると、最右翼候補に浮上して来るのは小泉進次郎農相ということになる。  高市トレードは株式市場でも市民権を得ているワードだが、進次郎トレードとなると実際問題あまりピンとこない。ただ、仮に石破VS小泉の構図となった場合、今のマーケットに滞留する潤沢な資金を考えると関連銘柄探しの動きが顕在化することは十分に考えられる。この場合、ここ最近のテーマ物色の相場に参戦していない、ステージの脇にいて枯れていた銘柄の方が燃えやすいという面がある。その観点から、環境大臣を経験し環境分野に一家言持つ小泉関連株として、かつて大相場を出したレノバ<9519.T>あたりが程よい材料性と値ごろ感でクローズアップされる可能性がある。また、小泉氏はライドシェア全面解禁などの規制改革に前向きに取り組む姿勢を明示していたことから、タクシーなど運送業向け無線管理システムを手掛けるFIG<4392.T>などにスポットが当たる可能性もありそうだ。  また、今回の自民党総裁選前倒しを求めることを旗幟鮮明とし再び存在感を示した麻生太郎最高顧問はキーパーソンであり、総裁選前倒しの流れが奔流化した場合はこれまで以上に、建設セクターに資金が誘導される可能性がある。一方、石破首相は解散総選挙をチラつかせながら、辞意を表明した森山裕幹事長を「余人をもって代えがたい」として慰留する構えにある。もし、そうなった場合は国民の目にはかなりの茶番に見えてしまうはずだが、この期に及んでなりふり構わずという状況にあることが推察される。  ただし、株式市場はどちらに転んでもドライにポジティブに反応しそうな気配はある。財政出動への思惑を底流に最近の物色人気筆頭となっている下水道インフラなど、いわゆる国土強靱化の流れに乗る銘柄はチェックしておきたい。イトーヨーギョー<5287.T>や日本ヒューム<5262.T>、大盛工業<1844.T>といった銘柄は既に糸の切れた凧のようになっているが、これらに乗るのはさすがにマニアックな投資家に限られそうだ。ここからはPERなどファンダメンタルズからのアプローチも考慮したうえで、安藤・間<1719.T>、世紀東急工業<1898.T>、ヤマックス<5285.T>、ヤマウホールディングス<5284.T>、日本興業<5279.T>などをマークしてみたい。  あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に7月の家計調査速報値(総務省)、7月の毎月勤労統計速報値(厚生労働省)、8月上中旬の貿易統計(財務省)が開示される。前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には7月の景気動向指数速報値や、消費活動指数が発表される。海外では7月の英小売売上高のほか、8月の米雇用統計にマーケットの注目度が高い。なお、この日はマレーシア市場とインドネシア市場が休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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