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戦勝ムードのイスラエル市場【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/06/29 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 戦勝ムードのイスラエル市場【フィスコ・コラム】
中東の宿敵どうしの軍事衝突は、アメリカの介入を導いた点でイスラエルの勝利と言えるでしょう。実際、テルアビブ市場は株高・債券高・通貨高と、戦勝ムードに沸いているもよう。ただ、イスラエルの政治情勢は盤石でなく、地域の不安定な状況は続く見通しです。
トランプ米大統領は6月22日、米軍がイスラエルと対立するイランの核施設3カ所を攻撃したと発表。さらにイスラエルとイランの停戦合意を宣言、戦争終結をアピールしています。核開発中のイランによる核兵器の保有を阻止するというのが米軍の攻撃の理由ですが、現実にはトランプ氏の大統領選における公約や中東域での覇権維持、エネルギー地政学といった複雑な事情が絡んでいます。
実質核保有国による軍事対立は国際金融市場を震撼させ、脊髄反射的に「有事のドル買い」を誘発しました。が、緊張の緩和によりドルは再び信認低下の売りが加速。一方、戦争当事国のイスラエルは通貨シェケルが堅調地合いとなり、2023年2月以来の高値圏に浮上しました。株価は6月半ばからの急伸で過去最高値を更新したほか安全資産の国債にも買いが入り、国内外からマネーが流入しているもよう。
イスラエルはイランが後方支援するハマスやヒズボラ、シリアのアサド政権を次々と追い詰め、今回はイラン本土への攻撃に踏み切りました。イスラエルのネタニヤフ首相は「新しい時代」に言及しており、中東地域でイランの影響力を弱めパワーバランスを突き崩そうとの思惑です。利害の一致したトランプ政権下のアメリカと結託し、イスラエルの野望が果たされようとしています。
今回のイランへの攻撃で、ネタニヤフ氏の支持率は7割超に跳ね上がりました。ただ、戦勝ムードに沸く市場とは裏腹に、政権内部では司法制度改革をめぐる与野党の対立が続いており、汚職疑惑のネタニヤフ氏に対する抗議デモも再燃の兆しを見せています。国民の一部は軍事行動を歓迎しているものの、長期的な経済への悪影響や報復攻撃への不安を抱え、社会の分断はむしろ深まっています。
外交面でも課題は山積です。イスラエルの攻撃に対する非難は強まり、国際社会での孤立は免れません。アメリカの軍事介入で一時的な沈静化は見られるものの、イランの反撃能力が完全に失われたわけではなく、周辺国を巻き込んだ新たな衝突リスクもくすぶっています。市場が織り込む「戦勝」は短期的な現象に過ぎず、今後の地政学的な展開次第では相場が大きく反転する可能性も否定できません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
トランプ米大統領は6月22日、米軍がイスラエルと対立するイランの核施設3カ所を攻撃したと発表。さらにイスラエルとイランの停戦合意を宣言、戦争終結をアピールしています。核開発中のイランによる核兵器の保有を阻止するというのが米軍の攻撃の理由ですが、現実にはトランプ氏の大統領選における公約や中東域での覇権維持、エネルギー地政学といった複雑な事情が絡んでいます。
実質核保有国による軍事対立は国際金融市場を震撼させ、脊髄反射的に「有事のドル買い」を誘発しました。が、緊張の緩和によりドルは再び信認低下の売りが加速。一方、戦争当事国のイスラエルは通貨シェケルが堅調地合いとなり、2023年2月以来の高値圏に浮上しました。株価は6月半ばからの急伸で過去最高値を更新したほか安全資産の国債にも買いが入り、国内外からマネーが流入しているもよう。
イスラエルはイランが後方支援するハマスやヒズボラ、シリアのアサド政権を次々と追い詰め、今回はイラン本土への攻撃に踏み切りました。イスラエルのネタニヤフ首相は「新しい時代」に言及しており、中東地域でイランの影響力を弱めパワーバランスを突き崩そうとの思惑です。利害の一致したトランプ政権下のアメリカと結託し、イスラエルの野望が果たされようとしています。
今回のイランへの攻撃で、ネタニヤフ氏の支持率は7割超に跳ね上がりました。ただ、戦勝ムードに沸く市場とは裏腹に、政権内部では司法制度改革をめぐる与野党の対立が続いており、汚職疑惑のネタニヤフ氏に対する抗議デモも再燃の兆しを見せています。国民の一部は軍事行動を歓迎しているものの、長期的な経済への悪影響や報復攻撃への不安を抱え、社会の分断はむしろ深まっています。
外交面でも課題は山積です。イスラエルの攻撃に対する非難は強まり、国際社会での孤立は免れません。アメリカの軍事介入で一時的な沈静化は見られるものの、イランの反撃能力が完全に失われたわけではなく、周辺国を巻き込んだ新たな衝突リスクもくすぶっています。市場が織り込む「戦勝」は短期的な現象に過ぎず、今後の地政学的な展開次第では相場が大きく反転する可能性も否定できません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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