注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:一時停止中の米国相互関税の行方、日銀短観、米雇用統計
配信日時:2025/06/28 16:45
配信元:FISCO
*16:45JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:一時停止中の米国相互関税の行方、日銀短観、米雇用統計
■株式相場見通し
予想レンジ:上限41800円-下限39500円
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比432.43ドル高の43819.27ドル、ナスダックは同105.55ポイント高の20273.46で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比400円高の40580円で取引を終えた。米ラトニック商務長官が米中貿易協定の枠組みを最終決定したと述べ、貿易交渉の進展期待が高まった。
今週の日経平均の上昇幅は年初来で最大となり、米トランプ関税への警戒感が高まる前の水準にまで一気に上昇している。目先的には、短期的な過熱警戒感が生じてくる余地が大きそうだ。足下での株価上昇加速は、7月物コールオプションに対する「デルタヘッジ」の先物買いの動きが一因になったとも観測されている。さらに、26日から27日にかけては、6月末配当権利落ち分の先物買いが2300億円程度発生したとの試算もある。短期的な需給要因が主導した面は強いといえよう。日経平均の40000円台回復、TOPIXの年初来高値更新に伴う達成感なども意識すると、一旦は小幅な調整に転じてくる可能性が高いと判断する。週末の米独立記念日を控えて、海外投資家の資金流入ペースが鈍る可能性もあるだろう。
2000年以降の日経平均の月別騰落率をみると、堅調な6月に対して、7月から9月にかけてパフォーマンスは悪化する傾向がある。5月、6月の2カ月間で日経平均は4100円強上昇しているだけに、今年もこうしたアノマリーへの警戒は強まりやすいだろう。来週は、7月9日が期限となっている米相互関税の一時停止がさらに延期されるのか、米雇用統計を受けてFRBの早期利下げ実現の可能性が高まるのかなどに注目したい。
7月1日には日銀短観が公表される。大企業製造業DIは小幅な悪化が予想されているが、駆け込み輸出の増加もあって、米国関税政策の影響はストレートに反映されていない可能性がある。むしろ先行き見通しの悪化度合いが注視されてこよう。とりわけ、自動車業界のDIに関心が集まりそうだ。また、中小企業の悪化度合いが強まるようであれば、国内個人消費の先行きにも警戒感が強まることになる。さらに、設備投資計画は通常6月調査で上方修正される傾向がある。3月調査では大企業製造業は前年比4.8%増であったが、今回2ケタ増水準まで上方修正されてくるかが焦点となりそうだ。
米ホワイトハウス報道官は、7月9日まで一時停止している相互関税の措置について、停止の期限が延長される可能性があるとの認識を示しており、米国の関税措置への警戒感は当初よりも緩和されていく方向であろう。ただ、期限延長の可能性は今週末の日本株上昇の一因になったと捉えられ、仮に予定通り発動される事態となれば、ネガティブサプライズにつながろう。また、赤澤経済再生担当大臣が7回目の交渉へ訪米しているが、焦点となる自動車関税交渉の決着も引き続き時間を要するとみられる。なお、米雇用統計は、雇用者数の減少、失業率の悪化が想定されているが、想定通りであれば、平均時給の大幅上昇がない限り、早期利下げへの期待感につながっていく余地が大きいだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。イスラエルとイランは停戦で合意したが、イラン側は核開発を進める構えであり、アメリカやイスラエルとの対決姿勢を崩していない。中東情勢が再度悪化する可能性は消えていないため、安全逃避のドル買いが再び強まるケースもあり得る。ただ、米国の利下げ再開時期がやや早まるとの見方も浮上しており、現時点で米ドル買い・円売りが急拡大する可能性は低いとみられる。ボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は直近の講演で、インフレが落ち着けば労働市場を守るために次回にも利下げを検討したいとの見解を示した。パウエルFRB議長も議会証言で、追加利下げに慎重な姿勢を維持しながらも、早期利下げを意識したスタンスで、市場はややハト派的と受け止めている。
7月29-30日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測はやや後退したが、市場参加者の間では9月に利下げが再開されるとの見方が支配的。今後発表される雇用・インフレ関連指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的な米ドル売り・円買いがやや強まる可能性は残されている。
■来週の注目スケジュール
6月30日(月):鉱工業生産(5月)、住宅着工件数(5月)、米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(6月)、中・製造業PMI(6月)、中・非製造業PMI(6月)、中・総合PMI(6月)、独・消費者物価指数(6月)、16:55 独・失業率(失業保険申請率)(6月)、英・GDP改定値(1-3月)、欧・ユーロ圏マネーサプライ(5月)、欧・ECBフォーラム(7月2日まで)など
7月1日(火):日銀短観(大企業製造業DI)(6月)、消費者態度指数(6月)、製造業PMI(6月)、米・ISM製造業景況指数(6月)、米・製造業PMI(6月)、米・JOLT求人件数(5月)、米・建設支出(5月)、中・財新製造業PMI(6月)、欧・ECBがユーロ圏CPI予想(5月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(6月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(6月)、香港・株式市場は祝日のため休場(香港特別行政府設立記念日)など
7月2日(水):マネタリーベース(6月)、7党党首討論会、米・ADP全米雇用報告(6月)、欧・ユーロ圏失業率(5月)、豪・小売売上高(5月)、露・GDP(1-3月)など
7月3日(木):サービス業PMI(6月)、総合PMI(6月)、参議院選挙の公示、米・非農業部門雇用者数(6月)、米・失業率(6月)、米・平均時給(6月)、米・貿易収支(5月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・ISM非製造業景況指数(6月)、米・製造業受注(5月)、米・サービス業PMI(6月)、米・総合PMI(6月)、中・財新サービス業PMI(6月)、中・財新総合PMI(6月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(6月)、欧・ユーロ圏総合PMI(6月)、豪・貿易収支(5月)、加・貿易収支(5月)、スイス・消費者物価指数(6月)など
7月4日(金):家計支出(5月)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が24年度の運用実績公表、独・製造業受注(5月)、欧・ユーロ圏生産者物価指数(5月)、米・株式市場は祝日のため休場(独立記念日)など
7月5日(土):英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演など
<YU>
予想レンジ:上限41800円-下限39500円
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比432.43ドル高の43819.27ドル、ナスダックは同105.55ポイント高の20273.46で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比400円高の40580円で取引を終えた。米ラトニック商務長官が米中貿易協定の枠組みを最終決定したと述べ、貿易交渉の進展期待が高まった。
今週の日経平均の上昇幅は年初来で最大となり、米トランプ関税への警戒感が高まる前の水準にまで一気に上昇している。目先的には、短期的な過熱警戒感が生じてくる余地が大きそうだ。足下での株価上昇加速は、7月物コールオプションに対する「デルタヘッジ」の先物買いの動きが一因になったとも観測されている。さらに、26日から27日にかけては、6月末配当権利落ち分の先物買いが2300億円程度発生したとの試算もある。短期的な需給要因が主導した面は強いといえよう。日経平均の40000円台回復、TOPIXの年初来高値更新に伴う達成感なども意識すると、一旦は小幅な調整に転じてくる可能性が高いと判断する。週末の米独立記念日を控えて、海外投資家の資金流入ペースが鈍る可能性もあるだろう。
2000年以降の日経平均の月別騰落率をみると、堅調な6月に対して、7月から9月にかけてパフォーマンスは悪化する傾向がある。5月、6月の2カ月間で日経平均は4100円強上昇しているだけに、今年もこうしたアノマリーへの警戒は強まりやすいだろう。来週は、7月9日が期限となっている米相互関税の一時停止がさらに延期されるのか、米雇用統計を受けてFRBの早期利下げ実現の可能性が高まるのかなどに注目したい。
7月1日には日銀短観が公表される。大企業製造業DIは小幅な悪化が予想されているが、駆け込み輸出の増加もあって、米国関税政策の影響はストレートに反映されていない可能性がある。むしろ先行き見通しの悪化度合いが注視されてこよう。とりわけ、自動車業界のDIに関心が集まりそうだ。また、中小企業の悪化度合いが強まるようであれば、国内個人消費の先行きにも警戒感が強まることになる。さらに、設備投資計画は通常6月調査で上方修正される傾向がある。3月調査では大企業製造業は前年比4.8%増であったが、今回2ケタ増水準まで上方修正されてくるかが焦点となりそうだ。
米ホワイトハウス報道官は、7月9日まで一時停止している相互関税の措置について、停止の期限が延長される可能性があるとの認識を示しており、米国の関税措置への警戒感は当初よりも緩和されていく方向であろう。ただ、期限延長の可能性は今週末の日本株上昇の一因になったと捉えられ、仮に予定通り発動される事態となれば、ネガティブサプライズにつながろう。また、赤澤経済再生担当大臣が7回目の交渉へ訪米しているが、焦点となる自動車関税交渉の決着も引き続き時間を要するとみられる。なお、米雇用統計は、雇用者数の減少、失業率の悪化が想定されているが、想定通りであれば、平均時給の大幅上昇がない限り、早期利下げへの期待感につながっていく余地が大きいだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。イスラエルとイランは停戦で合意したが、イラン側は核開発を進める構えであり、アメリカやイスラエルとの対決姿勢を崩していない。中東情勢が再度悪化する可能性は消えていないため、安全逃避のドル買いが再び強まるケースもあり得る。ただ、米国の利下げ再開時期がやや早まるとの見方も浮上しており、現時点で米ドル買い・円売りが急拡大する可能性は低いとみられる。ボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は直近の講演で、インフレが落ち着けば労働市場を守るために次回にも利下げを検討したいとの見解を示した。パウエルFRB議長も議会証言で、追加利下げに慎重な姿勢を維持しながらも、早期利下げを意識したスタンスで、市場はややハト派的と受け止めている。
7月29-30日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測はやや後退したが、市場参加者の間では9月に利下げが再開されるとの見方が支配的。今後発表される雇用・インフレ関連指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的な米ドル売り・円買いがやや強まる可能性は残されている。
■来週の注目スケジュール
6月30日(月):鉱工業生産(5月)、住宅着工件数(5月)、米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(6月)、中・製造業PMI(6月)、中・非製造業PMI(6月)、中・総合PMI(6月)、独・消費者物価指数(6月)、16:55 独・失業率(失業保険申請率)(6月)、英・GDP改定値(1-3月)、欧・ユーロ圏マネーサプライ(5月)、欧・ECBフォーラム(7月2日まで)など
7月1日(火):日銀短観(大企業製造業DI)(6月)、消費者態度指数(6月)、製造業PMI(6月)、米・ISM製造業景況指数(6月)、米・製造業PMI(6月)、米・JOLT求人件数(5月)、米・建設支出(5月)、中・財新製造業PMI(6月)、欧・ECBがユーロ圏CPI予想(5月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(6月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(6月)、香港・株式市場は祝日のため休場(香港特別行政府設立記念日)など
7月2日(水):マネタリーベース(6月)、7党党首討論会、米・ADP全米雇用報告(6月)、欧・ユーロ圏失業率(5月)、豪・小売売上高(5月)、露・GDP(1-3月)など
7月3日(木):サービス業PMI(6月)、総合PMI(6月)、参議院選挙の公示、米・非農業部門雇用者数(6月)、米・失業率(6月)、米・平均時給(6月)、米・貿易収支(5月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・ISM非製造業景況指数(6月)、米・製造業受注(5月)、米・サービス業PMI(6月)、米・総合PMI(6月)、中・財新サービス業PMI(6月)、中・財新総合PMI(6月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(6月)、欧・ユーロ圏総合PMI(6月)、豪・貿易収支(5月)、加・貿易収支(5月)、スイス・消費者物価指数(6月)など
7月4日(金):家計支出(5月)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が24年度の運用実績公表、独・製造業受注(5月)、欧・ユーロ圏生産者物価指数(5月)、米・株式市場は祝日のため休場(独立記念日)など
7月5日(土):英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演など
<YU>
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