注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:上昇ピッチの速さに対する警戒感や達成感などから短期的には株高一服の公算も
配信日時:2025/06/28 14:17
配信元:FISCO
*14:17JST 国内株式市場見通し:上昇ピッチの速さに対する警戒感や達成感などから短期的には株高一服の公算も
■半導体株高を牽引役に日経平均は4万円台を回復
今週の日経平均は週間で1747.56円高(+4.55%)の40150.79円で取引を終了。週初こそ売り先行も、25日移動平均線(25MA)レベルで下げ止まり、その後は、週末にかけて4日続伸と上値追いの動きを強めている。週末には、日経平均が1月27日以来の40000円台を回復したほか、TOPIXも3月26日の年初来高値を更新し、24年7月以来の高値水準となっている。
米国によるイラン攻撃への参戦で、週初は地政学リスクの高まりによるリスク回避の動きが先行。米トランプ政権の半導体規制強化観測なども重しとなった。ただ、その後、イランの報復攻撃が限定的なものにとどまると、中東情勢の緊張鎮静化が意識され、トランプ米大統領もSNSで「停戦合意」と表明したことから、買い安心感が優勢となっていった。米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン副議長が7月の利下げを支持する可能性を示唆したことも買い材料視された。早期利下げ期待の高まりを映し米国市場ではハイテク関連株が上昇、エヌビディアが最高値を更新したこともあり、東京市場でも、週後半にかけては半導体関連株の上昇が全体株高を牽引する形になった。
なお、6月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を971億円、先物を400億円買い越したことから、合計1371億円の買い越しとなった。10週連続での買い越しとなっている。一方、個人投資家は現物を2511億円売り越すなど計2777億円売り越した。そのほか、事業法人が2996億円買い越した半面、信託は2674億円売り越した。
■短期的な上昇ピッチの速さに警戒感も生じる公算
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比432.43ドル高の43819.27ドル、ナスダックは同105.55ポイント高の20273.46で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比400円高の40580円で取引を終えた。米ラトニック商務長官が米中貿易協定の枠組みを最終決定したと述べ、貿易交渉の進展期待が高まった。
今週の日経平均の上昇幅は年初来で最大となり、米トランプ関税への警戒感が高まる前の水準にまで一気に上昇している。目先的には、短期的な過熱警戒感が生じてくる余地が大きそうだ。足下での株価上昇加速は、7月物コールオプションに対する「デルタヘッジ」の先物買いの動きが一因になったとも観測されている。さらに、26日から27日にかけては、6月末配当権利落ち分の先物買いが2300億円程度発生したとの試算もある。短期的な需給要因が主導した面は強いといえよう。日経平均の40000円台回復、TOPIXの年初来高値更新に伴う達成感なども意識すると、一旦は小幅な調整に転じてくる可能性が高いと判断する。週末の米独立記念日を控えて、海外投資家の資金流入ペースが鈍る可能性もあるだろう。
2000年以降の日経平均の月別騰落率をみると、堅調な6月に対して、7月から9月にかけてパフォーマンスは悪化する傾向がある。5月、6月の2カ月間で日経平均は4100円強上昇しているだけに、今年もこうしたアノマリーへの警戒は強まりやすいだろう。来週は、7月9日が期限となっている米相互関税の一時停止がさらに延期されるのか、米雇用統計を受けてFRBの早期利下げ実現の可能性が高まるのかなどに注目したい。
■日銀短観では設備投資計画や中小企業の業況判断に関心も
7月1日には日銀短観が公表される。大企業製造業DIは小幅な悪化が予想されているが、駆け込み輸出の増加もあって、米国関税政策の影響はストレートに反映されていない可能性がある。むしろ先行き見通しの悪化度合いが注視されてこよう。とりわけ、自動車業界のDIに関心が集まりそうだ。また、中小企業の悪化度合いが強まるようであれば、国内個人消費の先行きにも警戒感が強まることになる。さらに、設備投資計画は通常6月調査で上方修正される傾向がある。3月調査では大企業製造業は前年比4.8%増であったが、今回2ケタ増水準まで上方修正されてくるかが焦点となりそうだ。
米ホワイトハウス報道官は、7月9日まで一時停止している相互関税の措置について、停止の期限が延長される可能性があるとの認識を示しており、米国の関税措置への警戒感は当初よりも緩和されていく方向であろう。ただ、期限延長の可能性は今週末の日本株上昇の一因になったと捉えられ、仮に予定通り発動される事態となれば、ネガティブサプライズにつながろう。また、赤澤経済再生担当大臣が7回目の交渉へ訪米しているが、焦点となる自動車関税交渉の決着も引き続き時間を要するとみられる。なお、米雇用統計は、雇用者数の減少、失業率の悪化が想定されているが、想定通りであれば、平均時給の大幅上昇がない限り、早期利下げへの期待感につながっていく余地が大きいだろう。
■週末は独立記念日で3日に米雇用統計が発表
来週、国内では、30日に5月鉱工業生産、7月1日に6月日銀短観、6月消費動向調査、2日に6月マネタリーベース、4日に5月家計調査などが予定されている。
海外では、30日に中・6月製造業・非製造業PMI、欧・5月マネーサプライ、米・6月シカゴ購買部協会景況指数、7月1日に中・6月財新製造業PMI、欧・6月消費者物価指数、米・6月ISM製造業景気指数、5月JOLTS求人件数、6月自動車販売台数、2日に欧・5月ユーロ圏失業率、米・6月ADP雇用統計、3日に中・6月財新サービス業PMI、米・5月貿易収支、6月雇用統計、5月製造業受注、6月ISM非製造業景気指数などが予定されている。なお、4日は独立記念日のため米国市場は休場となる。
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今週の日経平均は週間で1747.56円高(+4.55%)の40150.79円で取引を終了。週初こそ売り先行も、25日移動平均線(25MA)レベルで下げ止まり、その後は、週末にかけて4日続伸と上値追いの動きを強めている。週末には、日経平均が1月27日以来の40000円台を回復したほか、TOPIXも3月26日の年初来高値を更新し、24年7月以来の高値水準となっている。
米国によるイラン攻撃への参戦で、週初は地政学リスクの高まりによるリスク回避の動きが先行。米トランプ政権の半導体規制強化観測なども重しとなった。ただ、その後、イランの報復攻撃が限定的なものにとどまると、中東情勢の緊張鎮静化が意識され、トランプ米大統領もSNSで「停戦合意」と表明したことから、買い安心感が優勢となっていった。米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン副議長が7月の利下げを支持する可能性を示唆したことも買い材料視された。早期利下げ期待の高まりを映し米国市場ではハイテク関連株が上昇、エヌビディアが最高値を更新したこともあり、東京市場でも、週後半にかけては半導体関連株の上昇が全体株高を牽引する形になった。
なお、6月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を971億円、先物を400億円買い越したことから、合計1371億円の買い越しとなった。10週連続での買い越しとなっている。一方、個人投資家は現物を2511億円売り越すなど計2777億円売り越した。そのほか、事業法人が2996億円買い越した半面、信託は2674億円売り越した。
■短期的な上昇ピッチの速さに警戒感も生じる公算
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比432.43ドル高の43819.27ドル、ナスダックは同105.55ポイント高の20273.46で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比400円高の40580円で取引を終えた。米ラトニック商務長官が米中貿易協定の枠組みを最終決定したと述べ、貿易交渉の進展期待が高まった。
今週の日経平均の上昇幅は年初来で最大となり、米トランプ関税への警戒感が高まる前の水準にまで一気に上昇している。目先的には、短期的な過熱警戒感が生じてくる余地が大きそうだ。足下での株価上昇加速は、7月物コールオプションに対する「デルタヘッジ」の先物買いの動きが一因になったとも観測されている。さらに、26日から27日にかけては、6月末配当権利落ち分の先物買いが2300億円程度発生したとの試算もある。短期的な需給要因が主導した面は強いといえよう。日経平均の40000円台回復、TOPIXの年初来高値更新に伴う達成感なども意識すると、一旦は小幅な調整に転じてくる可能性が高いと判断する。週末の米独立記念日を控えて、海外投資家の資金流入ペースが鈍る可能性もあるだろう。
2000年以降の日経平均の月別騰落率をみると、堅調な6月に対して、7月から9月にかけてパフォーマンスは悪化する傾向がある。5月、6月の2カ月間で日経平均は4100円強上昇しているだけに、今年もこうしたアノマリーへの警戒は強まりやすいだろう。来週は、7月9日が期限となっている米相互関税の一時停止がさらに延期されるのか、米雇用統計を受けてFRBの早期利下げ実現の可能性が高まるのかなどに注目したい。
■日銀短観では設備投資計画や中小企業の業況判断に関心も
7月1日には日銀短観が公表される。大企業製造業DIは小幅な悪化が予想されているが、駆け込み輸出の増加もあって、米国関税政策の影響はストレートに反映されていない可能性がある。むしろ先行き見通しの悪化度合いが注視されてこよう。とりわけ、自動車業界のDIに関心が集まりそうだ。また、中小企業の悪化度合いが強まるようであれば、国内個人消費の先行きにも警戒感が強まることになる。さらに、設備投資計画は通常6月調査で上方修正される傾向がある。3月調査では大企業製造業は前年比4.8%増であったが、今回2ケタ増水準まで上方修正されてくるかが焦点となりそうだ。
米ホワイトハウス報道官は、7月9日まで一時停止している相互関税の措置について、停止の期限が延長される可能性があるとの認識を示しており、米国の関税措置への警戒感は当初よりも緩和されていく方向であろう。ただ、期限延長の可能性は今週末の日本株上昇の一因になったと捉えられ、仮に予定通り発動される事態となれば、ネガティブサプライズにつながろう。また、赤澤経済再生担当大臣が7回目の交渉へ訪米しているが、焦点となる自動車関税交渉の決着も引き続き時間を要するとみられる。なお、米雇用統計は、雇用者数の減少、失業率の悪化が想定されているが、想定通りであれば、平均時給の大幅上昇がない限り、早期利下げへの期待感につながっていく余地が大きいだろう。
■週末は独立記念日で3日に米雇用統計が発表
来週、国内では、30日に5月鉱工業生産、7月1日に6月日銀短観、6月消費動向調査、2日に6月マネタリーベース、4日に5月家計調査などが予定されている。
海外では、30日に中・6月製造業・非製造業PMI、欧・5月マネーサプライ、米・6月シカゴ購買部協会景況指数、7月1日に中・6月財新製造業PMI、欧・6月消費者物価指数、米・6月ISM製造業景気指数、5月JOLTS求人件数、6月自動車販売台数、2日に欧・5月ユーロ圏失業率、米・6月ADP雇用統計、3日に中・6月財新サービス業PMI、米・5月貿易収支、6月雇用統計、5月製造業受注、6月ISM非製造業景気指数などが予定されている。なお、4日は独立記念日のため米国市場は休場となる。
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