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明日の株式相場に向けて=鳴動する巨大マネー「防衛関連」新章突入か

配信日時:2025/03/06 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(6日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比286円高の3万7704円と続伸。かつてのボックス下限であった3万8000円どころが上値抵抗ラインとなるのかどうか、今後を占ううえで今週末から3月中旬にかけての値動きはポイントとなる。トランプ米大統領の一連の言動は“二枚舌外交”の最たるものだが、これを批判したところで始まらない。投資家は銘柄に惚れこまず、ババを引いても機動的に修正できる柔軟なスタンスで臨むしかない。  トランプ米政権は関税政策やウクライナ・ロシア戦争などで、その一挙手一投足が世界の注目の的となっている。グローバルな視点では、強引な「アメリカ・ファースト」を好意的に捉えるムードは皆無といえるが、経済を映すといわれる株式市場はある意味不思議な鏡で、ネガティブな環境の中にあっても、強いところを見つけそこに資金が流れ込む習性がある。バイデン政権時代とは真逆と言ってもよい政策転換にマーケットは振り回されているが、投資マネーはしたたかであり、ゲームチェンジの瞬間を虎視眈々と狙っていた。その答えが現在の防衛関連株への怒涛の買い攻勢として顕在化している。  欧州はリベラル系でどちらかと言えば米国では民主党政権と相性が良い。共和党でしかも暴走機関車のように突き進むトランプ政権とは水と油で融和することがない。トランプ大統領の親露を前面に押し出した姿勢に業を煮やし、反トランプのエネルギーが国防費拡大の動きに反映され、皮肉にもそのまま株式市場の強力な物色テーマとして一本杉と化している。財政規律に厳格なあのドイツが、防衛関連への投資を促すためになりふり構わず拡張的な財政政策に舵を切るというのは想定外だが、憤懣(ふんまん)やるかたない現状を投影したものでもある。これは株式市場の観点で大きな変化を示唆する。ドイツの防衛大手ラインメタルは年初との比較で既に7割近くも時価総額を膨張化させている。  東京市場にもこの流れが波及している。今週4日には米国防総省の次官候補に指名されたコルビー氏が、議会公聴会で日本の防衛費の水準が低すぎると不満を表明し、GDP比で3%への引き上げを促す発言を行っている。これに対し、石破首相は日本の防衛費は日本が決めるもので、アメリカに限らず他国に言われて決めるものではない、と突っぱねるコメントを出したが、これはむしろ自らハードルを高くしてしまっているきらいがある。株式市場はこうしたやり取りの中に、ゲームチェンジの匂いを嗅ぎ取った。目先は行き過ぎに買われている銘柄も多いとは思われるが、押し目買いを念頭にうまく対処したい。  きょうは、文字通り防衛関連株のオンパレードとなった。3700億円超という一頭地を抜く売買代金をこなした三菱重工業<7011.T>が大幅高で上場来高値を更新したのをはじめ、売買代金2位の川崎重工業<7012.T>が値を飛ばし、同3位のIHI<7013.T>も活況高を極めた。更に日本で唯一の大型火砲メーカーである日本製鋼所<5631.T>がプライム市場の値上がり率でトップに買われるという滅多にお目にかかれないハイパフォーマンスを演じた。  防衛関連というと機械セクターのイメージがあるが、三菱重を旗艦銘柄とすれば、裏のシンボルストックは部門別売上高で同社と双璧であるNEC<6701.T>が挙げられる。同社は防省衛向け指揮統制システムや通信システムなどで圧倒的実績がある。NECを猛追するのが三菱電機<6503.T>だ。両銘柄とも確変モードで急速に株価水準を切り上げている。このほか、ソナーなど海洋分野で防衛向け需要を開拓しているのが沖電気工業<6703.T>。こちらも動兆著しいが、株価は1000円近辺にあり、PER8倍台、PBR0.6倍前後と依然として出遅れ感がある。このほか、きょう急騰を演じたシンフォニア テクノロジー<6507.T>も防衛用航空機向け電装品でトップシェアを誇る。  中小型株では当欄でも過去に継続フォローしたIMV<7760.T>が上場来高値を更新した。振動試験装置で世界首位級の実力を持ち、三菱重などを経由して間接的に防衛省案件の需要を獲得している。時価総額は依然として300億円未満である。また、建設会社でマリコンも防衛関連の一角として要マークとなる。鹿児島県西之表市の馬毛島基地工事では東亜建設工業<1885.T>に注目。好業績かつ高配当利回りで人気素地を内包している。このほか、レーダー装置など防衛装備品を手掛ける日本アビオニクス<6946.T>もチェックしたい。  あすのスケジュールでは、2月上中旬の貿易統計が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、午後取引時間中には日銀が消費活動指数を開示する。海外では2月の中国貿易統計、2月の中国外貨準備高のほか、2月の米雇用統計に注目度が高い。また、この日はFRB高官の発言機会が相次ぐ。そのなかパウエルFRB議長の講演も予定され、発言内容に耳目が集まる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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