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ヤマシンフィルタ:建設機械用油圧フィルタで世界シェアNo.1、高付加価値製品販売で業績の急成長に期待
配信日時:2025/01/20 10:48
配信元:FISCO
*10:48JST ヤマシンフィルタ:建設機械用油圧フィルタで世界シェアNo.1、高付加価値製品販売で業績の急成長に期待
ヤマシンフィルタ<6240>は、フィルタのキーパーツである「ろ材」を自社開発し、建機用フィルタ、産業用フィルタ、プロセス用フィルタ、エアフィルタを製造・販売する。
建設機械用フィルタが売上高の約87%を占め、オフィスビルや工場・機器・車両等向けのエアフィルタが13%となっている(2025年3月期上期時点)。建機用フィルタの地域別売上高は、国内が35.9%、北米21.7%、欧州10.9%、アジア13.2%、中国5.8%(同)で、国内シェアは約70%、建設機械用油圧フィルタで世界シェアNo.1となっている。新車ライン品と交換用のアフターマーケット品(補給品)を組み合わせることで、安定した収益構造を実現しており、ライン品は新規顧客の獲得が可能で新車生産台数と連動する。補給品は既存顧客のフィルタの交換サイクルにあわせて補給品を提供するため、利益率が高く安定的なストック市場となり景気変動に左右されにくい。2024年3月期売上高構成比は、ライン品が37%、補給品が63%で、ストック収益が大きい。
建設機械は油圧の力で動いている。同社主力の建機用フィルタは、建設機械の油圧回路に用いられる作動油や、燃料のディーゼル・オイル、エンジン潤滑油などをろ過するフィルタである。建設機械は砂漠やジャングルなど過酷な環境で活躍することも多く、油をろ過する油圧フィルタは建機寿命の生命線。建機の故障の多くは油の汚れが原因となっていることから、その役割はきわめて重要だと言える。フィルタ製造の鍵となるのは、様々なゴミを捕捉する「ろ材」だが、多くのフィルタメーカーが「ろ材」を外部調達しているに対して、同社は「ろ材」の自社開発に取り組み、多種多様なニーズに対応可能なことが強みとなっている。
また、紙(濾紙)、ガラス繊維フィルタ、ナノフィルタへと「ろ材」技術を進化させ、最新の「YAMASHIN Nano Filter(ヤマシン・ナノ・フィルタ)」は、建機用フィルタのサイズを半分、稼働時間を約3倍にできる性能を持つ。既存フィルタより2.5倍の販売単価で、高付加価値製品として導入を進めている。この技術を利用した医療用レベルのマスクを開発したほか、今後、不燃性や遮音性を活かした建材や、遮熱性を活かしたアパレルなどのほか、バッテリーセパレータ、化粧品、ヘルスケア分野など多方面での展開が期待される。
2025年3月期上期累計の売上高は前年同期比13.8%増の9,908百万円、営業利益が同3.3倍の1,376百万円で着地した。建機用フィルタ事業において、北米、アジア、欧州、日本における建機の新車需要は前年度を下回る一方で、交換需要は大幅に増加した。交換需要の増加に伴う補給品売上高の増加に加え、主要原材料価格やエネルギーコスト高騰への対応策として、原価低減の取り組みや販売価格の改善効果によって大幅な増益を確保。「YAMASHIN Nano Filter」は、各建機メーカーの新機種への製品供給が随時開始しているようだ。エアフィルタ事業は、主力製品であるビル空調用フィルタの納期調整の影響等で減収減益。通期の売上高は前期比7.1%増の19,300百万円、営業利益が同57.3%増の2,220百万円を見込んでいる。
同社は、中期経営計画を開示しており、2025年3月期までに収益改善・経営基盤の強化を完了させて2028年3月期には売上高23,790百万円、営業利益3,875百万円を掲げ、まずは時価総額1000億円を目指すようだ。建機用フィルタビジネスの収益性は大幅に改善しており、エアフィルタ事業のROIC改善が取り組むべき課題となる。主力の建機用フィルタ事業では、多様なアプローチによるシェアと「YAMASHIN Nano Filter」の供給拡大による増収効果で4カ年CAGRを売上高+7.7%、営業利益で+29.5%を想定。建設機械には多種多様なフィルタが介在しており、採用状況は顧客ごとに濃淡があるため、未採用の顧客・機種が成長余地になる。また、補給品はライン品の約10倍の市場規模があり、アフターマーケット市場には大きな開拓余地が残っている。北米建機メーカー向け売上高構成比は、2024年3月期の19%から2028年3月期に23.5%を見込む。「YAMASHIN Nano Filter」への置換えは、中計期間最終年度には約30%、2031年3月期には70%まで置き換えを進展させる。
エアフィルタ事業は、ナノファイバー製エアフィルタ(NanoWHELP)の供給を開始し、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展している。「NanoWHELP」他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近いCO2の削減効果と同時に光熱費低減効果が期待できる製品であることから、世界中で環境政策に重点が置かれるなかビル用空調システム市場を中心に今後大きく成長することが見込まれている。また、エアフィルタ性能規格であるアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16の等級に区分され最高性能等級は16)において、国内では唯一MERV14・15・16の3つの等級を取得しているフィルタメーカーとなる。今後、国内外に積極的に展開していくようだ。2028年3月期にDOE10%、配当性向80%のKPIを掲げており、資本政策を抜本的に見直し高い株主還元を目指す。今後の成長期待が高まる中、株主還元も積極的に実施する方針のほか、いまだ時価総額400億円台のプライム企業として、かなり注目しておきたい。
<NH>
建設機械用フィルタが売上高の約87%を占め、オフィスビルや工場・機器・車両等向けのエアフィルタが13%となっている(2025年3月期上期時点)。建機用フィルタの地域別売上高は、国内が35.9%、北米21.7%、欧州10.9%、アジア13.2%、中国5.8%(同)で、国内シェアは約70%、建設機械用油圧フィルタで世界シェアNo.1となっている。新車ライン品と交換用のアフターマーケット品(補給品)を組み合わせることで、安定した収益構造を実現しており、ライン品は新規顧客の獲得が可能で新車生産台数と連動する。補給品は既存顧客のフィルタの交換サイクルにあわせて補給品を提供するため、利益率が高く安定的なストック市場となり景気変動に左右されにくい。2024年3月期売上高構成比は、ライン品が37%、補給品が63%で、ストック収益が大きい。
建設機械は油圧の力で動いている。同社主力の建機用フィルタは、建設機械の油圧回路に用いられる作動油や、燃料のディーゼル・オイル、エンジン潤滑油などをろ過するフィルタである。建設機械は砂漠やジャングルなど過酷な環境で活躍することも多く、油をろ過する油圧フィルタは建機寿命の生命線。建機の故障の多くは油の汚れが原因となっていることから、その役割はきわめて重要だと言える。フィルタ製造の鍵となるのは、様々なゴミを捕捉する「ろ材」だが、多くのフィルタメーカーが「ろ材」を外部調達しているに対して、同社は「ろ材」の自社開発に取り組み、多種多様なニーズに対応可能なことが強みとなっている。
また、紙(濾紙)、ガラス繊維フィルタ、ナノフィルタへと「ろ材」技術を進化させ、最新の「YAMASHIN Nano Filter(ヤマシン・ナノ・フィルタ)」は、建機用フィルタのサイズを半分、稼働時間を約3倍にできる性能を持つ。既存フィルタより2.5倍の販売単価で、高付加価値製品として導入を進めている。この技術を利用した医療用レベルのマスクを開発したほか、今後、不燃性や遮音性を活かした建材や、遮熱性を活かしたアパレルなどのほか、バッテリーセパレータ、化粧品、ヘルスケア分野など多方面での展開が期待される。
2025年3月期上期累計の売上高は前年同期比13.8%増の9,908百万円、営業利益が同3.3倍の1,376百万円で着地した。建機用フィルタ事業において、北米、アジア、欧州、日本における建機の新車需要は前年度を下回る一方で、交換需要は大幅に増加した。交換需要の増加に伴う補給品売上高の増加に加え、主要原材料価格やエネルギーコスト高騰への対応策として、原価低減の取り組みや販売価格の改善効果によって大幅な増益を確保。「YAMASHIN Nano Filter」は、各建機メーカーの新機種への製品供給が随時開始しているようだ。エアフィルタ事業は、主力製品であるビル空調用フィルタの納期調整の影響等で減収減益。通期の売上高は前期比7.1%増の19,300百万円、営業利益が同57.3%増の2,220百万円を見込んでいる。
同社は、中期経営計画を開示しており、2025年3月期までに収益改善・経営基盤の強化を完了させて2028年3月期には売上高23,790百万円、営業利益3,875百万円を掲げ、まずは時価総額1000億円を目指すようだ。建機用フィルタビジネスの収益性は大幅に改善しており、エアフィルタ事業のROIC改善が取り組むべき課題となる。主力の建機用フィルタ事業では、多様なアプローチによるシェアと「YAMASHIN Nano Filter」の供給拡大による増収効果で4カ年CAGRを売上高+7.7%、営業利益で+29.5%を想定。建設機械には多種多様なフィルタが介在しており、採用状況は顧客ごとに濃淡があるため、未採用の顧客・機種が成長余地になる。また、補給品はライン品の約10倍の市場規模があり、アフターマーケット市場には大きな開拓余地が残っている。北米建機メーカー向け売上高構成比は、2024年3月期の19%から2028年3月期に23.5%を見込む。「YAMASHIN Nano Filter」への置換えは、中計期間最終年度には約30%、2031年3月期には70%まで置き換えを進展させる。
エアフィルタ事業は、ナノファイバー製エアフィルタ(NanoWHELP)の供給を開始し、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展している。「NanoWHELP」他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近いCO2の削減効果と同時に光熱費低減効果が期待できる製品であることから、世界中で環境政策に重点が置かれるなかビル用空調システム市場を中心に今後大きく成長することが見込まれている。また、エアフィルタ性能規格であるアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16の等級に区分され最高性能等級は16)において、国内では唯一MERV14・15・16の3つの等級を取得しているフィルタメーカーとなる。今後、国内外に積極的に展開していくようだ。2028年3月期にDOE10%、配当性向80%のKPIを掲げており、資本政策を抜本的に見直し高い株主還元を目指す。今後の成長期待が高まる中、株主還元も積極的に実施する方針のほか、いまだ時価総額400億円台のプライム企業として、かなり注目しておきたい。
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