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テノックス Research Memo(6):「未来を拓く、新たな一歩」へ向けて展開する重要戦略(1)
配信日時:2025/01/16 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST テノックス Research Memo(6):「未来を拓く、新たな一歩」へ向けて展開する重要戦略(1)
■テノックス<1905>の中期経営計画
2. 5つの重要戦略
(1) 事業別戦略
土木事業(国内)、建築事業(国内)、海外事業、土木建築コンサルティング事業の事業別の戦略を展開しており、2027年3月期に土木事業(国内)で売上高88.5億円、経常利益4.0億円、建築事業(国内)で売上高164億円、経常利益10.4億円、海外事業で売上高12億円、経常利益0.45億円、土木建築コンサルティング事業で売上高7億円、経常利益0.35億円を目指している。
土木事業(国内)では、防災・減災及び国土強靭化などのプロジェクトに対する「折り込む力」と杭工事の収益力強化の2つを軸に成長戦略を展開する。前者では、老朽化した鉄道や道路、河川、港湾、農水、空港土木施設、官庁施設など重要土木構造物をターゲットとし、特に災害発生時の人流や物流を確保するため交通ネットワークの多重化整備が課題となっている道路や鉄道など交通インフラ整備事業に向けて、自社工法を技術提案していく。また、大型台風や局地的大雨による水害などを防止する風水害対策工事では、水門や排水設備などの構造設計の技術提案を進める。後者については、省力化を目的としたDXの推進や施工現場におけるKPI(目標効率)の徹底管理など、新しい働き方に沿った施策を展開することで、杭工事の収益力を強化する。なお、足もとで大きな収益源となっている北海道新幹線延伸事業は中期経営計画期間中に施工が完了する予定で、2025年3月期第2四半期をピークに徐々に売上高が減少していく見込みだが、その後は計画に折り込んでいないリニア中央新幹線など新幹線関連の事業が期待できる状況となっている。
建築事業(国内)では、新たに開発したものを含めて様々な工法や技術を複合した提案を推進することで、変化・多様化する建築ニーズにキャッチアップする方針である。事業の拡大に向け、杭工事では都市圏郊外で増設需要が拡大しているデータセンター向けに引き続き耐震力の強いTN-X工法を提案する一方、日本ヒュームと共同開発した高支持力の新コンクリートパイル中掘り工法との複合提案も推進する。新コンクリートパイル中掘り杭工法は、2024年12月に公的認証を取得し、近々に販売を開始する予定のため、中期経営計画期間中には実績が得られると想定している。新コンクリートパイル中掘り工法は施工できる業者が少なく、様々な設備が必要となるため従来の外掘りと比較するとややコストは高くなるが、支持層までの深さが一定(30メートル)を超えるとコスト的に中掘り工法に優位性が出てくるうえ、社会問題化している建設残土を減らすことができるため、現在ニーズが非常に強まっている。同社にとっても、物流施設など荷重条件から参入しづらかった新たな市場にも対応できるというメリットがある。
地盤改良工事では、従来の深層混合改良工法のテノコラムに加えて、新たに開発し近々に技術審査証明を取得する予定である浅層改良工法のテノキューブや、「VCCS」など新技術を組み合わせることで複合的な提案も推進する方針である。同一工事の範囲で深層と浅層の改良工事が混在する場合に、テノコラムとテノキューブの複合提案によって同社での一貫した施工管理の実現と工期短縮が期待でき、施主やゼネコンの負担も軽減できることから、確保できる案件が増える可能性が高まる。「VCCS」についても複合提案しているが、土の中のため見えない工事を見える化しトレースできるため好評である。また、大規模地震によって発生する液状化現象に対し、テノコラム工法による格子状地盤改良液状化対策を行うとともに、施設の機能継続を担保できる杭基礎との複合構造の提案を進める。本複合構造は、子会社の複合技術研究所による数値解析技術により、地盤改良と杭基礎を組み合わせたハイブリッド型液状化対策を提案している。ハイブリッド型液状化対策とは、地盤解析技術を応用してコンピュータ上でバーチャルな地震を起こし、個別の揺れのメカニズムをより正確に把握することで、地震による地盤の揺れを抑える技術となる。開発途上の段階ではあるが、優位性の高い技術のためゼネコンや設計コンサルなどに好評で、消防署、警察署、市役所など地震が発生時しても損壊してはならない重要建築物や大型物流倉庫、データセンターなどでの需要が見込まれている。
海外事業では、景気が回復し、中国からの工場移転が進むベトナムにおいて、基礎構造技術や施工技術によって高速道路や工場の建設、治水工事など成長政策(社会資本整備計画)に寄与する方針である。そのため、機材・労務の両面でTENOX ASIAの施工体制を新たに整備し現地での施工基盤を強化しているところである。また、現地での基礎コンサルティング体制も構築して現地企業とのアライアンスによるローカル化を促進する一方、国内設計業務の現地委託に向けてグループシナジーを活かした技術者育成も進めている。この一貫として、2024年7月にテノックス九州の現地子会社TENOX KYUSYU VIETNAMの施工事業をM&Aし、大手ゼネコンのベトナム事業向け施工を内製化した。これを機にベトナムで新たなバリューチェーンを構築、従来の施工管理のみの対応から設計・提案から施工までの一貫した優位性のある施工提案が可能となった。2024年9月に自社施工第1号案件の施工が完了、より多くのユーザーからの受注の増加を目指している。
土木建築コンサルティング事業(複合技術研究所)では、グループでプロジェクトと戦略を共有し、複合技術研究所内の戦略企画室を活用してシナジーを創出する方針である。具体的には、地震・液状化、津波、斜面崩壊など自然災害の拡大防止対策や大型インフラ整備事業など、多様化・高度化する顧客ニーズに対し、土木・建築コンサルティングのメニューである試験・実験・解析に基づく合理的技術提案と最適設計により、高度にカスタマイズしたソリューションを提供している。ハイブリッド型液状化対策はその一例である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
2. 5つの重要戦略
(1) 事業別戦略
土木事業(国内)、建築事業(国内)、海外事業、土木建築コンサルティング事業の事業別の戦略を展開しており、2027年3月期に土木事業(国内)で売上高88.5億円、経常利益4.0億円、建築事業(国内)で売上高164億円、経常利益10.4億円、海外事業で売上高12億円、経常利益0.45億円、土木建築コンサルティング事業で売上高7億円、経常利益0.35億円を目指している。
土木事業(国内)では、防災・減災及び国土強靭化などのプロジェクトに対する「折り込む力」と杭工事の収益力強化の2つを軸に成長戦略を展開する。前者では、老朽化した鉄道や道路、河川、港湾、農水、空港土木施設、官庁施設など重要土木構造物をターゲットとし、特に災害発生時の人流や物流を確保するため交通ネットワークの多重化整備が課題となっている道路や鉄道など交通インフラ整備事業に向けて、自社工法を技術提案していく。また、大型台風や局地的大雨による水害などを防止する風水害対策工事では、水門や排水設備などの構造設計の技術提案を進める。後者については、省力化を目的としたDXの推進や施工現場におけるKPI(目標効率)の徹底管理など、新しい働き方に沿った施策を展開することで、杭工事の収益力を強化する。なお、足もとで大きな収益源となっている北海道新幹線延伸事業は中期経営計画期間中に施工が完了する予定で、2025年3月期第2四半期をピークに徐々に売上高が減少していく見込みだが、その後は計画に折り込んでいないリニア中央新幹線など新幹線関連の事業が期待できる状況となっている。
建築事業(国内)では、新たに開発したものを含めて様々な工法や技術を複合した提案を推進することで、変化・多様化する建築ニーズにキャッチアップする方針である。事業の拡大に向け、杭工事では都市圏郊外で増設需要が拡大しているデータセンター向けに引き続き耐震力の強いTN-X工法を提案する一方、日本ヒュームと共同開発した高支持力の新コンクリートパイル中掘り工法との複合提案も推進する。新コンクリートパイル中掘り杭工法は、2024年12月に公的認証を取得し、近々に販売を開始する予定のため、中期経営計画期間中には実績が得られると想定している。新コンクリートパイル中掘り工法は施工できる業者が少なく、様々な設備が必要となるため従来の外掘りと比較するとややコストは高くなるが、支持層までの深さが一定(30メートル)を超えるとコスト的に中掘り工法に優位性が出てくるうえ、社会問題化している建設残土を減らすことができるため、現在ニーズが非常に強まっている。同社にとっても、物流施設など荷重条件から参入しづらかった新たな市場にも対応できるというメリットがある。
地盤改良工事では、従来の深層混合改良工法のテノコラムに加えて、新たに開発し近々に技術審査証明を取得する予定である浅層改良工法のテノキューブや、「VCCS」など新技術を組み合わせることで複合的な提案も推進する方針である。同一工事の範囲で深層と浅層の改良工事が混在する場合に、テノコラムとテノキューブの複合提案によって同社での一貫した施工管理の実現と工期短縮が期待でき、施主やゼネコンの負担も軽減できることから、確保できる案件が増える可能性が高まる。「VCCS」についても複合提案しているが、土の中のため見えない工事を見える化しトレースできるため好評である。また、大規模地震によって発生する液状化現象に対し、テノコラム工法による格子状地盤改良液状化対策を行うとともに、施設の機能継続を担保できる杭基礎との複合構造の提案を進める。本複合構造は、子会社の複合技術研究所による数値解析技術により、地盤改良と杭基礎を組み合わせたハイブリッド型液状化対策を提案している。ハイブリッド型液状化対策とは、地盤解析技術を応用してコンピュータ上でバーチャルな地震を起こし、個別の揺れのメカニズムをより正確に把握することで、地震による地盤の揺れを抑える技術となる。開発途上の段階ではあるが、優位性の高い技術のためゼネコンや設計コンサルなどに好評で、消防署、警察署、市役所など地震が発生時しても損壊してはならない重要建築物や大型物流倉庫、データセンターなどでの需要が見込まれている。
海外事業では、景気が回復し、中国からの工場移転が進むベトナムにおいて、基礎構造技術や施工技術によって高速道路や工場の建設、治水工事など成長政策(社会資本整備計画)に寄与する方針である。そのため、機材・労務の両面でTENOX ASIAの施工体制を新たに整備し現地での施工基盤を強化しているところである。また、現地での基礎コンサルティング体制も構築して現地企業とのアライアンスによるローカル化を促進する一方、国内設計業務の現地委託に向けてグループシナジーを活かした技術者育成も進めている。この一貫として、2024年7月にテノックス九州の現地子会社TENOX KYUSYU VIETNAMの施工事業をM&Aし、大手ゼネコンのベトナム事業向け施工を内製化した。これを機にベトナムで新たなバリューチェーンを構築、従来の施工管理のみの対応から設計・提案から施工までの一貫した優位性のある施工提案が可能となった。2024年9月に自社施工第1号案件の施工が完了、より多くのユーザーからの受注の増加を目指している。
土木建築コンサルティング事業(複合技術研究所)では、グループでプロジェクトと戦略を共有し、複合技術研究所内の戦略企画室を活用してシナジーを創出する方針である。具体的には、地震・液状化、津波、斜面崩壊など自然災害の拡大防止対策や大型インフラ整備事業など、多様化・高度化する顧客ニーズに対し、土木・建築コンサルティングのメニューである試験・実験・解析に基づく合理的技術提案と最適設計により、高度にカスタマイズしたソリューションを提供している。ハイブリッド型液状化対策はその一例である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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