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品川リフラ Research Memo(4):海外事業における売上高比率、拠点展開
配信日時:2025/01/15 16:14
配信元:FISCO
*16:14JST 品川リフラ Research Memo(4):海外事業における売上高比率、拠点展開
■品川リフラクトリーズ<5351>の会社概要、事業概要
5. 海外事業
(1) 海外売上高比率
(一社)日本鉄鋼連盟は、新興国の経済成長に伴い、世界の鉄鋼需要は2020年の約18億トンから2050年に約27億トンへ増加すると予測している。一方、日本経済の潜在成長力が低く、鉄鋼製品の需要が縮小して国内粗鋼生産は漸減すると見られる。
同社は、海外で積極的な拠点展開を行っており、第5次中期経営計画(2022年3月期〜2024年3月期)において、海外ビジネスの強化・拡大を重点施策の1つとした。海外売上高は、2021年3月期の16,117百万円から2024年3月期に42,971百万円と2.7倍になった。海外売上高比率は16.1%から29.8%へ上昇した。海外事業は販売数量が増加するなど業績が好調であるうえ、M&Aにより業容を拡大している。原材料を主に海外に依存していることから、円安は利益へのマイナス要因であったが、海外事業の拡大により影響は解消されてきた。「ビジョン2030」においては、現地で製造し現地で販売する「世界の総合耐火物メーカー」を目指し、海外売上高比率50%を目標とする。2025年3月期よりスタートした第6次中期経営計画においては、2027年3月期の海外売上高比率45%を目標に設定し、M&A・JVなどを積極的に推進しグローバル展開を加速させる計画である。
(2) 海外拠点展開
日本の国内粗鋼生産量は、2019年に10年ぶりに1億トンを割り込んだ。米中貿易戦争の長期化による世界景気の減速で輸出が減り、内需も低迷したうえ、自然災害が重なったことが背景となっている。2023年の生産量は、自動車向け鉄鋼需要は回復したが輸出が伸び悩み8,700万トンと2年続けて前年を下回った。2024年1~9月の生産量も、製造業・建設業向け及び輸出向けの需要が低調であり、前年を3.2%下回っている。世界粗鋼生産における2023年の日本のシェアは4.6%と2000年の半分以下の水準となった。一方、中国は53.9%と高水準を維持している。近年ではインドの成長が著しく、2018年に年間生産量で日本を抜いた。ちなみに2023年のインドの世界シェアは7.4%に高まった。インドは2023年に人口で中国を抜いて世界一となっており、持続的な成長が見込まれる。
同社の耐火物事業における海外拠点の展開は、1997年の中国子会社の設立から本格的に始まり、2019年までにオーストラリア、米国、インドネシア、インドへ進出した。中国には耐火物などの製造・販売と連続鋳造用モールドパウダーの製造・販売を手掛ける合弁会社を設立した。オセアニアでは、オーストラリアとニュージーランドに拠点を持つ。2014年に設立したインドネシアの子会社と併せて、オセアニア・東南アジアへの販売展開を図っている。米国のオハイオ州には、モールドパウダーの製造・販売を行う子会社を設立した。現在では、米州における同社の戦略アイテムの販売拠点としても機能している。また、今後のグローバル展開において重要アイテムとなる断熱材の製造・販売拠点を、マレーシア・台湾・中国・ドイツに置いている。
2022年12月に、仏サンゴバン社からブラジルにおける耐火物事業及び米国における耐摩耗性セラミックス事業を譲受した。同社とサンゴバン社は、これまで30年にわたり良好な協力関係を築いてきた。1991年よりサンゴバンブラジルに鉄鋼用耐火物の製造技術ライセンス提供を行い、近年はサンゴバンブラジルが販売店として、南米で鉄鋼、セメントなどの市場向けに同社製品を販売していた。また、2019年にサンゴバン社の子会社であるGrindwell Norton Ltd.との共同出資により、SG Shinagawa Refractories India Pvt. Ltd.をインドに設立した。これらを背景として、本事業買収の合意へと至った。
買収した事業は、ブラジルにおける鉄鋼、鋳造、非鉄金属、石油化学、セメント業界などへ向けた耐火物の製造・販売と米国の鉱業・鉱物処理、鉄鋼、アスファルト、エネルギー業界などへ向けた耐摩耗性セラミックスの製造・販売になる。2021年の売上高規模は、ブラジル事業が約99億円、米国事業が約12億円であり、買収には約120億円を要した。本事業買収により同社グループは、成長著しいブラジル耐火物市場においてリーディング・ポジションを確立できる。また、耐摩耗性セラミックスに関する米国拠点を入手したことにより、同社グループで技術的親和性が認められるファインセラミックス事業において、米国市場へのアクセスを得られた。今後、ブラジル事業・米国事業は、同社グループのさらなる成長のための強力なプラットフォームとなり、事業の成長やシナジーはもとより収益のさらなる多様性と柔軟性をもたらすものと考える。
2024年4月には、インドネシアにおいて現地PT. Refratech MandalaPerkasa(RMP)と共同出資によりPT. Shinagawa Refratech Perkasa(SRP)を設立した。2014年よりインドネシアで不定形耐火物の中~高級品を生産・販売してきた同社子会社のPT.Shinagawa Refractories Indonesia(SRI)の事業とRMPが手掛けてきた汎用品を中心とした不定形耐火物事業を統合し、製品のラインナップを充実させインドネシア市場はもとよりアセアン地域での事業拡大を目指す。2024年7月より事業を開始している。
2024年10月には、オランダで定形耐火物及び不定形耐火物の製造、販売、施工業務など、製品設計から生産、施工、メンテナンスサービスまでワンストップの一貫体制で事業展開するGoudaを買収し100%子会社とした。2023年12月期の売上高は170.7億円、営業利益は18.4億円(株式取得日2024年10月24日の為替レート164.699円/ユーロで換算)であり、投資額は237億円を要した。Goudaは、オランダに2つの生産拠点を持ち、オランダ、ベルギー、ドイツ、スウェーデンの4か国に施工などを手掛けるサービス拠点を有する。製品部門ではアルミニウムなどの非鉄金属業界、石油化学業界、ごみ焼却プラント・エネルギー発電業界向け、サービス部門では石油化学・エネルギー業界向けを中心にそれぞれ事業を展開している。顧客の約8割が継続的にGouda製品を利用し、継続的なメンテナンス契約を締結するなど非常に安定した収益基盤を有している。特に石油化学分野では業界認証を取得している稀有なプレイヤーとして強固なプレゼンスを構築している。また、新製鉄法への対応などカーボンニュートラルに向けた耐火物の開発を強化しており、今後成長が見込まれる市場をリードするポジションにいる。本案件では、Goudaの有する欧州の生産拠点及びサービス拠点を獲得すると同時に、欧州のみならず中東・アフリカ・東南アジアに展開するGoudaの幅広いネットワークを取り込むこととなり、耐火物事業のグローバル展開を加速する。さらに、Goudaの石油化学・エネルギー業界や非鉄金属業界向けの製品群及びマーケットは、同社グループの既存の製品群や顧客層を補完するものであり、技術共有や相互の製品群を活用した幅広い販売活動を推進し、一層のシナジー効果を発現していくことが可能となる。
同社グループは、グループ子会社の新設やM&Aにより主要市場におけるグローバルな生産体制を確保した。海外事業の強化・拡大を成長戦略の柱としていることから、今後もM&Aを含めた投資機会を探り、条件次第では躊躇なく投資を実行する考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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5. 海外事業
(1) 海外売上高比率
(一社)日本鉄鋼連盟は、新興国の経済成長に伴い、世界の鉄鋼需要は2020年の約18億トンから2050年に約27億トンへ増加すると予測している。一方、日本経済の潜在成長力が低く、鉄鋼製品の需要が縮小して国内粗鋼生産は漸減すると見られる。
同社は、海外で積極的な拠点展開を行っており、第5次中期経営計画(2022年3月期〜2024年3月期)において、海外ビジネスの強化・拡大を重点施策の1つとした。海外売上高は、2021年3月期の16,117百万円から2024年3月期に42,971百万円と2.7倍になった。海外売上高比率は16.1%から29.8%へ上昇した。海外事業は販売数量が増加するなど業績が好調であるうえ、M&Aにより業容を拡大している。原材料を主に海外に依存していることから、円安は利益へのマイナス要因であったが、海外事業の拡大により影響は解消されてきた。「ビジョン2030」においては、現地で製造し現地で販売する「世界の総合耐火物メーカー」を目指し、海外売上高比率50%を目標とする。2025年3月期よりスタートした第6次中期経営計画においては、2027年3月期の海外売上高比率45%を目標に設定し、M&A・JVなどを積極的に推進しグローバル展開を加速させる計画である。
(2) 海外拠点展開
日本の国内粗鋼生産量は、2019年に10年ぶりに1億トンを割り込んだ。米中貿易戦争の長期化による世界景気の減速で輸出が減り、内需も低迷したうえ、自然災害が重なったことが背景となっている。2023年の生産量は、自動車向け鉄鋼需要は回復したが輸出が伸び悩み8,700万トンと2年続けて前年を下回った。2024年1~9月の生産量も、製造業・建設業向け及び輸出向けの需要が低調であり、前年を3.2%下回っている。世界粗鋼生産における2023年の日本のシェアは4.6%と2000年の半分以下の水準となった。一方、中国は53.9%と高水準を維持している。近年ではインドの成長が著しく、2018年に年間生産量で日本を抜いた。ちなみに2023年のインドの世界シェアは7.4%に高まった。インドは2023年に人口で中国を抜いて世界一となっており、持続的な成長が見込まれる。
同社の耐火物事業における海外拠点の展開は、1997年の中国子会社の設立から本格的に始まり、2019年までにオーストラリア、米国、インドネシア、インドへ進出した。中国には耐火物などの製造・販売と連続鋳造用モールドパウダーの製造・販売を手掛ける合弁会社を設立した。オセアニアでは、オーストラリアとニュージーランドに拠点を持つ。2014年に設立したインドネシアの子会社と併せて、オセアニア・東南アジアへの販売展開を図っている。米国のオハイオ州には、モールドパウダーの製造・販売を行う子会社を設立した。現在では、米州における同社の戦略アイテムの販売拠点としても機能している。また、今後のグローバル展開において重要アイテムとなる断熱材の製造・販売拠点を、マレーシア・台湾・中国・ドイツに置いている。
2022年12月に、仏サンゴバン社からブラジルにおける耐火物事業及び米国における耐摩耗性セラミックス事業を譲受した。同社とサンゴバン社は、これまで30年にわたり良好な協力関係を築いてきた。1991年よりサンゴバンブラジルに鉄鋼用耐火物の製造技術ライセンス提供を行い、近年はサンゴバンブラジルが販売店として、南米で鉄鋼、セメントなどの市場向けに同社製品を販売していた。また、2019年にサンゴバン社の子会社であるGrindwell Norton Ltd.との共同出資により、SG Shinagawa Refractories India Pvt. Ltd.をインドに設立した。これらを背景として、本事業買収の合意へと至った。
買収した事業は、ブラジルにおける鉄鋼、鋳造、非鉄金属、石油化学、セメント業界などへ向けた耐火物の製造・販売と米国の鉱業・鉱物処理、鉄鋼、アスファルト、エネルギー業界などへ向けた耐摩耗性セラミックスの製造・販売になる。2021年の売上高規模は、ブラジル事業が約99億円、米国事業が約12億円であり、買収には約120億円を要した。本事業買収により同社グループは、成長著しいブラジル耐火物市場においてリーディング・ポジションを確立できる。また、耐摩耗性セラミックスに関する米国拠点を入手したことにより、同社グループで技術的親和性が認められるファインセラミックス事業において、米国市場へのアクセスを得られた。今後、ブラジル事業・米国事業は、同社グループのさらなる成長のための強力なプラットフォームとなり、事業の成長やシナジーはもとより収益のさらなる多様性と柔軟性をもたらすものと考える。
2024年4月には、インドネシアにおいて現地PT. Refratech MandalaPerkasa(RMP)と共同出資によりPT. Shinagawa Refratech Perkasa(SRP)を設立した。2014年よりインドネシアで不定形耐火物の中~高級品を生産・販売してきた同社子会社のPT.Shinagawa Refractories Indonesia(SRI)の事業とRMPが手掛けてきた汎用品を中心とした不定形耐火物事業を統合し、製品のラインナップを充実させインドネシア市場はもとよりアセアン地域での事業拡大を目指す。2024年7月より事業を開始している。
2024年10月には、オランダで定形耐火物及び不定形耐火物の製造、販売、施工業務など、製品設計から生産、施工、メンテナンスサービスまでワンストップの一貫体制で事業展開するGoudaを買収し100%子会社とした。2023年12月期の売上高は170.7億円、営業利益は18.4億円(株式取得日2024年10月24日の為替レート164.699円/ユーロで換算)であり、投資額は237億円を要した。Goudaは、オランダに2つの生産拠点を持ち、オランダ、ベルギー、ドイツ、スウェーデンの4か国に施工などを手掛けるサービス拠点を有する。製品部門ではアルミニウムなどの非鉄金属業界、石油化学業界、ごみ焼却プラント・エネルギー発電業界向け、サービス部門では石油化学・エネルギー業界向けを中心にそれぞれ事業を展開している。顧客の約8割が継続的にGouda製品を利用し、継続的なメンテナンス契約を締結するなど非常に安定した収益基盤を有している。特に石油化学分野では業界認証を取得している稀有なプレイヤーとして強固なプレゼンスを構築している。また、新製鉄法への対応などカーボンニュートラルに向けた耐火物の開発を強化しており、今後成長が見込まれる市場をリードするポジションにいる。本案件では、Goudaの有する欧州の生産拠点及びサービス拠点を獲得すると同時に、欧州のみならず中東・アフリカ・東南アジアに展開するGoudaの幅広いネットワークを取り込むこととなり、耐火物事業のグローバル展開を加速する。さらに、Goudaの石油化学・エネルギー業界や非鉄金属業界向けの製品群及びマーケットは、同社グループの既存の製品群や顧客層を補完するものであり、技術共有や相互の製品群を活用した幅広い販売活動を推進し、一層のシナジー効果を発現していくことが可能となる。
同社グループは、グループ子会社の新設やM&Aにより主要市場におけるグローバルな生産体制を確保した。海外事業の強化・拡大を成長戦略の柱としていることから、今後もM&Aを含めた投資機会を探り、条件次第では躊躇なく投資を実行する考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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