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品川リフラ Research Memo(2):高温技術のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現を目指す
配信日時:2025/01/15 16:12
配信元:FISCO
*16:12JST 品川リフラ Research Memo(2):高温技術のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現を目指す
■品川リフラクトリーズ<5351>の会社概要、事業概要
1. 会社概要
同社グループは、世界の耐火物市場で五指に入る。高温技術のリーディングカンパニーとして耐火物の製造・販売及び窯炉の設計・築炉工事などのエンジニアリングサービスの提供を通じて、産業の発展と豊かな社会の実現に貢献することを基本理念とし、鉄鋼をはじめ非鉄金属、セメント、ガラス、焼却炉、ごみ溶融炉、ガス・電力関連など日本の産業基盤となる業界に各種の耐火物や断熱材、及び装置などを提供している。単体の顧客業種別では、売上高の8割以上が鉄鋼業向けで、残りは焼却炉やセメント、その他になる。耐火物市場で黒崎播磨<5352>と双璧を成す。
世界では気候変動問題が深刻化している。地球温暖化対策として、2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定では、世界平均気温上昇を産業革命以前と比べて「2℃より十分低く、できれば1.5℃に抑える」という目標を掲げた。2021年のCOP26のグラスゴー気候合意では、「+1.5℃」に抑えるために、世界のCO2排出量を「2030年に2010年比45%削減」「2050年頃までに実質ゼロ」にする必要が確認された。2023年夏の暑さは史上最も厳しく、世界の平均気温「+1.5℃」目標を超えた日数が過去最多となった。7月に国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わりました。地球沸騰化の時代が到来しました。」と警告を発したほどである。
こうしたなかで同社は、持続可能な社会の実現のためサステナビリティ経営を標榜している。世界の基幹産業の多くが、製造現場に高温プロセスを有する。特に同社グループの主要顧客である鉄鋼、化学、機械などは、エネルギー多消費型の装置産業であるため温室効果ガス(GHG)の排出量が多い。GHG排出量の削減をバックアップする同社グループの製品及び役務サービスに対するニーズは、中長期的に拡大するだろう。
2025年に創業150周年を迎える老舗企業であるが、“稼ぐ力”のさらなる創出・強化に向け経営改革を進めている。2024年3月期より、「セクター制」を核としたグループ経営体制と資本効率を重視したセクター別ROIC経営を導入した。セクター間の協業をバックアップする「コーポレート本部」を設置し、グループ経営戦略会議により複数セクターにまたがる独自ソリューションの一体販売等を推進する。
2. 沿革
同社は、2009年10月に品川白煉瓦(株)とJFE炉材(株)が合併してできた。前身の品川白煉瓦は1875年に創業し、民間として日本で初めて耐火れんがの製造を開始。その後、鉄鋼業界は世界規模の競争が激化したことから業界再編が起こり、高炉メーカー5社のうち、2002年9月に日本鋼管(株)と川崎製鉄(株)が合併してJFEホールディングス<5411>に、2012年10月には新日本製鐵(株)と住友金属工業(株)が合併して日本製鉄<5401>(旧 新日鐵住金(株))となった。日本鋼管と川崎製鉄系の耐火物メーカー同士が事業統合してできた同社は、2024年3月末時点でJFEホールディングス傘下のJFEスチールが所有比率34.9%で筆頭株主となっている。また、神戸製鋼所<5406>が3.9%を所有する。
JFEスチールは非上場だが、完全親会社のJFEホールディングスは上場会社である。同社は、JFEスチールの持分法適用会社に位置付けられているが、役員の兼務はない。業務遂行のため人材交流はあるが、両社間の取引は一般取引先と同様に個別交渉で行う。経営は同社独自の判断に基づき実行しており、独立性は確保されていると考えられる。
1949年に、東京証券取引所第1部に株式を上場。市場区分の見直しにより、2022年4月には「プライム市場」に移行した。
3. 経営体制
今後の持続的な成長に向けて、2024年3月期より事業区分を変更した。従来の経営体制は、同社単体とグループ会社各社の事業・運営を基本とし、事業セグメントを「耐火物及び関連製品」「エンジニアリング」「その他(不動産)」に分けていた。新たな区分では、「耐火物及び関連製品」を「耐火物」「断熱材」及び「セラミックス」に分け、「エンジニアリング」を加えた主要4区分と「その他」とした。従来区分では耐火物の関連製品という位置付けであった「断熱材」と「セラミックス」が、「耐火物」と並列的な地位に格上げされた。グループ企業の事業ドメイン別内訳は、「耐火物セクター」が耐火物事業本部(同社)、品川ゼネラル(株)、(株)セラテクノ、海外の耐火物事業関係会社、「断熱材セクター」がイソライト工業(株)グループ、「セラミックスセクター」が品川ファインセラミックス(株)と事業譲受をした米国子会社、「エンジニアリングセクター」がエンジニアリング事業本部(同社)と品川ロコー(株)となる。加えて企画管理本部を擁する「コーポレート本部」の組織立てとなった。経営の運営体制は、従来の「社長(CEO)+常務会」から「社長(CEO)+経営会議+グループ経営戦略会議」に改変された。なお、「セラミックスセクター」は2025年3月期より「先端機材セクター」に組織改編された。2024年3月に半導体製造装置の組み立てを主な事業とするコムイノベーション(有)を買収により連結子会社としたことを契機に、今後の成長の柱として半導体製造装置業界などの先端産業に関する事業のさらなる拡大に取り組む。
新たな経営体制により、4つの事業セクターごとに利益と資本効率を考慮した経営を追求している。「グループ経営戦略会議」での議論も活発であり、従来は耐火物と断熱材の一体販売を中心に進めていたが、現在は断熱材と先端機材も半導体製造装置メーカーなどお互いの顧客を紹介し合うといったセクター間の協業が活発化してきている。
2025年3月期第2四半期の事業区分別売上高構成比・セグメント利益構成比(いずれも調整額控除前)、売上高セグメント利益率は、「耐火物」が65.7%・56.7%、7.9%、「断熱材」が13.5%・26.0%、17.7%、「先端機材」が3.1%、2.0%、5.9%、「エンジニアリング」が17.0%・11.0%、5.9%、「その他」が0.7%・4.2%、59.4%であった。「その他」は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う不動産事業であり、売上高構成比は小さいが収益性は高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
1. 会社概要
同社グループは、世界の耐火物市場で五指に入る。高温技術のリーディングカンパニーとして耐火物の製造・販売及び窯炉の設計・築炉工事などのエンジニアリングサービスの提供を通じて、産業の発展と豊かな社会の実現に貢献することを基本理念とし、鉄鋼をはじめ非鉄金属、セメント、ガラス、焼却炉、ごみ溶融炉、ガス・電力関連など日本の産業基盤となる業界に各種の耐火物や断熱材、及び装置などを提供している。単体の顧客業種別では、売上高の8割以上が鉄鋼業向けで、残りは焼却炉やセメント、その他になる。耐火物市場で黒崎播磨<5352>と双璧を成す。
世界では気候変動問題が深刻化している。地球温暖化対策として、2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定では、世界平均気温上昇を産業革命以前と比べて「2℃より十分低く、できれば1.5℃に抑える」という目標を掲げた。2021年のCOP26のグラスゴー気候合意では、「+1.5℃」に抑えるために、世界のCO2排出量を「2030年に2010年比45%削減」「2050年頃までに実質ゼロ」にする必要が確認された。2023年夏の暑さは史上最も厳しく、世界の平均気温「+1.5℃」目標を超えた日数が過去最多となった。7月に国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わりました。地球沸騰化の時代が到来しました。」と警告を発したほどである。
こうしたなかで同社は、持続可能な社会の実現のためサステナビリティ経営を標榜している。世界の基幹産業の多くが、製造現場に高温プロセスを有する。特に同社グループの主要顧客である鉄鋼、化学、機械などは、エネルギー多消費型の装置産業であるため温室効果ガス(GHG)の排出量が多い。GHG排出量の削減をバックアップする同社グループの製品及び役務サービスに対するニーズは、中長期的に拡大するだろう。
2025年に創業150周年を迎える老舗企業であるが、“稼ぐ力”のさらなる創出・強化に向け経営改革を進めている。2024年3月期より、「セクター制」を核としたグループ経営体制と資本効率を重視したセクター別ROIC経営を導入した。セクター間の協業をバックアップする「コーポレート本部」を設置し、グループ経営戦略会議により複数セクターにまたがる独自ソリューションの一体販売等を推進する。
2. 沿革
同社は、2009年10月に品川白煉瓦(株)とJFE炉材(株)が合併してできた。前身の品川白煉瓦は1875年に創業し、民間として日本で初めて耐火れんがの製造を開始。その後、鉄鋼業界は世界規模の競争が激化したことから業界再編が起こり、高炉メーカー5社のうち、2002年9月に日本鋼管(株)と川崎製鉄(株)が合併してJFEホールディングス<5411>に、2012年10月には新日本製鐵(株)と住友金属工業(株)が合併して日本製鉄<5401>(旧 新日鐵住金(株))となった。日本鋼管と川崎製鉄系の耐火物メーカー同士が事業統合してできた同社は、2024年3月末時点でJFEホールディングス傘下のJFEスチールが所有比率34.9%で筆頭株主となっている。また、神戸製鋼所<5406>が3.9%を所有する。
JFEスチールは非上場だが、完全親会社のJFEホールディングスは上場会社である。同社は、JFEスチールの持分法適用会社に位置付けられているが、役員の兼務はない。業務遂行のため人材交流はあるが、両社間の取引は一般取引先と同様に個別交渉で行う。経営は同社独自の判断に基づき実行しており、独立性は確保されていると考えられる。
1949年に、東京証券取引所第1部に株式を上場。市場区分の見直しにより、2022年4月には「プライム市場」に移行した。
3. 経営体制
今後の持続的な成長に向けて、2024年3月期より事業区分を変更した。従来の経営体制は、同社単体とグループ会社各社の事業・運営を基本とし、事業セグメントを「耐火物及び関連製品」「エンジニアリング」「その他(不動産)」に分けていた。新たな区分では、「耐火物及び関連製品」を「耐火物」「断熱材」及び「セラミックス」に分け、「エンジニアリング」を加えた主要4区分と「その他」とした。従来区分では耐火物の関連製品という位置付けであった「断熱材」と「セラミックス」が、「耐火物」と並列的な地位に格上げされた。グループ企業の事業ドメイン別内訳は、「耐火物セクター」が耐火物事業本部(同社)、品川ゼネラル(株)、(株)セラテクノ、海外の耐火物事業関係会社、「断熱材セクター」がイソライト工業(株)グループ、「セラミックスセクター」が品川ファインセラミックス(株)と事業譲受をした米国子会社、「エンジニアリングセクター」がエンジニアリング事業本部(同社)と品川ロコー(株)となる。加えて企画管理本部を擁する「コーポレート本部」の組織立てとなった。経営の運営体制は、従来の「社長(CEO)+常務会」から「社長(CEO)+経営会議+グループ経営戦略会議」に改変された。なお、「セラミックスセクター」は2025年3月期より「先端機材セクター」に組織改編された。2024年3月に半導体製造装置の組み立てを主な事業とするコムイノベーション(有)を買収により連結子会社としたことを契機に、今後の成長の柱として半導体製造装置業界などの先端産業に関する事業のさらなる拡大に取り組む。
新たな経営体制により、4つの事業セクターごとに利益と資本効率を考慮した経営を追求している。「グループ経営戦略会議」での議論も活発であり、従来は耐火物と断熱材の一体販売を中心に進めていたが、現在は断熱材と先端機材も半導体製造装置メーカーなどお互いの顧客を紹介し合うといったセクター間の協業が活発化してきている。
2025年3月期第2四半期の事業区分別売上高構成比・セグメント利益構成比(いずれも調整額控除前)、売上高セグメント利益率は、「耐火物」が65.7%・56.7%、7.9%、「断熱材」が13.5%・26.0%、17.7%、「先端機材」が3.1%、2.0%、5.9%、「エンジニアリング」が17.0%・11.0%、5.9%、「その他」が0.7%・4.2%、59.4%であった。「その他」は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う不動産事業であり、売上高構成比は小さいが収益性は高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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