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紀文食品 Research Memo(4):日本の食の力でWell-beingな世界に貢献する
配信日時:2025/01/10 15:04
配信元:FISCO
*15:04JST 紀文食品 Research Memo(4):日本の食の力でWell-beingな世界に貢献する
■紀文食品<2933>の中期経営計画
1. 長期経営戦略
少子高齢化の進行、単身・少人数世帯の増加、世界規模の食糧危機、消費スタイルの変化など、社会が急速に変化している。それに伴い、即食・簡便・買い置き需要の増加、食のおいしさ・楽しさの多様化、健康と安全安心な食品への需要拡大など食のニーズが高度化し、代替食材の発展や日本的な家庭食文化の崩壊など食生活自体も変化している。こうした環境下、水産練り製品で培った強みを生かして社会のあるべき姿の実現に貢献するため、同社はさらなる飛躍を目指す。このため、「革新と挑戦と夢」という経営理念に基づき、強みを武器に「世の中を“すこやかなおいしさ”で満たしつづける。」ミッションに向け、「日本の食の力でWell-beingな世界に貢献する食の総合グループ。」に進化するというビジョンの実現に取り組んでいく考えである。
こうした取り組みのメルクマールとして、創業100周年を迎える2038年を目標に長期経営戦略を策定し、おいしさと共に健康に貢献する「総合食品グループ」、新たなおいしさと楽しさを創造する「開発型企業」、おいしさで世界の食文化に根付く「グローバルカンパニー」を目指す。特に人口減少が続く国内市場では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して健康やおいしさを消費者個々に届けるとともに、長年の課題である気温変化に影響されず1年を通して様々な食シーンで喜ばれるアイテムを充実させるなど、健康やおいしさ、利便性の面で付加価値を創出し、ブランド力を現在以上に高める考えである。海外市場では、得意のタンパク加工技術を使ったアイテムなどにより広く健康とおいしさを提案し、魚食を一層広める方針である。これにより、2038年に売上高2,500億円、営業利益175億円(営業利益率7.0%)を目指す。このため、長期目標をバックキャストして5段階の3ヶ年中期経営計画を策定し、目標に向けて着実に実績を積み上げる計画である。
2027年3月期に営業利益60億円を目指す
2. 第1次中期経営計画(2026)
長期経営戦略の第1弾として、同社は第1次中期経営計画(2026)を策定した。第1次中期経営計画では、持続的に成長できる強固な企業体質を確立するため、既存領域の拡大とともに、温度帯を含め商材の幅を様々に広げることで新たな価値を創造する考えである。これにより、2027年3月期に売上高1,203億円、営業利益60億円を目指す。また、KPIとして売上高成長率、海外売上高比率、営業利益率、自己資本比率、ROE、ROIC、営業キャッシュ・フローの7項目を定めた。なお、売上高成長率は既存事業の着実な成長に加え新規事業領域への展開、海外売上高比率は新製品の投入と市場拡大、営業利益率は生産性の向上と業務の効率化、調達力の向上、自己資本比率とROEは利益志向への体質転換、ROICは営業利益の拡大と資本の効率化、営業キャッシュ・フローは利益の拡大と資産の効率化を進めることで目標を達成する考えである。さらに、セグメント別の目標として、国内食品事業と食品関連事業ではトップラインの安定成長と確実な営業利益の創出を目指し、海外食品事業では再び成長軌道に戻って力強い売上成長を実現するとともに、営業利益率を2023年3月期に達成した10%にまで高める方針である。こうした目標を実現するため、同社は「成長戦略の推進と新たな価値創造」「資本効率の改善」「経営基盤の整備」の3つの基本戦略を展開する。基本戦略を継続し中長期の成長につなげるには、営業利益率の改善と海外での成長、営業キャッシュ・フローの創出が最優先事項といえよう。
新たな価値創造を目指して成長戦略を推進
3. セグメント別成長戦略
(1) 国内食品事業
国内食品事業では、まず既存領域を拡大して売上高の増加を図る。具体的には、伸びているカテゴリーの生産ラインを増強するとともに、生産能力拡大や老朽化対策のための工場再編の検討を開始する(第2次中期経営計画期間中に再編予定)。収益が秋冬に偏る季節性の緩和を目指し、即食・簡便ニーズに応えたバータイプ商品や独自技術を生かしたキャラクター商品、麺状商品などの開発を促進する。買い置き需要や食品ロス対策でニーズが広がるレトルト商品などロングライフ商品も拡充する。さらに、高タンパク・低脂質・ロカボ(糖質オフ)・減塩など商品の特長を、健康志向とおいしさの両面から訴求することで、「紀文=健康」のイメージを確立する。日本の伝統文化であるお正月やおせち料理の保護・継承につながるよう、正月商戦にも引き続き注力する。既存領域以外では、開発体制の強化により農畜水産品の商事販売や練り製品・健康志向商材の業務用販売などチャネルを強化し、売上規模の拡大を図る。さらに、同社グループが有する経営資源を活用して新規分野にも挑戦し、新たな事業領域の拡大を図る。
(2) 海外食品事業
海外では、持続的な成長にフォーカスする。主力商品で強みのある水産練り製品を中心とした日本食をコア領域に、加工食品事業に加えてトレーディング事業と直販事業を強化し、展開エリアの市場特性や市場ニーズに適した商品別、チャネル別、エリア別の戦略を立案する方針である。展開エリアについては、タイ、アジア・オセアニア地域、北米・欧州、中国の4つに分ける。具体的にタイでは、加工食品事業に特化し、生産効率の向上や新たな原材料調達、ライン増設、MSC認証※の取得、カニカマの自動化・省人化などにより製造能力を強化する一方、開発力や営業力の強化でタイ国内のシェア上昇と輸出販路の拡大を狙う。アジア・オセアニア地域では、カニカマなどコスト優位性のある練り製品を強化する一方、チーちくは地域それぞれの食シーンに合わせて展開し、非練製品は日本食材の拡販や市場開拓に注力する。トレーディング事業では成長著しいインドネシアとインド、それにニュージーランドで販売拡大を、直販事業では直営飲食店展開による知名度向上やEC事業の強化を進める。北米・欧州では、カニカマで品質と価格をバランスした製品と価格に対応した製品の2面展開し、中南米への販路も拡大する。非練製品では「Healthy Noodle」の米系スーパーへの導入を促進する。加工食品事業以外では、紀文ブランドの認知拡大、農畜産品の輸出拡大、新アイテムの発掘など日本食のトレーディング事業を強化し、直販事業では「Healthy Noodle」でEC事業に参入する。中国では、カニカマで既存顧客を深掘りするとともに業務用の販路拡大を進め、非練製品では「Healthy Noodle」を売り込む。トレーディング事業では健康価値を高める食品の輸入や中国産食材の輸出などを強化し、直販事業ではEC事業への取り組みを強化する。
※ MSC(Marine Stewardship Council)認証:水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証。
(3) 食品関連事業
物流の2024年問題でも注目されている共同配送や専用センターに関しては、長年蓄積してきた運用ノウハウを活用して、拠点を拡大し成長につなげる方針である。また、チルド以外の温度帯や流通加工業務の強化も推進し、業容を拡大する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 長期経営戦略
少子高齢化の進行、単身・少人数世帯の増加、世界規模の食糧危機、消費スタイルの変化など、社会が急速に変化している。それに伴い、即食・簡便・買い置き需要の増加、食のおいしさ・楽しさの多様化、健康と安全安心な食品への需要拡大など食のニーズが高度化し、代替食材の発展や日本的な家庭食文化の崩壊など食生活自体も変化している。こうした環境下、水産練り製品で培った強みを生かして社会のあるべき姿の実現に貢献するため、同社はさらなる飛躍を目指す。このため、「革新と挑戦と夢」という経営理念に基づき、強みを武器に「世の中を“すこやかなおいしさ”で満たしつづける。」ミッションに向け、「日本の食の力でWell-beingな世界に貢献する食の総合グループ。」に進化するというビジョンの実現に取り組んでいく考えである。
こうした取り組みのメルクマールとして、創業100周年を迎える2038年を目標に長期経営戦略を策定し、おいしさと共に健康に貢献する「総合食品グループ」、新たなおいしさと楽しさを創造する「開発型企業」、おいしさで世界の食文化に根付く「グローバルカンパニー」を目指す。特に人口減少が続く国内市場では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して健康やおいしさを消費者個々に届けるとともに、長年の課題である気温変化に影響されず1年を通して様々な食シーンで喜ばれるアイテムを充実させるなど、健康やおいしさ、利便性の面で付加価値を創出し、ブランド力を現在以上に高める考えである。海外市場では、得意のタンパク加工技術を使ったアイテムなどにより広く健康とおいしさを提案し、魚食を一層広める方針である。これにより、2038年に売上高2,500億円、営業利益175億円(営業利益率7.0%)を目指す。このため、長期目標をバックキャストして5段階の3ヶ年中期経営計画を策定し、目標に向けて着実に実績を積み上げる計画である。
2027年3月期に営業利益60億円を目指す
2. 第1次中期経営計画(2026)
長期経営戦略の第1弾として、同社は第1次中期経営計画(2026)を策定した。第1次中期経営計画では、持続的に成長できる強固な企業体質を確立するため、既存領域の拡大とともに、温度帯を含め商材の幅を様々に広げることで新たな価値を創造する考えである。これにより、2027年3月期に売上高1,203億円、営業利益60億円を目指す。また、KPIとして売上高成長率、海外売上高比率、営業利益率、自己資本比率、ROE、ROIC、営業キャッシュ・フローの7項目を定めた。なお、売上高成長率は既存事業の着実な成長に加え新規事業領域への展開、海外売上高比率は新製品の投入と市場拡大、営業利益率は生産性の向上と業務の効率化、調達力の向上、自己資本比率とROEは利益志向への体質転換、ROICは営業利益の拡大と資本の効率化、営業キャッシュ・フローは利益の拡大と資産の効率化を進めることで目標を達成する考えである。さらに、セグメント別の目標として、国内食品事業と食品関連事業ではトップラインの安定成長と確実な営業利益の創出を目指し、海外食品事業では再び成長軌道に戻って力強い売上成長を実現するとともに、営業利益率を2023年3月期に達成した10%にまで高める方針である。こうした目標を実現するため、同社は「成長戦略の推進と新たな価値創造」「資本効率の改善」「経営基盤の整備」の3つの基本戦略を展開する。基本戦略を継続し中長期の成長につなげるには、営業利益率の改善と海外での成長、営業キャッシュ・フローの創出が最優先事項といえよう。
新たな価値創造を目指して成長戦略を推進
3. セグメント別成長戦略
(1) 国内食品事業
国内食品事業では、まず既存領域を拡大して売上高の増加を図る。具体的には、伸びているカテゴリーの生産ラインを増強するとともに、生産能力拡大や老朽化対策のための工場再編の検討を開始する(第2次中期経営計画期間中に再編予定)。収益が秋冬に偏る季節性の緩和を目指し、即食・簡便ニーズに応えたバータイプ商品や独自技術を生かしたキャラクター商品、麺状商品などの開発を促進する。買い置き需要や食品ロス対策でニーズが広がるレトルト商品などロングライフ商品も拡充する。さらに、高タンパク・低脂質・ロカボ(糖質オフ)・減塩など商品の特長を、健康志向とおいしさの両面から訴求することで、「紀文=健康」のイメージを確立する。日本の伝統文化であるお正月やおせち料理の保護・継承につながるよう、正月商戦にも引き続き注力する。既存領域以外では、開発体制の強化により農畜水産品の商事販売や練り製品・健康志向商材の業務用販売などチャネルを強化し、売上規模の拡大を図る。さらに、同社グループが有する経営資源を活用して新規分野にも挑戦し、新たな事業領域の拡大を図る。
(2) 海外食品事業
海外では、持続的な成長にフォーカスする。主力商品で強みのある水産練り製品を中心とした日本食をコア領域に、加工食品事業に加えてトレーディング事業と直販事業を強化し、展開エリアの市場特性や市場ニーズに適した商品別、チャネル別、エリア別の戦略を立案する方針である。展開エリアについては、タイ、アジア・オセアニア地域、北米・欧州、中国の4つに分ける。具体的にタイでは、加工食品事業に特化し、生産効率の向上や新たな原材料調達、ライン増設、MSC認証※の取得、カニカマの自動化・省人化などにより製造能力を強化する一方、開発力や営業力の強化でタイ国内のシェア上昇と輸出販路の拡大を狙う。アジア・オセアニア地域では、カニカマなどコスト優位性のある練り製品を強化する一方、チーちくは地域それぞれの食シーンに合わせて展開し、非練製品は日本食材の拡販や市場開拓に注力する。トレーディング事業では成長著しいインドネシアとインド、それにニュージーランドで販売拡大を、直販事業では直営飲食店展開による知名度向上やEC事業の強化を進める。北米・欧州では、カニカマで品質と価格をバランスした製品と価格に対応した製品の2面展開し、中南米への販路も拡大する。非練製品では「Healthy Noodle」の米系スーパーへの導入を促進する。加工食品事業以外では、紀文ブランドの認知拡大、農畜産品の輸出拡大、新アイテムの発掘など日本食のトレーディング事業を強化し、直販事業では「Healthy Noodle」でEC事業に参入する。中国では、カニカマで既存顧客を深掘りするとともに業務用の販路拡大を進め、非練製品では「Healthy Noodle」を売り込む。トレーディング事業では健康価値を高める食品の輸入や中国産食材の輸出などを強化し、直販事業ではEC事業への取り組みを強化する。
※ MSC(Marine Stewardship Council)認証:水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証。
(3) 食品関連事業
物流の2024年問題でも注目されている共同配送や専用センターに関しては、長年蓄積してきた運用ノウハウを活用して、拠点を拡大し成長につなげる方針である。また、チルド以外の温度帯や流通加工業務の強化も推進し、業容を拡大する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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