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冨士ダイス Research Memo(6):業務効率化、成長分野の新製品開発、グローバル展開を推進(2)
配信日時:2025/01/06 16:36
配信元:FISCO
*16:36JST 冨士ダイス Research Memo(6):業務効率化、成長分野の新製品開発、グローバル展開を推進(2)
■冨士ダイス<6167>の中長期の成長戦略
3. 「脱炭素・循環型社会への貢献」
弊社は同社について、全体として非常に優れた技術・製法を有しながら、これまでは顧客ニーズの発掘には上手くつながらず、事業拡大の機会を取り逃がしていたように見ている。海外を含めた顧客ニーズの取り込み、M&Aや提携も利用した販路拡大などで事業拡大を加速できるかがポイントになるだろう。同社は「脱炭素・循環型社会への貢献」として、次世代エネルギー/次世代自動車/省資源/リサイクルの4分野について積極的な製品開発・市場投入を行う計画である。特に注力していると見られるのが次世代自動車である。ただし全体的には2027年3月期以降に大きく開花する案件が多く、新中期経営計画への寄与は限定的に留まると見ている。
(1) 次世代自動車
次世代自動車では開発が終わり、本格販売を目指すモータコア金型向け「フジロイ VG48」、そして新たに発表された新材種「フジロイ VG51」がある。同社のVシリーズの特長は、耐摩耗性と破壊靭性に優れたバランスを持ち、モータコア金型に必要な耐久性と精度を両立させた点である。現在、同社のVシリーズは多方面で使われ、同社売上の20%近くを占めている。
「フジロイ VG51」は、ワイヤーカット放電加工機において加工液に水を利用する長時間の水切りワイヤー放電加工に対応した製品である。汎用材種と比較して耐食性・靭性に優れ、また長時間の水切りワイヤー放電加工を行っても、汎用材種で起こる部分的に生じる深い腐食が抑えられる。そのことで、腐食対策で油切り加工する場合と比べて加工時間を短縮し、金型製作コストの低減が期待できる。ワイヤーカット放電加工では精密かつ複雑な加工を要求される長時間加工の金型製作が増えると見られることから、「フジロイ VG51」は差別化商品として売上拡大が期待される。
同社は、顧客の動向を先読みし電磁鋼板に変えてアモルファス金属による高性能のモータ開発に寄与出来る打抜き金型材料の先行開発を進めている。モータ出力はトルクと回転数の積に比例し、モータ体格は最大トルクで決まるため、高速回転化を図れば、同出力で小型・軽量化が可能となるが、高速回転化の難題は渦電流が増大し鉄損が増えモータ損失が増大してしまうことにある。このため、この薄板鋼板を打抜くためにWC粒度をナノサイズまで微細化し、非常に高い硬さと抗折力を両立した既に生産販売中となるナノ微粒子超硬合金「フジロイFS06」なども引き合いが増加しているようだ。
このように新たな製品群を加えることで、同社はモータコア向けでさらなる売上加速を見込んでいる。現時点では、同社における次世代自動車向け売上高は、2020年3月期を100とすると2024年3月期で120〜130まで拡大しているという。競合は、兵庫県の(株)共立合金製作所や、サンアロイ工業(株)、(株)シルバーロイ、岡山県の(株)トーカロイホールディングスなどの未上場企業であり、超硬合金大手の住友電気工業<5802>や三菱マテリアル<5711>などは参入していない。このため現時点で売上高の17%程度を占める輸送用機械向けのモータコア用金型や対応製品は、同分野での売上高構成比の高まりが見られるだろう。またこれらの超硬合金は、従来の国内向けに加え中国向けにモータコア金型向け素材販売の強化も行っている。新規営業拠点の東莞における中国市場での販売拡大は、国内での次世代自動車生産の本格拡大や海外での高級EV向けのモータコア金型向け母材販売として全体の14%程度を占める金型・工具向け素材販売の拡大にもつながる。
また、高熱膨張レンズ用金型(TR合金)も本格拡大フェーズに入ってきた。具体的には自動運転技術の進展に伴い、センサー用レンズの需要が増加している。このような用途に対応するためには、成形したいレンズ素材に熱膨張を追随させる目的で成形用金型に高い熱膨張係数、耐摩耗性、加工精度が求められている。これに対し同社が開発したTRシリーズ(金型用硬質材料)は、これらの要件を満たす新材料として開発された。「TR05」をはじめとするTRシリーズは、ガラスに近い熱膨張係数を有していることから生産効率向上に寄与し、採用が増加している。自動運転用センサーは、赤外線透過レンズを使用して高精度な環境認識を行うため、成形精度が自動運転技術の性能に直結する。「TR05」の採用により、センサーの性能向上に寄与するものと期待される。
同社は、自動運転の普及を加速させている中国市場での拡販に取り組むとしている。具体的にEV/PHEV販売台数世界トップの中国の比亜迪汽車工業有限公司(BYD)では、高級EV車「HanEV」に前方3個、後方3個、計6個のLiDAR(3次元センサー)を搭載している。中国ではレベル4の完全自動運転タクシーも2023年にサービスが開始され、一般車両でも運用が始まりつつある。また諸外国でも実証実験が相次いでおり、本格的な生産拡大が期待される。なお「TR05」は車載だけでなく防犯監視カメラ向け赤外線レンズ用金型用途などにも利用される。さらにマイクロ流路金型、特殊光学素子の成形にも採用されており、多方面での採用にも期待が持たれる。2024年から販売を始め、2025年3月期には売上高100百万円を目指すとしている。2026年3月期以降の本格的な拡大が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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3. 「脱炭素・循環型社会への貢献」
弊社は同社について、全体として非常に優れた技術・製法を有しながら、これまでは顧客ニーズの発掘には上手くつながらず、事業拡大の機会を取り逃がしていたように見ている。海外を含めた顧客ニーズの取り込み、M&Aや提携も利用した販路拡大などで事業拡大を加速できるかがポイントになるだろう。同社は「脱炭素・循環型社会への貢献」として、次世代エネルギー/次世代自動車/省資源/リサイクルの4分野について積極的な製品開発・市場投入を行う計画である。特に注力していると見られるのが次世代自動車である。ただし全体的には2027年3月期以降に大きく開花する案件が多く、新中期経営計画への寄与は限定的に留まると見ている。
(1) 次世代自動車
次世代自動車では開発が終わり、本格販売を目指すモータコア金型向け「フジロイ VG48」、そして新たに発表された新材種「フジロイ VG51」がある。同社のVシリーズの特長は、耐摩耗性と破壊靭性に優れたバランスを持ち、モータコア金型に必要な耐久性と精度を両立させた点である。現在、同社のVシリーズは多方面で使われ、同社売上の20%近くを占めている。
「フジロイ VG51」は、ワイヤーカット放電加工機において加工液に水を利用する長時間の水切りワイヤー放電加工に対応した製品である。汎用材種と比較して耐食性・靭性に優れ、また長時間の水切りワイヤー放電加工を行っても、汎用材種で起こる部分的に生じる深い腐食が抑えられる。そのことで、腐食対策で油切り加工する場合と比べて加工時間を短縮し、金型製作コストの低減が期待できる。ワイヤーカット放電加工では精密かつ複雑な加工を要求される長時間加工の金型製作が増えると見られることから、「フジロイ VG51」は差別化商品として売上拡大が期待される。
同社は、顧客の動向を先読みし電磁鋼板に変えてアモルファス金属による高性能のモータ開発に寄与出来る打抜き金型材料の先行開発を進めている。モータ出力はトルクと回転数の積に比例し、モータ体格は最大トルクで決まるため、高速回転化を図れば、同出力で小型・軽量化が可能となるが、高速回転化の難題は渦電流が増大し鉄損が増えモータ損失が増大してしまうことにある。このため、この薄板鋼板を打抜くためにWC粒度をナノサイズまで微細化し、非常に高い硬さと抗折力を両立した既に生産販売中となるナノ微粒子超硬合金「フジロイFS06」なども引き合いが増加しているようだ。
このように新たな製品群を加えることで、同社はモータコア向けでさらなる売上加速を見込んでいる。現時点では、同社における次世代自動車向け売上高は、2020年3月期を100とすると2024年3月期で120〜130まで拡大しているという。競合は、兵庫県の(株)共立合金製作所や、サンアロイ工業(株)、(株)シルバーロイ、岡山県の(株)トーカロイホールディングスなどの未上場企業であり、超硬合金大手の住友電気工業<5802>や三菱マテリアル<5711>などは参入していない。このため現時点で売上高の17%程度を占める輸送用機械向けのモータコア用金型や対応製品は、同分野での売上高構成比の高まりが見られるだろう。またこれらの超硬合金は、従来の国内向けに加え中国向けにモータコア金型向け素材販売の強化も行っている。新規営業拠点の東莞における中国市場での販売拡大は、国内での次世代自動車生産の本格拡大や海外での高級EV向けのモータコア金型向け母材販売として全体の14%程度を占める金型・工具向け素材販売の拡大にもつながる。
また、高熱膨張レンズ用金型(TR合金)も本格拡大フェーズに入ってきた。具体的には自動運転技術の進展に伴い、センサー用レンズの需要が増加している。このような用途に対応するためには、成形したいレンズ素材に熱膨張を追随させる目的で成形用金型に高い熱膨張係数、耐摩耗性、加工精度が求められている。これに対し同社が開発したTRシリーズ(金型用硬質材料)は、これらの要件を満たす新材料として開発された。「TR05」をはじめとするTRシリーズは、ガラスに近い熱膨張係数を有していることから生産効率向上に寄与し、採用が増加している。自動運転用センサーは、赤外線透過レンズを使用して高精度な環境認識を行うため、成形精度が自動運転技術の性能に直結する。「TR05」の採用により、センサーの性能向上に寄与するものと期待される。
同社は、自動運転の普及を加速させている中国市場での拡販に取り組むとしている。具体的にEV/PHEV販売台数世界トップの中国の比亜迪汽車工業有限公司(BYD)では、高級EV車「HanEV」に前方3個、後方3個、計6個のLiDAR(3次元センサー)を搭載している。中国ではレベル4の完全自動運転タクシーも2023年にサービスが開始され、一般車両でも運用が始まりつつある。また諸外国でも実証実験が相次いでおり、本格的な生産拡大が期待される。なお「TR05」は車載だけでなく防犯監視カメラ向け赤外線レンズ用金型用途などにも利用される。さらにマイクロ流路金型、特殊光学素子の成形にも採用されており、多方面での採用にも期待が持たれる。2024年から販売を始め、2025年3月期には売上高100百万円を目指すとしている。2026年3月期以降の本格的な拡大が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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