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個人ブロガー三竿郁夫:2025年DXが進化する-7つの視点【FISCOソーシャルレポーター】
配信日時:2024/12/31 11:00
配信元:FISCO
*11:00JST 個人ブロガー三竿郁夫:2025年DXが進化する-7つの視点【FISCOソーシャルレポーター】
以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人ブロガー三竿郁夫氏(ブログ「IA工房」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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【2025年DXが進化する - 7つの視点】
DX(デジタルトランスフォーメーション)があるゆる業界のイノベーションを牽引するデジタル産業革命の時代に突入しているが、2024年は、特にエヌビデアを筆頭にDXの進化を支える半導体株に注目が集まった。いろいろな産業の中でDXが進化してきているので、今年もそれらの動向から目を離せない。DXが引き起こしているイノベーションの動きが激しいいくつかの業界を取り上げ、IoT,半導体,AIに関連づけた視点から最先端をいく企業を取り上げてみたい。
<DXが引き起こしているイノベーション>
1.農業/畜産DXの視点
食物や動物を産業にしている業界のDXによるイノベーションが凄い。
農業では、土壌の湿度や農地の健康状態の管理、最適な農薬や水やり、植物の成長状況の監視、作物の収穫量や病害のリスクの予測等、ロボットやドローンを使いAIを活用したDXが着々と実現し始めている。
畜産でも、大規模牧場化に伴い、それぞれの個体や装置にIDをつけ、生体に各種センサーをつけることで、授乳や飼料の食管理、種付けから出産までの生育管理、行動を把握した健康管理等のAIを活用したDXが浸透しつつある。
・スマート農業パッケージを提供するAgrist<非上場>は、農作物の収量を予測する「AGRIST AI」を開発し、最適な施肥量や灌水量を設定して高精度な収量予測を実現することで農業経営をサポートしている。AGRIST AIは、MicrosoftのAzureの強力なプラットフォームとCopilotのAI機能の支援を受けている。
・岩渕畜産<非上場>は、千葉県のブランド牛「しあわせ絆牛」を生み出す畜産農家を、DXを活用して支えている。また、同社の酪農部門では、飼料の与え方、授乳・搾乳管理、IDに紐ついた牛の行動から把握する健康管理、出産飼育管理等、ロボットやDXをフル活用して牛乳の美味しさを追求している。
2.医療DXの視点
コロナ禍をきっかけとして医療分野でのDXの進展も著しい。
遠隔治療やAI創薬が大きな話題になっている。
・難病の克服や創薬のスピード化で治験の難しさの壁があるが、エムスリー<2413>は「治験君」という治験の入り口から出口まで支援するサービスを提供している。ソニーG<6758>は、エムスリーと提携し、オンラインの健康相談や医師の紹介といった福利厚生サービスの支援を行っている。
・大塚ホールディングス<4578>大塚製薬は、英国の会社と共同でAIを活用した有望な化合物の絞り込みに着手し、創薬のスピードアップと研究コスト削減を目指している。
3.教育DXの視点
イノベーションが最も遅れていた学校や教育産業がいよいよ個人の能力に合わせた究極の教育手法へ動き出す。コロナ禍を乗り越えて、大学でも、オンライン授業、学習管理、学生とのコミュニケーションの学習管理システム(LMS)の活用を進めている。学習履歴に基づいてその進展や成績に合わせて教材や会話のやりとりを自動生成していく教育の効率化が進みそうだ。
・プラスアルファ・コンサルティング<4071>は、統合型スクールマネジメントシステム「ヨリソル」の顧客を増やし、教職員の働き方改革を支援するだけでなく、学習者と教職員の性格診断機能や不登校予兆検知機能を提供している。
・ベネッセ<非上場>は、AIを高度に使いこなすための「問う力」と「見極める力」に注目し、より個に応じた対応を実現して学習の質の向上に努めている。
・DuolingoのDuolingoアプリは、世界でもっともダウンロードされている語学学習アプリだ。生成AIの言語モデルを使い、ロールプレイング形式で会話の練習が楽しくできる機能もリリースした。
4.スマホ/AI半導体の視点
いろいろな産業でのDXを具体的に実現するにあたって、その顧客サービスのツールとして、世界に15億台ほど普及したスマホが大いに活用される。スマホの中の半導体の進化やAI化がもたらすアプリケーションの進化がDX化の肝となっている。スマホ・半導体関連の素材・組み立て・アプリケーションのバリューチェーンの確立が大きな課題であるが、地政学的な戦いにもからんできている。
各企業にとっては、ビジネスを成功させるためのバリューチェーンの観点からの連携戦略が重要になってきている。
・ソニーG<6758>は、Appleやその他のスマホ向けのイメージセンサーを大量に生産しているが、熊本に進出したTSMC<台湾>との連携も強めている。
・スマホの電子部品は、多くの日本企業に強みがある。ソニーG<6758>, TDK<6762>,京セラ<6971>、村田製作所<6981>等々の企業業績は、スマホ顧客との連携に左右される。
・半導体工程につかわれる素材や製造装置・検査装置も日本企業の強いところである。信越化学<4063>、SUMCO<3436>, 東京応化工業<4186>、ディスコ<6146>、アドバンテスト<6857>等々。
いずれも、中国、台湾、韓国にあるお客様の工場への最適な供給体制を模索している。
5.観光DXの視点
究極のサービスを提供することは、観光業界で勝つための大きな指標であるが、その究極のサービスを実現していく観光DXの準備が整いつつある。
・株式会社Plaru<非上場>が提供する観光のプランをAIが自動生成するアプリPlaruが面白い。場所・時間・行きたい場所の条件等旅行計画を自動生成してくれる。
・星野リゾート<3287>は、究極のサービスをめざしているが、簡単な質問から目的に合わせたぴったりホテル診断がホームページ内でできるようになっている。
・オリエンタルランド<4661>ディズニーランドの「東京ディズニーリゾート・アプリ」には、来場者のためのいろいろなサービスが盛り込まれている。特に待ち時間という大きな課題を克服するための工夫がなされていて、そうした気配りがリピーター獲得につながっているようだ。
6.自動車産業/MaaSの視点
2024年はEVシフトへの計画の減速が話題になったが、長期的にはエンジンからハイブリッド車へそしてEVへの流れは変わらない。その状況を見極めながら、自動運転をはじめとしたMaaSへのさらなるデジタル化の展開を見逃してはいけない。あらゆる移動を最適化することがMaaSの本質なので、自動運転による最適化は一つの大きな要素となる。それらを支えるDX/AI技術開発が加速している。したがって巨大な自動車産業/MaaS産業のバリューチェーンに関わる一つ一つの企業が大きな変革期に来ていることを認識する必要があり、その変革の流れにどう対応するかが重要である。また、その変革の基盤となる通信技術、AI半導体、パワー半導体の大きな流れも見逃せない。
・ソフトバンクG<9984>の自動運転構想が話題になっている。AI関連の特許や投資に注力し、安全性をより追求した自動運転レベル6を提案している。
・デンソー<6902>は、MaaS/自動運転への時代の流れに対応して、トヨタ<7203>グループの電装会社という立場を脱して、半導体事業の拡大を目指す。EVの駆動を制御する効率の良いSiCパワー半導体や自動運転等で使われる生成AIに適した半導体の開発も視野に入れている。
・パワー半導体で世界4位の三菱電機<6503>は、ネクスペディア<オランダ>と電力効率の良いSiCパワー半導体を共同開発し、供給体制でも連携している。
7. 脳科学/AGIの視点
イーロンマスクは、テスラから宇宙開発へそしてAI会社、体内マイクロチップへと夢を追っている。「東大教授が語り合う10の未来予測」という本の最初に出てくるのが、人間の機能のダウンロード。脳科学の進展とAGI(汎用AI・強いAI)そして無線充電の技術の進化が、体内マイクロチップ実現への道を開こうとしている。
スウェーデンでは、IDチップを親指の付け根に入れて改札を通る人が3000人を超えたと言われている。Alphabetの子会社Verily<非上場>やVivokey Japan<非上場>が体内マイクロチップのビジネスを日本で始めている。今後、決済用に始まって、健康管理用、人間の機能向上用の体内マイクロチップビジネスが発展していきそうだ。この分野にどんな日本企業が本気で取り組むか注目したい。
7つのDX視点で牽引する企業の例をいくつかあげたが、他にもDXを牽引する有望な企業が出てきている。どこがDX化の急速な流れを掴み勝ち残っていくか注目していきたい。
執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表
ブログ名:「IA工房」
参照: 「DXで変わる100の景色(森戸裕一著)
「東大教授が語り合う10の未来予測」(編者:瀧口友里奈)
「つながる脳科学」(編者:理化学研究所)
「2030半導体の地政学」(太田泰彦著)
「2024年DXの屋台骨を支える半導体に関わる戦い」(FISCO記事: 三竿郁夫)
各社のホームぺージ、報道記事等
<TY>
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【2025年DXが進化する - 7つの視点】
DX(デジタルトランスフォーメーション)があるゆる業界のイノベーションを牽引するデジタル産業革命の時代に突入しているが、2024年は、特にエヌビデアを筆頭にDXの進化を支える半導体株に注目が集まった。いろいろな産業の中でDXが進化してきているので、今年もそれらの動向から目を離せない。DXが引き起こしているイノベーションの動きが激しいいくつかの業界を取り上げ、IoT,半導体,AIに関連づけた視点から最先端をいく企業を取り上げてみたい。
<DXが引き起こしているイノベーション>
1.農業/畜産DXの視点
食物や動物を産業にしている業界のDXによるイノベーションが凄い。
農業では、土壌の湿度や農地の健康状態の管理、最適な農薬や水やり、植物の成長状況の監視、作物の収穫量や病害のリスクの予測等、ロボットやドローンを使いAIを活用したDXが着々と実現し始めている。
畜産でも、大規模牧場化に伴い、それぞれの個体や装置にIDをつけ、生体に各種センサーをつけることで、授乳や飼料の食管理、種付けから出産までの生育管理、行動を把握した健康管理等のAIを活用したDXが浸透しつつある。
・スマート農業パッケージを提供するAgrist<非上場>は、農作物の収量を予測する「AGRIST AI」を開発し、最適な施肥量や灌水量を設定して高精度な収量予測を実現することで農業経営をサポートしている。AGRIST AIは、MicrosoftのAzureの強力なプラットフォームとCopilotのAI機能の支援を受けている。
・岩渕畜産<非上場>は、千葉県のブランド牛「しあわせ絆牛」を生み出す畜産農家を、DXを活用して支えている。また、同社の酪農部門では、飼料の与え方、授乳・搾乳管理、IDに紐ついた牛の行動から把握する健康管理、出産飼育管理等、ロボットやDXをフル活用して牛乳の美味しさを追求している。
2.医療DXの視点
コロナ禍をきっかけとして医療分野でのDXの進展も著しい。
遠隔治療やAI創薬が大きな話題になっている。
・難病の克服や創薬のスピード化で治験の難しさの壁があるが、エムスリー<2413>は「治験君」という治験の入り口から出口まで支援するサービスを提供している。ソニーG<6758>は、エムスリーと提携し、オンラインの健康相談や医師の紹介といった福利厚生サービスの支援を行っている。
・大塚ホールディングス<4578>大塚製薬は、英国の会社と共同でAIを活用した有望な化合物の絞り込みに着手し、創薬のスピードアップと研究コスト削減を目指している。
3.教育DXの視点
イノベーションが最も遅れていた学校や教育産業がいよいよ個人の能力に合わせた究極の教育手法へ動き出す。コロナ禍を乗り越えて、大学でも、オンライン授業、学習管理、学生とのコミュニケーションの学習管理システム(LMS)の活用を進めている。学習履歴に基づいてその進展や成績に合わせて教材や会話のやりとりを自動生成していく教育の効率化が進みそうだ。
・プラスアルファ・コンサルティング<4071>は、統合型スクールマネジメントシステム「ヨリソル」の顧客を増やし、教職員の働き方改革を支援するだけでなく、学習者と教職員の性格診断機能や不登校予兆検知機能を提供している。
・ベネッセ<非上場>は、AIを高度に使いこなすための「問う力」と「見極める力」に注目し、より個に応じた対応を実現して学習の質の向上に努めている。
・DuolingoのDuolingoアプリは、世界でもっともダウンロードされている語学学習アプリだ。生成AIの言語モデルを使い、ロールプレイング形式で会話の練習が楽しくできる機能もリリースした。
4.スマホ/AI半導体の視点
いろいろな産業でのDXを具体的に実現するにあたって、その顧客サービスのツールとして、世界に15億台ほど普及したスマホが大いに活用される。スマホの中の半導体の進化やAI化がもたらすアプリケーションの進化がDX化の肝となっている。スマホ・半導体関連の素材・組み立て・アプリケーションのバリューチェーンの確立が大きな課題であるが、地政学的な戦いにもからんできている。
各企業にとっては、ビジネスを成功させるためのバリューチェーンの観点からの連携戦略が重要になってきている。
・ソニーG<6758>は、Appleやその他のスマホ向けのイメージセンサーを大量に生産しているが、熊本に進出したTSMC<台湾>との連携も強めている。
・スマホの電子部品は、多くの日本企業に強みがある。ソニーG<6758>, TDK<6762>,京セラ<6971>、村田製作所<6981>等々の企業業績は、スマホ顧客との連携に左右される。
・半導体工程につかわれる素材や製造装置・検査装置も日本企業の強いところである。信越化学<4063>、SUMCO<3436>, 東京応化工業<4186>、ディスコ<6146>、アドバンテスト<6857>等々。
いずれも、中国、台湾、韓国にあるお客様の工場への最適な供給体制を模索している。
5.観光DXの視点
究極のサービスを提供することは、観光業界で勝つための大きな指標であるが、その究極のサービスを実現していく観光DXの準備が整いつつある。
・株式会社Plaru<非上場>が提供する観光のプランをAIが自動生成するアプリPlaruが面白い。場所・時間・行きたい場所の条件等旅行計画を自動生成してくれる。
・星野リゾート<3287>は、究極のサービスをめざしているが、簡単な質問から目的に合わせたぴったりホテル診断がホームページ内でできるようになっている。
・オリエンタルランド<4661>ディズニーランドの「東京ディズニーリゾート・アプリ」には、来場者のためのいろいろなサービスが盛り込まれている。特に待ち時間という大きな課題を克服するための工夫がなされていて、そうした気配りがリピーター獲得につながっているようだ。
6.自動車産業/MaaSの視点
2024年はEVシフトへの計画の減速が話題になったが、長期的にはエンジンからハイブリッド車へそしてEVへの流れは変わらない。その状況を見極めながら、自動運転をはじめとしたMaaSへのさらなるデジタル化の展開を見逃してはいけない。あらゆる移動を最適化することがMaaSの本質なので、自動運転による最適化は一つの大きな要素となる。それらを支えるDX/AI技術開発が加速している。したがって巨大な自動車産業/MaaS産業のバリューチェーンに関わる一つ一つの企業が大きな変革期に来ていることを認識する必要があり、その変革の流れにどう対応するかが重要である。また、その変革の基盤となる通信技術、AI半導体、パワー半導体の大きな流れも見逃せない。
・ソフトバンクG<9984>の自動運転構想が話題になっている。AI関連の特許や投資に注力し、安全性をより追求した自動運転レベル6を提案している。
・デンソー<6902>は、MaaS/自動運転への時代の流れに対応して、トヨタ<7203>グループの電装会社という立場を脱して、半導体事業の拡大を目指す。EVの駆動を制御する効率の良いSiCパワー半導体や自動運転等で使われる生成AIに適した半導体の開発も視野に入れている。
・パワー半導体で世界4位の三菱電機<6503>は、ネクスペディア<オランダ>と電力効率の良いSiCパワー半導体を共同開発し、供給体制でも連携している。
7. 脳科学/AGIの視点
イーロンマスクは、テスラから宇宙開発へそしてAI会社、体内マイクロチップへと夢を追っている。「東大教授が語り合う10の未来予測」という本の最初に出てくるのが、人間の機能のダウンロード。脳科学の進展とAGI(汎用AI・強いAI)そして無線充電の技術の進化が、体内マイクロチップ実現への道を開こうとしている。
スウェーデンでは、IDチップを親指の付け根に入れて改札を通る人が3000人を超えたと言われている。Alphabetの子会社Verily<非上場>やVivokey Japan<非上場>が体内マイクロチップのビジネスを日本で始めている。今後、決済用に始まって、健康管理用、人間の機能向上用の体内マイクロチップビジネスが発展していきそうだ。この分野にどんな日本企業が本気で取り組むか注目したい。
7つのDX視点で牽引する企業の例をいくつかあげたが、他にもDXを牽引する有望な企業が出てきている。どこがDX化の急速な流れを掴み勝ち残っていくか注目していきたい。
執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表
ブログ名:「IA工房」
参照: 「DXで変わる100の景色(森戸裕一著)
「東大教授が語り合う10の未来予測」(編者:瀧口友里奈)
「つながる脳科学」(編者:理化学研究所)
「2030半導体の地政学」(太田泰彦著)
「2024年DXの屋台骨を支える半導体に関わる戦い」(FISCO記事: 三竿郁夫)
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