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エレマテック Research Memo(3):多数の商材・取引先を生かして安定成長を実現。高付加価値型ビジネスを推進
配信日時:2024/12/18 15:03
配信元:FISCO
*15:03JST エレマテック Research Memo(3):多数の商材・取引先を生かして安定成長を実現。高付加価値型ビジネスを推進
■エレマテック<2715>の会社概要
2. 特長と強み
(1) 豊富な商材と盤石な顧客基盤
同社の特長としてまず挙げられるのは、多数の取引先と商材を抱える点だ。仕入先は約7,000社(メーカー)にのぼり、一方で約6,000社の販売先(ユーザー)に対して、電子材料や電子部品を中心とする多様な商材の取引を行っている。個別の仕入先及び販売先は開示されていないが、主な販売先上位10社が売上収益の約40%(2024年3月期)を占める。仕入先や販売先、取扱商品の分散によって、特定の顧客や製品の動向に大きく左右されにくい安定した成長が可能となっている。
(2) 提案力と製造能力(拠点)
多数の顧客を抱えていることから、同社は顧客から多くの要望を受ける。その一方で、長年にわたり多くの商材を取り扱ってきたことから、多数の商材の特色・特性を知り尽くしており、これらの知識と過去のノウハウを組み合わせることで、顧客の要望に応えている。顧客のニーズを先読みして、自ら提案する力を有していることが、「受け身」(Passive)の事業展開だけでなく、「能動的」(Active)な事業展開を行える同社の強みである。
さらに同社の場合、製造部門(国内1工場、海外2工場、多数の製造委託先)を有しているため、単に部材を販売するだけでなく、顧客の要望に応じてモジュール品やカスタマイズ品、半製品も提供できる。ある意味で、顧客にとっては「便利で都合の良いベンダー」であり、この事実によって、多くの顧客が同社とのビジネスを長年継続しているとも言え、この点も同社の強みだろう。
(3) 立体的な収益構造
一般的なエレクトロニクス商社の場合、収益拡大のためには顧客(X軸)と商材(Y軸)が重要な要素であり、平面的な収益構造になっている。同社の場合は、これに加えて企画(提案)・製造・品質管理などの第3軸(Z軸)の要素も持つことで、収益構造が立体的になっていると言える。
特に近年は単なる商社機能だけでなく企画力・提案力も強めており、Z軸方向が高く(厚く)なってきている。一般的な建物に喩えれば、高いビルほど強く崩れにくい構造であることと同様で、同社の収益構造は強く、簡単には崩れないと言える。このように立体的な収益構造を有している点も同社の特色であり強みである。
3. 主なサービス・機能
同社は、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけでなく、企画開発・設計、製造サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社では特色として以下のような5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込めていると言える。
(1) 企画開発・設計
営業部門・開発部・技術部が連携し、新しいパーツやユニットを企画開発・設計する。
(2) 調達代行サービス
顧客が求める品質・コスト・納期に最適な部材の調達を代行する。
(3) 製造サービス
自社工場や国内外の優良な外部委託を活用し、カスタマイズ品・モジュール品、完成品(ODM)を提供する。
(4) 品質・環境マネジメント
高品質な商材を届けるために、高度な品質管理体制を確立している。
(5) 海外ネットワーク
ワールドワイドなネットワークを使って、スムーズなグローバル物流を実現している。
同社は、単純な商社機能に付加価値の高いサービス・機能を加えることで相対的に高い売上総利益率を維持している。今後も5つのサービス・機能の活用により、同社の売上総利益率はさらに向上していくことが期待できる。
「成長分野に乗れる体質」で収益成長を維持
4. 長期業績推移
同社の長期的な業績推移を振り返ると、浮沈の激しいエレクトロニクス業界に身を置きながら、経済サイクルや製品サイクルなどの波を乗り越えて安定成長を果たしてきたと言える。2000年代初めは携帯電話関連で伸長し、FPC(プリント配線板)の部材や基板実装、光学フィルムなどが主要な商材だった。これらの製品により、2008年3月期に売上高は初めて1,000億円を超えた。その後、テレビの地上波デジタル放送への移行などもあって液晶テレビ関連の部材が大きなビジネスとなった。また、2010年以降はスマートフォンやタブレットが急成長し、同社はそこに各種フィルム類やガラス類などを販売してリーマンショックからの迅速な回復と、連続で最高益の更新を達成し、2016年3月期には売上高は初めて2,000億円超となった。ここ数年はスマートフォン市場の成熟化により業績の踊り場を迎えた形となっているが、ODM製品としてドライブレコーダーを販売するなど企画力・提案力の強化により成長を維持しており、2023年3月期には過去最高の売上高2,397億円を達成した。さらに同社にとって次の成長市場は自動車関連と海外に移行しつつある。多数の取引先と多様な商材を有するだけでなく、提案力・製造能力も持っている同社の商機が一段と拡大すると期待される。
このように同社は、その時々の市場や状況に応じて適切な部品や製品を提供することで成長を維持してきた。これは「機を見るに敏な戦略」とも言えるが、実際は「勝ち馬に乗れる体質」が同社の強みであり特色であると弊社では見ている。同社は、幅広い顧客基盤、多くの商材、加えて開発力を備えているからこそ「成長分野に乗れる体質」、言い換えれば「勝ち馬に乗れる体質」であるから持続的な成長ができるのであって、どの企業でも可能なことではない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2. 特長と強み
(1) 豊富な商材と盤石な顧客基盤
同社の特長としてまず挙げられるのは、多数の取引先と商材を抱える点だ。仕入先は約7,000社(メーカー)にのぼり、一方で約6,000社の販売先(ユーザー)に対して、電子材料や電子部品を中心とする多様な商材の取引を行っている。個別の仕入先及び販売先は開示されていないが、主な販売先上位10社が売上収益の約40%(2024年3月期)を占める。仕入先や販売先、取扱商品の分散によって、特定の顧客や製品の動向に大きく左右されにくい安定した成長が可能となっている。
(2) 提案力と製造能力(拠点)
多数の顧客を抱えていることから、同社は顧客から多くの要望を受ける。その一方で、長年にわたり多くの商材を取り扱ってきたことから、多数の商材の特色・特性を知り尽くしており、これらの知識と過去のノウハウを組み合わせることで、顧客の要望に応えている。顧客のニーズを先読みして、自ら提案する力を有していることが、「受け身」(Passive)の事業展開だけでなく、「能動的」(Active)な事業展開を行える同社の強みである。
さらに同社の場合、製造部門(国内1工場、海外2工場、多数の製造委託先)を有しているため、単に部材を販売するだけでなく、顧客の要望に応じてモジュール品やカスタマイズ品、半製品も提供できる。ある意味で、顧客にとっては「便利で都合の良いベンダー」であり、この事実によって、多くの顧客が同社とのビジネスを長年継続しているとも言え、この点も同社の強みだろう。
(3) 立体的な収益構造
一般的なエレクトロニクス商社の場合、収益拡大のためには顧客(X軸)と商材(Y軸)が重要な要素であり、平面的な収益構造になっている。同社の場合は、これに加えて企画(提案)・製造・品質管理などの第3軸(Z軸)の要素も持つことで、収益構造が立体的になっていると言える。
特に近年は単なる商社機能だけでなく企画力・提案力も強めており、Z軸方向が高く(厚く)なってきている。一般的な建物に喩えれば、高いビルほど強く崩れにくい構造であることと同様で、同社の収益構造は強く、簡単には崩れないと言える。このように立体的な収益構造を有している点も同社の特色であり強みである。
3. 主なサービス・機能
同社は、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけでなく、企画開発・設計、製造サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社では特色として以下のような5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込めていると言える。
(1) 企画開発・設計
営業部門・開発部・技術部が連携し、新しいパーツやユニットを企画開発・設計する。
(2) 調達代行サービス
顧客が求める品質・コスト・納期に最適な部材の調達を代行する。
(3) 製造サービス
自社工場や国内外の優良な外部委託を活用し、カスタマイズ品・モジュール品、完成品(ODM)を提供する。
(4) 品質・環境マネジメント
高品質な商材を届けるために、高度な品質管理体制を確立している。
(5) 海外ネットワーク
ワールドワイドなネットワークを使って、スムーズなグローバル物流を実現している。
同社は、単純な商社機能に付加価値の高いサービス・機能を加えることで相対的に高い売上総利益率を維持している。今後も5つのサービス・機能の活用により、同社の売上総利益率はさらに向上していくことが期待できる。
「成長分野に乗れる体質」で収益成長を維持
4. 長期業績推移
同社の長期的な業績推移を振り返ると、浮沈の激しいエレクトロニクス業界に身を置きながら、経済サイクルや製品サイクルなどの波を乗り越えて安定成長を果たしてきたと言える。2000年代初めは携帯電話関連で伸長し、FPC(プリント配線板)の部材や基板実装、光学フィルムなどが主要な商材だった。これらの製品により、2008年3月期に売上高は初めて1,000億円を超えた。その後、テレビの地上波デジタル放送への移行などもあって液晶テレビ関連の部材が大きなビジネスとなった。また、2010年以降はスマートフォンやタブレットが急成長し、同社はそこに各種フィルム類やガラス類などを販売してリーマンショックからの迅速な回復と、連続で最高益の更新を達成し、2016年3月期には売上高は初めて2,000億円超となった。ここ数年はスマートフォン市場の成熟化により業績の踊り場を迎えた形となっているが、ODM製品としてドライブレコーダーを販売するなど企画力・提案力の強化により成長を維持しており、2023年3月期には過去最高の売上高2,397億円を達成した。さらに同社にとって次の成長市場は自動車関連と海外に移行しつつある。多数の取引先と多様な商材を有するだけでなく、提案力・製造能力も持っている同社の商機が一段と拡大すると期待される。
このように同社は、その時々の市場や状況に応じて適切な部品や製品を提供することで成長を維持してきた。これは「機を見るに敏な戦略」とも言えるが、実際は「勝ち馬に乗れる体質」が同社の強みであり特色であると弊社では見ている。同社は、幅広い顧客基盤、多くの商材、加えて開発力を備えているからこそ「成長分野に乗れる体質」、言い換えれば「勝ち馬に乗れる体質」であるから持続的な成長ができるのであって、どの企業でも可能なことではない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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