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トリプルアイズ Research Memo(1):相次ぐ買収で事業規模を拡大。今後は買収によるシナジー創出がカギに
配信日時:2024/12/12 13:01
配信元:FISCO
*13:01JST トリプルアイズ Research Memo(1):相次ぐ買収で事業規模を拡大。今後は買収によるシナジー創出がカギに
■要約
トリプルアイズ<5026>は、AI/システムの開発、AIを搭載したサービスの提供及び自動車メーカー向けの設計開発によって構成されるAIソリューション事業、2023年9月にグループ入りした(株)ゼロフィールドが手掛けるGPUマシンの販売・保守サービスを手掛けるGPUサーバー事業の2つが主力事業である。AIソリューション事業はSI(システムインテグレーション)部門とAIZE部門から構成されていたが、2024年7月に(株)BEXがグループ入りしたことで、現在はAIインテグレーション、エンジニアリング、AIプロダクトの3つのサブセグメントとなっている。AIインテグレーションでは、AI/システムの開発、AIに関するコンサルティングなどを行い、エンジニアリングでは、BEXが主として自動車メーカー向けの設計開発を行っている。また、AIプロダクトでは、AIを搭載したサービスの提供及びサービス提供に伴い発生するデバイスや顧客別カスタマイズ開発を行っている。また、ゼロフィールドにより展開されているGPUサーバー事業は、GPUサーバー/データセンターと保守の2つのサブセグメントからなり、マイニングマシンの販売、AI用途に最適なGPUサーバーの販売やデータサーバーの提供、並びにそれらの保守・運用までを一括で受託している。
1. 2024年8月期の業績概要
2024年8月期の連結業績は、売上高4,410百万円(前期比88.0%増)、営業利益38百万円(前期は269百万円の営業損失)、経常利益47百万円(同290百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益76百万円(同825百万円の当期純損失)となり、期初に発表した売上高4,045百万円、営業損失96百万円、その後に上方修正した売上高4,341百万円、営業利益3百万円を売上高、営業利益ともに上回った。期初計画がAIソリューション事業、GPUサーバー事業ともにやや保守的であったことに加え、完全子会社となったBEXが7月、8月の2ヶ月分寄与したことが売上面では大きく上振れ要因になったと見られる。なお、事業別の業績は、AIソリューション事業の売上高が3,029百万円(前期比29.1%増)、営業利益が1百万円(前期は269百万円の営業損失)、GPUサーバー事業の売上高が1,381百万円(2023年9月より連結化されたため前期比較なし)、営業利益が2百万円(同)であった。なお、AIソリューション事業の売上高にはBEXの新規連結効果(約300百万円)があったと見られるため、これを除いた既存事業でのAIソリューション事業の売上高は前期比15%程度の増収であったと推測される。
2. 2025年8月期の業績見通し
2025年8月期の連結業績は、売上高5,992百万円(前期比35.9%増)、営業利益111百万円(同192.6%増)、経常利益98百万円(同109.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益30百万円(同59.6%減)と見込んでいる。事業別の売上高や営業利益の詳細は開示していないが、売上高が前期比で約1,600百万円増加する計画となっており、この増収のうち、約1,500百万円はBEXが12ヶ月分のフル連結されることによるものと見られる(BEXの前期売上高は2ヶ月分のみで約300百万円、2025年8月期は12ヶ月分で約1,800百万円の想定)。そのため、実質的にGPUサーバー事業も含めた既存事業においてはほぼ前年並みの業績予想に留めているという試算だ。また、BEXのフル連結に伴う影響は、直近12ヶ月ベースで約200百万円の営業利益を出しており、のれん償却費26百万円(のれん201百万円、10年償却)を差し引いても前期比で170〜180百万円の営業利益の増加要因となると見られる。しかし、同社の営業利益の見込みは前期比で72百万円の増加に留まっており、営業利益の面では売上高以上に保守的な予想となっているようだ。同社の説明資料においては、事業シナジー創出のための研究開発投資、エンジニアの稀少性が高まる中で人的資本への投資実行、また、GPUサーバー事業の事業ボラティリティ性を勘案して来期業績を見積もっているとなっている。上振れて着地する可能性がありそうだ。
3. 中長期成長戦略
同社は成長戦略として以下の4つのAI実装戦略による独自性を掲げている。(1) AIプロダクト、オーダーメイドAI開発の展開、(2) 資本業務提携やM&Aを駆使したレガシー産業領域へのAI実装及び新サービス展開、(3) GPUサーバー事業の推進、(4) M&Aによる非連続の成長、である。特にここ2年間で顕著なのはゼロフィールドやBEXなどの大型M&Aの実施による事業領域の拡大や、2024年9月のゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>との資本業務提携の実施など、外部経営リソースの積極的な活用だ。自動車設計業務を手掛けるBEX、パチンコ・パチスロホール向けカードシステムを手掛けるゲームカード・ジョイコホールディングスなど一見すると買収・提携先の事業内容に一貫性がないように見えるが、同社のAI技術が幅広い業界において優位性を発揮できるという証左でもある。今後、これらの外部資本活用により自動車業界などレガシー産業においてAI実装を進めることで事業機会が着実に拡がってくると見られる。また、短期的には暗号資産用GPUマシンの販売動向が業績の変動要因となるものの、長期的にはゼロフィールドが持つ高性能GPUサーバーと同社が持つ自社開発AIエンジンの融合にも期待したい。今後、生産、販売シナジー双方の数値化と成長戦略の開示が待たれる。
■Key Points
・システムインテグレーションと自社の画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」を展開。GPUマシンを手掛けるゼロフィールドを2023年9月に、自動車設計業務を手掛けるBEXを2024年7月に完全子会社化
・2024年8月期は期初時点で保守的に見込まれたAIソリューション事業が堅調に推移。また、期中に買収したBEXの新規連結効果で売上高、営業利益ともに期初予想を大幅に上回って着地
・2025年8月期の会社計画はBEXの12ヶ月分のフル業績寄与を踏まえると売上高、営業利益とも保守的な予想となっている可能性がある
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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トリプルアイズ<5026>は、AI/システムの開発、AIを搭載したサービスの提供及び自動車メーカー向けの設計開発によって構成されるAIソリューション事業、2023年9月にグループ入りした(株)ゼロフィールドが手掛けるGPUマシンの販売・保守サービスを手掛けるGPUサーバー事業の2つが主力事業である。AIソリューション事業はSI(システムインテグレーション)部門とAIZE部門から構成されていたが、2024年7月に(株)BEXがグループ入りしたことで、現在はAIインテグレーション、エンジニアリング、AIプロダクトの3つのサブセグメントとなっている。AIインテグレーションでは、AI/システムの開発、AIに関するコンサルティングなどを行い、エンジニアリングでは、BEXが主として自動車メーカー向けの設計開発を行っている。また、AIプロダクトでは、AIを搭載したサービスの提供及びサービス提供に伴い発生するデバイスや顧客別カスタマイズ開発を行っている。また、ゼロフィールドにより展開されているGPUサーバー事業は、GPUサーバー/データセンターと保守の2つのサブセグメントからなり、マイニングマシンの販売、AI用途に最適なGPUサーバーの販売やデータサーバーの提供、並びにそれらの保守・運用までを一括で受託している。
1. 2024年8月期の業績概要
2024年8月期の連結業績は、売上高4,410百万円(前期比88.0%増)、営業利益38百万円(前期は269百万円の営業損失)、経常利益47百万円(同290百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益76百万円(同825百万円の当期純損失)となり、期初に発表した売上高4,045百万円、営業損失96百万円、その後に上方修正した売上高4,341百万円、営業利益3百万円を売上高、営業利益ともに上回った。期初計画がAIソリューション事業、GPUサーバー事業ともにやや保守的であったことに加え、完全子会社となったBEXが7月、8月の2ヶ月分寄与したことが売上面では大きく上振れ要因になったと見られる。なお、事業別の業績は、AIソリューション事業の売上高が3,029百万円(前期比29.1%増)、営業利益が1百万円(前期は269百万円の営業損失)、GPUサーバー事業の売上高が1,381百万円(2023年9月より連結化されたため前期比較なし)、営業利益が2百万円(同)であった。なお、AIソリューション事業の売上高にはBEXの新規連結効果(約300百万円)があったと見られるため、これを除いた既存事業でのAIソリューション事業の売上高は前期比15%程度の増収であったと推測される。
2. 2025年8月期の業績見通し
2025年8月期の連結業績は、売上高5,992百万円(前期比35.9%増)、営業利益111百万円(同192.6%増)、経常利益98百万円(同109.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益30百万円(同59.6%減)と見込んでいる。事業別の売上高や営業利益の詳細は開示していないが、売上高が前期比で約1,600百万円増加する計画となっており、この増収のうち、約1,500百万円はBEXが12ヶ月分のフル連結されることによるものと見られる(BEXの前期売上高は2ヶ月分のみで約300百万円、2025年8月期は12ヶ月分で約1,800百万円の想定)。そのため、実質的にGPUサーバー事業も含めた既存事業においてはほぼ前年並みの業績予想に留めているという試算だ。また、BEXのフル連結に伴う影響は、直近12ヶ月ベースで約200百万円の営業利益を出しており、のれん償却費26百万円(のれん201百万円、10年償却)を差し引いても前期比で170〜180百万円の営業利益の増加要因となると見られる。しかし、同社の営業利益の見込みは前期比で72百万円の増加に留まっており、営業利益の面では売上高以上に保守的な予想となっているようだ。同社の説明資料においては、事業シナジー創出のための研究開発投資、エンジニアの稀少性が高まる中で人的資本への投資実行、また、GPUサーバー事業の事業ボラティリティ性を勘案して来期業績を見積もっているとなっている。上振れて着地する可能性がありそうだ。
3. 中長期成長戦略
同社は成長戦略として以下の4つのAI実装戦略による独自性を掲げている。(1) AIプロダクト、オーダーメイドAI開発の展開、(2) 資本業務提携やM&Aを駆使したレガシー産業領域へのAI実装及び新サービス展開、(3) GPUサーバー事業の推進、(4) M&Aによる非連続の成長、である。特にここ2年間で顕著なのはゼロフィールドやBEXなどの大型M&Aの実施による事業領域の拡大や、2024年9月のゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>との資本業務提携の実施など、外部経営リソースの積極的な活用だ。自動車設計業務を手掛けるBEX、パチンコ・パチスロホール向けカードシステムを手掛けるゲームカード・ジョイコホールディングスなど一見すると買収・提携先の事業内容に一貫性がないように見えるが、同社のAI技術が幅広い業界において優位性を発揮できるという証左でもある。今後、これらの外部資本活用により自動車業界などレガシー産業においてAI実装を進めることで事業機会が着実に拡がってくると見られる。また、短期的には暗号資産用GPUマシンの販売動向が業績の変動要因となるものの、長期的にはゼロフィールドが持つ高性能GPUサーバーと同社が持つ自社開発AIエンジンの融合にも期待したい。今後、生産、販売シナジー双方の数値化と成長戦略の開示が待たれる。
■Key Points
・システムインテグレーションと自社の画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」を展開。GPUマシンを手掛けるゼロフィールドを2023年9月に、自動車設計業務を手掛けるBEXを2024年7月に完全子会社化
・2024年8月期は期初時点で保守的に見込まれたAIソリューション事業が堅調に推移。また、期中に買収したBEXの新規連結効果で売上高、営業利益ともに期初予想を大幅に上回って着地
・2025年8月期の会社計画はBEXの12ヶ月分のフル業績寄与を踏まえると売上高、営業利益とも保守的な予想となっている可能性がある
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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