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リソー教育 Research Memo(4):完全個別指導による高品質な教育サービスを差別化戦略として成長を続ける
配信日時:2024/11/26 14:04
配信元:FISCO
*14:04JST リソー教育 Research Memo(4):完全個別指導による高品質な教育サービスを差別化戦略として成長を続ける
■リソー教育<4714>の会社概要
3. 特長・強み
同社は様々な特長や強みを有しているが、弊社では長期的にほぼ一貫して業績が拡大基調を歩んでいることと、高い利益率を実現していることの2点が特長であると考えている。これら2つの特長は、同社が構築してきた優位性のある事業モデルに起因すると考えており、これらを理解することで同社の中長期的な成長シナリオに対する理解度や確信度が高まるものと考えている。
同社の売上高は創業初年度となる1986年6月期に163百万円を計上し、2013年2月期まで増収を継続してきた(2006年2月期は決算期変更によって8ヶ月の変則決算のため減収となったが、12ヶ月換算すると実質的に増収を達成)。2014年2月期以降、数期間は不適切な会計処理問題の発覚に起因して内部管理体制の再構築に優先的に取り組んだ影響で一時的に成長が鈍化したほか、コロナ禍の影響で2021年2月期に減収となったことを除けば、長期的に成長トレンドが続いている。
重要なことは、少子化の進行と参入企業の増加によって生徒獲得競争が激化するなかでも、主要事業において成長を続けてきたことにある。同社の主要ターゲットとなる小・中・高生の数は、2018年度の1,291万人から2023年度は1,214万人※と年率1.2%のペースで減少してきたが、同期間における主要3事業(学習塾、家庭教師派遣教育、幼児教育)の売上高は逆に年率4.9%で成長してきた。将来についての不透明感が高まるなかで、私立学校を志望する生徒が増加し、かつ子ども1人当たりの教育費も増加するといった市場環境の変化に対応して、受験対策ニーズを的確に取り込んできたことが持続的成長につながっている。
※ 文部科学省「学校基本調査」における小学校、中学校、高等学校の在籍生徒数の合計値。
また同社の営業利益率は、コロナ禍の影響で4.0%に落ち込んだ2021年2月期を除けば10%前後の水準で安定して推移している。学習塾・予備校業界を俯瞰した場合、営業利益率で10%前後の水準は平均よりも上位に位置する。上場する同業他社のなかには同社よりも高い営業利益率を実現している企業も複数あるが、それらは集団指導を中核の事業モデルとしているか、FC事業展開によりロイヤルティ収入を獲得している企業である。同社のように直営教室で個別指導をメインとするか、集団と個別とを半々で展開するような業態で同水準を実現している同業他社は極めて少ない。
同社が持つ安定した売上成長と高い収益性という2つの特長は、同じところに起因すると弊社では考えている。現 創業者名誉会長の岩佐氏は創業にあたり中国の一人っ子政策から2つの大きなヒントを得た。それは一人っ子政策による少子化の進行と、少子化の結果として子ども1人当たりに投下される教育費は増大するという2点だ。このヒントを基に当初から事業モデルを構築し、少子化を逆風ではなく追い風に変え、持続的な売上成長と高い収益性の実現に成功したと言える。
少子化を追い風にするための重要なポイントが、1対1の完全個別指導による高品質な教育サービスの提供と、その目的(ゴール)を進学指導に置いたことの2点にある。この2つは現在の「TOMAS」をはじめとする各業態に共通した要素でもある。この2つを組み合わせた個別指導を本格的に展開しているところは、現状ではほかに見当たらない。現在の個別指導塾の一般的なモデルは、1対少数(2~3名)の“凖”個別指導であり、学校の授業の補習目的というものが多い。他社が同社のモデルを採用しない大きな理由は明確で、事業リスクが高いためだ。完全個別指導で収益化を図るためには必然的に料金を高くせざるを得ないが、“授業の補習”ではその高い料金を正当化できない。高い授業料を正当化するものは難関校への進学実績だけという厳しい現実がある。このため、同社と同様の事業モデルで新規参入する企業はほとんどなく、完全個別指導の進学塾として高いブランド力とポジションを確立している理由となっている。
同社は質の高い個別指導の提供を設立目的とし、「学習塾産業はサービス業である」という意識の下、高い顧客満足度の提供に注力してきた。学習塾・予備校業界における高い顧客満足度とは志望校への合格にほかならない。同社は創業以来、現在に至るまでサービス業という意識が一貫して保持されており、サービス事業者の使命として進学実績の追求を最大の経営目標としている。この“進学実績追求型”の事業モデルこそが同社の強みの源泉であり、冒頭の安定増収と高利益率の2つを実現できる要因と考えられる。
同社がサービス産業という意識を高く持って経営していることを表す1つの事例として、同社の正社員はマネジメントに徹するというスタイルがある。「TOMAS」の講師陣は学生や社会人のアルバイトであり、各教室に在籍する正社員はそうした講師陣と生徒及びその保護者との調整役に徹している。具体的には、1) 生徒・保護者の本音の目的・目標(ゴール)を引き出し、2) それを担当講師としっかり共有したうえでカリキュラムを作成し、3) 授業開始後は進捗状況やその後の指導方針等について保護者に対して説明責任を果たす、という一連の作業を繰り返し行うことで高い顧客満足度を維持し、最終的に志望校合格という最大の顧客満足へとつなげている。
同社の安定成長・高利益率という状況が将来的に持続可能かという点については、投資時期や規模をどう設定するかにもよるが、5年から10年という時間軸では持続する可能性が高いと弊社では考えている。まず、同社の展開する事業モデル(高価格・高品質のサービス)に対する需要は少子化が進むなかでも常に一定数存在することが挙げられる。次にその市場への他社の参入がポイントになるが、同社が創業から長年構築してきた事業モデルを後追い・再現するには事業リスクが高いため、過当競争に陥るリスクは極めて低いと弊社では考えている。同社の個別指導による進学実績追求型事業モデルに対する参入障壁の高さが、同社の3つ目の特長であり強みと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 特長・強み
同社は様々な特長や強みを有しているが、弊社では長期的にほぼ一貫して業績が拡大基調を歩んでいることと、高い利益率を実現していることの2点が特長であると考えている。これら2つの特長は、同社が構築してきた優位性のある事業モデルに起因すると考えており、これらを理解することで同社の中長期的な成長シナリオに対する理解度や確信度が高まるものと考えている。
同社の売上高は創業初年度となる1986年6月期に163百万円を計上し、2013年2月期まで増収を継続してきた(2006年2月期は決算期変更によって8ヶ月の変則決算のため減収となったが、12ヶ月換算すると実質的に増収を達成)。2014年2月期以降、数期間は不適切な会計処理問題の発覚に起因して内部管理体制の再構築に優先的に取り組んだ影響で一時的に成長が鈍化したほか、コロナ禍の影響で2021年2月期に減収となったことを除けば、長期的に成長トレンドが続いている。
重要なことは、少子化の進行と参入企業の増加によって生徒獲得競争が激化するなかでも、主要事業において成長を続けてきたことにある。同社の主要ターゲットとなる小・中・高生の数は、2018年度の1,291万人から2023年度は1,214万人※と年率1.2%のペースで減少してきたが、同期間における主要3事業(学習塾、家庭教師派遣教育、幼児教育)の売上高は逆に年率4.9%で成長してきた。将来についての不透明感が高まるなかで、私立学校を志望する生徒が増加し、かつ子ども1人当たりの教育費も増加するといった市場環境の変化に対応して、受験対策ニーズを的確に取り込んできたことが持続的成長につながっている。
※ 文部科学省「学校基本調査」における小学校、中学校、高等学校の在籍生徒数の合計値。
また同社の営業利益率は、コロナ禍の影響で4.0%に落ち込んだ2021年2月期を除けば10%前後の水準で安定して推移している。学習塾・予備校業界を俯瞰した場合、営業利益率で10%前後の水準は平均よりも上位に位置する。上場する同業他社のなかには同社よりも高い営業利益率を実現している企業も複数あるが、それらは集団指導を中核の事業モデルとしているか、FC事業展開によりロイヤルティ収入を獲得している企業である。同社のように直営教室で個別指導をメインとするか、集団と個別とを半々で展開するような業態で同水準を実現している同業他社は極めて少ない。
同社が持つ安定した売上成長と高い収益性という2つの特長は、同じところに起因すると弊社では考えている。現 創業者名誉会長の岩佐氏は創業にあたり中国の一人っ子政策から2つの大きなヒントを得た。それは一人っ子政策による少子化の進行と、少子化の結果として子ども1人当たりに投下される教育費は増大するという2点だ。このヒントを基に当初から事業モデルを構築し、少子化を逆風ではなく追い風に変え、持続的な売上成長と高い収益性の実現に成功したと言える。
少子化を追い風にするための重要なポイントが、1対1の完全個別指導による高品質な教育サービスの提供と、その目的(ゴール)を進学指導に置いたことの2点にある。この2つは現在の「TOMAS」をはじめとする各業態に共通した要素でもある。この2つを組み合わせた個別指導を本格的に展開しているところは、現状ではほかに見当たらない。現在の個別指導塾の一般的なモデルは、1対少数(2~3名)の“凖”個別指導であり、学校の授業の補習目的というものが多い。他社が同社のモデルを採用しない大きな理由は明確で、事業リスクが高いためだ。完全個別指導で収益化を図るためには必然的に料金を高くせざるを得ないが、“授業の補習”ではその高い料金を正当化できない。高い授業料を正当化するものは難関校への進学実績だけという厳しい現実がある。このため、同社と同様の事業モデルで新規参入する企業はほとんどなく、完全個別指導の進学塾として高いブランド力とポジションを確立している理由となっている。
同社は質の高い個別指導の提供を設立目的とし、「学習塾産業はサービス業である」という意識の下、高い顧客満足度の提供に注力してきた。学習塾・予備校業界における高い顧客満足度とは志望校への合格にほかならない。同社は創業以来、現在に至るまでサービス業という意識が一貫して保持されており、サービス事業者の使命として進学実績の追求を最大の経営目標としている。この“進学実績追求型”の事業モデルこそが同社の強みの源泉であり、冒頭の安定増収と高利益率の2つを実現できる要因と考えられる。
同社がサービス産業という意識を高く持って経営していることを表す1つの事例として、同社の正社員はマネジメントに徹するというスタイルがある。「TOMAS」の講師陣は学生や社会人のアルバイトであり、各教室に在籍する正社員はそうした講師陣と生徒及びその保護者との調整役に徹している。具体的には、1) 生徒・保護者の本音の目的・目標(ゴール)を引き出し、2) それを担当講師としっかり共有したうえでカリキュラムを作成し、3) 授業開始後は進捗状況やその後の指導方針等について保護者に対して説明責任を果たす、という一連の作業を繰り返し行うことで高い顧客満足度を維持し、最終的に志望校合格という最大の顧客満足へとつなげている。
同社の安定成長・高利益率という状況が将来的に持続可能かという点については、投資時期や規模をどう設定するかにもよるが、5年から10年という時間軸では持続する可能性が高いと弊社では考えている。まず、同社の展開する事業モデル(高価格・高品質のサービス)に対する需要は少子化が進むなかでも常に一定数存在することが挙げられる。次にその市場への他社の参入がポイントになるが、同社が創業から長年構築してきた事業モデルを後追い・再現するには事業リスクが高いため、過当競争に陥るリスクは極めて低いと弊社では考えている。同社の個別指導による進学実績追求型事業モデルに対する参入障壁の高さが、同社の3つ目の特長であり強みと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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