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テックポイント Research Memo(3):車載カメラシステム向け半導体の出荷数増加により2ケタ増収増益で進捗
配信日時:2024/10/08 12:33
配信元:FISCO
*12:33JST テックポイント Research Memo(3):車載カメラシステム向け半導体の出荷数増加により2ケタ増収増益で進捗
■テックポイント・インク<6697>の業績動向
1. 2024年12月期第2四半期業績の概要(米国基準)
2024年12月期第2四半期業績(米国基準)は、売上高33,090千米ドル(5,329百万円:前年同期比12.4%増)、営業利益8,462千米ドル(1,362百万円:同13.8%増)、税引前中間純利益9,894千米ドル(1,593百万円:同17.9%増)、同社株主に帰属する中間純利益8,716千米ドル(1,403百万円:同17.4%増)となった。財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の中間純利益)は9,416千米ドル(1,516百万円:同16.7%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。業績予想に対する進捗率については、売上高は45.8%と50%をやや下回ったが、2023年12月期第2四半期時点の進捗率(44.8%)を上回った。なお、同社半導体の需要家である電子機器工場は中国が多いため第1四半期の春節(旧正月)が需要家側の稼働低下となる影響を毎年受けている。営業利益は同48.9%、税引前中間純利益は同51.2%、同社株主に帰属する中間純利益は同50.7%と順調な結果となった。
監視カメラ・車載カメラ両分野とも、2023年から続く、電子デバイスの販売不振に伴う半導体等をはじめとする部品の追加調達抑制の影響を受けた。監視カメラシステム市場向け半導体部門は、製品の出荷数や平均売価が縮小し、売上高は8,223千米ドル(前年同期比23.2%減)と減収となった。一方車載カメラシステム市場向け半導体部門は、前期に受注した新規案件が量産移行しており、それを受けて安定した出荷が継続したことや、2024年12月期においても継続して新規案件の受注を獲得していることで、売上高は24,867千米ドル(同32.8%増)と好調な結果となった。2023年12月期に引き続き監視カメラシステム向け半導体の減収分を車載カメラシステム向け半導体の増収が打ち返した格好で、全体としては増収増益の好決算となった。世界中の半導体需要が集まる最大手のファウンドリである台湾積体電路製造股フン有限公司(以下、TSMC)は、2024年通年でのメモリを除く半導体市場全体の伸び率を前年比10%程度の増加と見ており、2023年の急激な在庫調整を経て回復傾向にあるとしている。同社の売上高や各段階利益は既に同等以上の伸びを示しており、着実な経営努力の跡が窺える。
売上原価は前年同期比2,017千米ドル(同14.9%)増加した。また、平均販売価格の低下と製品構成の変化に伴い、売上総利益率は52.9%と前年同期の53.9%から1.0ポイント低下した。平均販売価格の低下は主に監視カメラシステムに関するもので、東南アジア等の完成品消費地での為替動向(ドル高)の影響から、従来のハイエンド品に代わってローエンド品の販売が伸びたことに起因しており、粗利率の低下の要因の1つとなっている。研究開発費は前年同期比375千米ドル(同10.6%)増加した。これは主に、業務拡大に伴い従業員が増加したことによる人事関連費用の0.4百万米ドル増加、設計ソフトウェア費用の0.2百万米ドル増加、株式報酬費用の0.1百万米ドルの増加によるものである。なお製品開発に伴うテープアウト費用は当初計画比で0.3百万米ドル程度減少した。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は8,223千米ドルと、前年同期比23.2%減(前年同期は10,713千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、メーカーの過剰在庫による在庫調整が続いていることが影響した。同社は2024年12月期後半以降から徐々に回復に向かうと予想しており、実際、2024年12月期第1四半期以降はローエンド品の販売が伸びたことから四半期毎の減収率は改善傾向にある。ローエンド品に搭載される半導体部品は性能が低いため粗利率は低くなるが、今後の需要動向によっては粗利率の高い40ナノ品を投入して出荷することも検討する。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は24,867千米ドルと、前年同期比32.8%増(前年同期は18,727千米ドル)だった。メーカーの在庫調整により市場全体は低調に推移しているが、2023年12月期受注案件の量産化が続いていることや、新規顧客開拓も堅調なことから出荷数が伸び、増収を確保した。車載カメラシステム市場の低調は今後もしばらく続く見込みだが、同社は今後の成長に向けて積極的な研究開発を行うことで新たな需要を取り込み、今後の成長エンジンとすることを狙っている。現在取り組むISPのノード微細化や車載用の新しいTVI規格等の開発プロジェクトについては、業績寄与が2025年12月期以降の見込みとなるが、引き続き開発の進捗状況に注目したい。
4. 地域別売上比率
地域別売上比率については、同社の出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーが集中するアジア地域が合計で全体の96%を占めており、日本の比率は2023年12月期第2四半期の2%から2024年12月期第2四半期には1%に低下した。ここ数年で急速に普及したドライブレコーダーの需要が落ち着き、ドライブレコーダー向け半導体の出荷が減少した。それに伴って、台湾が14%から15%に上昇し、中国が74%と高い比率をキープした。
中国の半導体需要家向けでは、中国製EVの生産台数・国内/輸出販売台数の増加に伴い、自動車純正品・アフターマーケット品とも車載カメラシステム向け半導体の販売数量が伸びており、中国の貢献度が今後ますます高くなると同社では予想している。なお、2022年6月、中国最大のEVメーカー比亜迪汽車工業有限公司(BYD Auto Industry Company Limited)(以下、BYD)が、同社のHD-TVI伝送技術を用いた送受信用半導体であるTP2863(HDアナログレシーバ)及びTP3810(HD映像信号処理半導体)を、純正HDドライブレコーダーとして採用した。
四半期毎の業績では、2024年12月期第2四半期(単体)の売上高は16,779千米ドル(第1四半期:16,311千米ドル)、営業利益が4,270千米ドル(同:4,192千米ドル)だった。監視カメラシステム向け、車載カメラシステム向け半導体いずれも販売先の在庫調整に伴う需要減少の影響はあったものの、車載カメラシステム向け半導体は新規顧客の開拓が堅調なことから出荷数が増加し、売上高・営業利益は2024年12月期第1四半期に対して増収増益となった。なお、第1四半期ついては中国企業が春節で約1ヶ月間事業を停止することから季節性がある。ただし、2024年12月期第1四半期については前年同期で増収増益であり、車載カメラシステム向けの出荷増が大きく寄与したことが窺える。
半導体業界全体としては、AI関連以外では在庫調整が継続しており、需要は横ばいか微増が予測されているが、同社は売上高の10%増加を見込む。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2024年12月期第2四半期業績の概要(米国基準)
2024年12月期第2四半期業績(米国基準)は、売上高33,090千米ドル(5,329百万円:前年同期比12.4%増)、営業利益8,462千米ドル(1,362百万円:同13.8%増)、税引前中間純利益9,894千米ドル(1,593百万円:同17.9%増)、同社株主に帰属する中間純利益8,716千米ドル(1,403百万円:同17.4%増)となった。財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の中間純利益)は9,416千米ドル(1,516百万円:同16.7%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。業績予想に対する進捗率については、売上高は45.8%と50%をやや下回ったが、2023年12月期第2四半期時点の進捗率(44.8%)を上回った。なお、同社半導体の需要家である電子機器工場は中国が多いため第1四半期の春節(旧正月)が需要家側の稼働低下となる影響を毎年受けている。営業利益は同48.9%、税引前中間純利益は同51.2%、同社株主に帰属する中間純利益は同50.7%と順調な結果となった。
監視カメラ・車載カメラ両分野とも、2023年から続く、電子デバイスの販売不振に伴う半導体等をはじめとする部品の追加調達抑制の影響を受けた。監視カメラシステム市場向け半導体部門は、製品の出荷数や平均売価が縮小し、売上高は8,223千米ドル(前年同期比23.2%減)と減収となった。一方車載カメラシステム市場向け半導体部門は、前期に受注した新規案件が量産移行しており、それを受けて安定した出荷が継続したことや、2024年12月期においても継続して新規案件の受注を獲得していることで、売上高は24,867千米ドル(同32.8%増)と好調な結果となった。2023年12月期に引き続き監視カメラシステム向け半導体の減収分を車載カメラシステム向け半導体の増収が打ち返した格好で、全体としては増収増益の好決算となった。世界中の半導体需要が集まる最大手のファウンドリである台湾積体電路製造股フン有限公司(以下、TSMC)は、2024年通年でのメモリを除く半導体市場全体の伸び率を前年比10%程度の増加と見ており、2023年の急激な在庫調整を経て回復傾向にあるとしている。同社の売上高や各段階利益は既に同等以上の伸びを示しており、着実な経営努力の跡が窺える。
売上原価は前年同期比2,017千米ドル(同14.9%)増加した。また、平均販売価格の低下と製品構成の変化に伴い、売上総利益率は52.9%と前年同期の53.9%から1.0ポイント低下した。平均販売価格の低下は主に監視カメラシステムに関するもので、東南アジア等の完成品消費地での為替動向(ドル高)の影響から、従来のハイエンド品に代わってローエンド品の販売が伸びたことに起因しており、粗利率の低下の要因の1つとなっている。研究開発費は前年同期比375千米ドル(同10.6%)増加した。これは主に、業務拡大に伴い従業員が増加したことによる人事関連費用の0.4百万米ドル増加、設計ソフトウェア費用の0.2百万米ドル増加、株式報酬費用の0.1百万米ドルの増加によるものである。なお製品開発に伴うテープアウト費用は当初計画比で0.3百万米ドル程度減少した。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は8,223千米ドルと、前年同期比23.2%減(前年同期は10,713千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、メーカーの過剰在庫による在庫調整が続いていることが影響した。同社は2024年12月期後半以降から徐々に回復に向かうと予想しており、実際、2024年12月期第1四半期以降はローエンド品の販売が伸びたことから四半期毎の減収率は改善傾向にある。ローエンド品に搭載される半導体部品は性能が低いため粗利率は低くなるが、今後の需要動向によっては粗利率の高い40ナノ品を投入して出荷することも検討する。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は24,867千米ドルと、前年同期比32.8%増(前年同期は18,727千米ドル)だった。メーカーの在庫調整により市場全体は低調に推移しているが、2023年12月期受注案件の量産化が続いていることや、新規顧客開拓も堅調なことから出荷数が伸び、増収を確保した。車載カメラシステム市場の低調は今後もしばらく続く見込みだが、同社は今後の成長に向けて積極的な研究開発を行うことで新たな需要を取り込み、今後の成長エンジンとすることを狙っている。現在取り組むISPのノード微細化や車載用の新しいTVI規格等の開発プロジェクトについては、業績寄与が2025年12月期以降の見込みとなるが、引き続き開発の進捗状況に注目したい。
4. 地域別売上比率
地域別売上比率については、同社の出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーが集中するアジア地域が合計で全体の96%を占めており、日本の比率は2023年12月期第2四半期の2%から2024年12月期第2四半期には1%に低下した。ここ数年で急速に普及したドライブレコーダーの需要が落ち着き、ドライブレコーダー向け半導体の出荷が減少した。それに伴って、台湾が14%から15%に上昇し、中国が74%と高い比率をキープした。
中国の半導体需要家向けでは、中国製EVの生産台数・国内/輸出販売台数の増加に伴い、自動車純正品・アフターマーケット品とも車載カメラシステム向け半導体の販売数量が伸びており、中国の貢献度が今後ますます高くなると同社では予想している。なお、2022年6月、中国最大のEVメーカー比亜迪汽車工業有限公司(BYD Auto Industry Company Limited)(以下、BYD)が、同社のHD-TVI伝送技術を用いた送受信用半導体であるTP2863(HDアナログレシーバ)及びTP3810(HD映像信号処理半導体)を、純正HDドライブレコーダーとして採用した。
四半期毎の業績では、2024年12月期第2四半期(単体)の売上高は16,779千米ドル(第1四半期:16,311千米ドル)、営業利益が4,270千米ドル(同:4,192千米ドル)だった。監視カメラシステム向け、車載カメラシステム向け半導体いずれも販売先の在庫調整に伴う需要減少の影響はあったものの、車載カメラシステム向け半導体は新規顧客の開拓が堅調なことから出荷数が増加し、売上高・営業利益は2024年12月期第1四半期に対して増収増益となった。なお、第1四半期ついては中国企業が春節で約1ヶ月間事業を停止することから季節性がある。ただし、2024年12月期第1四半期については前年同期で増収増益であり、車載カメラシステム向けの出荷増が大きく寄与したことが窺える。
半導体業界全体としては、AI関連以外では在庫調整が継続しており、需要は横ばいか微増が予測されているが、同社は売上高の10%増加を見込む。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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