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テックポイント Research Memo(1):2024年12月期第2四半期は、車載カメラシステム向けが業績をけん引し
配信日時:2024/10/08 12:31
配信元:FISCO
*12:31JST テックポイント Research Memo(1):2024年12月期第2四半期は、車載カメラシステム向けが業績をけん引し
■要約
テックポイント・インク<6697>は、HD監視カメラシステムと自動車用インフォテインメントシステム(情報の提供(インフォメーション)と娯楽の提供(エンターテインメント))を対象とした独自のHDビデオ接続技術を開発しているファブレス半導体メーカーである。米国に複数の設計拠点と、中国、台湾、韓国、日本の各地にオフィスを持ち、ターゲット市場において最先端の技術を確立している。直近では、画素数が800万画素の4Kカメラ向けCMOSイメージセンサー用半導体のほか、ハイビジョン対応のドアフォン用半導体製品など、車載カメラシステム市場及び監視カメラシステム市場に向けて、付加価値の高い半導体製品を開発し提供している。
1. 2024年12月期第2四半期業績の概要(米国基準)
2024年12月期第2四半期(2024年1〜6月)の業績(米国基準)は、売上高33,090千米ドル(5,329百万円:前年同期比12.4%増)、営業利益8,462千米ドル(1,362百万円:同13.8%増)、税引前中間純利益9,894千米ドル(1,593百万円:同17.9%増)、同社株主に帰属する中間純利益8,716千米ドル(1,403百万円:同17.4%増)となった。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の中間純利益)は9,416千米ドル(1,516百万円:同16.7%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。業績予想に対する進捗率については、売上高は45.8%と50%をやや下回ったが、2023年12月期第2四半期時点の進捗率(44.8%)を上回った。なお、同社半導体の需要家である電子機器工場は中国が多いため第1四半期の春節(旧正月)が需要家側の稼働低下となる影響を毎年受けている。営業利益は同48.9%、税引前中間純利益は同51.2%、同社株主に帰属する中間純利益は同50.7%と順調な結果となった。監視カメラシステム市場向け半導体部門は減収となったが、車載カメラシステム市場向け半導体部門は、前期に受注した新規案件が量産移行して安定した出荷が継続したほか、新規案件の受注獲得で増収となった。利益面では売上原価が前年同期比で14.9%、研究開発費が同10.6%増加したが、増収効果により増益で着地した。
注: 同社の財務会計は米国会計基準(US-GAAP)、米国ドル建てにて行われている。日本における同社の開示及び本レポートに記載する円貨の値は該当決算期末日における為替相場による換算値であって、正規の財務会計の数値ではない。
2. 2024年12月期業績の見通し(米国基準)
2024年12月期業績(米国基準)は、売上高72,206千米ドル(11,630百万円:前期比10.0%増)、営業利益17,321千米ドル(2,789百万円:同3.9%減)、税引前当期純利益19,321千米ドル(3,112百万円:同4.1%減)、当期純利益17,196千米ドル(2,769百万円:同3.4%減)、Non-GAAP指標18,620千米ドル(2,999百万円:同2.9%減)と期初計画を据え置いている。2024年12月期も全体的な半導体需要については在庫調整が続くと想定されるが、同社車載カメラシステム市場向け半導体部門では、2023年12月期業績に寄与した製品の量産効果が続く見込みで、2023年12月期比12.5%から15.0%の増収を予想している。監視カメラシステム市場向け半導体部門においても、世界全体の半導体需要の動向を受けるものの、2023年12月期並みから4.4%程度の増収を見込んでいる。利益面では2024年12月期に大幅な研究開発投資の増額を予定していることもあり、前期比減益を予想している。なお、この業績予想には、市場投入前の新製品(生産プロセスを改定した新ISP製品やドアフォン向け半導体)は、需要家の在庫調整の進捗により採用時期や採用率が左右されるため見通しが困難なことから織り込まれていない。採用時期が明らかになった時点で開示するとしている。
3. 研究開発の進捗状況
2024年12月期の研究開発費は10,266千米ドルと前期比3,086千米ドル(同43.0%)増を計画している。増加分はISPやCMOSイメージセンサーの製造プロセス微細化(半導体の線幅を小さくすることで1枚のウェハーから生産できるチップ数を増やすこと)や、SoC(様々なシステム機能を統合した半導体)開発のためのライセンス費用及び人件費に使用される。現在は主に4点の開発に注力しており、1点目は送信側のISP+TX製造プロセスの微細化で、原価低減と価格競争力の確保を図ることで競争力を高めて売上増加を狙う。送信側半導体は送出信号の分析により他社が安価なコピー品を製造しており、コピーが難しい受信側半導体10に対して1.5しか売れていない。製造プロセスの微細化により他社コピー品に対する価格競争力を備え需要を取り戻す考え。仮に受信10対送信10になることを想定すると、最大7割の成長余地、全体業績に最大6割の増収可能性を含むことになる。さらに、このISPは、従来片道送信のオーディオを双方向送信にすることで、販売訴求力を高め、車載カメラや監視カメラのハイエンド化を実現し、高収益が期待できる。収益寄与のタイミングは現時点では明らかではないが、少なくとも2025年12月期には実現できると踏んでいる。2点目は車載カメラシステム向けのSoCの開発である。将来の車載カメラへのトータルソリューション提供に向けた開発で、2025年12月期のサンプル出荷を目指しており、現在は顧客との間で仕様調整の段階にある。3点目はCMOSイメージセンサーの開発である。同分野は日本国内のメーカーが大きなシェアを握っているが、現在同社は車載カメラシステム向けを開発しており、さらに為替不利の対策としてその製造を日本国内の工場において行うことを検討している。車載カメラシステムでは、バックカメラ(1個)からドライブレコーダー(前後2個)、サラウンドビュー(前後左右4個)と搭載数を増やしており、今後はルームミラーやサイドミラーの電子ミラーへの移行による搭載カメラ数の増加も予見されている。CMOSイメージセンサーが完成すれば、2点目のSoCと合わせ、車載分野での同社の考えるトータルソリューションが完成することになる。4点目は車載カメラシステム向けの新しいTVI規格の開発である。通信時のノイズ耐性を向上させる規格改良で、日米欧の自動車メーカー純正品への参入を目指す。現在生産委託先でサンプルを制作中。ノイズ耐性の高い新TVI規格は、測定基準が厳しい集合住宅用ドアフォン向けにも展開が可能となり、マーケットのさらなる広がりが期待できる。
■Key Points
・2024年12月期第2四半期は、車載カメラシステム市場向け半導体が業績をけん引し増収増益
・2024年12月期は、成長に向けた研究開発費増加に伴い増収ながら減益を見込む
・将来の成長に向けて新製品の開発に注力、2025年12月期以降に収益貢献の見込み
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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テックポイント・インク<6697>は、HD監視カメラシステムと自動車用インフォテインメントシステム(情報の提供(インフォメーション)と娯楽の提供(エンターテインメント))を対象とした独自のHDビデオ接続技術を開発しているファブレス半導体メーカーである。米国に複数の設計拠点と、中国、台湾、韓国、日本の各地にオフィスを持ち、ターゲット市場において最先端の技術を確立している。直近では、画素数が800万画素の4Kカメラ向けCMOSイメージセンサー用半導体のほか、ハイビジョン対応のドアフォン用半導体製品など、車載カメラシステム市場及び監視カメラシステム市場に向けて、付加価値の高い半導体製品を開発し提供している。
1. 2024年12月期第2四半期業績の概要(米国基準)
2024年12月期第2四半期(2024年1〜6月)の業績(米国基準)は、売上高33,090千米ドル(5,329百万円:前年同期比12.4%増)、営業利益8,462千米ドル(1,362百万円:同13.8%増)、税引前中間純利益9,894千米ドル(1,593百万円:同17.9%増)、同社株主に帰属する中間純利益8,716千米ドル(1,403百万円:同17.4%増)となった。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の中間純利益)は9,416千米ドル(1,516百万円:同16.7%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。業績予想に対する進捗率については、売上高は45.8%と50%をやや下回ったが、2023年12月期第2四半期時点の進捗率(44.8%)を上回った。なお、同社半導体の需要家である電子機器工場は中国が多いため第1四半期の春節(旧正月)が需要家側の稼働低下となる影響を毎年受けている。営業利益は同48.9%、税引前中間純利益は同51.2%、同社株主に帰属する中間純利益は同50.7%と順調な結果となった。監視カメラシステム市場向け半導体部門は減収となったが、車載カメラシステム市場向け半導体部門は、前期に受注した新規案件が量産移行して安定した出荷が継続したほか、新規案件の受注獲得で増収となった。利益面では売上原価が前年同期比で14.9%、研究開発費が同10.6%増加したが、増収効果により増益で着地した。
注: 同社の財務会計は米国会計基準(US-GAAP)、米国ドル建てにて行われている。日本における同社の開示及び本レポートに記載する円貨の値は該当決算期末日における為替相場による換算値であって、正規の財務会計の数値ではない。
2. 2024年12月期業績の見通し(米国基準)
2024年12月期業績(米国基準)は、売上高72,206千米ドル(11,630百万円:前期比10.0%増)、営業利益17,321千米ドル(2,789百万円:同3.9%減)、税引前当期純利益19,321千米ドル(3,112百万円:同4.1%減)、当期純利益17,196千米ドル(2,769百万円:同3.4%減)、Non-GAAP指標18,620千米ドル(2,999百万円:同2.9%減)と期初計画を据え置いている。2024年12月期も全体的な半導体需要については在庫調整が続くと想定されるが、同社車載カメラシステム市場向け半導体部門では、2023年12月期業績に寄与した製品の量産効果が続く見込みで、2023年12月期比12.5%から15.0%の増収を予想している。監視カメラシステム市場向け半導体部門においても、世界全体の半導体需要の動向を受けるものの、2023年12月期並みから4.4%程度の増収を見込んでいる。利益面では2024年12月期に大幅な研究開発投資の増額を予定していることもあり、前期比減益を予想している。なお、この業績予想には、市場投入前の新製品(生産プロセスを改定した新ISP製品やドアフォン向け半導体)は、需要家の在庫調整の進捗により採用時期や採用率が左右されるため見通しが困難なことから織り込まれていない。採用時期が明らかになった時点で開示するとしている。
3. 研究開発の進捗状況
2024年12月期の研究開発費は10,266千米ドルと前期比3,086千米ドル(同43.0%)増を計画している。増加分はISPやCMOSイメージセンサーの製造プロセス微細化(半導体の線幅を小さくすることで1枚のウェハーから生産できるチップ数を増やすこと)や、SoC(様々なシステム機能を統合した半導体)開発のためのライセンス費用及び人件費に使用される。現在は主に4点の開発に注力しており、1点目は送信側のISP+TX製造プロセスの微細化で、原価低減と価格競争力の確保を図ることで競争力を高めて売上増加を狙う。送信側半導体は送出信号の分析により他社が安価なコピー品を製造しており、コピーが難しい受信側半導体10に対して1.5しか売れていない。製造プロセスの微細化により他社コピー品に対する価格競争力を備え需要を取り戻す考え。仮に受信10対送信10になることを想定すると、最大7割の成長余地、全体業績に最大6割の増収可能性を含むことになる。さらに、このISPは、従来片道送信のオーディオを双方向送信にすることで、販売訴求力を高め、車載カメラや監視カメラのハイエンド化を実現し、高収益が期待できる。収益寄与のタイミングは現時点では明らかではないが、少なくとも2025年12月期には実現できると踏んでいる。2点目は車載カメラシステム向けのSoCの開発である。将来の車載カメラへのトータルソリューション提供に向けた開発で、2025年12月期のサンプル出荷を目指しており、現在は顧客との間で仕様調整の段階にある。3点目はCMOSイメージセンサーの開発である。同分野は日本国内のメーカーが大きなシェアを握っているが、現在同社は車載カメラシステム向けを開発しており、さらに為替不利の対策としてその製造を日本国内の工場において行うことを検討している。車載カメラシステムでは、バックカメラ(1個)からドライブレコーダー(前後2個)、サラウンドビュー(前後左右4個)と搭載数を増やしており、今後はルームミラーやサイドミラーの電子ミラーへの移行による搭載カメラ数の増加も予見されている。CMOSイメージセンサーが完成すれば、2点目のSoCと合わせ、車載分野での同社の考えるトータルソリューションが完成することになる。4点目は車載カメラシステム向けの新しいTVI規格の開発である。通信時のノイズ耐性を向上させる規格改良で、日米欧の自動車メーカー純正品への参入を目指す。現在生産委託先でサンプルを制作中。ノイズ耐性の高い新TVI規格は、測定基準が厳しい集合住宅用ドアフォン向けにも展開が可能となり、マーケットのさらなる広がりが期待できる。
■Key Points
・2024年12月期第2四半期は、車載カメラシステム市場向け半導体が業績をけん引し増収増益
・2024年12月期は、成長に向けた研究開発費増加に伴い増収ながら減益を見込む
・将来の成長に向けて新製品の開発に注力、2025年12月期以降に収益貢献の見込み
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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