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巴川紙 Research Memo(2):2024年1月「巴川コーポレーション」へ商号変更
配信日時:2024/10/08 12:02
配信元:FISCO
*12:02JST 巴川紙 Research Memo(2):2024年1月「巴川コーポレーション」へ商号変更
■巴川コーポレーション<3878>の会社概要
1. 会社沿革並びに事業概要
同社は、初代社長井上源三郎氏が電気絶縁紙の国産化の志を抱き1900年初頭より研究開発に着手、国産化に初めて成功し、1914年6月に巴川製紙所を創設したことに始まる。電気絶縁紙、電気通信用紙の研究、開発を行い1917年に会社設立、1955年には創業精神として「誠実」「社会貢献」「開拓者精神」を至上の行動規範とし、以来、新技術を多数開発することで発展してきた。創業精神はバリュー(価値観)を表すものとして維持しつつ、ミッション(存在意義)を「感動こそが、持続可能な価値と考える。これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける」、ビジョン(ありたい姿)を「グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。」として経営理念を再定義し、2024年1月に株式会社巴川コーポレーションに商号変更した。巴川の名称は継承しつつ、事業ポートフォリオの転換を推進する意思を込めて、既存の事業領域を規定する「製紙」を含めないものにした。
同社は、将来ビジョンと事業展開をわかりやすく伝達するために、2024年3月期より、事業セグメントの名称の一部変更を行った。新区分による2024年3月期における売上高構成比はトナー事業34.8%、半導体・ディスプレイ関連事業19.3%、機能性シート事業32.0%、セキュリティメディア事業13.0%、新規開発事業0.2%、その他の事業0.7%となっている。一方、営業利益はトナー事業61.2%、半導体・ディスプレイ関連事業45.7%、セキュリティメディア事業33.0%、機能性シート事業-3.2%と、トナー事業と半導体・ディスプレイ関連事業、セキュリティメディア事業が営業利益を計上している。新規開発事業は、事業部に移管する前の開発活動と試作試験段階の製品の費用を計上するため608百万円の営業損失となっている。
同社グループとして1,305名(2024年3月期末)の従業員を有するが、トナー事業が446名と全体の34.2%を占め、半導体・ディスプレイ関連事業が235名、機能性シート事業が326名、セキュリティメディア事業が130名、新規開発事業が47名という構成になっている。また製造拠点は、同社及び子会社が集中する静岡県が中心になっているが、セキュリティメディア事業は昌栄印刷(株)の大阪及び川崎工場、反射防止フィルムは(株)トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルムの滋賀及び静岡工場で製造している。海外にも製造の拠点を持っており、中国2工場でトナー、インドで絶縁紙の製造を行う。他に主な子会社としては、生分解性接着剤の調合・製品製造、精密クリーン塗工・加工を行う(株)NichiRica、紙袋やフレコン等の製造・販売を行う三和紙工(株)等がある。
トナー事業と半導体・ディスプレイ関連事業が収益の2本柱
2. 事業内容
現在、トナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業、機能性シート事業、セキュリティメディア事業、新規開発事業の5事業を主な事業分野として活動している。
(1) トナー事業
トナー事業は、同社において最大の売上高、利益を稼ぎ出している。複合機・プリンター用トナー、粉体関連製品などの化成品を事務機器メーカー、複合機メーカーなどへ販売している。
同社のトナー事業の歴史は古く、1958年4月に同社と日本電信電話公社電気通信研究所、岩崎通信機<6704>の3社による協同研究に始まり、1965年にはオフセットマスター用の乾式トナーを上市した。その後1970年に湿式トナーの生産を開始、1972年には専用工場を建設し売上を急拡大させた。また同時期に旧 富士ゼロックス(株)が開発したPPC(普通紙コピー機)について国内複写機メーカーも発売を始めたため1973年にPPC用大型図面用乾式トナーを商品化、1974年には一般複写機用も投入し、トナー事業が急拡大した。1981年には米国でのトナー生産も開始、またLBPの普及本格化に伴いLBP用トナーも商品化し、デジタル化やカラー化など多機能な複合機普及の進展で市場が拡大した。大手PPCメーカーやLBPメーカーがトナーの内製化を進める中で、同社は独立系トナーメーカーとして成長を続けた。2005年には中国広東省、2011年には江西省に製造拠点を設け、グローバルに事業展開してきた。
現在、複写機・プリンター用トナーの専業メーカーとして売上高ベースで世界最大手の地位を確立、トナー事業の世界シェアでは事務機大手の内製メーカーが上位を占める中で世界シェア6%程度を確保している。
ただし最近は、中国企業などの台頭、世界的なペーパーレス化によるプリンター・複合機などハードの成熟化などで事業が成熟している。同社は生産能力の適正化を目指し、2020年9月にモノクロトナー事業を行う米国工場を閉鎖、日中3工場からタイムリーに提供する体制を整え、安定的な収益を稼ぎ出す事業としてシェアアップを目指している。なお2024年3月期における色別売上ではモノクロが42%、カラー54%、その他4%となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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1. 会社沿革並びに事業概要
同社は、初代社長井上源三郎氏が電気絶縁紙の国産化の志を抱き1900年初頭より研究開発に着手、国産化に初めて成功し、1914年6月に巴川製紙所を創設したことに始まる。電気絶縁紙、電気通信用紙の研究、開発を行い1917年に会社設立、1955年には創業精神として「誠実」「社会貢献」「開拓者精神」を至上の行動規範とし、以来、新技術を多数開発することで発展してきた。創業精神はバリュー(価値観)を表すものとして維持しつつ、ミッション(存在意義)を「感動こそが、持続可能な価値と考える。これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける」、ビジョン(ありたい姿)を「グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。」として経営理念を再定義し、2024年1月に株式会社巴川コーポレーションに商号変更した。巴川の名称は継承しつつ、事業ポートフォリオの転換を推進する意思を込めて、既存の事業領域を規定する「製紙」を含めないものにした。
同社は、将来ビジョンと事業展開をわかりやすく伝達するために、2024年3月期より、事業セグメントの名称の一部変更を行った。新区分による2024年3月期における売上高構成比はトナー事業34.8%、半導体・ディスプレイ関連事業19.3%、機能性シート事業32.0%、セキュリティメディア事業13.0%、新規開発事業0.2%、その他の事業0.7%となっている。一方、営業利益はトナー事業61.2%、半導体・ディスプレイ関連事業45.7%、セキュリティメディア事業33.0%、機能性シート事業-3.2%と、トナー事業と半導体・ディスプレイ関連事業、セキュリティメディア事業が営業利益を計上している。新規開発事業は、事業部に移管する前の開発活動と試作試験段階の製品の費用を計上するため608百万円の営業損失となっている。
同社グループとして1,305名(2024年3月期末)の従業員を有するが、トナー事業が446名と全体の34.2%を占め、半導体・ディスプレイ関連事業が235名、機能性シート事業が326名、セキュリティメディア事業が130名、新規開発事業が47名という構成になっている。また製造拠点は、同社及び子会社が集中する静岡県が中心になっているが、セキュリティメディア事業は昌栄印刷(株)の大阪及び川崎工場、反射防止フィルムは(株)トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルムの滋賀及び静岡工場で製造している。海外にも製造の拠点を持っており、中国2工場でトナー、インドで絶縁紙の製造を行う。他に主な子会社としては、生分解性接着剤の調合・製品製造、精密クリーン塗工・加工を行う(株)NichiRica、紙袋やフレコン等の製造・販売を行う三和紙工(株)等がある。
トナー事業と半導体・ディスプレイ関連事業が収益の2本柱
2. 事業内容
現在、トナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業、機能性シート事業、セキュリティメディア事業、新規開発事業の5事業を主な事業分野として活動している。
(1) トナー事業
トナー事業は、同社において最大の売上高、利益を稼ぎ出している。複合機・プリンター用トナー、粉体関連製品などの化成品を事務機器メーカー、複合機メーカーなどへ販売している。
同社のトナー事業の歴史は古く、1958年4月に同社と日本電信電話公社電気通信研究所、岩崎通信機<6704>の3社による協同研究に始まり、1965年にはオフセットマスター用の乾式トナーを上市した。その後1970年に湿式トナーの生産を開始、1972年には専用工場を建設し売上を急拡大させた。また同時期に旧 富士ゼロックス(株)が開発したPPC(普通紙コピー機)について国内複写機メーカーも発売を始めたため1973年にPPC用大型図面用乾式トナーを商品化、1974年には一般複写機用も投入し、トナー事業が急拡大した。1981年には米国でのトナー生産も開始、またLBPの普及本格化に伴いLBP用トナーも商品化し、デジタル化やカラー化など多機能な複合機普及の進展で市場が拡大した。大手PPCメーカーやLBPメーカーがトナーの内製化を進める中で、同社は独立系トナーメーカーとして成長を続けた。2005年には中国広東省、2011年には江西省に製造拠点を設け、グローバルに事業展開してきた。
現在、複写機・プリンター用トナーの専業メーカーとして売上高ベースで世界最大手の地位を確立、トナー事業の世界シェアでは事務機大手の内製メーカーが上位を占める中で世界シェア6%程度を確保している。
ただし最近は、中国企業などの台頭、世界的なペーパーレス化によるプリンター・複合機などハードの成熟化などで事業が成熟している。同社は生産能力の適正化を目指し、2020年9月にモノクロトナー事業を行う米国工場を閉鎖、日中3工場からタイムリーに提供する体制を整え、安定的な収益を稼ぎ出す事業としてシェアアップを目指している。なお2024年3月期における色別売上ではモノクロが42%、カラー54%、その他4%となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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