注目トピックス 市況・概況
来週の相場で注目すべき3つのポイント:GDP改定値、米CPI、米大統領選候補者討論会
配信日時:2024/09/07 18:01
配信元:FISCO
*18:01JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:GDP改定値、米CPI、米大統領選候補者討論会
■株式相場見通し
予想レンジ:上限36300円-下限34800円
事実上次の首相を決める自民党総裁選の公示日(9月12日、投開票は27日)が近づいており、市場関係者の関心も高まっている。4日、日経平均は今年3番目の下落幅(1638.70円安)を記録したが、米株安、円高の外部環境以外では、有力候補者である石破氏が金融所得課税の強化に意欲を示したことがネガティブ視された。2021年、就任当初の岸田首相が金融所得課税の大幅な見直し実施を試みたが、株式市場は増税を嫌気して大幅下落の反応を示した。結果、岸田首相は株式市場の混迷を回避するため見直しを棚上げし、「1億円の壁」などはそのままとなっている。石破氏はこの領域に踏み込んだわけだが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度枠組み変更などを中心とした「投資立国日本」の流れに逆行するとの見方が市場では強い。
石破氏が自民党総裁となり首相に就任し、正式に政策発表するまでその実現の有無は不透明だが、米国株安、為替の円高で下方向に動きやすい相場付きだったこともあり、市場はネガティブな反応を示した。また、茂木氏も防衛増税見送りを主張し防衛関連銘柄の一角が弱くなるなど、政策関連で買われていた銘柄やセクターは有力候補者の政策に左右されやすい地合いが続きそうだ。
日経平均は、マド(3日安値38531.55円-4日高値38080.02円)を空けて75日移動平均線を下放れた後、25日移動平均線が位置する36947円水準も下回った。6日の米国市場は下落。ダウ平均は前日比410.34ドル安(-1.01%)の40345.41ドル、ナスダックは同436.83ポイント安(-2.55%)の16690.83、S&P500は同94.99ポイント安(-1.73%)の5408.42で取引を終了した。6日の大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比1210円安の35150円で取引を終えた。週明けの日経平均は、米国株安、円高進行という弱い外部環境を材料に心理的な節目である35000円の攻防を迎えそうな状況だ。
8月米雇用統計をクリアしたが、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利下げの可能性を言及したことで、市場は流動的な状況にある。17-18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日に日本銀行による金融政策決定会合がそれぞれ開催されることで、日米中銀会合イベント待ちの地合いとなろう。FOMCでは利下げ実施が確定路線で、利下げ幅の0.25%か0.5%かが争点となっており、日銀会合では現状の金融政策維持がコンセンサスのなか、植田日銀総裁が年内の追加利上げ実施の有無に言及するかがポイントだろう。11日には8月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。ジャクソンホール会議にてパウエルFRB議長はこれまでの「インフレ重視型」から「インフレと雇用のバランス重視型」への転換を示唆したことで、CPIの重要性はやや低下した。とはいえ、9月FOMC前の重要な経済指標であることは間違いないため注目されよう。米経済指標に振らされやすい地合いは今しばらく続くと考える。
■為替市場見通し
来週のドル・円は弱含みか。米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行の政策決定を今月後半に控え、ドル売り・円買いの動きが続く可能性がある。日米の株式相場が下落した場合、リスク回避の円買いが強まり、主要通貨の対円レートを下押ししよう。9月3日に発表された米8月ISM製造業景況指数は7月との比較で多少改善したものの、7月の雇用動態調査(JOLTS)、8月ADP雇用統計はおおむね悪化を示した。それを受け、米国経済の腰折れ懸念が強まり、株安・金利安・ドル安に振れている。FRBは9月17-18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利の引き下げに踏み切る見通し。利下げ幅は景気減速の加速が警戒された場合、0.50%となる可能性もあり、金利安・ドル安要因になりやすい。
一方、日本銀行は19-20日に金融政策決定会合を開催する。前回7月に追加利上げを決定したほか、金融正常化を推進するスタンスを示した。自民党総裁選の日程が近いなどの理由で今回は政策金利の据え置きが予想されるが、植田日銀総裁は追加利上げに前向きな見解が目立つ。目先も正常化に積極的なスタンスを示すとみられ、円買い材料となりそうだ。
■来週の注目スケジュール
9月9日(月):GDP改定値(4-6月)、国際収支(経常収支)(7月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断(8月)、中・消費者物価指数(8月)、中・生産者物価指数(8月)、米・NY連銀がインフレ期待発表(8月)、米・アップルが製品発表イベントなど
9月10日(火):独・CPI(8月)、英・失業率(8月)、米・大統領選候補者討論会など
9月11日(水):中川順子日銀審議委員が金融経済懇談会に出席・同記者会見、米・消費者物価コア指数(8月)など
9月12日(木):景況判断BSI大企業製造業(7-9月)、田村直樹日銀審議委員が金融経済懇談会に出席・同記者会見、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表・ラガルド総裁が記者会見、米・新規失業保険申請件数(前週)、米・生産者物価コア指数(8月)など
9月13日(金):設備稼働率(7月)、鉱工業生産(7月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(7月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(9月)など
<CN>
予想レンジ:上限36300円-下限34800円
事実上次の首相を決める自民党総裁選の公示日(9月12日、投開票は27日)が近づいており、市場関係者の関心も高まっている。4日、日経平均は今年3番目の下落幅(1638.70円安)を記録したが、米株安、円高の外部環境以外では、有力候補者である石破氏が金融所得課税の強化に意欲を示したことがネガティブ視された。2021年、就任当初の岸田首相が金融所得課税の大幅な見直し実施を試みたが、株式市場は増税を嫌気して大幅下落の反応を示した。結果、岸田首相は株式市場の混迷を回避するため見直しを棚上げし、「1億円の壁」などはそのままとなっている。石破氏はこの領域に踏み込んだわけだが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度枠組み変更などを中心とした「投資立国日本」の流れに逆行するとの見方が市場では強い。
石破氏が自民党総裁となり首相に就任し、正式に政策発表するまでその実現の有無は不透明だが、米国株安、為替の円高で下方向に動きやすい相場付きだったこともあり、市場はネガティブな反応を示した。また、茂木氏も防衛増税見送りを主張し防衛関連銘柄の一角が弱くなるなど、政策関連で買われていた銘柄やセクターは有力候補者の政策に左右されやすい地合いが続きそうだ。
日経平均は、マド(3日安値38531.55円-4日高値38080.02円)を空けて75日移動平均線を下放れた後、25日移動平均線が位置する36947円水準も下回った。6日の米国市場は下落。ダウ平均は前日比410.34ドル安(-1.01%)の40345.41ドル、ナスダックは同436.83ポイント安(-2.55%)の16690.83、S&P500は同94.99ポイント安(-1.73%)の5408.42で取引を終了した。6日の大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比1210円安の35150円で取引を終えた。週明けの日経平均は、米国株安、円高進行という弱い外部環境を材料に心理的な節目である35000円の攻防を迎えそうな状況だ。
8月米雇用統計をクリアしたが、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利下げの可能性を言及したことで、市場は流動的な状況にある。17-18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日に日本銀行による金融政策決定会合がそれぞれ開催されることで、日米中銀会合イベント待ちの地合いとなろう。FOMCでは利下げ実施が確定路線で、利下げ幅の0.25%か0.5%かが争点となっており、日銀会合では現状の金融政策維持がコンセンサスのなか、植田日銀総裁が年内の追加利上げ実施の有無に言及するかがポイントだろう。11日には8月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。ジャクソンホール会議にてパウエルFRB議長はこれまでの「インフレ重視型」から「インフレと雇用のバランス重視型」への転換を示唆したことで、CPIの重要性はやや低下した。とはいえ、9月FOMC前の重要な経済指標であることは間違いないため注目されよう。米経済指標に振らされやすい地合いは今しばらく続くと考える。
■為替市場見通し
来週のドル・円は弱含みか。米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行の政策決定を今月後半に控え、ドル売り・円買いの動きが続く可能性がある。日米の株式相場が下落した場合、リスク回避の円買いが強まり、主要通貨の対円レートを下押ししよう。9月3日に発表された米8月ISM製造業景況指数は7月との比較で多少改善したものの、7月の雇用動態調査(JOLTS)、8月ADP雇用統計はおおむね悪化を示した。それを受け、米国経済の腰折れ懸念が強まり、株安・金利安・ドル安に振れている。FRBは9月17-18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利の引き下げに踏み切る見通し。利下げ幅は景気減速の加速が警戒された場合、0.50%となる可能性もあり、金利安・ドル安要因になりやすい。
一方、日本銀行は19-20日に金融政策決定会合を開催する。前回7月に追加利上げを決定したほか、金融正常化を推進するスタンスを示した。自民党総裁選の日程が近いなどの理由で今回は政策金利の据え置きが予想されるが、植田日銀総裁は追加利上げに前向きな見解が目立つ。目先も正常化に積極的なスタンスを示すとみられ、円買い材料となりそうだ。
■来週の注目スケジュール
9月9日(月):GDP改定値(4-6月)、国際収支(経常収支)(7月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断(8月)、中・消費者物価指数(8月)、中・生産者物価指数(8月)、米・NY連銀がインフレ期待発表(8月)、米・アップルが製品発表イベントなど
9月10日(火):独・CPI(8月)、英・失業率(8月)、米・大統領選候補者討論会など
9月11日(水):中川順子日銀審議委員が金融経済懇談会に出席・同記者会見、米・消費者物価コア指数(8月)など
9月12日(木):景況判断BSI大企業製造業(7-9月)、田村直樹日銀審議委員が金融経済懇談会に出席・同記者会見、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表・ラガルド総裁が記者会見、米・新規失業保険申請件数(前週)、米・生産者物価コア指数(8月)など
9月13日(金):設備稼働率(7月)、鉱工業生産(7月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(7月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(9月)など
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