注目トピックス 日本株
三和HD Research Memo(6):日本と米州が大幅増益で、好決算に貢献
配信日時:2024/06/17 15:36
配信元:FISCO
*15:36JST 三和HD Research Memo(6):日本と米州が大幅増益で、好決算に貢献
■三和ホールディングス<5929>の業績の動向
2. セクター別の動向
(1) 日本
グループの基幹事業を担う日本(三和シヤッター工業と国内子会社)の2024年3月期業績は、売上高2,656億円(前期比5.0%増)、営業利益281.8億円(同12.6%増)と好調で、グループ全体の業績を下支えした。好調な工場建設や大型再開発案件を中心に堅調に推移した。特にビルマンションドアや間仕切が伸長し増収となった。また、材料費が予想以上に上昇したものの、売価転嫁に取り組み増益となった。この結果、日本の営業利益率は前期の9.8%から10.6%に上昇し、引き続き高い利益率を維持している。日本では、製造、施工から、メンテ・サービスまでの事業を一貫して行っていることが、高い利益率の理由のようだ。
(2) 米州(ODC)
米国事業を担うODCの業績は、売上高2,198億円(前期比0.4%増)、営業利益345.0億円(同18.8%増)と、セクター内で最大の増益率となり、利益水準では日本を上回っている。ただ、金利高止まりに伴う住宅市場の低迷による数量減により、現地通貨ベースの売上は減収となった。一方、販売価格下落の抑制とコスト削減策を推し進め、営業利益は修正予想を上回る大幅増益となった。米国では、日本と異なりサービス事業が少ないこと等から従来は利益率が低かったが、当期の営業利益率は15.7%と前期の13.3%から上昇し、グループ中で最も収益性の高いセクターとなっている。
(3) 欧州(NF)
欧州事業を担うNFでは、売上高1,115億円(前期比5.8%増)、営業利益38.9億円(同8.9%減)と増収減益であった。ウクライナや中東情勢など厳しい経済環境により、数量減の影響が大きく、現地通貨ベースでは減収となった。また、各種コストアップ分を売価転嫁とコスト削減策でカバーに努めたが、数量減を補えず減益となった。その結果、営業利益率は、前期の4.0%から3.5%へと低下した。欧州事業では複数の国に跨り、国別にコストがかかることから、低めの利益率に留まっているようだ。
(4) アジア
2020年3月期より連結対象となったアジアでは、売上高142億円(前期比30.5%増)、営業利益5.8億円(同123.6%増)と、好調であった。香港のAUBと中国常熟市の三和NF常熟の、2つの持分法会社の新規連結効果により増収を確保した。また、香港各社や安和(台湾)が好調を維持し大幅増益となった。営業利益率も前期の2.4%から4.1%に上昇したが、日本や米州に比べて低水準である。
3. 財務状況と経営指標
2024年3月期末の資産合計は、主に棚卸資産や固定資産の増加等により、前期末比49,426百万円増の491,701百万円となった。負債合計は、主に未払金の増加等により、同6,275百万円増の206,199百万円となった。純資産は、主に利益剰余金と為替換算調整勘定の増加等により、同43,151百万円増の285,501百万円となった。
以上の結果、自己資本比率は前期末比3.3ポイント上昇の57.7%で、2023年3月期決算短信集計によるプライム市場上場の全産業平均31.8%を大きく上回る。加えてDEレシオも前期の0.20倍から0.16倍に低下しており、財務上は十分な安全性を確保している。また、同社のROA(総資産経常利益率)は13.9%(前期比1.2ポイント上昇)、ROE(自己資本当期純利益率)も16.5%(同1.5ポイント上昇)で、いずれもプライム市場全産業平均の4.1%、9.2%を大きく上回り、高い収益力も兼ね備えていると評価できる。
2024年3月期のキャッシュ・フローの概況を見ると、2024年3月期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ23,041百万円増の94,195百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上などにより72,427百万円の資金増加となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により24,819百万円の資金減少となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払などにより26,244百万円の資金減少となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2. セクター別の動向
(1) 日本
グループの基幹事業を担う日本(三和シヤッター工業と国内子会社)の2024年3月期業績は、売上高2,656億円(前期比5.0%増)、営業利益281.8億円(同12.6%増)と好調で、グループ全体の業績を下支えした。好調な工場建設や大型再開発案件を中心に堅調に推移した。特にビルマンションドアや間仕切が伸長し増収となった。また、材料費が予想以上に上昇したものの、売価転嫁に取り組み増益となった。この結果、日本の営業利益率は前期の9.8%から10.6%に上昇し、引き続き高い利益率を維持している。日本では、製造、施工から、メンテ・サービスまでの事業を一貫して行っていることが、高い利益率の理由のようだ。
(2) 米州(ODC)
米国事業を担うODCの業績は、売上高2,198億円(前期比0.4%増)、営業利益345.0億円(同18.8%増)と、セクター内で最大の増益率となり、利益水準では日本を上回っている。ただ、金利高止まりに伴う住宅市場の低迷による数量減により、現地通貨ベースの売上は減収となった。一方、販売価格下落の抑制とコスト削減策を推し進め、営業利益は修正予想を上回る大幅増益となった。米国では、日本と異なりサービス事業が少ないこと等から従来は利益率が低かったが、当期の営業利益率は15.7%と前期の13.3%から上昇し、グループ中で最も収益性の高いセクターとなっている。
(3) 欧州(NF)
欧州事業を担うNFでは、売上高1,115億円(前期比5.8%増)、営業利益38.9億円(同8.9%減)と増収減益であった。ウクライナや中東情勢など厳しい経済環境により、数量減の影響が大きく、現地通貨ベースでは減収となった。また、各種コストアップ分を売価転嫁とコスト削減策でカバーに努めたが、数量減を補えず減益となった。その結果、営業利益率は、前期の4.0%から3.5%へと低下した。欧州事業では複数の国に跨り、国別にコストがかかることから、低めの利益率に留まっているようだ。
(4) アジア
2020年3月期より連結対象となったアジアでは、売上高142億円(前期比30.5%増)、営業利益5.8億円(同123.6%増)と、好調であった。香港のAUBと中国常熟市の三和NF常熟の、2つの持分法会社の新規連結効果により増収を確保した。また、香港各社や安和(台湾)が好調を維持し大幅増益となった。営業利益率も前期の2.4%から4.1%に上昇したが、日本や米州に比べて低水準である。
3. 財務状況と経営指標
2024年3月期末の資産合計は、主に棚卸資産や固定資産の増加等により、前期末比49,426百万円増の491,701百万円となった。負債合計は、主に未払金の増加等により、同6,275百万円増の206,199百万円となった。純資産は、主に利益剰余金と為替換算調整勘定の増加等により、同43,151百万円増の285,501百万円となった。
以上の結果、自己資本比率は前期末比3.3ポイント上昇の57.7%で、2023年3月期決算短信集計によるプライム市場上場の全産業平均31.8%を大きく上回る。加えてDEレシオも前期の0.20倍から0.16倍に低下しており、財務上は十分な安全性を確保している。また、同社のROA(総資産経常利益率)は13.9%(前期比1.2ポイント上昇)、ROE(自己資本当期純利益率)も16.5%(同1.5ポイント上昇)で、いずれもプライム市場全産業平均の4.1%、9.2%を大きく上回り、高い収益力も兼ね備えていると評価できる。
2024年3月期のキャッシュ・フローの概況を見ると、2024年3月期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ23,041百万円増の94,195百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上などにより72,427百万円の資金増加となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得により24,819百万円の資金減少となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払などにより26,244百万円の資金減少となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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