注目トピックス 日本株
飯野海運 Research Memo(1):さらなる成長に向けて共通価値の創造に向けた取り組みを一段と強化
配信日時:2024/06/13 14:41
配信元:FISCO
*14:41JST 飯野海運 Research Memo(1):さらなる成長に向けて共通価値の創造に向けた取り組みを一段と強化
■要約
飯野海運<9119>は1899年に創業し、今年で125周年を迎える海運会社である。現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪としている。さらなる成長に向けて、経済的価値の向上に加え、サステナビリティへの積極的な取り組みで社会的価値の創造を図り、同社の掲げる共通価値の創造に向けた取り組みを一段と強化している。
1. 海運業、不動産業とも安定収益基盤の構築と環境負荷軽減に向けた取り組みを推進
海運業は中東積み極東揚げ航路でトップシェアを誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。両事業とも市況変動の影響を軽減すべく、安定収益源の積み上げを推進している。また従来から環境負荷軽減に取り組み、海運業における環境配慮型船の投入や不動産業における保有ビルの省エネ向上を推進している。海運業では2024年2月に環境負荷低減型船舶であるアンモニア運搬船が竣工した。米国船級協会ABS(American Bureau of Shipping)によるアンモニア燃料船化の基礎認証を受けて設計・建造された世界初のアンモニア運搬船である。本船は「時代の要請に先駆けて着手し、革新的な挑戦を続けることで持続可能な社会の実現に献身的に取り組んでいく」といった思いを込めて「GAS INNOVATOR(ガスイノベーター)」と命名された。
2. 2024年3月期は営業減益だが会社予想を上回る水準で着地
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比※2.4%減の137,950百万円、営業利益が同4.8%減の19,063百万円、経常利益が同4.5%増の21,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.5%減の19,745百万円だった。小幅営業減益だったが、為替の円安も寄与して各利益は会社予想(2024年1月31日付の3回目の上方修正)を上回る水準で着地した。営業利益(前期比9.5億円減)の内訳は、大型原油タンカーが同0.1億円減、ケミカルタンカーが同11.1億円減、大型ガス船が同13.0億円増、ドライバルク船が同18.9億円減、不動産が同2.9億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同10.4億円増だった。なお経常利益は営業外での為替差損益の改善などにより増益だった。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益で固定資産売却益が減少したことや、特別損失で減損損失が増加したことにより減益だった。
※ 会計方針の変更に伴い23/3期業績を遡及修正。前期比は修正後数値との比較。
3. 2025年3月期は減収減益予想だが保守的
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%減の136,000百万円、営業利益が同19.2%減の15,400百万円、経常利益が同33.5%減の14,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.6%減の14,100百万円を見込んでいる。営業利益(前期比37億円減)の内訳は、大型原油タンカーが同3.9億円増、ケミカルタンカーが同15.0億円減、大型ガス船が同12.7億円減、ドライバルク船が同8.0億円減、小型ガス船が同1.1億円減、不動産が同2.3億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同1.5億円減となっている。なお経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益については、営業外収益・費用や特別利益・損失の一過性利益・損失は織り込んでいない。2025年3月期は減収減益予想であるが、全体として保守的な印象が強く、中期経営計画で掲げている安定収益源積み上げに向けた各種取組の成果が進展していることを勘案すれば、会社予想に上振れの可能性があると弊社は考えている。
4. 中期経営計画の進捗は順調
同社は2023年5月に策定した中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」(2024年3月期〜2026年3月期)においては、重視する財務指標と数値目標として2024年3月期に経常利益111億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+主たる事業投資に係る受取配当金及び持分法投資損益)255億円、ROE9%、ROIC4.5%など、2025年3月期に経常利益115〜125億円、EBITDA270〜280億円、ROE9〜10%など、2026年3月期に経常利益130〜140億円、EBITDA280〜290億円、ROE9〜10%、ROIC4〜5%などを掲げた。これに対して中期経営計画1年目の2024年3月期は経常利益218億円、EBITDA333億円、ROE16.3%、ROIC8.6%など、ほとんどの項目で目標を上回る形で着地した。そして2年目の2025年3月期も経常利益145億円、EBITDA300億円、ROE10%など、ほとんどの項目で目標を上回る見込みである。市況や為替も後押し要因となり、中期経営計画の進捗は極めて順調と言える。
■Key Points
・歴史ある海運業と不動産業が両輪
・2024年3月期は営業減益だが会社予想を上回る水準で着地
・2025年3月期は減益予想だが保守的
・中期経営計画の進捗は順調
・安定収益源の積み上げなど基本戦略を評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<HH>
飯野海運<9119>は1899年に創業し、今年で125周年を迎える海運会社である。現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪としている。さらなる成長に向けて、経済的価値の向上に加え、サステナビリティへの積極的な取り組みで社会的価値の創造を図り、同社の掲げる共通価値の創造に向けた取り組みを一段と強化している。
1. 海運業、不動産業とも安定収益基盤の構築と環境負荷軽減に向けた取り組みを推進
海運業は中東積み極東揚げ航路でトップシェアを誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。両事業とも市況変動の影響を軽減すべく、安定収益源の積み上げを推進している。また従来から環境負荷軽減に取り組み、海運業における環境配慮型船の投入や不動産業における保有ビルの省エネ向上を推進している。海運業では2024年2月に環境負荷低減型船舶であるアンモニア運搬船が竣工した。米国船級協会ABS(American Bureau of Shipping)によるアンモニア燃料船化の基礎認証を受けて設計・建造された世界初のアンモニア運搬船である。本船は「時代の要請に先駆けて着手し、革新的な挑戦を続けることで持続可能な社会の実現に献身的に取り組んでいく」といった思いを込めて「GAS INNOVATOR(ガスイノベーター)」と命名された。
2. 2024年3月期は営業減益だが会社予想を上回る水準で着地
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比※2.4%減の137,950百万円、営業利益が同4.8%減の19,063百万円、経常利益が同4.5%増の21,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.5%減の19,745百万円だった。小幅営業減益だったが、為替の円安も寄与して各利益は会社予想(2024年1月31日付の3回目の上方修正)を上回る水準で着地した。営業利益(前期比9.5億円減)の内訳は、大型原油タンカーが同0.1億円減、ケミカルタンカーが同11.1億円減、大型ガス船が同13.0億円増、ドライバルク船が同18.9億円減、不動産が同2.9億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同10.4億円増だった。なお経常利益は営業外での為替差損益の改善などにより増益だった。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益で固定資産売却益が減少したことや、特別損失で減損損失が増加したことにより減益だった。
※ 会計方針の変更に伴い23/3期業績を遡及修正。前期比は修正後数値との比較。
3. 2025年3月期は減収減益予想だが保守的
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%減の136,000百万円、営業利益が同19.2%減の15,400百万円、経常利益が同33.5%減の14,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.6%減の14,100百万円を見込んでいる。営業利益(前期比37億円減)の内訳は、大型原油タンカーが同3.9億円増、ケミカルタンカーが同15.0億円減、大型ガス船が同12.7億円減、ドライバルク船が同8.0億円減、小型ガス船が同1.1億円減、不動産が同2.3億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同1.5億円減となっている。なお経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益については、営業外収益・費用や特別利益・損失の一過性利益・損失は織り込んでいない。2025年3月期は減収減益予想であるが、全体として保守的な印象が強く、中期経営計画で掲げている安定収益源積み上げに向けた各種取組の成果が進展していることを勘案すれば、会社予想に上振れの可能性があると弊社は考えている。
4. 中期経営計画の進捗は順調
同社は2023年5月に策定した中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」(2024年3月期〜2026年3月期)においては、重視する財務指標と数値目標として2024年3月期に経常利益111億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+主たる事業投資に係る受取配当金及び持分法投資損益)255億円、ROE9%、ROIC4.5%など、2025年3月期に経常利益115〜125億円、EBITDA270〜280億円、ROE9〜10%など、2026年3月期に経常利益130〜140億円、EBITDA280〜290億円、ROE9〜10%、ROIC4〜5%などを掲げた。これに対して中期経営計画1年目の2024年3月期は経常利益218億円、EBITDA333億円、ROE16.3%、ROIC8.6%など、ほとんどの項目で目標を上回る形で着地した。そして2年目の2025年3月期も経常利益145億円、EBITDA300億円、ROE10%など、ほとんどの項目で目標を上回る見込みである。市況や為替も後押し要因となり、中期経営計画の進捗は極めて順調と言える。
■Key Points
・歴史ある海運業と不動産業が両輪
・2024年3月期は営業減益だが会社予想を上回る水準で着地
・2025年3月期は減益予想だが保守的
・中期経営計画の進捗は順調
・安定収益源の積み上げなど基本戦略を評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<HH>
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