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精工技研 Research Memo(4):2024年3月期は光通信用部品や光部品の製造機器が低調(1)
配信日時:2024/06/13 13:44
配信元:FISCO
*13:44JST 精工技研 Research Memo(4):2024年3月期は光通信用部品や光部品の製造機器が低調(1)
■業績動向
1. 2024年3月期の連結業績
精工技研<6834>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.1%減の15,785百万円、営業利益が同24.3%減の1,052百万円、経常利益が同21.0%減の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同29.7%減の761百万円となり、減収減益となった。期初予想に対しては、車載用成形品や光通信用部品の販売が想定を下回る結果となった。要因として、自動車関連市場では上半期を通して半導体供給不足が解消せず自動車メーカー各社の生産調整が実施されたこと、光通信関連市場ではコロナ禍の回復に伴いリモートワークが減少し、大手IT関連企業の設備投資が縮小したこと等が挙げられる。各利益については、コスト管理の強化により販売費及び一般管理費は減少したものの、比較的収益性の高い製品群の売上が減少したことで売上総利益が減少した。
2. セグメント別業績
2024年3月期の売上高構成比は、精機関連事業が8,716百万円で55.2%、光製品関連事業が7,069百万円で44.8%となった。精機関連事業における売上比率は、2022年3月期に52.4%と過半数を占め、その後2023年3月期にはわずかに減少して51.0%に、2024年3月期には再び上昇し、55.2%となった。一方、光製品関連事業は、2022年3月期に47.6%の売上比率だったが、2023年3月期にはわずかに増加して49.0%になった。しかしながら、2024年3月期には44.8%へと減少した。この減少は、コロナ禍が終息し、光通信インフラへの設備投資が落ち込んだ影響と見られる。
(1) 精機関連事業
売上高は前期比5.0%増の8,716百万円、セグメント利益は同69.2%増の664百万円、セグメント利益率は7.6%となった。売上高に関しては、2020年3月期に8,808百万円でピークを迎えた後、2022年3月期まで徐々に減少し、8,478百万円にまで落ち込んでいる。しかし、2023年3月期において最低値8,303百万円を記録した後、2024年3月期には再び上昇し、8,716百万円まで回復している。セグメント利益は、2020年3月期に809百万円で最高であり、以降、2022年3月期にかけて大幅に減少して381百万円まで落ち込んでいる。ただし、2024年3月期には利益が664百万円まで改善しており、企業努力が実を結んでいる。利益率についても同様の傾向が見られ、2020年3月期の9.2%から低下を続け、2022年3月期には最低の4.5%を記録したが、2024年3月期には7.6%まで回復している。この利益率の回復は、コスト削減や効率改善の成果が表れている。
精機関連事業における業績は、業界の動向と技術革新が大きく影響した。成形品の効率的な量産が可能になっており、特に高い寸法精度が要求される金属部品の製造において、顧客からの高い評価を得ている。2024年3月期においては、特に電気自動車市場の拡大が精機関連事業の成長を牽引した。この市場拡大に伴い、電気自動車のカーエアコンに使用されるコンプレッサー用部品やインバーター用部品、それらの部品を成形するための金型の需要が増加し、売上を大きく伸ばすことができた。一方で、スマートフォン市場における需要の縮小は、端末価格のインフレや買い替えサイクルの長期化による影響を受け、金属プレス成形品の売上が減少する結果となった。開発面では、創業以来培ってきた技術を活かし、自動車、医療、バイオなどの産業領域で新たな精密成形品の量産化に向けた技術的課題の解決に努めている。
(2) 光製品関連事業
売上高は前期比11.4%減の7,069百万円、セグメント利益は同61.1%減の388百万円、セグメント利益率は5.5%となった。売上高については、2020年3月期に6,921百万円から2021年3月期には6,142百万円へと減少したが、その後2022年3月期と2023年3月期にかけて増加し、最高値の7,979百万円を記録した。しかし、2024年3月期には再び減少し、7,069百万円に落ち着いている。セグメント利益に関しても、2021年3月期までの減少後、2022年3月期に大幅な増益を達成して1,143百万円となったものの、その後は減少傾向にあり、2024年3月期には大きく落ち込み388百万円となっている。セグメント利益率は、2022年3月期に14.8%と最高を記録し、その後は減少して2024年3月期には5.5%まで低下した。
売上減少の主要因としては、光通信インフラへの投資停滞が挙げられる。これにより、光コネクタや関連機器、装置の需要が前期に比べて減少している。しかしながら、タイ王国に新設されたSEIKOH GIKEN (THAILAND) Co., Ltd.の設立は、中長期的な視点で見れば、アジア地域における供給能力の強化という戦略的な投資であり、将来的には安定供給とコスト競争力の向上に寄与すると考えられる。このような環境下での戦略としては、現在の市場停滞期を乗り越えるために、新興市場やアプリケーションへの進出、製品ラインナップの多様化を図ることが重要になる。また、データセンター向けなど新しい需要が拡大しているセグメントに注力することで、短期的な市場変動に強い体制を築くことが望まれる。総じて、光製品関連事業は市場の停滞期を迎えているものの、戦略的な拠点展開や市場ニーズへの迅速な対応を進めることで、これを乗り越え、持続的な成長を目指せると弊社では見ている。
(3) 地域別売上高
同社の地域別売上高を見ると、2024年3月期の総売上は前期比3.1%減の15,785百万円となった。日本市場は同4.3%増の9,803百万円で安定した需要を示している。一方、北米市場は同33.8%減の1,506百万円、中国市場は同25.3%減の1,178百万円となった。これらの減少は米中貿易摩擦や経済の不確実性、中国国内の経済減速や政策の変動が影響していると見られる。その他アジア市場は同28.7%増の1,996百万円で、この地域での成長は、アジア新興市場での需要拡大や事業拡大が成功していると言える。ヨーロッパ市場は同11.2%減の1,299百万円だった。これは、欧州経済の不確実性や市場競争の激化が影響していると見られる。今後は、北米と中国市場の回復策とアジア市場の成長促進が重要なカギになると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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1. 2024年3月期の連結業績
精工技研<6834>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.1%減の15,785百万円、営業利益が同24.3%減の1,052百万円、経常利益が同21.0%減の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同29.7%減の761百万円となり、減収減益となった。期初予想に対しては、車載用成形品や光通信用部品の販売が想定を下回る結果となった。要因として、自動車関連市場では上半期を通して半導体供給不足が解消せず自動車メーカー各社の生産調整が実施されたこと、光通信関連市場ではコロナ禍の回復に伴いリモートワークが減少し、大手IT関連企業の設備投資が縮小したこと等が挙げられる。各利益については、コスト管理の強化により販売費及び一般管理費は減少したものの、比較的収益性の高い製品群の売上が減少したことで売上総利益が減少した。
2. セグメント別業績
2024年3月期の売上高構成比は、精機関連事業が8,716百万円で55.2%、光製品関連事業が7,069百万円で44.8%となった。精機関連事業における売上比率は、2022年3月期に52.4%と過半数を占め、その後2023年3月期にはわずかに減少して51.0%に、2024年3月期には再び上昇し、55.2%となった。一方、光製品関連事業は、2022年3月期に47.6%の売上比率だったが、2023年3月期にはわずかに増加して49.0%になった。しかしながら、2024年3月期には44.8%へと減少した。この減少は、コロナ禍が終息し、光通信インフラへの設備投資が落ち込んだ影響と見られる。
(1) 精機関連事業
売上高は前期比5.0%増の8,716百万円、セグメント利益は同69.2%増の664百万円、セグメント利益率は7.6%となった。売上高に関しては、2020年3月期に8,808百万円でピークを迎えた後、2022年3月期まで徐々に減少し、8,478百万円にまで落ち込んでいる。しかし、2023年3月期において最低値8,303百万円を記録した後、2024年3月期には再び上昇し、8,716百万円まで回復している。セグメント利益は、2020年3月期に809百万円で最高であり、以降、2022年3月期にかけて大幅に減少して381百万円まで落ち込んでいる。ただし、2024年3月期には利益が664百万円まで改善しており、企業努力が実を結んでいる。利益率についても同様の傾向が見られ、2020年3月期の9.2%から低下を続け、2022年3月期には最低の4.5%を記録したが、2024年3月期には7.6%まで回復している。この利益率の回復は、コスト削減や効率改善の成果が表れている。
精機関連事業における業績は、業界の動向と技術革新が大きく影響した。成形品の効率的な量産が可能になっており、特に高い寸法精度が要求される金属部品の製造において、顧客からの高い評価を得ている。2024年3月期においては、特に電気自動車市場の拡大が精機関連事業の成長を牽引した。この市場拡大に伴い、電気自動車のカーエアコンに使用されるコンプレッサー用部品やインバーター用部品、それらの部品を成形するための金型の需要が増加し、売上を大きく伸ばすことができた。一方で、スマートフォン市場における需要の縮小は、端末価格のインフレや買い替えサイクルの長期化による影響を受け、金属プレス成形品の売上が減少する結果となった。開発面では、創業以来培ってきた技術を活かし、自動車、医療、バイオなどの産業領域で新たな精密成形品の量産化に向けた技術的課題の解決に努めている。
(2) 光製品関連事業
売上高は前期比11.4%減の7,069百万円、セグメント利益は同61.1%減の388百万円、セグメント利益率は5.5%となった。売上高については、2020年3月期に6,921百万円から2021年3月期には6,142百万円へと減少したが、その後2022年3月期と2023年3月期にかけて増加し、最高値の7,979百万円を記録した。しかし、2024年3月期には再び減少し、7,069百万円に落ち着いている。セグメント利益に関しても、2021年3月期までの減少後、2022年3月期に大幅な増益を達成して1,143百万円となったものの、その後は減少傾向にあり、2024年3月期には大きく落ち込み388百万円となっている。セグメント利益率は、2022年3月期に14.8%と最高を記録し、その後は減少して2024年3月期には5.5%まで低下した。
売上減少の主要因としては、光通信インフラへの投資停滞が挙げられる。これにより、光コネクタや関連機器、装置の需要が前期に比べて減少している。しかしながら、タイ王国に新設されたSEIKOH GIKEN (THAILAND) Co., Ltd.の設立は、中長期的な視点で見れば、アジア地域における供給能力の強化という戦略的な投資であり、将来的には安定供給とコスト競争力の向上に寄与すると考えられる。このような環境下での戦略としては、現在の市場停滞期を乗り越えるために、新興市場やアプリケーションへの進出、製品ラインナップの多様化を図ることが重要になる。また、データセンター向けなど新しい需要が拡大しているセグメントに注力することで、短期的な市場変動に強い体制を築くことが望まれる。総じて、光製品関連事業は市場の停滞期を迎えているものの、戦略的な拠点展開や市場ニーズへの迅速な対応を進めることで、これを乗り越え、持続的な成長を目指せると弊社では見ている。
(3) 地域別売上高
同社の地域別売上高を見ると、2024年3月期の総売上は前期比3.1%減の15,785百万円となった。日本市場は同4.3%増の9,803百万円で安定した需要を示している。一方、北米市場は同33.8%減の1,506百万円、中国市場は同25.3%減の1,178百万円となった。これらの減少は米中貿易摩擦や経済の不確実性、中国国内の経済減速や政策の変動が影響していると見られる。その他アジア市場は同28.7%増の1,996百万円で、この地域での成長は、アジア新興市場での需要拡大や事業拡大が成功していると言える。ヨーロッパ市場は同11.2%減の1,299百万円だった。これは、欧州経済の不確実性や市場競争の激化が影響していると見られる。今後は、北米と中国市場の回復策とアジア市場の成長促進が重要なカギになると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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