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Jトラスト Research Memo(2):2024年12月期第1四半期は、営業収益は過去最高を更新(1)
配信日時:2024/06/12 13:32
配信元:FISCO
*13:32JST Jトラスト Research Memo(2):2024年12月期第1四半期は、営業収益は過去最高を更新(1)
■業績動向
1. 2024年12月期 第1四半期の業績概要
Jトラスト<8508>の2024年12月期第1四半期は、営業収益31,554百万円(前年同期比21.2%増)、営業損失281百万円(前年同期は10,135百万円の利益)、税引前利益563百万円(同94.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は38百万円(同99.6%減)の増収減益となった。営業収益は第1四半期としては過去最大となった。一方、大幅減益となったのは前年同期には負ののれん発生益10,113百万円を計上したためである。これを除いた実力ベースの営業損益は前年同期比303百万円減と水準は大きくは変わらず、計画値を9億円上回って着地した。主力の金融3事業では、2023年12月期第4四半期は2,739百万円の営業損失となったが2024年12月期第1四半期は1,203百万円の営業利益へと、計画値を14億円上回った。これは日本金融事業が堅調で大幅増益を記録したことに加え、東南アジア金融事業の損益が大きく改善したためである。一方、韓国及びモンゴル金融事業は計画どおりの営業損失となったが、下期以降は黒字転換し利益拡大を見込んでいる。2023年12月期は保守的に貸倒引当金を積み増すなど将来の成長を見据えた対応により営業収益及び利益項目はすべて予想を下回る結果となったが、弊社では2024年12月期から成長軌道に向けて再スタートする準備を整えたものと見ており、第1四半期にはその成果が表れていると考えている。
2. 事業セグメント別動向
(1) 日本金融事業
2024年12月期第1四半期の営業収益は3,768百万円(前年同期比23.4%増)、営業利益は1,463百万円(同66.4%増)となった。通期業績予想に対する進捗率は、営業収益24.3%、営業利益25.6%と計画どおりとなった。日本金融事業は成長局面に入ったと見られる。
債務保証残高合計は、2024年3月末には2,363億円と9四半期連続で増加している。保証残高の8割を占めるアパートローン保証のうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は431億円と順調に増加し、保証残高全体を押し上げた。富裕層のニーズ増によりマーケットは活況で、競合する中古アパートローンの保証会社が少ないことも好調の理由のようだ。保証残高は、2024年12月末には合計2,500億円、うち中古アパートローンは627億円への増加を計画している。また、不動産事業のJグランド(株)(旧 日本ファンディング(株))が注力している富裕層向け投資用高級一棟マンションの販売事業は、保証残高の積み上げにつながると期待される。Jトラストグローバル証券、提携銀行、日本保証の協業による富裕層向けの有価証券担保ローンも好調で、預かり資産は2024年3月末には3,861億円に増加し、2024年12月末には4,300億円を計画する。さらに、Nexus Card(株)の成長やMIRAI(株)(旧 西京カード(株))の子会社化もあって、割賦売掛金残高は2024年3月末には162億円に増加しており、割賦売掛金残高の増大も日本保証の保証残高を押し上げている。
サービサー業務全体の請求債権残高は2024年3月末には9,959億円に増加した。パルティール債権回収(株)が取り扱う債権については回収が好調に進み、2024年12月期第1四半期に額面710億円の債権を購入したことが残高急増の理由だ。一方、日本保証がTFK(株)(旧 (株)武富士)より継承した簿外債権(請求可能債権)に大きな動きはない。
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
2024年12月期第1四半期の営業収益は11,939百万円(前年同期比6.0%増)、営業損失は1,286百万円(前年同期は578百万円の損失)となった。営業収益は利息収益の増加により増収となった。一方、韓国国内の景気が悪化したまま低迷を続けている状況を踏まえて、計画的に貸倒引当金を積み増したことから減益となったが、今後の業績を安定化するためのコストと言えるだろう。ただ第1四半期の営業損失は、計画値を1億円圧縮して着地した。貯蓄銀行2行で債権管理強化に向けた管理組織の改編と業務プロセスの全面改善を行うことで、期初の計画どおり下期からの黒字化を見込んでいる。
JT親愛貯蓄銀行(株)の貸出残高は、不良債権増加やBIS規制遵守のために戦略的に個人向け貸出を抑制したことで、2024年3月末には2,471億円に減少した。金融当局の今後の対応が不透明なこともあり、アクセルを踏む状況ではないとの判断から量より質を重視した結果である。不良債権比率は2024年3月末には9.55%となったが、貸倒引当金を控除したネットでは2.88%と低位で推移している。管理組織の改編を行い回収とモニタリングを強化しており、不良債権比率は今後低下する見通しだ。
JT貯蓄銀行(株)の貸出残高は2024年3月末には2,190億円とほぼ横ばいに推移した。債権の質の良化を重視し、貸出残高をコントロールした結果である。不良債権比率は2024年3月末には7.50%に上昇したが、貸倒引当金を控除したネットでは4.29%と低位に留まった。JT貯蓄銀行では、JT親愛貯蓄銀行と比べてネット不良債権比率は高いものの法人向け貸出の不動産プロジェクトファイナンスが多く、担保が設定されているため問題はない。引き続き管理組織の改編を行い回収とモニタリングを強化することで、不良債権の抑制に注力している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SI>
1. 2024年12月期 第1四半期の業績概要
Jトラスト<8508>の2024年12月期第1四半期は、営業収益31,554百万円(前年同期比21.2%増)、営業損失281百万円(前年同期は10,135百万円の利益)、税引前利益563百万円(同94.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は38百万円(同99.6%減)の増収減益となった。営業収益は第1四半期としては過去最大となった。一方、大幅減益となったのは前年同期には負ののれん発生益10,113百万円を計上したためである。これを除いた実力ベースの営業損益は前年同期比303百万円減と水準は大きくは変わらず、計画値を9億円上回って着地した。主力の金融3事業では、2023年12月期第4四半期は2,739百万円の営業損失となったが2024年12月期第1四半期は1,203百万円の営業利益へと、計画値を14億円上回った。これは日本金融事業が堅調で大幅増益を記録したことに加え、東南アジア金融事業の損益が大きく改善したためである。一方、韓国及びモンゴル金融事業は計画どおりの営業損失となったが、下期以降は黒字転換し利益拡大を見込んでいる。2023年12月期は保守的に貸倒引当金を積み増すなど将来の成長を見据えた対応により営業収益及び利益項目はすべて予想を下回る結果となったが、弊社では2024年12月期から成長軌道に向けて再スタートする準備を整えたものと見ており、第1四半期にはその成果が表れていると考えている。
2. 事業セグメント別動向
(1) 日本金融事業
2024年12月期第1四半期の営業収益は3,768百万円(前年同期比23.4%増)、営業利益は1,463百万円(同66.4%増)となった。通期業績予想に対する進捗率は、営業収益24.3%、営業利益25.6%と計画どおりとなった。日本金融事業は成長局面に入ったと見られる。
債務保証残高合計は、2024年3月末には2,363億円と9四半期連続で増加している。保証残高の8割を占めるアパートローン保証のうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は431億円と順調に増加し、保証残高全体を押し上げた。富裕層のニーズ増によりマーケットは活況で、競合する中古アパートローンの保証会社が少ないことも好調の理由のようだ。保証残高は、2024年12月末には合計2,500億円、うち中古アパートローンは627億円への増加を計画している。また、不動産事業のJグランド(株)(旧 日本ファンディング(株))が注力している富裕層向け投資用高級一棟マンションの販売事業は、保証残高の積み上げにつながると期待される。Jトラストグローバル証券、提携銀行、日本保証の協業による富裕層向けの有価証券担保ローンも好調で、預かり資産は2024年3月末には3,861億円に増加し、2024年12月末には4,300億円を計画する。さらに、Nexus Card(株)の成長やMIRAI(株)(旧 西京カード(株))の子会社化もあって、割賦売掛金残高は2024年3月末には162億円に増加しており、割賦売掛金残高の増大も日本保証の保証残高を押し上げている。
サービサー業務全体の請求債権残高は2024年3月末には9,959億円に増加した。パルティール債権回収(株)が取り扱う債権については回収が好調に進み、2024年12月期第1四半期に額面710億円の債権を購入したことが残高急増の理由だ。一方、日本保証がTFK(株)(旧 (株)武富士)より継承した簿外債権(請求可能債権)に大きな動きはない。
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
2024年12月期第1四半期の営業収益は11,939百万円(前年同期比6.0%増)、営業損失は1,286百万円(前年同期は578百万円の損失)となった。営業収益は利息収益の増加により増収となった。一方、韓国国内の景気が悪化したまま低迷を続けている状況を踏まえて、計画的に貸倒引当金を積み増したことから減益となったが、今後の業績を安定化するためのコストと言えるだろう。ただ第1四半期の営業損失は、計画値を1億円圧縮して着地した。貯蓄銀行2行で債権管理強化に向けた管理組織の改編と業務プロセスの全面改善を行うことで、期初の計画どおり下期からの黒字化を見込んでいる。
JT親愛貯蓄銀行(株)の貸出残高は、不良債権増加やBIS規制遵守のために戦略的に個人向け貸出を抑制したことで、2024年3月末には2,471億円に減少した。金融当局の今後の対応が不透明なこともあり、アクセルを踏む状況ではないとの判断から量より質を重視した結果である。不良債権比率は2024年3月末には9.55%となったが、貸倒引当金を控除したネットでは2.88%と低位で推移している。管理組織の改編を行い回収とモニタリングを強化しており、不良債権比率は今後低下する見通しだ。
JT貯蓄銀行(株)の貸出残高は2024年3月末には2,190億円とほぼ横ばいに推移した。債権の質の良化を重視し、貸出残高をコントロールした結果である。不良債権比率は2024年3月末には7.50%に上昇したが、貸倒引当金を控除したネットでは4.29%と低位に留まった。JT貯蓄銀行では、JT親愛貯蓄銀行と比べてネット不良債権比率は高いものの法人向け貸出の不動産プロジェクトファイナンスが多く、担保が設定されているため問題はない。引き続き管理組織の改編を行い回収とモニタリングを強化することで、不良債権の抑制に注力している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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