GRICI
中国の失業率は5.2% ようやく正式な統計が【中国問題グローバル研究所】
配信日時:2024/03/04 10:25
配信元:FISCO
*10:25JST 中国の失業率は5.2% ようやく正式な統計が【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。
3月5日に開幕する全人代のためだろう。2月29日、中国の国家統計局は<中華人民共和国2023年国民経済と社会発展公報>(※2)(以下、公報)を発布した。それによれば、2023年の年間失業率平均は5.2%だったという。
昨年7月に発表された若者失業率算出の時に国家統計局が現役の在学生まで対象に入れたために出てきた20%というデータが世界を驚かせ、その後、国家統計局が計算方法改善のためデータ発表を暫時やめてしまったという事実がある。加えて、中国大陸の一人の大学教員が、専業主婦など就職意欲を持っていない者まで対象に入れて計算した失業率46.5%をネットに上げたため、その情報に一部の日本人が飛びつき「中国失業率46.5%説」が飛び交った。そういった経緯があるので一部の日本人は今般の公報のデータに疑いを持つかもしれない。
本稿では、失業率を計算するのが困難な社会主義国家・中国の特殊な経緯と現状を考察したい。
◆公報が発表した雇用者数や失業率などに関するデータ
まず、公報が発表した雇用者数や失業率などに関する現在の詳細なデータを見てみよう。公報には以下のように書いてある。
●2023年末時点における国内の雇用者数は7億4,041万人で、このうち都市部での雇用者数は4億7,032万人、全国雇用人口の63.5%を占める。2023年、年間を通して都市部での新規雇用者数は1,244万人で、前年より38万人増加した。
●全国都市部調査による年間失業率平均値は5.2%で、2023年末時点での全国都市部調査による失業率は5.1%だった。
●全国の農民工の総数は2億9,753万人で、前年比0.6%増だった。その内、外出農民工(沿海部大都市に行く農民工)は1億7,658万人で2.7%増加し、本地農民工(もといた農村付近の小都市で働く地元農民工)は1億2,095万人で2.2%減少した。
これが公報に書いてある失業率の基本情報だ(図表を別として)。
都市部で働いている農民工は「都市部雇用者数」の範疇に入れているが、もし沿海部の大都市から内陸にある生まれ故郷近くの「中小都市」に戻って再就職先を見つけた場合は、大小の違いはあれ「都市」なので、「都市部調査失業率」の中で「就職者扱い」になるので変化しない。もし沿海部の都市から農村に戻って農業に従事した場合は、「都市部での雇用の減少」に反映される。農村部では畑仕事(土地経営)が多いため、失業率は都市部に比べて非常に低いので、「農村部調査失業率」というカテゴリーが統計上ない。
◆現在の「調査制」による失業率計算法は2018年4月17日から
中国は社会主義国家だ。改革開放後も教育機関における「国家培養」と「分配制度」は続き、1992年にようやく制度上撤廃して、1994年辺りから社会主義制度における形式から実際上抜け出し始めた。
「国家培養」というのは、教育機関での勉学は完全に無料で、国家が人材を育てるという制度を指す。衣食住も国家が保証する。大学・大学院などは基本的に全寮制。「国家培養」は幼稚園から大学院博士課程まで一貫して徹底されていた。
その代わりに卒業後は国家が定めた職場で働くことが義務付けられ、個人が職場を選ぶという権利はなかった。これを「分配制度」と称する。国家が就職先を「分配する」という意味だ。
したがって中国にはそのころまでは「失業」という概念がなく、市場経済が走り出し国営企業が立ち行かなくなって株式会社化して国有企業になり、無駄な従業員を「一時退職」させたころに、初めて「待業」という概念を生み出した。
「待業」というのは「失業」ではなく、「家で待機して次の業務復帰への指示を待ちなさい」という意味で、「待業手当」も支給された。当時の貨幣価値で月200元ほど貰っていたので、悪くない生活は保たれたと思う。従業員にはもともと宿舎が無料であてがわれていたので、住居に関する問題に大きな変化が出て来るまでは、そこそこに待業生活を送ることができていた。
実はそのころ筆者は1950年代の天津での幼馴染と再会しており、庶民の生活をリアルで体験しているので実感がある。また中国の中央行政の一つである国家教育部と提携して『中国大学総覧』の編集にも当たっていたので、日本で言う(中国でもその後定義された概念である)「公務員」の劇的な変化にうろたえる日常も、目の前で見てきた。
社会は混乱し、国家統計局が全国調査をするのではなく、個人や職場などの申し出によって失業者数や本来の従業員数を把握する「登録制」によって国家は「失業率」を計算していた。
しかし、それでは正確なデータが得られず、中国政府の通信社「新華社」や中国共産党機関紙「人民日報」などの数多くの情報で裏打ちされた実態から言うならば、国家統計局が統一的に全国調査するという「調査制」による失業率データが公表されるようになったのは「2018年4月17日」(※3)であるとのこと。この日までは「待業登録」を「失業登録」に改名したり、農民工のような流動人口の就業者をどう計算するかなど、紆余曲折の経緯を経てきた。
◆若者失業率計算に大学などの在校生を調査対象にしていた国家統計局
そのような経緯がある中、2023年7月28日のコラム<中国の若者の高い失業率は何を物語るのか?>(※4)に書いたように若年層(16~24歳)の失業率が20%に至るという「怪奇」に近い現象が起きた。
その原因は調査対象者に大学や専科学校あるいは大学院などの「在校生」を含めるという不適切なことをしていたからである。おまけに7月に出した統計は、まだ卒業してない5月時点での現役在学生を含んでおり、その人たちは「学生」で、「失業者」ではないのに、「(16歳以上の)労働可能な人口」の中に入れていたため、失業率が膨れ上がった。
背景には当該コラムの図表1に示した、信じられないほどの大学進学者の急増がある。
そこで、国際的に見て、失業者を計算する時には在校生を入れてないことを考慮して国家統計局は計算方法を見直すために暫時データ発表をやめた(※5)。これを以て日本では、「中国は中国経済の惨状を隠すために統計データを公開するのをやめた」との情報が飛び交い、「中国の統計を信じるな」と少なからぬ「中国問題専門家」やメディアがはしゃいだものだ。
実際は2022年、中国における16-24歳の都市人口9600万人強のうち、在校生は6500万人強で、この在校生のうち「現在職場で働いていない者、調査時期の3ヵ月前以内に就職先を探そうとしたことがある者、もし就職先を紹介したら2週間以内に(大学を捨てて=退学して)就職する者」を「失業者」扱いするという計算が成されていたのである。そもそもまだ卒業していないのだから職場で働いているはずがないが、それを失業者扱いすること自体、ナンセンスだ。
◆国際基準に合わせて改善した国家統計局の失業率計算法とデータ
そのようなことから、2024年1月17日に再開した国家統計局の失業率計算(※6)では、「在校生は含まない」ことになった。その結果、国家統計局が今年1月17日に発表した年間失業率(※7)では、
●16-24歳:14.9%
●25-29歳: 6.1%
●30-59歳: 3.9%
となっている。
このようにして計算方法を国際水準に合わせた結果の2023年の年間失業率平均が冒頭にある「5.2%」というデータである。若年層に関しては在校生を除外しても14.9%なので、相変わらず高いと言わねばなるまい。
◆専業主婦まで失業者に入れたデータに飛びつく一部の日本人
冒頭に書いた「16~24歳の失業率が46.5%」という情報に関しては、昨年7月17日北京大学の張丹丹准教授が個人の見解として発表した文章(※8)によるもので、彼女の場合は「在校生」だけでなく、「躺平(寝そべり族)」や「啃老族(親が富裕なので働くつもりがない「脛(すね)かじり族」)」、さらには「外で働く意思を持っていない専業主婦」まで「失業者」の中に入れているので、論外だと言わねばなるまい。目立とうとして一種の「遊び」を試みたのか、動機は分からないが、戯言(ざれごと)に近い「私見」に飛びついて「これこそが中国の真相」とはしゃぐ「一部の日本人」の判断力の無さには唖然とするばかりだ。
さて、3月5日に、本稿で述べた国家統計局が出した新しいデータも踏まえながら発表されるであろう李強国務院総理の政府活動報告がどのようなものになるのか、待ちたい。
この論考はYahoo(※9)から転載しました。
写真: ロイター/アフロ
<CS>
3月5日に開幕する全人代のためだろう。2月29日、中国の国家統計局は<中華人民共和国2023年国民経済と社会発展公報>(※2)(以下、公報)を発布した。それによれば、2023年の年間失業率平均は5.2%だったという。
昨年7月に発表された若者失業率算出の時に国家統計局が現役の在学生まで対象に入れたために出てきた20%というデータが世界を驚かせ、その後、国家統計局が計算方法改善のためデータ発表を暫時やめてしまったという事実がある。加えて、中国大陸の一人の大学教員が、専業主婦など就職意欲を持っていない者まで対象に入れて計算した失業率46.5%をネットに上げたため、その情報に一部の日本人が飛びつき「中国失業率46.5%説」が飛び交った。そういった経緯があるので一部の日本人は今般の公報のデータに疑いを持つかもしれない。
本稿では、失業率を計算するのが困難な社会主義国家・中国の特殊な経緯と現状を考察したい。
◆公報が発表した雇用者数や失業率などに関するデータ
まず、公報が発表した雇用者数や失業率などに関する現在の詳細なデータを見てみよう。公報には以下のように書いてある。
●2023年末時点における国内の雇用者数は7億4,041万人で、このうち都市部での雇用者数は4億7,032万人、全国雇用人口の63.5%を占める。2023年、年間を通して都市部での新規雇用者数は1,244万人で、前年より38万人増加した。
●全国都市部調査による年間失業率平均値は5.2%で、2023年末時点での全国都市部調査による失業率は5.1%だった。
●全国の農民工の総数は2億9,753万人で、前年比0.6%増だった。その内、外出農民工(沿海部大都市に行く農民工)は1億7,658万人で2.7%増加し、本地農民工(もといた農村付近の小都市で働く地元農民工)は1億2,095万人で2.2%減少した。
これが公報に書いてある失業率の基本情報だ(図表を別として)。
都市部で働いている農民工は「都市部雇用者数」の範疇に入れているが、もし沿海部の大都市から内陸にある生まれ故郷近くの「中小都市」に戻って再就職先を見つけた場合は、大小の違いはあれ「都市」なので、「都市部調査失業率」の中で「就職者扱い」になるので変化しない。もし沿海部の都市から農村に戻って農業に従事した場合は、「都市部での雇用の減少」に反映される。農村部では畑仕事(土地経営)が多いため、失業率は都市部に比べて非常に低いので、「農村部調査失業率」というカテゴリーが統計上ない。
◆現在の「調査制」による失業率計算法は2018年4月17日から
中国は社会主義国家だ。改革開放後も教育機関における「国家培養」と「分配制度」は続き、1992年にようやく制度上撤廃して、1994年辺りから社会主義制度における形式から実際上抜け出し始めた。
「国家培養」というのは、教育機関での勉学は完全に無料で、国家が人材を育てるという制度を指す。衣食住も国家が保証する。大学・大学院などは基本的に全寮制。「国家培養」は幼稚園から大学院博士課程まで一貫して徹底されていた。
その代わりに卒業後は国家が定めた職場で働くことが義務付けられ、個人が職場を選ぶという権利はなかった。これを「分配制度」と称する。国家が就職先を「分配する」という意味だ。
したがって中国にはそのころまでは「失業」という概念がなく、市場経済が走り出し国営企業が立ち行かなくなって株式会社化して国有企業になり、無駄な従業員を「一時退職」させたころに、初めて「待業」という概念を生み出した。
「待業」というのは「失業」ではなく、「家で待機して次の業務復帰への指示を待ちなさい」という意味で、「待業手当」も支給された。当時の貨幣価値で月200元ほど貰っていたので、悪くない生活は保たれたと思う。従業員にはもともと宿舎が無料であてがわれていたので、住居に関する問題に大きな変化が出て来るまでは、そこそこに待業生活を送ることができていた。
実はそのころ筆者は1950年代の天津での幼馴染と再会しており、庶民の生活をリアルで体験しているので実感がある。また中国の中央行政の一つである国家教育部と提携して『中国大学総覧』の編集にも当たっていたので、日本で言う(中国でもその後定義された概念である)「公務員」の劇的な変化にうろたえる日常も、目の前で見てきた。
社会は混乱し、国家統計局が全国調査をするのではなく、個人や職場などの申し出によって失業者数や本来の従業員数を把握する「登録制」によって国家は「失業率」を計算していた。
しかし、それでは正確なデータが得られず、中国政府の通信社「新華社」や中国共産党機関紙「人民日報」などの数多くの情報で裏打ちされた実態から言うならば、国家統計局が統一的に全国調査するという「調査制」による失業率データが公表されるようになったのは「2018年4月17日」(※3)であるとのこと。この日までは「待業登録」を「失業登録」に改名したり、農民工のような流動人口の就業者をどう計算するかなど、紆余曲折の経緯を経てきた。
◆若者失業率計算に大学などの在校生を調査対象にしていた国家統計局
そのような経緯がある中、2023年7月28日のコラム<中国の若者の高い失業率は何を物語るのか?>(※4)に書いたように若年層(16~24歳)の失業率が20%に至るという「怪奇」に近い現象が起きた。
その原因は調査対象者に大学や専科学校あるいは大学院などの「在校生」を含めるという不適切なことをしていたからである。おまけに7月に出した統計は、まだ卒業してない5月時点での現役在学生を含んでおり、その人たちは「学生」で、「失業者」ではないのに、「(16歳以上の)労働可能な人口」の中に入れていたため、失業率が膨れ上がった。
背景には当該コラムの図表1に示した、信じられないほどの大学進学者の急増がある。
そこで、国際的に見て、失業者を計算する時には在校生を入れてないことを考慮して国家統計局は計算方法を見直すために暫時データ発表をやめた(※5)。これを以て日本では、「中国は中国経済の惨状を隠すために統計データを公開するのをやめた」との情報が飛び交い、「中国の統計を信じるな」と少なからぬ「中国問題専門家」やメディアがはしゃいだものだ。
実際は2022年、中国における16-24歳の都市人口9600万人強のうち、在校生は6500万人強で、この在校生のうち「現在職場で働いていない者、調査時期の3ヵ月前以内に就職先を探そうとしたことがある者、もし就職先を紹介したら2週間以内に(大学を捨てて=退学して)就職する者」を「失業者」扱いするという計算が成されていたのである。そもそもまだ卒業していないのだから職場で働いているはずがないが、それを失業者扱いすること自体、ナンセンスだ。
◆国際基準に合わせて改善した国家統計局の失業率計算法とデータ
そのようなことから、2024年1月17日に再開した国家統計局の失業率計算(※6)では、「在校生は含まない」ことになった。その結果、国家統計局が今年1月17日に発表した年間失業率(※7)では、
●16-24歳:14.9%
●25-29歳: 6.1%
●30-59歳: 3.9%
となっている。
このようにして計算方法を国際水準に合わせた結果の2023年の年間失業率平均が冒頭にある「5.2%」というデータである。若年層に関しては在校生を除外しても14.9%なので、相変わらず高いと言わねばなるまい。
◆専業主婦まで失業者に入れたデータに飛びつく一部の日本人
冒頭に書いた「16~24歳の失業率が46.5%」という情報に関しては、昨年7月17日北京大学の張丹丹准教授が個人の見解として発表した文章(※8)によるもので、彼女の場合は「在校生」だけでなく、「躺平(寝そべり族)」や「啃老族(親が富裕なので働くつもりがない「脛(すね)かじり族」)」、さらには「外で働く意思を持っていない専業主婦」まで「失業者」の中に入れているので、論外だと言わねばなるまい。目立とうとして一種の「遊び」を試みたのか、動機は分からないが、戯言(ざれごと)に近い「私見」に飛びついて「これこそが中国の真相」とはしゃぐ「一部の日本人」の判断力の無さには唖然とするばかりだ。
さて、3月5日に、本稿で述べた国家統計局が出した新しいデータも踏まえながら発表されるであろう李強国務院総理の政府活動報告がどのようなものになるのか、待ちたい。
この論考はYahoo(※9)から転載しました。
写真: ロイター/アフロ
<CS>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
このニュースを見た人は以下のニュースも見ています
このニュースを見た人は
以下のニュースも見ています
GRICI
NHK元中国人スタッフ自身が「何を考えていたか」を発信 「次の反乱」に無防備な日本【中国問題グローバル研究所】
*10:28JST NHK元中国人スタッフ自身が「何を考えていたか」を発信 「次の反乱」に無防備な日本【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。5月31日に靖国神社に落書きをした犯人は、「靖国神社を侮辱する動画を流せば人気が出て、再生数が多くなり金儲けができる」というのが動機だった。8月19日未明に同じ場所に落書きした模倣犯は「仲間に,カッコいいだろ!」と自慢したかったからだ。日本を最大限の形で侮辱したのは「英雄的行為だ」という認識を持っている。8月19日午後に、その模倣犯の犯行に関するニュースを報道していたNHKの中国人外部スタッフが原稿にない文言「釣魚島(尖閣諸島)は中国の領土」や「南京大虐殺を忘れるな」などと報道したあと中国に帰国し、中国のSNSの一つウェイボーで自分の思いを数多く発信している。そこには強烈な「反日感情」が滲み出ている。中国で「胡越」という名で特定され絶賛されている彼は、NHKで22年間も働いていた。それでもなお、帰国後の発信から見える「反日感情」は、日本にいる、第二、第三・・・の「胡越」、いや無限に潜んでいるかもしれない「次の胡越」の出現を示唆し、無防備な日本に背筋が寒くなる。◆帰国後のNHK中国人元スタッフの発信が示す「第二の胡越」の出現中国で明らかにされているNHKの中国人元外部スタッフの名前は「胡越」だ。8月31日のコラム<5月の靖国神社落書き犯は2015年から監獄にいた犯罪者 PartII―このままでは日本は犯罪者天国に>(※2)に書いたように、「胡越」は8月26日にウェイボーで「ゼロに戻った、帰ってきた」、「22年間、22秒間」、「全ては22秒間に濃縮した」と発信している。彼のウェイボーにおけるアカウントは「ジュゴtreetalk」(ジュゴは樹語の簡体字で、「雲南から発布」とあるので、帰国した先は雲南のようだ。8月29日になると「胡越」は「ジュゴtreetalk」で(※3)、「多くの網友(ネットにおける友人=応援してくれるネット民)に感謝する。心が温まる」と書き、「現在の日本のメディアは歴史の真実を隠蔽している」などと書いている。8月30日午前11時24分に「胡越」は「ジュゴtreetalk」で、(※4)「日本は上から下まで、隠そうとすればするほどボロが出るような喧騒と狂乱の中にあるが、それは想定内のことだ」と、まず書いている。ここで「胡越」が使った中国語は「欲盖弥彰」という4字熟語で、「悪事は隠そうとすればするほど露呈しやすい(隠すより現るるはなし)」という意味だ。この4字熟語を見たときに、2020年7月にヒューストンの中国総領事館が閉鎖された一件を想起させた。このときも中国の外交部は「做賊心虚、欲善弥彰」(※5)(アメリカは悪事の露見をおそれてビクビクしているんだろうが、それを隠そうとすればするほどボロが出る)という言葉を用いてアメリカを非難した(と、中央テレビ局CCTVが報道した)。「胡越」はジャーナリストなので、中国外交部の発言および中共中央宣伝部が管轄するCCTVの報道をしっかり把握していることだろう。だから敢(あ)えて、その中共中央と同じ言葉を使ったものと思う。ということは、同じ思想的立場にある人間がNHKの外部スタッフとして22年間も仕事をしてきたのかと、ふと、そのことに背筋の寒くなる思いがよぎった。「胡越」はさらに「(日本は)すでに歴史の真相に敵対する歴史修正主義という戻れない道を選んだのだから、公義(道義、正義)を主張する個人の声を圧殺するしかない。私が声を発するのでなかったとしても、声を発する他の人が必ず現れるだろう。事実は非常に簡単なことだ」と書いている。これはすなわち、「第二、第三の自分が必ず現れるだろう」ということを示唆したものであり、日本には「第二、第三の胡越」どころか、数えきれないほどの隊列が潜んでいると覚悟した方がいい。8月30日15時35分、「胡越」は「ジュゴtreetalk」で(※6)、以下のように「自分が原稿にない内容の報道をしたことの正当性」を主張している。###報道の操守(そうしゅ)(節操、規範。信念を固く守って心変わりしないこと)や職業倫理に違反するか否かに関しては、以下の点が参考になる:1) 生放送では、台本から脱線することはよくあることだ。番組によっては、脱線の自由度も自ずと違ってくる。台本から脱線することは、直接的にはニュース報道の操守に違反したことを意味するものではない。2)脱線した報道の内容こそがカギだ。契約書に放送内容に関する取り決めがあるだろうか?一般的な契約書には、公序良俗や社会正義などに違反してはならないという報道のガイドラインが引用される。この「22 秒間」をあなたは「違反」だと思うのだろうか?3)(契約者の)甲と乙の間で内容に異議がある場合、それは契約上の紛争であって、報道操守とはいかなる関係もない。原稿にない言葉を発するという原稿脱線は、報道操守と社会正義を守っている(その範囲内だ)という例は、どこにでもあることだ。###以上が「胡越」の意思表明だ。すなわち「胡越」は、あの「報道テロ」のような事件を、「合法的な行為」として正当化しているのである。NHKの稲葉会長は8月22日、「副会長をトップとする検討体制を設けて、可能な限り原因究明を行う」とした上で、今後「損害賠償請求を行い、刑事告訴を検討する」という趣旨のことを言っているが、そのためには「胡越」本人が日本にいなければならない。日中の間には「犯罪人引渡条約」がないからだ。だというのに、追及を可能にする実働的な措置を何も取っていない。本気で原因究明を行ない、刑事訴訟にまで持って行くつもりなら、たとえば、「胡越」が日本を離れられないように、せめて「事件の究明が終わるまで、パスポートを一時預かる」くらいのことはしていいはずだ。しかし、まるで「スムーズにお帰り頂くための準備をしてあげた」かのように何もしなかったので、「胡越」は8月26日には、いかなる妨害も受けることなくスムーズに帰国してウェイボーで発信を始めたわけだ。◆「第二、第三の胡越」が出て来る危険性を秘めている在日中国人の現状日本の国立大学をはじめ大手の私立大学にも、「中国人留学生学友会」というのがあり、会長は必ず日本にある中国大使館に留学生の活動状況を報告しなければならない。つまり中国大使館の管轄下にあるのだ。日本には企業を経営している中国大陸から来た中国人が大勢おり(出入国管理統計から引用したデータ(※7)によると、2023年7月時点で、500万円の出資で2名以上の雇用を有する経営・管理ビザを持っている中国人の人数は15,986人)、日本の年末年始などにはそういった会社の社員なども集まって盛大なパーティを開く。そこには中国大使館の官員がゲストで参加することが多い。つまり中国政府もしくは中国共産党と親しく結びついているのである。また日本の企業で働いている大勢の中国人(主として元留学生)もいるが、ほとんどは非政治的であるものの、心の中では中国共産党を愛し肯定している者も少なくない。大学等で教育職に就いている中国人の中にも、中国共産党を愛し肯定している者が相当数おり、日本のメディアはむしろ迎合的にゲストとして呼んで、知らない間に中共中央統一戦線部のプロパガンダに与(くみ)しているテレビ局などさえあるくらいだ。NHKやフジテレビの一部番組などがその典型と言っていいだろう。念のため、日本の出入国在留管理庁<令和5年(2023年)末現在における在留外国人数について>(※8)によると、2023年末の「在日中国人総数は821,838人」となり、「留学在留資格の中国人は134,651人」となっている。これら巨大な母数の中で、いつ「第二、第三の胡越」が出現してもおかしくない。「胡越」のウェイボーに書かれているメッセージのうち「反日感情」に基づく発露は論外として、唯一正しいことを言っているのは、まさにこの「第二、第三の自分が出ても不思議ではない」という趣旨の発言だ。しかし日本には、その警戒心が完全に欠落している。そのことに気が付いている人は何人いるのだろうか?いたとすれば、NHKはこのような失敗をしなかったはずだ。今回の「報道テロ」で責められるべきは「胡越」ではなく、警戒心が欠落しているNHKもしくは日本政府であると結論付けることができる。「胡越」を帰国させてしまったNHKと日本政府の行動は、なによりも「警戒心の欠如」を如実に表していることを見逃してはならない。なお、中国における「反日感情がどのようにして植え付けられたのか」に関しては、次回のコラムで考察することとする。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※9)より転載しました。写真:NHK放送センター(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/5604(※3)https://passport.weibo.com/visitor/visitor?entry=miniblog&a=enter&url=https%3A%2F%2Fweibo.com%2F7942871901%2FOut47dKDd&domain=weibo.com&ua=Mozilla%2F5.0%20%28Windows%20NT%2010.0%3B%20Win64%3B%20x64%29%20AppleWebKit%2F537.36%20%28KHTML%2C%20like%20Gecko%29%20Chrome%2F109.0.0.0%20Safari%2F537.36&_rand=1725326437723&sudaref=(※4)https://weibo.com/7942871901/OuDtopW83(※5)https://m.news.cctv.com/2020/09/25/ARTIzQtqfZRcdvpSC9O4FVhy200925.shtml(※6)https://weibo.com/7942871901/OuF7mt3c6(※7)https://common-s.jp/tousich.html(※8)https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html(※9)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/45ed333947715e15a2834eeaf85fa55a9cda0484
<CS>
2024/09/03 10:28
GRICI
ハリス氏願望とは逆行 米「飛行士が地球に帰還できぬ事態に」、中「月面土壌から水生成法を発見」【中国問題グローバル研究所】
*10:25JST ハリス氏願望とは逆行 米「飛行士が地球に帰還できぬ事態に」、中「月面土壌から水生成法を発見」【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。米民主党党大会においてハリス大統領候補は指名受諾演説で「宇宙とAIで米国が中国に勝つ」という理念を断行するという趣旨の約束をしたが、その足元で米国は宇宙開発において信じられないような失敗を続けている。NASAが新型宇宙船の帰還を断念したという。今年6月6日に有人飛行船スターライナーで国際宇宙ステーションに送り込み、8日間ほどで地球に戻るはずだった宇宙飛行士が宇宙に取り残されたままになっている。その状態が来年2月まで続くという。その一方で、人類で初めて月の裏側に着地することに成功した中国の月探査衛星は、これも人類で初めて月の裏側から土壌を持ち帰ることに成功したのだが、このたび、月の表側から持ち帰った土壌を用いて大量の水を生成することに成功した。◆米国――NASA新型宇宙船帰還断念し、飛行士が地球に帰れぬ事態に今年6月6日に、米航空宇宙大手ボーイング社製の新型宇宙船「スターライナー」が2人の宇宙飛行士を、米主導の国際宇宙ステーション(ISS)に送り込んだ。当初は8日間で2人を乗せて地球に帰還することになっていた(※2)。ところがさまざまなトラブルが生じて、スターライナーの有人飛行による予定期間以内の地球帰還が困難になったことが6月10日頃から何度も報道されるようになっていた。そして今年8月24日、NASA(米航空宇宙局)は遂に「スターライナーの有人での地球帰還を断念した」と発表したのである(※3)。推進装置などに不具合が発生したためで、テストパイロットを務める宇宙飛行士2人は2025年2月にスペースXのクルードラゴンで地球に帰還する。ISS内の物資が足りなく立ったため、ロシアに頼んで補給物資を届けてもらう始末だ。<ロシア補給船「プログレス」、ISSに到着-食料や備品など2.8トンを運ぶ(UchuBiz)>(※4)にも、その辺の事情が書かれている。スターライナーはNASAが2010年に「商業乗員輸送開発1」契約として、ボーイング社にこの宇宙船の基礎設計として1800万ドル(26億円)を払い、2011年の「商業乗員輸送開発2」契約では9300万ドル(134億円)払った。たび重なる開発遅延により2024年8月時点で、超過コストが16億ドル(2300億円)を超える赤字プロジェクトとなっている。それでもISSに宇宙飛行士などを運ぶ役割を担う宇宙船が必要だったのは、ISSに飛行士を運ぶ宇宙船は、ロシアのソユーズしかなかったからだ。ロシアに全面的に頼っているのは危険だと米国は判断したのだろう。だから民間会社のボーイング社に有人飛行船の製造を委託していた(のちにはスペースX社のクルードラゴンにも委託している)。だというのに、ボーイング社のスターライナーは膨大な予算を喰っただけでなく、製造完成は遅々として進まず、ようやく完成してISSに飛行士を運んだと思ったら、今度は「飛行士を乗せて帰還することが困難になった」という、あり得ない事態にあるのが、米国の宇宙開発の実態だ。◆中国は月の裏側に着地しただけでなく、回収した月土壌から水生成にまで成功それに比べて中国は月の裏側着地とその土壌サンプルの回収に成功しただけでなく、持ち帰った月の表側の土壌から大量の水を生成することに成功している。「月の裏側に着地できた」というのは前代未聞のことで、そのこと自体、人類として初めての成功だった。なぜなら、月の自転と公転が一致しているため、地球からは月の片面だけしか見えていなくて、それを「表側」と称すれば、反対側の「裏側」には、地球自身に遮られて、地球からは直接信号を送ることができないからだ。かつて旧ソ連も米国も試みたが、すべて失敗に終わっている。ところが2018年5月、中国は通信を中継するための人工衛星「鵲橋(じゃっきょう)号」を打ち上げ、「ラグランジュ点」にピタリと打ち当てることができた。ラグランジュ点というのは二つの天体があった時の力の相互作用のうち、引力が相殺されて平衡を保つ点のことである。中継通信衛星「鵲橋号」を、まず地球と月を結ぶ直線上で、月の公転軌道の外側にあるラグランジュ点で静止させ、それを反射鏡として使ってして月の裏側の定位置のコントロールを地球上から行うという論理である。同年12月8日、嫦娥(じょうが)4号(月面探査機)を打ち上げ、2019年1月3日に月の裏側に軟着陸した。その後2020年に嫦娥5号を月の表側に軟着陸させて月の表側の土壌をサンプルとして回収。2024年6月には嫦娥6号が月の裏側に軟着陸して「月の裏側の土壌」をサンプルとして地球に持ち帰った。米国の科学者がかつて「鵲橋号」を使わせてくれと依頼してきたので、中国は快く承諾したが、NASAには月の裏側に行くだけの能力がなく、また今年6月の「月の裏側の土壌」に関しては、「人類共有のものなので、米国にも供与せよ」と中国に「上から目線」で要求した。中国のネットでは「あれだけ中国を潰そうとしているくせに、中国の成果だけは寄こせって言うんだ――!」という不満の声が上がっていたが、そうこうしている内に中国は8月22日に、<嫦娥5号が回収した土壌から、大量の水を生成する方法に成功した>(※5)。嫦娥5号が回収した土壌ということであるなら、「月の表側」の土壌だということになる。しかし、月の表だろうと裏だろうと、月面基地を建築しようとしている中国にとって、これは大きな発見だし、人類にとっても初めての発見なので、宇宙開発の新たな一歩を踏み出したと言えよう。◆「引退する米国主導のISS」と「稼働し始めた中国の宇宙ステーション」アメリカが主導するISS(国際宇宙ステーション)の寿命は、本来2024年までとされていた。しかしトランプ政権のときにそれを2030年まで延長させたが、このたびNASAは2031年1月にはISSを制御して落下させることを決定した(※6)。中国は早くから、何としても中国もISSに参加させてくれと米国に懇願してきたが、米国はそれをかたくなに拒み続けた。そこで中国は、中国独自の宇宙ステーションを建設しようと決意し、遂に2022年10月に中国独自の宇宙ステーション「天宮」の稼働に入ったのである。2022年11月1日のコラム<決戦場は宇宙に移った 中国宇宙ステーション正式稼働>(※7)にも書いたが、中国宇宙ステーションには「ロシア、インド、ドイツ、ポーランド、ベルギー、イタリア、フランス、オランダ・・・」など数多くの国がすでに国際協力プロジェクトを立ち上げている。また同年5月にはBRICS諸国が「BRICS宇宙協力連合委員会」を発足させた。◆ハリス演説とは逆行している宇宙の現実8月25日のコラム<ハリス指名受諾演説、対中政策なく理念だけ トランプ氏猛口撃>(※8)に書いたように、米民主党党大会においてハリス大統領候補は指名受諾演説で「宇宙とAIで米国が世界を未来に導き、米国が中国に勝つ」という趣旨のことを誓っている。ハリス副大統領は現在、米政府の宇宙政策を統括する「国家宇宙会議」の議長を務めている。トランプ政権のときは当時のペンス副大統領が議長だった。このたびNASAが、スターライナーの有人飛行による地球帰還を断念したことは、ハリス氏にとっては大きな痛手で、大統領選挙にもマイナスの影響を与えるし、共和党の大統領候補であるトランプ氏にとっては、格好の攻撃材料となるだろう。そもそもハリス氏は「国家宇宙会議」の議長でもあるのだから、スターライナーの大失態を知らないはずがないし(知っていなければならないし)、知っているとすれば、指名受諾演説で、アメリカが中国を打ち負かす分野として「宇宙」などを持ってこなければ良かったのにと思う。半導体を例に挙げるならまだしも、自分自身が議長をしている「国家宇宙会議」管轄下のNASAの大失敗を掌握していなかったという可能性もあり、好ましいことではない。前述したように、スターライナーの肩代わりをするのはイーロン・マスク氏がCEOを務めるスペースXだ。2031年のISS落下に関しても、落下処理を行なう宇宙船の製造委託先にスペースXが選ばれている。そのイーロン・マスク氏をトランプ氏は味方につけて、11月の大統領選で当選したら、起用すると表明している。8月22日のコラム<トランプ氏「当選すればマスク氏起用の可能性」と言うが、マスク氏は習近平と仲良し 対中政策はどうなる?>(※9)に書いたが、そのイーロン・マスク氏は親中であるだけでなく、習近平とは仲良しだ。なまじハリス氏が指名受諾演説で「宇宙において勝つのは中国ではなくアメリカだ」という趣旨のことを「理念的に(願望的に?)」言ったために、宇宙空間における実態が浮き彫りになってしまった。彼女の演説は明るくエネルギッシュで、心に訴えることには成功したように見えるが、論理を詰めていくと痛手になるのかもしれない。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※10)より転載しました。写真: 不具合を続けるボーイング社スターライナー(提供:Bill Ingalls/NASA/ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.space.com/boeing-starliner-first-astronaut-mission-end-june-18(※3)https://www.nasa.gov/news-release/nasa-decides-to-bring-starliner-spacecraft-back-to-earth-without-crew/(※4)https://news.yahoo.co.jp/articles/85a004943bccb83c4e63b1515d2b65ad2c0862bd(※5)https://news.cctv.com/2024/08/22/ARTIDfu2QC7JgZB43Vd1acwz240822.shtml(※6)https://www.nasa.gov/wp-content/uploads/2015/01/2022_iss_transition_report-final_tagged.pdf?emrc=4c4497(※7)https://grici.or.jp/3746(※8)https://grici.or.jp/5580(※9)https://grici.or.jp/5567(※10)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5b5c89cd4becc25887fadae935709e5d761eba88
<CS>
2024/08/27 10:25
GRICI
トランプ氏、取材で台湾有事への回答を回避し「台湾は米国に防衛費を支払うべき」と主張【中国問題グローバル研究所】
*15:59JST トランプ氏、取材で台湾有事への回答を回避し「台湾は米国に防衛費を支払うべき」と主張【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。7月16日発売の雑誌「Bloomberg Business Week」(※2)は、トランプ氏を独占取材した記事を掲載。取材でトランプ氏は「中国大陸に対抗する台湾を防衛するか?」という問いには答えず、「台湾は米国から半導体を100%奪っていった」とかわし、「台湾はわれわれに防衛費用を支払うべきだ」と主張した。中国はこのトランプ発言を「みかじめ料を要求された島(台湾)は大騒動」という見出しで、主として台湾の情況を中心に報道している。◆ブルームバーグの独占取材記事まず、7月16日発売の雑誌「Bloomberg Business Week」が、どのような記事を掲載したのか、台湾防衛関係の部分だけを抜き出してご紹介したい。●トランプ氏の外交政策に対する取引的な見方と、あらゆるディール(取引)を「勝ち取る」という願望は、世界中に影響を及ぼす可能性があり、米国との同盟関係を断絶させることさえある。●「アジアの民主主義(台湾)を分離独立の地域とみなす中国から台湾を守るという米国の取り組み」について尋ねられたトランプ氏は、「台湾に対する最近の(米国内)超党派の支持にもかかわらず、中国の攻撃に立ち向かうことについては、せいぜいよく言って、生ぬるい」と表明した。(筆者注:米国は台湾を守るか否かに関しては回答を回避した。)●彼(トランプ氏)の懐疑的な姿勢の一部は、経済的な憤りに根ざしている。「台湾はわれわれから半導体事業を奪った」と彼は言う。「つまり、われわれはどれだけ愚かなのか? 彼らはわれわれの半導体事業をすべて奪った。彼らは途方もない巨額の富を手にしたのだ」と彼は続けた。彼が台湾に望んでいるのは、米国に防衛費(保護料)を支払うことだ。「われわれは保険契約と何ら変わらないと思うんだよ。なぜだ? なぜ、われわれはこんなことをしているんだい?」と彼は尋ねた。(筆者注:最後の「こんなこと」は英語では「this」だけだし、一瞬の会話の中で出てきた言葉なので、受け取る側が解釈するしかないが、「保険契約なら契約料を毎月支払うはずだが、それを受け取ってないのに、なぜ台湾を守らなければならいんだ?」という意味を示唆していると考えられる。)●彼(トランプ氏)が懐疑的になるもう一つの要因は、地球の反対側にある小さな島を守ることの実際的な難しさだ。「台湾は9,500マイルも離れているんだよ。それに比べて、中国からは68マイルしか離れていない」と彼は言う。台湾への関与を放棄することは、米国の外交政策の劇的な転換をもたらすだろう。それはウクライナへの支援を停止するのと同じくらい重大なことだ。しかし、どうやらトランプは、これらの関係を根本的に変える代替案の準備ができているようにも見える。(筆者注:この最後の文章は、おそらく「守ってほしければ金を払え」という言葉を指しているものと推測される。)ブルームバーグの独占取材記事の台湾に関する部分は概ね以上だが、別途、台湾問題に焦点を絞った討論番組<Watch Trump Suggests Taiwan Should Pay US for Protection - Bloomberg(トランプが「台湾は防衛費を支払うべきだ」と言ったことをウォッチしよう)>(※3)も報道されている。冒頭に掲げたタイトル画像は、この番組からのスクリーンショットである。トランプ氏の主張には、一貫した外交観が滲み出ている。すなわち、NATOに関してもトランプ氏は「その国の軍事費負担が不十分ならば米国はその国を守らず、ロシアに『好きにするよう促す』」(※4)とさえ言っている 。トランプ政権時代には日本や韓国に対しても、駐留米軍に対する経費をもっと支払わないと米軍を撤退させるようなことをほのめかしたことがある。台湾に対しても、「米軍に守ってもらおうと思うなら、米国に保護料を支払え」というわけだ。この姿勢であるなら、中国は喜ぶだろう。◆中国での報道7月18日の中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」は<みかじめ料をトランプに要求され、島内(台湾)は大騒動>(※5)という見出しの、かなり長い記事を発表した。ほとんどは、ブルームバーグの独占取材記事の解説と、台湾がどのように報じたかに関する内容が多いが、いくつかの要点をピックアップしてお示しする。台湾報道に関しては当然、中国大陸にとって都合のいいものを拾い上げているとは思うが、台湾で報道されていること自体は事実だし、中国がどのように受け止めているかも見えてくるので、考察する価値はあるだろう。●台湾の世論は、民進党当局の徹底した「親米・反中」政策が今後の台湾にとって厳しい課題となると一般に考えている。●トランプ氏は「米国に保護してほしいのなら、台湾はみかじめ料を支払うべきだ」とストレートに言った。トランプ氏の「台湾防衛」に対する態度が冷淡であることのもう一つの理由は、何千マイルも離れた小さな島を守るのは非常に難しいと考えていることだ。●トランプ氏は、今年4月の、タイム誌とのインタビューでも同様の見解を表明した。彼は、米国に依存する欧州とアジアの同盟国が米国に資金を支払うことを望んでいる。●タイム誌は「中国が台湾を攻撃した場合、米国は台湾を守るべきか」と質問し、トランプ氏は「この質問は何度も受けているが、(私の切り札が明らかになるので)答えたくない」と明言を避けた。●台湾にみかじめ料の支払いを求めるトランプ氏の発言に対し、民進党「立法院」議員団の呉思耀幹事長は17日、米国は「台湾の防衛に協力している」と述べ、台湾の卓栄泰行政院長は、「台湾は台湾海峡とインド太平洋地域にわたる共通の責任に対して、より多くの費用を支払う用意がある」と述べた。これに対して台湾の多くのネット民は不満を表明し、台湾のソーシャルプラットフォームPTTでは「お前が払えよ。私に払わせるな。みんなを水の中に引きずり込むな」と民進党当局を罵倒した。また、少なからぬ人が「我々が望んでいるの海峡の平和共存だ」、「みかじめ料は『台湾独立』を叫んでいる人から徴収せよ!」と呼びかけた。●国民党の立法委員である王鴻薇氏は、「台湾の米軍からの兵器購入額が最高値を更新し続けている今、米国の武器売却やみかじめ料に対処するために、将来さらに多くの資金を提供する必要があるのだろうか?」問うた。●元台湾空軍副司令官の張延廷氏は、「保護費は天文学的な金額になる」と述べ、「台湾は全体的な環境を理解しなければならず、米国の操り人形になってはならない」と語った。●元立法委員の蔡正元氏は17日、台湾の一部の愚か者は台湾と米国は「価値ある同盟」だとよく言っているが、「台湾は米国の単なる属国に過ぎない」とした上で、「台湾と米国の間には友好関係はない。すべては金銭的な関係にすぎない」と述べた。●米国在住の学者、翁履中氏は、「台湾がトランプを満足させるために、もっとみかじめ料を支払っても構わないが、いくら払っても彼を満足させることはできないのではないか」と心配している●国民党の立法委員である馬文君氏は、「唯一確かなことは、トランプは台湾の安全保障上の利益を考慮するのではなく、米国の利益を最優先しているということだけだが、民進党はそれを明確に理解することができない」とした上で、「鍵となるのは両岸関係だ。両岸関係がうまく処理されれば、台湾は他国に支配される必要はない」と述べた。●台湾国立政治大学国際関係センターの研究者厳振生氏は、「台湾海峡の問題解決を米国に依存することは、台湾にとって多大な損失をもたらし、効果的ではない」と述べた。●台湾聯合新聞網は17日、「最近の典型的なケースは、台湾は古い第4世代戦闘機F-16Vを購入したが、これは他国が第5世代ステルス戦闘機F-35を購入するよりも高価だったということである」と報道している。また「トランプ氏もバンス氏も現実主義者であり、(中国)大陸の軍事発展により、米国は台湾への派兵は極めて採算の合わない取引であり、米国の国益に合致しないとの認識を強めている」と書いている。(以上、「環球網」より)台湾では国民党の趙少康氏は18日に「頼清徳は今のところ押し黙っているが、このまま米国に跪(ひざまず)き続けるのだろうか?」と投稿し(※6)、民衆党の柯文哲主席は「保護費だって?それって、米国が台湾に支払うのか、それとも台湾が米国に支払うのか、どっちなんだい?だって、台湾が米国のために第一列島線を守ってあげてるんだから、米国が台湾に支払うべきなのでは?」(※7)という趣旨のことを書いている。なお、トランプ氏の台湾防衛に関する回答と発言は昨年から何度もくり返されているが、これまでの発言に関しては拙著『嗤う習近平の白い牙』の【第一章 TikTokと米大統領選と台湾有事】の【二 もしトランプが大統領に当選したら台湾有事はどうなるか?】で詳細に考察した。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※8)より転載しました。写真: ブルームバーグTV番組からのスクリーンショットに筆者が和訳加筆(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.bloomberg.com/features/2024-trump-interview/(※3)https://www.bloomberg.com/news/videos/2024-07-16/trump-suggests-taiwan-should-pay-us-for-protection-video(※4)https://www.bbc.com/japanese/articles/cevrjpgn418o(※5)https://taiwan.huanqiu.com/article/4IeY497cZfM(※6)https://tw.news.yahoo.com/%E5%B7%9D%E6%99%AE%E5%97%86-%E4%BA%A4%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%B2%BB-%E6%90%B6%E6%99%B6%E7%89%87%E7%94%9F%E6%84%8F-%E8%B6%99%E5%B0%91%E5%BA%B7-%E5%8F%B0%E7%81%A3%E8%A2%AB%E7%95%B6%E8%82%A5%E7%BE%8A-073741087.html?guccounter=1(※7)https://tw.news.yahoo.com/%E5%B7%9D%E6%99%AE%E8%A6%81%E5%8F%B0%E7%81%A3-%E4%BA%A4%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%B2%BB-%E8%B3%B4%E6%B8%85%E5%BE%B7%E6%B2%89%E9%BB%98%E4%BB%A5%E5%B0%8D-%E6%9F%AF%E6%96%87%E5%93%B2%E9%9C%B8%E6%B0%A3%E5%8F%8D%E5%97%86-%E5%B9%AB%E4%BB%96%E6%93%8B%E9%82%84%E8%A6%81%E4%BB%98%E9%8C%A2-065547831.html(※8)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ef4b86f8b564211b82b54d1f5d2e9a97b14de7e7
<CS>
2024/07/19 15:59
GRICI
NATOワシントン宣言「中国が侵略の決定的支援者」は日本を戦争に巻き込むシナリオ(2)【中国問題グローバル研究所】
*16:14JST NATOワシントン宣言「中国が侵略の決定的支援者」は日本を戦争に巻き込むシナリオ(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「NATOワシントン宣言「中国が侵略の決定的支援者」は日本を戦争に巻き込むシナリオ(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。◆ハンガリー外務大臣「NATOが反中ブロックになることに賛同しない」7月12日、ロイター社は<ハンガリーはNATOが「反中」ブロックになることを支持しない、と大臣は言う>(※2)という見出しでNATOワシントン宣言に反対するハンガリーの意見を報道した。それによればハンガリーのシーヤールトー(シャルト)・ペーテル外務大臣は「ハンガリーはNATOが反中ブロックになることを望んでおらず、そうすることを支持しない」と述べたとのこと。彼はまた「ウクライナが軍事同盟に加盟すれば、NATOグループの結束が弱まるだろう」とも述べている。さらに「NATOは防衛同盟だ…反中ブロックに組織化することはできない」と、ハンガリー国営テレビの質問に対し答えたという。7月10日のコラム<嗤(わら)う習近平――ハンガリー首相訪中が象徴する、したたかな中露陣営と弱体化するG7>(※3)に書いたように、ハンガリーは欧州議会の新たな右派会派「欧州の愛国者」をフランスのマリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党「国民連合」を迎えて誕生させている。ルペン氏は<バイデン政権は中国に対してあまりに攻撃的過ぎて、アメリカは自国の同盟国がアメリカの統治下で団結できるようにするために敵を作りたいだけだ。アメリカが欧州を中国の敵に誘導している>(※4)と述べている。欧州が一枚岩でないということは、NATOも一枚岩ではないことになる。◆NATOワシントン宣言は「日本を戦争に誘い込む」シナリオ特に冒頭に書いたNATOワシントン宣言を詳細に読むと、これはNATOの思いというより、バイデン大統領の米大統領選に対する意図が全面的に出ており、トランプ前大統領との討論会の失態を挽回するために書かれたもののように映る。NATO諸国には「もしトランプが大統領に選ばれたらNATOは消滅する」と脅迫し、米大統領選でバイデンに有利になるために作成された宣言であるという印象を深くした。あと4ヵ月後に、もしトランプが大統領に当選したらウクライナ支援をやめて、アメリカの代理戦争であるウクライナ戦争をすぐさま停戦に持って行くと、トランプは豪語している。NATOがもっと多くの拠出金を分担しなければ、ロシアの好き勝手にさせてNATOを守ることをしないとまでトランプは言っているのだ。事実、トランプ政権時代には戦争は起きなかった。それどころかトランプはまるで「禁じられた恋」のように秘かにプーチンを慕い、北朝鮮の金正恩とも会って和平に向けて動こうとした。しかしバイデン政権になった瞬間からウクライナ戦争、イスラエル戦争と、世界に戦争をばらまく戦争屋ネオコンの本領が再び発揮され始めた。もし、それを信じない方がおられたら、ぜひとも拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』の【図表6-2 朝鮮戦争以降にアメリカが起こした戦争】(p.234~p.235)および【図表6-8 「第二のCAI」NEDの活動一覧表】(p.253~p.255)をご覧いただきたい。アメリカは、トランプ政権時代を除いて、第二次世界大戦が終わったあとから、ただひたすら全世界で戦争を巻き起こしてきたのだ。そのためにはルペン氏が言っているように「アメリカは敵を必要としている」。旧ソ連を崩壊させるに当たって、アメリカは「NATOを1インチたりとも東方に拡大させない」と約束しておきながら、ゴルバチョフがそれを信じてワルシャワ機構を解体させソ連が崩壊するのを見届けると、その瞬間から東方拡大を始めたではないか。それでも飽きずに、「戦争の種」を求めて、今度は台湾有事を創り出して、親米的でない国家「中国」を潰そうとしている。その大きな枠組みの中で人類が動かされていることに、日本人は気づこうとしないし、気づきたくないようだ。そして気づいた時には、日本人はアメリカの駒として戦場に送られていることになる。その視点でNATOワシントン宣言を見ると、NATOワシントン宣言は結局のところアメリカの世界一極支配を維持するために「日本を戦争に誘い込むシナリオ」であることが浮かび上がってくる。日本国民の命を守るために、その視点を一人でも多くの日本人と共有したいと切に望む。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※5)より転載しました。NATOワシントン首脳会議で会見するバイデン大統領 写真: ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.reuters.com/world/europe/hungary-will-not-support-nato-becoming-anti-china-bloc-minister-says-2024-07-11/(※3)https://grici.or.jp/5437(※4)https://www.nytimes.com/2022/04/13/world/europe/le-pen-nato-russia-germany.html(※5)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6c7ff82141848f044f808a47da2869a323564cef
<CS>
2024/07/12 16:14
GRICI
NATOワシントン宣言「中国が侵略の決定的支援者」は日本を戦争に巻き込むシナリオ(1)【中国問題グローバル研究所】
*16:12JST NATOワシントン宣言「中国が侵略の決定的支援者」は日本を戦争に巻き込むシナリオ(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。ワシントンで開かれていたNATOサミットがアメリカ時間7月10日に宣言を出し、その中で中国に関して、ロシアの侵攻に対する「決定的な支援者だ」と批判した。インド太平洋地域は米欧の安全保障に影響するとし、日本や韓国との協力強化も盛り込んだ。これに対して中国は激しく抗議している。両者の言い分を考察すると、日本人がやがてアメリカの駒として戦場で戦わされるシナリオが見えてくる。◆NATOワシントン宣言の対中批難部分アメリカ時間7月10日、NATOサミットは<Washington Summit Declaration(ワシントン・サミット宣言)>(※2)というタイトルの宣言を発表した。その4項目目に「戦略的競争、蔓延する不安定性、そしてくり返されるショックが、われわれのより広範な安全保障環境を特徴づけている」とした上で、中国に対する警告が盛り込まれている。また26項目および27項目にも対中批難が書かれているので、それらの概要をまとめて以下に記す。●野心と威圧的な政策を表明してきた中華人民共和国(以下、中国)は、われわれの利益、安全保障と価値観に引き続き挑戦している。●ロシアと中国の戦略的パートナーシップの深化と、ルールに基づく国際秩序を無効化させ再構築しようとする試みは、深刻な懸念の原因となっている。われわれは、ハイブリッド、サイバー、宇宙、その他の脅威と悪意のある活動にも直面している。●中国は、いわゆる「無制限」のパートナーシップとロシアの防衛産業基盤への大規模な支援を通じて、ロシアのウクライナに対する戦争を決定的に可能にしている。これにより、ロシアが近隣諸国と欧州大西洋の安全保障に及ぼす脅威が増大している。われわれは中国に対し、ロシアの戦争活動に対するすべての物質的および政治的支援を停止するよう求める。●中国は、自国の利益と評判に悪影響を及ぼさずに、ヨーロッパにおける近年最大の戦争を可能にすることはできない。●中国は、欧州大西洋の安全保障に体系的な挑戦を取り続けている。われわれは、中国に起因する偽情報を含む悪意のあるサイバー活動とハイブリッド活動が継続しているのを目にしている。われわれは中国に対し、サイバー空間で責任ある行動をとるという約束を守るよう求める。●われわれは中国の宇宙能力と活動の発展を懸念している。われわれは中国に対し、責任ある宇宙行動を促進するための国際的な取り組みを支持するよう求める。●中国は核弾頭の増加と高度な運搬手段の増加により、核兵器の急速な拡大と多様化を続けている。われわれは中国に対し、戦略的リスク削減の議論に参加し、透明性を通じて安定を促進するよう求める。(概ね以上)◆中国の反論これに対して駐EUの中国使節団の報道官は、7月11日の記者会見で以下のように反論した(※3)。●NATOサミットの宣言は、冷戦のメンタリティと好戦的なレトリックに満ちており、中国関連の内容は、挑発、嘘、扇動、中傷に満ちている。●周知の通り、中国はウクライナ危機の生みの親でもなければ当事者でもない。ウクライナ問題に関する中国の核心的立場は、和平交渉と政治的解決を促進することであり、これは国際社会から広く認識され、高く評価されている。●中国は紛争当事者に殺傷力のある武器を提供したことはなく、民生用ドローンの輸出を含む軍民両用物品を常に厳しく管理してきた。中国とロシアの間の正常な貿易は第三者に向けられたものではなく、外部からの干渉や強制の対象であってはならない。●ウクライナ危機は今のところ長引いているが、誰が火に油を注いでいるのか、誰がこの機会を利用して個人的な利益を求めているのか。国際社会は、このことをはっきりと認識している。われわれはNATOに対し、国際社会の正当な声に注意深く耳を傾け、自らが行っていることを深く反省し、責任を転嫁したり他国を非難したりするのではなく、事態の悪化を緩和し、問題を解決するための具体的な行動をとるよう求める。●アジア太平洋地域は平和的発展の高地であり、地政学的な駆け引きの競技場ではない。NATOは再三再四にわたって「ユーラシア安全保障のつながり」誇大宣伝しているが、その意図は何処(いずこ)にあるや?●われわれはNATOに対し、北大西洋における地域防衛機関としての地位を堅持し、アジア太平洋地域の平和と安定を台無しにしたり、特定の大国の覇権の道具にならないよう要請する。●中国は世界平和の建設者であり、世界の発展に貢献し、国際秩序の擁護者である。われわれはNATOに対し、中国に対する誤った認識を直ちに正し、冷戦のメンタリティとゼロサムゲームを放棄し、いわゆる中国の脅威を声高に叫ぶのをやめ、対立と対抗を扇動するのをやめ、世界の平和と安定のためにより実践的なことを行うことを要求する。(以上)一方、中国の外交部はやはり7月11日の記者会見で(※4)以下のように抗議している。●NATOの「ワシントン首脳宣言」は、アジア太平洋地域の緊張を誇張し、冷戦思考と好戦的な発言に満ちており、中国関連の内容には偏見・中傷・挑発に満ちており、われわれは強烈な不満を抱いており、断固として反対する。●今回のNATOサミットにはNATO創設75周年という背景がある。存続の必要性を示すために、米国とNATOは会合前にNATOの「栄光」と「団結」を誇示し、NATOを「平和維持組織」であるかのように見せかけているが、実は「冷戦の遺物」であることを覆い隠すことはできない。●NATO軍は「人道的災害の回避」を旗印にしながら、かつてユーゴスラビアに対して78日間にわたる爆撃を実施した。NATOの黒い手が伸びるところはどこでも、混乱が現れる。NATOのいわゆる安全保障は、他国の安全保障を犠牲にして成り立っている。NATOが売り込む「安全保障上の不安」の多くは、NATO自身が引き起こしている。NATOが誇るいわゆる「成功」や「力」は世界にとって大きな危険を意味する。「仮想敵国」を設定することで存在を維持し、国境を越えて勢力を拡大するのはNATOの常套手段であり、中国に対する「体制的挑戦」の誤った位置付けに固執し、中国の内政・外交政策の信頼を損なうことはまさにそれを体現している。●ウクライナ問題に関して、NATOが「中国の責任」論を主張するのは荒唐無稽であり、邪悪な意図がある。NATOはいかなる証拠もなく、米国が捏造した虚偽の情報を拡散し続け、公然と中国を中傷し、中国とEUの関係を破壊し中欧協力を潰したいのだ。ウクライナ危機を今日まで延期させ、火に油を注いでいるのが誰であるか、国際社会は知っている。NATOは、危機の根本原因と自らの行動を熟考し、国際社会の公正な声に注意深く耳を傾け、責任を転嫁したり他国を非難するのではなく、状況を緩和するために実際的な行動を取るよう勧告する。●NATOはその範囲をアジア太平洋にまで拡大し、中国の近隣諸国や米国の同盟国との軍事・安全保障上の関係を強化し、「インド太平洋戦略」の実施において米国に協力してきたが、その行為は中国の利益を損ない、アジア太平洋地域の平和と安定を破壊し、すでに地域諸国の疑念と反対を引き起こしている。●中国はNATOに対し、冷戦思考・陣営対立・ゼロサムゲームという時代遅れの概念を放棄し、中国に対する誤った理解を正し、中国の内政干渉をやめ、中国のイメージを汚し、中国とEUの関係に干渉しないよう求める。ヨーロッパを混乱させた後、アジア太平洋を混乱させるのをやめよ。●中国は自国の主権・安全保障・発展利益を断固として守り、自国の発展と対外協力を通して、世界の平和と安定にさらなる安定と前向きなエネルギーを注ぎたい。(以上)外交部のこの回答は7月11日の新華網(※5)が掲載し、中央テレビ局CCTV(※6)も同じ内容で報道した。したがって、外交部の記者会見での回答が中国政府の正式見解であると解釈していいだろう。「(NATOワシントン宣言「中国が侵略の決定的支援者」は日本を戦争に巻き込むシナリオ2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※7)より転載しました。NATOワシントン首脳会議で会見するバイデン大統領 写真: ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.nato.int/cps/en/natohq/official_texts_227678.htm(※3)http://eu.china-mission.gov.cn/stxw/202407/t20240711_11451831.htm(※4)https://www.fmprc.gov.cn/fyrbt_673021/202407/t20240711_11452358.shtml(※5)http://www.news.cn/world/20240711/9707b00c867b4840bef0f9f4da2e6ac8/c.html(※6)https://tv.cctv.com/2024/07/11/VIDENC0MeGRaeb3gQsqlcFeW240711.shtml(※7)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6c7ff82141848f044f808a47da2869a323564cef
<CS>
2024/07/12 16:12
GRICI
プーチン訪朝で国境の豆満江開放 中国海警局の船も日本海に!【中国問題グローバル研究所】
*10:38JST プーチン訪朝で国境の豆満江開放 中国海警局の船も日本海に!【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。6月19日、北朝鮮を訪問していたプーチン大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長との間で「包括的戦略パートナーシップ」が締結された。軍事同盟に近い「互いの国が第三国から攻撃された場合には互いに支援する」という項目が盛り込まれたようだが、同時に合意文書には「豆満江(とまんこう)に架かる国境道路橋の建設に関するロシア連邦政府と朝鮮民主主義人民共和国政府間の合意」も謳われている。豆満江は「中露朝」三ヵ国の国境に接する河で、日本海に注ぐ国際河川だ。中国にとっては、旧ソ連以来塞(ふさ)がれていた豆満江の航行が自由化されることになる。それは立ち遅れていた「東北大振興政策」を大きく飛躍させ中国にとっては大きな収穫だが、日本にとっては厳しいダメージをもたらすだろう。なぜなら貨物を運ぶコンテナ船だけでなく、中国海警局の大型船舶も北の豆満江から日本海に直行できるようになるからだ。これらはアメリカによる「中露朝」に対する制裁や包囲網がもたらした結果でもあることを見逃してはならない。◆中露間に横たわっていた豆満江航行閉鎖問題中国の東北部吉林省の東端(地図で見て右端)は、「中国・ロシア・北朝鮮」三ヵ国の国境が接する地区につながっている。そこには豆満江(中国語では図們江)という河が流れており、朝鮮戦争のときに旧ソ連と北朝鮮をつなぐ「ソ朝友誼大橋」が架けられた。1952年のことで、最初は武器やその他の支援物資をソ連から北朝鮮に運ぶための簡易な木製の大橋だったが、1959年に金属製に強化された。問題は橋の高さだ。水面からわずか7メートルほどしかないので、中国領土の吉林省の琿春(こんしゅん)市防川村までしか中国の大型船は航行できず、中国東北部は本来なら豆満江を下れば日本海に出られたのに、それが出来なかった。中国はこれまで何度も何度もロシアに対して大橋を解体して中国の大型船舶が通れるように改善して欲しいと頼んできたのだが、ロシアは、プーチン時代に入ってからも首を縦に振らなかった。それが突如変わったのは、ウクライナ戦争で西側からの厳しい制裁を受ける中、習近平が経済面に関しては徹底してプーチンを支援してきたからだと断言していいだろう。それ以外に思い当たる理由はない。◆中国20年来の「東北大振興政策」がウクライナ戦争により実現中国建国当時、東北部は「旧満州国」が遺した重工業施設が豊富だったので、第一次五ヵ年計画は東北部の重工業を中心として経済建設が推進され、改革開放までは中国経済の花形として、その骨格を成していた。しかし1980年代から自由経済の波が中国全土を覆うにつれ、国営企業を中心とした重工業地帯・東北部は経済発展から取り残され、荒廃の一途をたどっていったので、胡錦涛政権時代に入った2003年に「東北大振興政策」が打ち出された。あれから20年。遅々として進まなかった東北大振興に新しい光をともしたのはロシアのプーチンだ。ウクライナ戦争により西側からの制裁が激しいため、活路を東側に見いだし、中国語で「看東方」と呼ばれる東方重視策に着手した。拙著『嗤(わら)う習近平の白い牙』の【第五章 ウクライナ戦争と「嗤う習近平」】の【三 中国20年来の「東北大振興政策」が初めて実現できた】で書いたように、2023年9月7日に、習近平が黒竜江省ハルビン市で「新時代の東北全面振興を推進する」という座談会を開いた。すると、それに呼応するように数日後の9月11日から13日にかけてウラジオストクで開催した「東方経済フォーラム」で、プーチンは「ロシアは遠東重点戦略に着手する」と宣言。今年5月16日から17日にかけて、プーチンは国賓として訪中し習近平と会談して共同声明を発表した。その中で、「(中露)両国は図們江(豆満江)下流域を航行する中国船舶の問題について朝鮮民主主義人民共和国と建設的な対話を行う」と謳っている。今般のプーチンによる訪朝の目的の一つは、まさにこの「豆満江における中国船舶航行問題」を解決することにある。日本のメディアでは、「露朝の接近に中国ジレンマ」といった傾向の報道が多く、中国が露朝接近を警戒しているのではないかと思っているようだが、実際はまったくその逆だ。◆豆満江を航行できれば、中国海警局の大型船舶も直行で日本海に出航できるこれまで堰(せ)き止められていた豆満江流域の吉林省琿春市防川村から日本海までは、わずか15キロメートルしかない。目の前が日本海だ。ただ露朝間に架けられている友誼大橋の高さは7メートルなので、貿易用のコンテナ船であれ海警局の大型艦艇であれ、せめて水面から30メートルほどの高さがないと安心して通ることはできないだろう。したがって現在の友誼大橋を取り壊して、新しく水上最低30メートルほどはある鉄橋を建設するしかない。建設費用は中国が持つだろうが、ここが「大海」に開放されれば、中国東北部の経済繁栄に大きく寄与するのは確実だ。中国にとって露朝会談は大歓迎なのだが、問題は日本に対する安全保障上のリスクが急激に高まるということである。中国はこれまで北朝鮮を動かそうと思えばできたはずだが、今回習近平は先ずプーチンを説得してから、プーチンに北朝鮮の金正恩を説得させた。それは習近平がウクライナ戦争によりプーチンの足元を見ている証拠なのだが、金正恩は習近平の話よりもプーチンの話の方に、より耳を傾ける傾向にある。北朝鮮の建国の父である金日成(キム・イルソン)はソ連の支援を得て北朝鮮を建国したからだ。一方、中朝は軍事同盟を結んでいるが、露朝は(旧)ソ連崩壊によってそれまでソ朝間で締結されていた軍事同盟は消滅していた。プーチンによる24年ぶりの訪朝は、まさにその軍事同盟に近い同盟関係を露朝間にもたらしたことになる。それも、もとはと言えばバイデン大統領がアメリカによる一極支配を維持したいためにウクライナをそそのかし、NATOを焚きつけてプーチンがウクライナを侵略するしかないところにプーチンを追い込んだことが最も大きな要因と言える(ウクライナを侵略したプーチンは悪いが、戦争中であればウクライナはNATOに加盟できないので、ウクライナをNATO加盟させないために戦争を仕掛けたという側面もあるだろう。アメリカはソ連を崩壊させるときにNATOを1インチたりとも東方に拡大させないと旧ソ連に約束したが、その約束を限りなく破ってきたという経緯がある)。もしトランプ前大統領が第二期目も大統領を務めていたら、ウクライナ戦争は起きていなかったことを考えると、その因果関係は明白だろう。トランプはNATOやウクライナを動かしてプーチンを倒そうとするどころか、「NATOなど要らない」と繰り返し、プーチンとは仲良くしたくてならなかった大統領だった。北朝鮮の金正恩と電撃的な会談を行なって、朝鮮戦争以降の北朝鮮問題を解決しようとさえしたではないか(トランプはキッシンジャーのようにノーベル平和賞をもらいたいと思っていた。だから故安倍総理にノーベル平和賞への推薦状を依頼したほどである)。トランプは、アメリカを軍事産業によって運営していこうとするネオコンではないために、ネオコンによって北朝鮮との雪解けは封じられてしまった。朝鮮半島が平和になるとアメリカの軍事産業が要らなくなるので、ネオコンは困るのだ。こうして世界中に戦争をばらまいた、バイデンに代表されるアメリカの戦争屋たちが、「中露朝」という、非米陣営のブロックを形成させる結果を招いたことを見逃してはならない。日本に脅威をもたらすのは、アメリカであることが見えてくるプーチンの訪朝であったと思う次第だ。なお筆者は1947年から48年にかけて吉林省長春市で中国共産党による食糧封鎖に遭い、餓死体の上で野宿させられた経験を持つ。国共両軍の真空地帯である卡子(チャーズ)を脱出したあとは北朝鮮に接する吉林省延吉市に難民として流れ着いた。その延吉で豆満江を見ながら2年間の歳月を過ごし、1950年には朝鮮戦争を迎えた。したがって筆者にとって豆満江は、「二度と戦争を起こしてはならない」と筆者に決意させる象徴の一つでもある。そのため、誰が戦争を起こさせるのかを生涯かけて追究している。その視点から論考を書いていることを読者の方々にご理解いただきたいと、心から願う。この論考はYahoo(※2)から転載しました。写真: プーチン大統領と金正恩委員長(ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/4dd0680ec41df27097d0de1173bac50ce79fd406
<CS>
2024/06/20 10:38
GRICI
ゼレンスキー大統領はなぜ対中批難を引っ込めたのか? ウクライナ戦争和平案を巡り(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:55JST ゼレンスキー大統領はなぜ対中批難を引っ込めたのか? ウクライナ戦争和平案を巡り(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「ゼレンスキー大統領はなぜ対中批難を引っ込めたのか? ウクライナ戦争和平案を巡り(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。◆中国&ブラジル和平案の「6項目コンセンサス」とは?では、ウクライナ戦争に対する中国とブラジルが共同で提唱する和平案とはどういう内容なのだろうか?今年5月23日、王毅・中共中央政治局委員兼外交部長は、北京でブラジルのアモリン大統領首席補佐官と会談し、「ウクライナ危機の政治的解決のための、中国&ブラジル6項目コンセンサス」に合意した(※2)。以下に、その「6項目コンセンサス」を記す。1.すべての関係者に対し、緊張緩和の「3つの原則」、すなわち、「戦場の拡大禁止、戦闘激化の禁止、戦争を煽ることを禁止」を遵守するよう呼びかける。2.対話と交渉がウクライナ危機から抜け出す唯一の実行可能な方法であると信じる。 当事者は、直接対話を再開するための条件を整備し、全面的な停戦に達するまで緊張緩和を促進すべきである。中国とブラジルは、「ロシアとウクライナ双方が認め、各方面が平等に参加し、すべての和平案について公正な議論を行えるような」国際平和会議を適切な時期に開催することを支持する。3.より大規模な人道危機の発生を未然に防ぐため、関連分野における人道支援を強化すべきである。 民間人や民間施設への攻撃は避けるべきであり、女性、子供、戦争捕虜などの民間人は保護されるべきである。 紛争当事者間の捕虜交換を支援する。4.大量破壊兵器、特に核兵器、化学兵器、生物兵器の使用に反対する。 核拡散を防止し、核危機を回避するために可能な限りの努力をする。5.原子力発電所やその他の平和的な原子力施設への攻撃に反対する。 すべての当事者は、原子力安全条約などの国際法を遵守し、人為的な原子力事故を断固として回避すべきである。6.世界の分断と閉鎖的な政治的または経済的ブロックの形成に反対する。世界の産業チェーンとサプライチェーンの安定を維持するために、エネルギー、通貨、金融、貿易、食料安全保障、石油・ガスパイプライン、光海底ケーブル、電力・エネルギー施設、光ファイバーネットワークなどの重要インフラの安全保障に関する国際協力を強化することを求める。中国とブラジル双方は、上記のコンセンサスに対する国際社会の支持と参加を歓迎し、事態の緊張緩和と和平交渉の促進に共同で建設的な役割を果たす。(以上が中国の外交部ウェブサイトに載っている説明だ。)ここで肝心なのは、「2」にある「ロシアとウクライナ双方が認める」という言葉で、中国&ブラジル案は、「排除の論理」に立っていないことが明らかである。当事者双方が参加し、他のいかなる国や国際組織も平等に自由に参加することを謳っている。また、「4」にあるように、「核兵器の使用を禁じる」という意味では、ロシアに一定の圧力を与えることになる。停戦交渉を行なう時に、戦争をしている当事国を招かないで、片方の国だけが相手国を排除した形で仲間を集めるのでは、停戦に結びつくはずがない。おまけにゼレンスキー和平案はロシア軍が2014年以前までの状態に戻るまで一人残らずウクライナから撤退するというのが絶対条件で、ウクライナの完全勝利以外の結果は絶対に受け付けない。しかし欧州外交問題評議会(ECFR)が今年1月に行った世論調査(※3)では、「わずか10%の欧州人しかウクライナの勝利を信じている人はいない」ことがわかった。この状況でゼレンスキー案が受け入れられる可能性は極めて低いだろう。もちろんロシアがウクライナに軍事侵攻したのが悪い。しかし、そこに追い込んだバイデン政権(副大統領時代からのバイデン個人の動き)を考えると、ロシアだけを一方的に非難することもできない。バイデンは2013年末にウクライナでNED(全米民主主義基金)をフル活用してマイダン革命を仕掛け、ウクライナの親露政権を転覆させ、親米傀儡政権をウクライナに樹立させた。もし仮に日本に激しい反中政権があり、中国共産党が日本で暗躍して日本の反中政権を転覆させ、日本に親中政権を樹立させるようなことがあったとしたら、日本は許すだろうか?あり得ない他国干渉であり、国際秩序を激しく乱すものとして全力で厳しく抗議するだろう。その同じことをアメリカがウクライナでやっているのに、なぜそこはスルーするのか。アメリカなら何をやっても許されるのか。アメリカの都合で(NEDの見えない糸の影響下で)動く日本のメディアは、真相から目をそらさせ、結局のところ日本を戦争へと導いている。そのことを、より多くの日本人が、上記の矛盾からも洞察してくださることを祈らずにはいられない。この論考はYahoo(※4)から転載しました。ウクライナのゼレンスキー大統領 写真: ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.mfa.gov.cn/wjdt_674879/wjbxw_674885/202405/t20240523_11310686.shtml(※3)https://ecfr.eu/publication/wars-and-elections-how-european-leaders-can-maintain-public-support-for-ukraine/(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/579e120ba0f51cf3384ad9463fbddb948fa72557
<CS>
2024/06/17 10:55
GRICI
ゼレンスキー大統領はなぜ対中批難を引っ込めたのか? ウクライナ戦争和平案を巡り(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:54JST ゼレンスキー大統領はなぜ対中批難を引っ込めたのか? ウクライナ戦争和平案を巡り(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。6月15日から16日にかけてスイスでウクライナ戦争の停戦に関して「ロシアの参加を排除したゼレンスキー案」に基づいたウクライナ平和サミットが開かれている。会議にはロシアを参加させないという条件があるため、中国は参加しないと表明していた。それに対してウクライナのゼレンスキー大統領は6月2日、シンガポールでの「アジア安全保障会議」で「中国がウクライナ平和サミットに参加しないように各国に呼び掛けている」、「中国は戦争支持者だ」と激しく中国を非難した。だというのに、6月13日になるとイタリアG7サミット後のバイデン大統領との共同記者会見で、突如、「習近平は電話会談でロシアに武器を送らないと約束している」と中国擁護に回り、バイデンが慌てて否定する場面があった。ロシアを含めたすべての国が平等に参加すべきとする「中国&ブラジルが提案している和平案」とともに、何が起きたのかを検証する。◆前言を翻(ひるがえ)したゼレンスキー6月2日、シンガポールのシャングリラホテルで開催されていた「アジア安全保障会議」に出席したゼレンスキーは、記者会見で「中国が他国にウクライナ和平サミットに出席しないよう圧力をかけている」(※2)と非難し、また「中国はロシアの手先であり、戦争の支持者だ」(※3)とまで言って中国を激しく罵倒した。そのゼレンスキーは6月13日になると突然、G7サミットでのバイデンとの共同記者会見で「習近平国家主席がゼレンスキーとの電話会談で、中国がロシアに武器を売却しない」(※4)と約束したと言い出した。この電話会談がいつ行われたものかに関しては触れていない。しかしゼレンスキーは「習近平が立派な人物であれば、私に約束した以上、売却しないだろう」と述べたという。すると、共同記者会見に臨んだバイデンは「武器を生産する能力とそれに必要な技術を提供している。つまり、中国は実際にロシアを支援している」と述べ、反論したほどだ。このことは、<中国に対する見方で温度差 対ロ支援巡って―米ウクライナ首脳>(※5)など、日本の少なからぬメディアも報道している。では、6月2日から13日迄の間に、いったい何が起きたのだろうか?◆ウクライナ高官が訪中し、ゼレンスキーはサウジアラビアに飛んでいた2日のゼレンスキーによる激しい対中批難が公表されると、中国外交部の報道官は定例記者会見で直ちに「中国がウクライナ平和サミットに出席しないように他国を説得した事実は皆無だ!」(※6)と反論し、王毅政治局委員兼外相は6月4日に、訪中していたトルコのフィダン外相と北京で共同記者会見をし「中国はスイスが(ウクライナ平和サミットのために)行った作業を非常に尊重し、スイス側に対して建設的な提案を繰り返し行い、スイス側は常にこれを称賛し、感謝してきた」と述べ(※7)、暗にゼレンスキーの発言を否定した。すると、ウクライナの外務省はそのウェブサイトで<王毅発言に対する(肯定的な)コメントを発表>(※8)し、その翌日の6月5日には、あわててウクライナのアンドリー・シビハ第一副外相(第一外務次官)を北京に派遣し(※9)、中国の孫偉東外交部副部長と会談。それは電光石火のような勢いで、アンドリー・シビハ氏は続けて中国政府の李輝・ユーラシア担当特別代表(※10)および中共中央聯絡部の陳州副部長とも会っている。さらに翌6日には上海に飛び、上海全人代常務委員会副主任(※11)と会談し、さらに中国の13社の企業代表(※12)と面談した。中国はウクライナの最大貿易国で、中国はこれまでウクライナとの友好を重んじ、ウクライナに対する人道支援金などもしてきた。その中国を敵に回すのは賢明でないと判断したためだろう。李輝はこれまで何度もウクライナを訪問して、中国の和平案に関して説明し、かつゼレンスキーから称賛を得ている。今般の中国&ブラジル案に関しても事前にウクライナを訪問し了承を取り付けてから公開している。そのことをゼレンスキーは思い出したのかもしれない。さらに決定打的なことがあった。中国がイランとサウジアラビアを和解させてからは、サウジアラビアの中国への接近が激しくなっている。そこでゼレンスキーは6月12日にサウジアラビアを訪問しムハンマド皇太子と会談している(※13)のだ。スイスで開催するウクライナ平和サミットへの参加を呼びかけたが、どうやらムハンマド皇太子は断ったようだ。平和サミットは首脳級が参加することになっているが、ムハンマド皇太子は結局参加せず、義理のように外相を参加させてお茶を濁した。それもそのはず、5月31日には北京で中国・アラブ諸国協力フォーラム第10回閣僚級会議(※14)が開催され、父親の病気で出席できなかったムハンマド皇太子の代わりに外相が出席し、王毅と会談したばかりだ。さらに6月10-11日にロシアで開催されたBRICS外相会議にも二人は揃って出席している。もちろん中国&ブラジル案が提唱している和平案にサウジアラビアは賛同している。したがって、むしろ、ゼレンスキーに、あのような対中批判などすべきではないと説教した可能性さえある。あれだけウクライナをも支援してきた中国を敵に回せば、それこそゼレンスキー自身が世界を二分させる冷戦構造を形成するのに貢献することになる。このような経緯があり、ゼレンスキーは対中批判を引っ込めたものと考えられる。なお、電話会談は2023年4月に行われたもの(※15)を指しているとしか考えられず、「あの時の習近平との約束を忘れたのか」と諭されたのではないかと思うのである。だから今頃になって1年ほど前の習近平との電話会談を持ち出したのではないだろうか。「ゼレンスキー大統領はなぜ対中批難を引っ込めたのか? ウクライナ戦争和平案を巡り(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。この論考はYahoo(※16)から転載しました。ウクライナのゼレンスキー大統領 写真: ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://apnews.com/article/ukraine-singapore-shangrila-russia-defense-94ebb72539182a0215c85895725cdd48(※3)https://edition.cnn.com/2024/06/02/europe/zelensky-ukraine-shangrila-address-intl-hnk/index.html(※4)https://jp.reuters.com/world/ukraine/BH666KDFL5IWHCTTLO32WRVUBA-2024-06-13/(※5)https://www.jiji.com/jc/article?k=2024061400319&g=int(※6)https://www.mfa.gov.cn/web/fyrbt_673021/202406/t20240603_11375826.shtml(※7)https://www.fmprc.gov.cn/wjbzhd/202406/t20240604_11376586.shtml(※8)https://mfa.gov.ua/en/news/komentar-mzs-ukrayini-shchodo-ostannih-zayav-ministra-zakordonnih-sprav-knr(※9)https://mfa.gov.ua/en/news/ukrayina-ta-kitaj-proveli-politkonsultaciyi(※10)https://www.fmprc.gov.cn/web/wjdt_674879/sjxw_674887/202406/t20240606_11377617.shtml(※11)https://mfa.gov.ua/en/news/andrij-sibiga-proviv-zustrich-iz-zastupniceyu-golovi-postijnogo-komitetu-narodnih-zboriv-shanhayu(※12)https://mfa.gov.ua/en/news/andrij-sibiga-proviv-zustrich-z-predstavnikami-dilovih-kil-knr(※13)https://jp.reuters.com/world/ukraine/5WGJXPGG3RIT3BO2673BKD7HUU-2024-06-13/(※14)https://www.fmprc.gov.cn/wjbzhd/202405/t20240531_11366748.shtml(※15)https://www.president.gov.ua/en/news/vidbulasya-telefonna-rozmova-prezidenta-ukrayini-z-golovoyu-82489(※16)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/579e120ba0f51cf3384ad9463fbddb948fa72557
<CS>
2024/06/17 10:54
GRICI
中露蜜月はなぜ堅固なのか? プーチンは習近平にスパイ極秘情報を渡していた【中国問題グローバル研究所】
*10:41JST 中露蜜月はなぜ堅固なのか? プーチンは習近平にスパイ極秘情報を渡していた【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。5月16日に訪中したプーチン大統領は、習近平と12時間にわたって時間を共にしているが、どうやらその間にプーチンが習近平に極秘スパイ情報を渡していたことがのちにわかった。それは中露両国政府を転覆させようとする外国勢力による中露国内におけるスパイ活動のリストらしい。6月15日から16日にかけてスイスでウクライナ戦争の停戦案に関する会議が開催されるが、ロシアが呼ばれていない上に、中国&ブラジルによる共同の和平案を新たに公開していることなどから習近平も出席しない。その背後には「秘密スパイ情報」によってますます強固になっていく二人の蜜月がある。「外国勢力」とは誰のことを指すのか?世界はその「外国勢力」によって大きく二分されながら重要な転換点を迎えようとしている。◆中露首脳会談とスパイ極秘情報もう1ヵ月ほど前のことになるが、今年5月16日、プーチンは北京を訪問し習近平と会談した(※2)。中露国交樹立75周年記念であることと、習近平が三期目の国家主席に就任した後に最初に訪問したのがロシアであったためその返礼としてプーチンが5度目の大統領に就任したので、最初の訪問国を中国にしたと、双方が言っている。首脳会談では「中露国交樹立75周年に当たっての新時代の全面的パートナーシップに関する共同声明」(※3)を発表したり、16日の夜には中南海で二人だけの会談をしたり(※4)などしたことは、広く知られているところだ。その合計の接触時間は12時間以上であったと、ロシアのタス通信は伝えている(※5)。注目すべきは5月18日にロシアの衛星通信であるスプートニクが爆弾情報を公開したことである。5月18日、<ロシア議会下院:中国とロシアに対する政府転覆活動に関する資料がロシアから中国に渡された>(※6)というスプートニクの情報が中国語に翻訳されて報道された。そこには以下のようなことが書いてある。――ロシア議会下院のロシア内政干渉調査委員会のワシーリー・ピスカレフ委員長は、ロシアと中国の政府を転覆させようと活動している外国組織の情報を、最近ロシアが中国側に渡したと述べた。同委員会のテレグラム・チャンネルは、ピスカレフ氏の発言を引用して「われわれは最近、ロシアと中国に対する外国組織の政府転覆活動に関する資料を中国側に渡した」と報道した。ピスカレフはまた、「新たな挑戦や脅威に直面し、ロシアと中国に対する外圧が日々高まる中、当該委員会は近い将来、ロシアは中国というパートナーとの協力を継続し、外国の干渉に対する主権と立法を保護する最も優れた方法を実施する計画である」と表明した。報道は以上で、非常に短いものだ。◆中国とは事前に調整し合っていたのか?中国の民間ウェブサイト騰訊新聞 (qq.com)は5月20日、この情報に関して<ロシアは機密資料を送った、外国による政府転覆活動、国家安全部(国安部)は集中的に情報発信、西側スパイは大きな問題に直面している>(※7)という見出しで、かなり長文の報道をしている。報道の一部には以下のようなことが書いてある。――外国が中国に対して政府転覆活動を行なっているのは、決して驚くべきことではない。中国の国家安全部は国務院のすべての部局の中で最も「謎」が多く、公式ウェブサイトがない唯一の部局でもある。この部局に関する外部の情報は公安部部長の名前と履歴に限られており、その他は一切知らされていない。しかし、そんな謎の部門が昨年7月末、独自のWeChat公式アカウントを開設し、通報(密告)チャンネルを発布した。もし外国による中国政府転覆活動がますます横行していないのだったら、何のために国家安全部が舞台裏から表舞台に出る必要があるのか?最近、国家安全部はスパイ摘発事件のニュースに関してWeChatの公開アカウントを集中的に更新している。5月17日、国家安全部は、航空宇宙分野における複数のスパイ事件の摘発経過を紹介する文書を発表した。それによれば5月13日、国家安全部は、スパイが外国人教授になりすまして我が国の生態系データを盗んだ事件を明らかにした。また、利益誘導やポルノ誘惑などの手段も使用されているのを確認している。現在、国家安全部は基本的に週に 2 ~ 3 件の特別報告を報道しており、これは、スパイ事件が毎週偵察され看破されていることを意味する。(騰訊新聞からの引用は以上)◆「外国勢力」の正体は「第二のCIA」であるNED(全米民主主義基金)いうまでもなく、極秘情報が言うところの「外国勢力」の正体は、基本的に「第二のCIA」と呼ばれているNED(全米民主主義基金)だ。ロシアでは2012年から「外国の代理人」法を設け、予算の20%以上を外国から提供されている団体に対し、いわゆる「外国の代理人」として登録することを義務づけている。2024年には、「団体」を「個人」にまで拡大させた。それは、2023年12月4日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartIV 2016-2022 台湾有事を招くNEDの正体を知るため>(※8)の4回シリーズを通して書いたように、ソ連時代からアメリカは何としてもソ連を倒したいとしてNEDに暗躍させてきた。そのことは2023年10月4日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か? 露ウに民主化運動を仕掛け続けた全米民主主義基金NED PartI>(※9)で考察した。特に近年は、コラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartIV 2016-2022 台湾有事を招くNEDの正体を知るため>(※10)の図表2で示したアレクセイ・ナワリヌイのように、NEDの支援金の活動対象が特定の人物に象徴されるようになってきた。だからプーチンは「外国の代理人」を組織団体から個人にまで拡張したものと思われる。習近平の場合も、「反スパイ法」の強化や香港特別行政区の国家安全維持法制定などを断行して、NEDが中国に潜り込んで(あるいはネットを使って)中国政府の転覆を謀ろうとしているのを必死で抑え込もうとしている。◆アメリカは中露を離間させたいが、アメリカにより中露は蜜月化その結果、習近平もプーチンも、互いの国をNEDの政府転覆活動から守ろうと、絆を一層強くさせている。習近平にしてみれば、2014年にNEDが主導したマイダン革命によりウクライナの親露政権が転覆させられたように、万一にもロシアに潜り込んだNEDによってプーチン政権が転覆させられロシアが民主的政権にでもなろうものなら、中国包囲網が強靭化し、ほぼ四面楚歌に至ると懸念しているだろう。それだけは絶対に避けねばならないと習近平は思っているだろうから、何が何でもプーチンを応援する方向に動いている。ただウクライナへの軍事侵攻をしたプーチンの軍事行動を容認すると、中国にいるウイグル族やチベット族などが他国に助けを求めたときに他国が中国に侵攻していいことになってしまうので、それだけは絶対に認めていない。それでいながらプーチン政権には絶対に崩壊してほしくないので、何としてもプーチンとの絆を深めてプーチン政権(あるいは専制主義的政権)の持続を望んでいるだろう。NEDの暗躍による政府転覆のリスクという共通項があれば、なおさら絆は深くなる方向に動く。◆中露が民主化してしまうと、実は困るアメリカしかし、万一にもだが、ロシアに民主的な政権が生まれ、それに伴って中国も民主化してしまった場合、実はアメリカは困るのではないだろうか。NEDを主導するネオコンは、基本的に軍事産業を国家運営の骨格に置いているので、中露という大国が平らかに民主化してしまった時に、「戦争を仕掛けていく暗躍の場」がなくなり、「民主の衣」を着て非親米的政権を倒す場がなくなって、活躍の対象を失う。何と言ってもロシアに民主的政権が生まれて、ロシアが欧州と仲良くなってしまうと、NATOの存在意義がなくなるので、アメリカの軍事産業は行き場を失い、「君臨する相手国(NATO諸国)」が存在しなくなるので、逆にアメリカによる世界の一極支配は衰退する方向に傾いていくと言っても過言ではない。トランプ政権が復活しても、トランプは大統領任期中に何度も「NATO無用論」を唱えてきたし、「アメリカ・ファースト」であって「他国の民主化」などに余計な力を注いで軍事ビジネスで国家運営をしていこうというネオコン系列ではないので、類似の現象は起きるかもしれない。現在、ゼレンスキーが唱えるウクライナ戦争和平案に基づく会議に参加する国の数は約90ヵ国・国際組織で、中国&ブラジルが唱える和平案に賛成する国は101ヵ国・国際組織である。これらの国の一部は重複しているかもしれないが、少なくとも全人類の85%は対露制裁に加わっていないので、残り15%の人類をアメリカ側に引き寄せているに過ぎない現状は、すでにアメリカの劣化を物語っている。中露の絆の強化は、その趨勢の中での分岐点をわれわれに突きつけている。もっとも、それでもなお、習近平がプーチンの足元を見ていることは拙著『嗤(わら)う習近平の白い牙』の【第五章 ウクライナ戦争と「嗤う習近平」】で詳述した。この論考はYahoo(※11)から転載しました。訪中したプーチン大統領と習近平国家主席 写真: 代表撮影/ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202405/t20240516_11305617.shtml(※3)https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202405/t20240516_11305860.shtml(※4)https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202405/t20240517_11305902.shtml(※5)https://tass.com/politics/1789297(※6)https://sputniknews.cn/20240518/1059159252.html(※7)https://new.qq.com/rain/a/20240520A044NL00(※8)https://grici.or.jp/4885(※9)https://grici.or.jp/4683(※10)https://grici.or.jp/4885(※11)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7781d9020315b44953fb4abc6543363ffe7c08f0
<CS>
2024/06/14 10:41
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況